飯を食い終え皿を片付けると
「そういえば山に行くとか言ってなかった?」
「ああ、行くよ」
「時間は大丈夫なの?」
「余裕、直接行くしな」
「さっきみたいにってこと?」
「そうだ、とっとと行くぞ」
スキマを開いて富士演習場から数キロ離れた山中の開けた場所に繋げる
「先に言って待ってろ、俺はさっきのバイクを取ってくる」
「はいはい、山の中に置き去りにはしないでよ」
「しない」
繋げたスキマを安定させてバイクを置いたままの駐車場に別でスキマを繋げてスキマの中にしまう
「・・・そういえば、このラックってなんだ?」
パトリオットを取り出したあとふと目に入ったラックの中身を調べると
「・・・あのおっさん、こんなものまで用意してたのか・・・」
ラックの中には複数のカードと一緒に1枚の手紙がしまってあった
手紙の内容は
東方の能力だけつけても面白くないからスペルカード入れとく
使用限度とかないから安心しろ
ついでに言うと能力は東方に登場する妖怪の性質も使えるから
吸血鬼とか鬼とかいろいろあるが書くのはめんどくさいから自分で考えろ
by神
「・・・なんだそりゃ」
よくわからん奴だな、と思いながらスペカと一緒に置いてあったMOLLE対応のカードケースにスペカを詰め込み制服のベルトも兼ねているタクティカルベルトに付けておく
「急がねーと」
個人用のレールガンとパトリオットを持ってスキマを開く
出た先では木の下で座っている神風がつまらなそうに空を見上げていた
「待たせたな、ちょっと荷物を取ってきてたんでな」
「・・・遅い」
「悪かった、てかお前は帰らないでいいのかよ」
「必要ないわ、そもそもまだ聞きたいことはあるし」
「あっそう」
腰にあらかじめ下げておいた高周波ブレードを引き抜き適当な木を切り落とし即席の的を拵える
「少し下がってろ」
「え?ちょ、何するの?」
「夜中には武偵校に入れないからな」
パトリオットのセレクターをセーフティーからフルオートに切り替え切り落とした丸太の中央に照準を合わせる
「跳弾に気をつけろ」
トリガーに指をかけ片手で3秒ほど連射する
「・・・命中性は・・・気にしたら負けだな」
丸太の時を巻き戻し弾着する前に戻す
「何?その銃」
「パトリオットだ、ドラムマガジンの内部機構が無限大の形をしているからいくら撃っても弾切れを起こすことはないらしい」
「へー、すごいわね・・・そっちのは?」
「これか?レールガンだ、超電磁砲とでも言うのかな?」
「レールガンってまだ兵器としては実用レベルじゃないって話だったと思うんだけど・・・」
「それを言ったらコイツを作った奴が相当な技量だっただけだと思うが・・・まあ下がってろ、まだ撃ったことないし」
レールガンのスコープを覗き込み蓄電率が100%になったところでトリガーを引くと二つのレールから放電された電気が金属飛翔体に対し強力な磁力を発生させ高速で打ち出されると照準通りに丸太を撃ち抜いたのだが・・・
「えっと・・・」
「皆まで言うな、丸太が消し飛んだのはわかってる」
丸太は貫通したそのままの勢いでどこかへ吹き飛んでいった
むしろ弾けとんだ
切り落とした木の時を巻き戻し何事もなかったことにしてレールガンの使い勝手があまり良くないことを実感する
「命中性はランクで言えばSで威力までSか・・・月光を一撃で屠れるわけだよ・・・」
「月光?」
「気にするな・・・さて、問題はこれなわけだが、弾幕ってちゃんと出るのか?」
適当にカードホルダーから1枚スペカを取り出し試しに符の名前を叫んでみる
「スペルカード!霊符『夢想封印』!」
周囲2~3m程の空間に光球が大量発生し正面の先ほど直した木に向かって飛んでいき
弾着位置は対物ライフルを数十発撃ち込まれたかのように大きく抉られていた
「・・・今の、何・・・?」
「さあ?なんだろうな・・・」
そろそろこんなもんでいいか、音がうるさいと地域住民に迷惑をかけかねないし
「神風、そろそろ・・・」
帰るぞ、と言おうといた瞬間近くの木の陰に人の気配を感じ振り返る
「・・・気のせいか?」
「どうしたの?」
「誰かがそこでこっちを見ていた気が・・・」
内ポケットにしまっておいたソリッドアイを取り出し暗視機能を起動する
「ぷっwなにそれw」
「草生やすな、拡大機能付き暗視装置の眼帯型のものだと思えばいい」
再び先ほどの木の陰を見るとやはり誰もいない
しかし足跡が残っているのを見つけられた
さっき気配を感じてからそこまで時間は経っていないからそこまで遠くに入っていないはずなので
「・・・そこにいると危ないぞ、今すぐに出てくれば毛の一本も切れないで済むぞ!」
と大声で警告したのだが反応がないどころか物音ひとつしない
「はぁ・・・仕方ないか」
スキマを開き固定化してからiDROIDでスキマの中に控えている月光へ響と神風以外の人間を探し捕獲するように命令を出す
『モー!』
「月光4機の索敵を回避できるとは思えん、SOPシステムが使えればもっと簡単に捕まると思うんだが・・・」
「ね、ねえ・・・今のなんかきもち悪い奴って・・・何・・・?」
「あー、うん。月光っていう無人兵器」
「む、無人兵器?」
「そうだよ」
『モー!』
「そんなこと言ってるうちにさっきの不審者が見つかったみたいだぞ」
月光がカメラ付きのケーブルで絡め取った不審者を持って歩いてくる
『モー』
「離しなさいよ!この!」
「・・・何してんですか」
アリアが月光のケーブルに絡め取られ身動きがとれない状態になって運ばれてきた
「あんた!いいから下ろしなさい!」
「響・・・先輩がかわいそうですから下ろしてあげましょう?」
「・・・ぷっ、くくく・・・」
神風のかわいそう発言で堪えていた笑いが一気に吹き出た
「笑ってないで下ろしなさい!!」
『モー?』
「はいはい、今下ろしますよ」
「はいは一回!」
月光に拘束を解除するように命令を送るとアリアの体に巻きついていたケーブルが解けるとアリアが地面に降りる
「あーんーたーねー!!銃声がしたから見に来てみれば!一体何よ!この仕打ちは!」
オリジナル地団駄をアリアが踏み
『モー?!』
と月光がアリアといっしょの動きをし始めた
何この空間、SOPシステムがないと月光のAIってこうなるの?
「なんだろう・・・月光が可愛く見える・・・」
『モー♪』
「え?これが?」
「・・・気のせいだった」
『モー!?』
月光ってなんだっけという疑問を持ったまま夜が更けていくのを空に浮かぶ星空を見上げて実感する
「午後21時27分31秒か」
作者「月光って何かいいよね」
響「わからないな」
月光「モー!」
響「月光をあとがきに持ってくるな!」
作者&月光「えー?」
響「月光は『モー』以外に音声は出ない!」