チノと付き合い始めたココア。
しかし、付き合うとその事が当たり前になってだんだんチノから心が離れていく、そして、それを皮切りに5人の関係が崩れかけてしまう。
崩れかけた関係を5人が修復しようと行動する感動ストーリー。
最後まで読めば納得のいく話になります。
一話完結物なので、続編はありません。


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そばにいたい

ーー1ヶ月前ーー

 

 

チノ「ココアさん…私、ココアさんの事が好きです。家族とか友達とかでなくて、こ…恋人として」

 

 

ココア「チノちゃん…」

 

 

チノ「だ、ダメですよね。分かってます。女の子同士で付き合うなんて変ですし…聞かなかったことにしてください」

 

チノちゃんはそういってうつむいてしまった。

そんなチノちゃんに向かって私は返事をした。

 

ココア「いいよ、チノちゃん」

 

 

チノ「…え?」

 

 

ココア「私もチノちゃんの事、世界で一番大好き」

 

 

チノ「…ココアさん」

 

今思えば、あの時の私はどうかしてたのかもしれない。

チノちゃんに告白されたのが嬉しくて、何も考えず、自分も好きと、そう思って身勝手な返事をしてしまったのかもしれない。

もし、あの日に戻れたら、私はなんて返事をしたのだろうか?

 

 

ーー今ーー

 

 

チノ「ココアさん、一緒にお風呂に入りましょう」

 

 

ココア「う、うん!いいよ」

 

 

チノ「それで、一緒に晩御飯作って、寝て、それから…」

 

 

ココア「チ、チノちゃん!とりあえずお風呂入ろ!」

 

 

チノ「そうですね、行きましょう」

 

今、私は一つの悩み事に悩まされている。

それは、チノちゃんのこと。

付き合いたての頃はいてくれて凄い嬉しくて、一緒にいるのが凄く楽しくて、何もかも一緒にしたかった。

でも、そんな事が続いた時、私はそれをなんとも思わなくなってしまった。

きっと、そんな生活に慣れてしまって、当たり前になってしまったんだ。

でもチノちゃんは相変わらず私と一緒に何かをするのが楽しいみたい。

でも私はいざチノちゃんと恋人になってしまったら、前と同じ気持ちを持てなくなってしまった。

むやみやたらにチノちゃんに接していた私は無責任だったんだ。

 

 

チノ「…?」

 

 

ココア「…」

 

 

チノ「ココアさん、どうかしました?疲れた顔をしてますよ」

 

 

ココア「な、なんでもないよチノちゃん!今日はよく働いたから少し疲れちゃったのかも。あはは…」

 

 

チノ「そうですか…ならいいのですが……」

 

私がチノちゃんと付き合う資格なんてあるのかな?あるわけないよね…

 

 

 

 

 

ーーある日の帰宅途中ーー

 

 

千夜「なるほどね〜、そんな気持ちなんだ」

 

 

ココア「うん…これじゃあ私チノちゃんに顔向け出来ないよ…」

 

 

千夜「(なるほどね、これは倦怠期っていうやつだわ。ココアちゃんでもそういうのがあるのね)」

 

 

千夜「ココアちゃん」

 

 

ココア「なに?」

 

 

千夜「ちょっとこっち来て!」

 

 

ココア「うわ!ちょっ、ちょっと!」

 

そう言って私は路地裏に連れていかれた。

そこはいかにもだれも通らなそうな場所だった。

どうしてこんな所に連れてきたのだろう?

 

 

千夜「ココアちゃん。チノちゃんと…キスした事ある?」

 

 

ココア「え…ま、まぁ、あるけど」

 

 

千夜「そっか…」

 

 

ーーチュッーー

 

 

ココア「!///」

 

私はビックリして目を大きく開いたまま固まっていた。

今目の前で起きたことが信じれなくてどうすればいいのか分からなかった。

 

 

千夜「これは上塗り。私もね、ココアちゃんの事、前から好きだったの。だからチノちゃんが納得いかないなら私と付き合わない?」

 

 

ココア「で、でも…」

 

 

千夜「お願い」

 

私は自分で自分の気持ちが分からなかった。

キスをされて動揺して何も考えられなかった。

少し時間が経った後、私はこのまま千夜ちゃんと付き合うのも悪くないと思っていた。

チノちゃんじゃ満足出来てなくてそれを千夜ちゃんに求めたのだ。

もしくは千夜ちゃんに悪いと思ったのかもしれない。

どちらにせよ私はダメな女の子だ。

 

 

ココア「う…うん」

 

 

千夜「ありがとう…」

 

そう言って千夜ちゃんは私に抱きついた。

千夜ちゃんに抱きつかれても私の欲求は満たされなかった。

もっと、私の心が動かない、不変のものがほしい、そう思っていた。

私は何のために千夜ちゃんと付き合い始めたのだろうか?

