「それで?何が聞きたいのですか?」
案内されたのは基地内の一角にある応接室だった
わざわざ空将がお茶を入れようとしてくれたが流石に迷惑はかけられないので自分でやったが
「そうですね、まずは先日陸上自衛隊基地で私の知人が殺害されていました。基地内に侵入の痕跡があり、基地内に備蓄されているべき武器、装備が全てなくなっていました。」
あの日の話題が出てきたので少し気を引き締める
「・・・それで?」
「殺害に関しては犯人はもう捕まっていますし、それを指示した者も逮捕されて今は塀の向こうですが、ひとつわからないことがありまして。基地内の兵器が全てなくなったことに関してはまだ誰もトリックが掴めてません」
岡村空将は少し俯き膝の上で手を組んでいる
心を読むまでもなく、明らかに少しの悲しみと怒りが湧いている
「ほう・・・それはそれは」
「運び出したのは・・・あなた、ですよね?」
「・・・正解です、よくわかりましたね」
「まあ、あなたの情報はこちらで掴んでいましたし。先日の富士演習場での映像もきっちりもらっていますしね」
神風以外に映像を撮ってる奴がいたのか・・・
多分人工衛星で映像を撮っていたのだろうがそう考えるとあの時使った能力は既に自衛隊以外の勢力にも出回ってしまったのだろうな
「できればその映像は削除して欲しいものですが・・・それで、俺があの基地から武器、装備を奪ったのは事実ですが聞きたいのはそれじゃないですよね」
「もちろんです、言うなれば何故武器、装備を奪うにとどめたのかですね」
「依頼ですよ、あの基地司令官があの武装を用いてテロを企てているので新型の試作戦車を破壊しろ、という。まあ当時依頼自体は投書で来ていたのを読んだだけなので事実確認はできませんでしたが。それとなぜ基地司令を逮捕しなかったかといえば、あくまで武装解除が依頼だったからです」
「・・・なるほど。確かに殺害されていたのは基地司令だけでしたし、逮捕された元長官も同じ事を言っていました」
「そういうことです、それでほかに聞きたいことは?」
「特には」
「無いのでしたら、そろそろ・・・」
「どちらへ?」
「食事です、カズ。飯食いに行くぞ」
「おう」
「待ってください、それでしたら私もご一緒します」
席を立ち部屋を出ようとする俺たちを呼び止め、笑顔で食堂へ案内する空将は少しばかり楽しそうだった
少年食事中・・・
「いや~食った食った!自衛隊の飯がこんなにうまいとは思ってなかった」
「本当はこの時間の食事は禁止なんですがね」
「そうなのか・・・?」
「いやそうだって言ってるじゃん」
「カズ・・・言葉の綾だ」
「あ、はい」
「さて、将校殿は聞きたい話もないようですし。そろそろお暇しますよ」
席を立った瞬間に食堂内のスピーカーから警報音とともに警告文が放送された
「いや、そういう訳にはいかないようです」
「・・・機体はこっちで用意する、カズ。いつもどおりに頼む」
「はいよ。通信設備をお借りします」
「りょ、了解しました。滑走路に急ぎましょう」
「こっちのほうが早い」
スキマを開き中を通す
不都合な部分は見えないように入った瞬間に滑走路行きだが
「能力とは便利なものですね」
「そうでもないです、カズ。用意はいいか?」
「通信状態は良好だ」
「なら行こう。show timeだ」