「それで?」
「それで?と言われてもな、今言ったとおりだ」
現在、注文の竜田揚げを持ってきた店員の変装を解いた神風に質問攻めにあっている
席に戻るなりカズからは「テメェ・・・裏切りやがったな・・・!」とラブコール
裏切ったわけではないのだが・・・
「今の話だとまるで気がついたら能力が使えるようになっていたみたいに聞こえるんだけど、なにか前兆はあったでしょ?例えば高熱を出したとか」
言える訳ない、死んで転生するときにチート特典つけてもらったなんて
「そんな前のこと覚えてない、俺にそんな事を聞いてどうするつもりだ?」
「言ってなかった?私こう見えて諜報科でSランクとってるんだけど?」
「それはもう知ってる、俺が知りたいのは目的だ。能力の付与とか何かしらあるだろ?」
「いや、別にないわよ?敢えて言うなら能力の発生条件の研究かしら?後はそうね、単純な興味」
「そうか・・・カズ、少し野暮用ができた、明日までには戻る」
スッと席を立ちちょっとした用事を済ませに出かけようとする
しかし神風は
「ちょっと!まだ話は終わってないわよ!出かけるなら私もついていく!」
とついてくる気がやばい
そう、例えるなら、兄の後をついて回ってくる妹のように
「来たければ来ればいい、どうなっても知らんが」
「どういう意味よ」
「そのままの意味だ、能力に関することで試したいことがあるだけだ」
エントランスを通り表の道路にバイクを出す
「・・・まあ、RAYとかCV33とか操縦できたんだし大丈夫だよな・・・」
あまりいい思い出のないバイクに跨る、以前壊れた奴の時間を巻き戻し直しただけだが
「ちょっと、バイクの操縦なんてできないでしょ?車輌科でもないんだし」
「あ、甘く見るな。こ、こここ、こんなの自転車と変わらん」
「・・・運転代わりなさい」
「だ、だだ大丈夫だ、問題ない」
「私が怪我したくないの、いいから代わる」
半ば無理やりハンドルを奪われる
仕方ないので後部座席に移動するが
「お前、バイクなんて運転できるのか?」
神風はニヤリと笑い
「私はこれでも現役のバイクレーサーよ」
「ヘースゴイデスネー(棒)」
「尊敬する気ゼロね・・・で?どこ行くの?」
「近場の山に行く予定だったんだが、その前に適当な買い物に行こうかと思ってな、とりあえず駅の方まで頼む・・・」
「わかったわ、しっかり捕まってなさい」
セルでエンジンをかけギアを入れる
勢いよくスタートしたバイクはアホみたいな速度で一般道を走る
自分の周りを誰も走っていないのが幸か不幸かグングンスピードが上がる
「どんなもんよ!」
「すごいな(一般道でこの速度を出す勇気が)」
「もっと褒めてもいいのよ?」
「褒めたつもりは・・・まあいいか」
「駅の方まで行くのは構わないんだけどちょっと頼みごとがあるのよ」
神風の声のトーンが下がり真剣な面持ちになるのでこちらまで何を言われるのか緊張してしまう
「なんだ?」
「一部でもいいから能力の内容を教えてちょうだい」
ひとつだけ、あの爺さんから貰った能力の事を教えておくことにしよう
ここに来てから一度たりとて使ったことのない能力だが
「・・・見たことのある能力を使える能力だ」
「え?」
「どんなチート能力でも、意識下で無くても、目が開いていれば見たことになる、その見たことのある能力を使える、例えそれが時間停止能力であったとしても」
「・・・それが、あなたの能力?」
「ああ、だが教えるのはここまでだ。この先はお前が考えろ」
バイクの後部シートを立ちバイクの横を飛ぶ
「・・・飛べたの?」
「飛べたよ」
「どこでそんな能力を?」
死んだ魚のような目でこちらを見てくる神風
おい、前見ろよ
「いったはずだ、ここからはお前が考えろ」
「今更だけど飛べたならバイクを使う意味なくない?」
「お前がついてきたいとか言うからだろ、一人なら素直に飛んでたよ」
「は?私がいたから悪いの?」
「そうは言ってないだろ!いいから前見ろ!」
「・・・後20分くらいで着くからシートに戻ったほうがいいかもよ」
「そうさせてもらおうか、人目につくのは好きじゃないのでな」
時間を止め安全第一で座席に戻る
飛ぶのは簡単でも戻るのは案外難しいものだ
作者「どうしようwめんどくさい展開になってきたw」
響「やめなさい」
作者「いや、どうするよ、この先の展開」
神風「あんたが考えないでどうするの」
作者「まあ、どうにかしましょう」
セヤナー「ウチナー エビフライ ナンヤー」
作者&響&神風「セヤナー」