何のためにチノちゃんを身勝手に捨ててしまったのだろうか。

何を考えているんだろ、私。

こんなことも分からないで本当の仲なんて手に入れられるはずがないのに。

 

 

ーー放課後、シャロ視点ーー

 

 

チノ「♪♪」

 

あれってチノちゃん?

何かとっても元気そうね、何を考えているのかしら?

もしかしたらココアの事かも。

そう言えばあの2人は上手くいってるのかしら、付き合い始めたと聞いた時は驚いたけど、結構似合ってると思う。

 

私もいつか先輩と…

 

私はすぐに頭を振って煩悩、煩悩とその考えを取り去った。

先輩は理想であって、好きとかではないのだ。

 

 

シャロ「チノちゃ〜ん!」

 

 

チノ「シャロさん、お久しぶりです」

 

 

シャロ「今帰り?あれ、前にいるのココア達じゃない?」

 

 

チノ「はい、私ココアさんの所に行ってきます。シャロさんも行きましょう」

 

 

シャロ「走らなくてもこのペースで歩けばすぐに追いつくわよ。そう言えば、チノちゃんはココアと仲良くやってるの?」

 

 

チノ「ええもちろんです。ただ…」

 

 

シャロ「ただ?」

 

 

チノ「いえ、なんでもありません…私やっぱりココアさんの所に行ってきます」

 

ただ?

あの2人になにかあるのかしら?

まぁ、恋人だからって何もかも認められるわけじゃないものね。

お互いの悪い所も認められるのがいい恋人なのかもしれない。

 

 

チノ「シャロさん、こっちです」

 

あれ、この先は行き止まりよね?

なのにどうしてこんな所を曲がるのかしら?

それはチノちゃんも同じ事を考えているようだ。

 

 

シャロ「この先って行き止まりよね?」

 

 

チノ「えぇ…行ってみましょう」

 

そこではココアと千夜が話していた。

何か秘密の話なのかも、と私たちは少し離れた所から伺っていた。

しかし次の瞬間、私でも信じられないことが起きた。

千夜とココアがキスをしたのだ。

 

 

チノ、シャロ「!!」

 

 

シャロ「あれ?チノちゃんって、ココアと付き合ってるのよね?」

 

 

チノ「…」

 

 

シャロ「チ、チノちゃん。これは何かの間違いかも…」

 

 

チノ「いいんです。気付けなかった私が悪いんです」

 

そう言い残して、涙を流しながら走っていってしまった。

 

 

シャロ「チノちゃん!」

 

こういう時どうすればいいのだろう。

私は1人考え込んだ。

こういう時頼りになる人がいれば!

 

シャロ、困った時はいつでも頼ってくれ!

 

いけない、こんな時にまで先輩の事が思い浮かぶなんて。

でも、相談するくらいならいいよね?

ココアとチノちゃんの為だもの、信頼出来る人に相談するのがベストよね?

私は先輩の元に向かうことに決めた。

 

 

ーーラビットハウスーー

 

私はラビットハウスのドアを勢いよく開けた。

 

リゼ「うわ!ビックリした。なんだ、シャロか…驚かさないでくれよ〜」

 

 

シャロ「先輩、チノちゃんはいますか?」

 

 

リゼ「まだ二人とも帰って来てないんだよ。もしかしたら2人でデートでもしてるのかな?」

 

 

シャロ「先輩、お話があるんです」

 

 

リゼ「どうしたんだ?改まって、なんでも言ってくれ!」

 

 

シャロ「実は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

リゼ「そんな事があったのか…チノも辛かっただろうな」

 

 

シャロ「ココアもそんな事するような人じゃないと思うんです。でも、確かにあの2人がキスをしているのを見たんです」

 

 

リゼ「とにかく、ココアが帰ってきたら聞いてみないとな」

 

私は先輩と一緒にココアやチノちゃんが帰ったくるのをまった。

その間にもお客さんは来なかったので、先輩と雑談をしようにも、そんな気分になれなかった。

 

 

シャロ「…」

 

 

リゼ「シャロ、大丈夫だよ。きっとなにかの間違いだって」

 

