ひょんなことから転生しました   作:雷蛇1942

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演習(強制):2

 

「え?今週末ですか?まあ、予定はないですが」

 

教務科で綴に呼び出されたと思えばいきなり今週の予定を聞かれた

 

「演習でもしようと思ってな?富士演習場でやるからな・・・予定がないならちょうどいい、じゃ現地集合だからよろしく」

 

そのまま教務科を追い出させるような形で帰された

 

 

 

蘭豹を紙一重で撃退し次の演習相手を探していると

 

「・・・誰だ?」

 

約350mほど先の木陰に誰かが伏せている気がした

双眼鏡を取り出し確認しようとすると

銃弾が飛んできた

 

横に飛び回避するがすぐに次弾が飛んでくる

木陰に隠れ弾を避けるのが精一杯だ

 

「っぶねえ!!この精密な狙撃、俺の知る限りだとやはりレキか・・・」

 

まさか演習に参加していたとは思ってなかった

すぐに背中にかけていたHK416Dを掴み上部のマグニファイアを付けたドットサイトを覗く

 

「念のためマグニファイアをつけておいて正解だったな・・・」

 

弾丸の飛んできた位置を撃つが見事に誰もいない

基本的に演習は実弾を使っているが俺だけは殺傷してしまう危険があるので自主的に全弾ゴム弾に変更している

 

「どこに行った・・・」

 

千里眼でレキを探す

先ほどの射撃位置から200m程後退した場所からこちらを狙っていた

自分にとって有利な位置から狙撃するつもりなのだろう

 

「・・・そこか」

 

伏せたまま横に転がりレキのいる位置にフルオートで撃つ

2、3発は当たったがフルオートだけにあまり当たらなかった

セミオートだと途中で撃ち落とされる気がするしな

 

光学迷彩を起動し格闘戦に持ち込める距離まで近づこうと歩き出す

5、60mほど歩み寄ったあたりでいきなり背中側に鋭い痛みを感じた

防弾制服ってのはM500を撃たれた時も思ったが非常に便利なものだ

多少撃たれたとしても貫通することはない

せいぜい骨が折れる程度だからな

 

背後からの銃撃に身悶えする間も置かず痛みの有無という境界を消す

背後を振り返り銃撃するがやはり誰も見当たらない

レキの位置を確認するがやはり左斜め前方400m程の辺に居ることから後方からの銃撃は行えないはず

 

「・・・どうやって光学迷彩を見破ったんだ」

 

光学迷彩は説明がつく、サーマルを使えば人間の体温で写ってしまうし足音で位置を特定することはできる

だが背後からの銃撃は一体なんだ

そうこう考えながら近くの茂みの中にダイブする

 

「ぬぅ・・・一体どうやって撃ってきている」

 

双眼鏡を取り出しレキの様子を伺うが木々や岩等で遮られており観測は疎か狙撃なんてできるはずがない

もし狙撃するならば木々の枝や岩の隙間を縫うようにして撃たなければならない

もし少しでも風向きが変わったり葉に掠ったりでもしたらあらぬ方向に跳弾して飛んでいっていまう

 

「ん?何が引っかかってる・・・狙撃?いや、跳弾か?」

 

もし現実でオセロットのように跳弾でターゲットに弾丸をぶち当てられるとするなら

 

「背後からの銃撃は跳弾だったのか・・・?でも光学迷彩は・・・足音か?」

 

何はともあれそう仮定すれば戦いようはある

遮蔽物がなければいいんだ

勢いよく上空に飛び上がりレキのいる位置へ下降中に正面から飛来する弾丸をすべて“破壊”し着地と同時にレキが太ももに装備している銃剣を破壊する

 

「種の割れた手品ほどつまらないものはない、そうは思わないか?」

 

「私の銃剣を粉微塵にしておいて最初に言う言葉がそれですか」

 

「銃剣はこの演習が終わったら買ってあげますよ」

 

一歩退き話し続ける

 

「ひとつだけ聞きたいことがあるんですが、どんだけ耳いいんですか?4、500mは離れてますよ」

 

「・・・」

 

パァンッ!!

乾いた音と共に腹に衝撃が走る

レキが腰だめにSVDを撃ったのだ

 

「・・・痛いんすけど」

 

「でしょうね、銃剣のお返しです」

 

「そりゃどうも・・・ボソッ(ザ・ワールド)」

 

小声で時を止めスキマからゴム弾を装填したドラムマガジンを取り出しHK416Dに装填する

 

「5秒前!!」

 

どこぞのDIOのように叫びながら416Dを構える

 

「4秒前!!」

 

ボルトを引きマガジンからチャンバーへ弾丸を送り込む

 

「3秒前!!」

 

セーフティを解除しセレクターをフルオートに変更、トリガーへ指をかける

 

「2秒前!!」

 

指切りバーストで3発ずつ5回に分けてレキの周囲に弾丸をばら撒く

 

「1秒前!!・・・ダメ押しにもう少し」

 

更に3発撃ちレキの足元に催眠ガスグレネードを投げておく

 

「そして時は動き出す」

 

レキの周囲にばら撒いた弾丸がレキの全身に弾着しガスグレネードが弾ける

ガスグレネードが効いたのかはたまたゴム弾で気絶したのかは分からないがレキが地面に倒れる寸前に体を滑り込ませ頭を打たないよう保護する

 

「・・・すぅ」

 

「・・・寝てるのか?」

 

頭から倒れそうになったあたりやはり眠っているのだろう

無線をカズに繋げる

 

「カズ、また一人やった、回収を頼む」

 

「了解、どうしてこんなスピーディに倒せるんだ?」

 

「そうでもない、演習が始まって2、3時間くらい経つし」

 

「そうか?」

 

「そうだ、あとは頼むよ」

 

「任せろ」

 

無線を切り再び次の相手を探しに演習場を行く

 

 


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