――夢を見ていた
暗い何もない道を一人で何か分からない“モノ”に追われながら走り続ける夢
誰でも一度は見る夢だ
しばらく走り続け、その“モノ”に追いつかれた瞬間に眠りから覚めた
「――が一人でやったってのか?」
「そういうことでしょう、通信科にオペレータ役はいたみたいですが」
意識ははっきりしないが二人ほどの話し声が聞こえてくる
起き上がろうと腕を動かそうとすると
ガチャッ
と何か鎖のようなもので体がベッドに拘束されていることが分かった
「起きたか、お前がどうしてこうなっているか分かるか?」
「さあ、どうしてでしょうね?あ、鎖が切れても文句は言わないでくださいよ」
腕に力を入れそのまま引きちぎる、幸いアーセナル装備のまま拘束されていたようだ
両手が自由になったのでそのまま起き上がると他の拘束具も取る
「それで?何の御用ですか?綴先生に小夜鳴先生」
「お前な・・・警察庁やら総務省に乗り込んでサーバーからデータを抜き取ったり人を拉致してウチに押し付けたりしておいてそれはないんじゃないか?」
「そうですよ響くん、長官を拉致しちゃダメじゃないですか」
「武帝憲章三条強くあれ。ただし、その前に正しくあれ。これに従ったまでですよ」
まあ、結局レキには勝てなかったわけだが
「いや、レキに負けてるじゃん」
やはり突っ込まれた
「それはそうですが戦いの年季が違います。俺はついこないだまでただの素人だったんですし」
「ただの素人にこんなことができるとは思えないんだがな」
数枚の写真とタブレットの画面に表示された動画を見せられる
「これはどこで撮影したんですか?」
「レキが撮ったんだよ、スコープについてる撮影機能でな」
タブレットには響がスキマからフルトン回収気球を取り出すところやCQCを警察庁長官にかけているところが映し出されており
その映像の切り抜きが写真として机の上に置かれている
「・・・なるほど、それで俺にどうしろと?」
「単純な話だ、要はもう少し訓練しろ」
「あとはそうですね・・・SSRに移動してもらいましょうか」
「それだけなら別に構いませんが・・・話はこれで終わりですか?」
「ああ、帰りたければ帰っていいぞ」
「そうさせてもらいましょう」
どうやらここは医務室のようで脱出に便利な窓が開閉できるようになっていた
窓を開け二人の先生に一言
「それでは、ご機嫌よう」
そのまま空中を飛びカズを待機させている集合場所に向かおうとすると医務室の窓から綴がハンドガンで撃ってきたが時を止め全弾撃ち落とす
ついでにハンドガンの銃口にも一発撃ち込んだが
合流地点では車に長官を乗せたカズが待っていた
「待たせたな」
「待ちくたびれたぞ」
「すまんな、さて・・・こいつはどうする?」
「そりゃまあ、罪は償わなくてはならんしな・・・」
携帯を取り出し綴にかける
「なんだ黒羽」
「いや、長官の処遇を決めようと思いまして・・・結構汚職してるくせに俺達の命まで奪おうとしたんですし」
「とりあえず検挙しとけ、あとグロックは弁償しろ」
「・・・それじゃそっち連れてきますんで」
「おい、無視すんn」
相手に自分の要求を伝えたら問答無用で通話を切る
相手に断らせないコツだ
成功した試しあんまりないけど
「じゃ、行くか?」
カズに呼びかける
「そうだなw」
朝方の海風に吹かれながら車に乗り込み再び学校に登校する
やれやれ、いつもながら朝方に何故学校に行くのやら
MGSの拷問からの脱出的な事しようと思ったら案外描写が難しいw
結局穏便に片付きましたね