 

シャロ「先輩…」

 

落ち込んでいる私を見て励まそうと思ったのか、先輩は私に声をかけてきた。

こういう細かな気遣いが先輩には出来るのだ。

でも、私の悩みは振り切れなかった。

 

 

リゼ「な?信じてあげようよ」

 

 

シャロ「先輩、このことで…私たち、別れたりしませんよね?私まだ…この5人と離れたくないです。もっとこのメンバーで楽しい思い出が欲しい…」

 

私が悩みをぶつけると、先輩は私を抱きしめた。

私はそれに依存して、しばらくの間じっとしていた。

涙を流し、先輩の中で泣きじゃくった。

先輩は背中をポンポンと叩いてあやしてくれる。

この時の私にとって先輩はとてもとても大きな包容力を持った、母のような存在だった。

 

 

リゼ「大丈夫だって、私たち今までずっと仲良くやってきただろ?それはココア達も一緒。だからココア達はきっと元に戻ってまた元の形に戻れるよ」

 

 

シャロ「…そうですよね」

 

私は顔をあげた。

 

 

リゼ「あぁ、友達だから、恋人だから喧嘩をするのさ。親しい間柄じゃなければ、すれ違いは起きないだろ?それを乗り越えればより深い絆がうまれるんだよ」

 

 

シャロ「先輩…ありがとうございました」

 

 

リゼ「いいよ、困った時はお互い様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ココア「ただいま」

 

ココアの顔はどう見ても落ち込んでいていつも通りとは言えなかった。

いつものココアの笑顔はどこにも見当たらなかった。

ココアをそうした理由は恐らく千夜との出来事だろう。

ということはココアは望んで千夜とキスしたのではないのかな?

私は急に千夜に裏切られた気分がした、いや元からそうは感じていたのだが、よりいっそうそう感じた。

 

 

リゼ「…お、おかえり、ココア」

 

それは先輩も同じだったようだ。

 

 

ココア「リゼちゃんただいま、チノちゃんはまだ?…あ、シャロちゃんいらっしゃい」

 

 

シャロ「…どうも、ココア。チノちゃんはまだ帰ってきてないよ」

 

 

ココア「そっか…着替えてくるね」

 

 

リゼ「…これは聞くに聞けないな。明日千夜の家にでも行ってみるか、明日は丁度定休日だし」

 

 

シャロ「そうですね、さすがにあんな顔のココアから聞くわけにもいかないですし」

 

 

ーー千夜家ーー

 

 

千夜「あら、リゼちゃん、シャロちゃん、いらっしゃい」

 

ココアと違って千夜は元気だった。

千夜は昨日のことをなんとも思ってないのだろうか?

 

 

リゼ「千夜…昨日のことなんだが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

千夜「そう…全部見てたの。チノちゃんには悪い事をしちゃったわね」

 

その言葉を聞いて私の中で何かが切れた。

なんで千夜はそんな自分勝手な事を出来るのだろう。

わざわざチノちゃんとココアの仲をさいてまで。

私にはそれが信じれなかった。

 

 

シャロ「どうして、どうしてそんな事したの?私、小さい頃から千夜と一緒にいたけど、そんな事するような人じゃなかった!どうして?私は今のこの5人でいるのが楽しいの!それなのに、なんでそういう事をするの…」

 

私は素直に自分の気持ちを千夜にぶつけた。

小さかった時から一緒にいたからこそ、本音をぶつけ合えるのだと私は思う。

ここからは先輩でなく、私が聞いていかないといけないことだ。

いつまでも先輩に頼ってばかりではいられない。

 

 

千夜「…」

 

 

シャロ「答えてよ」

 

 

千夜「…それはね、2人に元の仲に戻って欲しかったから」

 

 

シャロ、リゼ「え?」

 

 

千夜「今、あの2人は倦怠期なの。それをココアちゃんは私に相談してきた。まぁ、ココアちゃんは気づいてないみたいだけどね…だから私が解決しようとしたの」

 

 

シャロ「それだけじゃ分かんないよ」

 

 

千夜「ココアちゃんが私と付き合えば、きっと罪悪感に襲われるわ。だからココアちゃんにやっぱりチノちゃんが一番だって思わせようって思って」

 

 

リゼ「でも、それでココアが本気にしちゃったらどうするんだ?」

 

 

千夜「それは大丈夫よ…だってココアちゃん、優しいもの…」

 

そう言って千夜は笑った。

そんな千夜の目にはうっすら涙が浮かんでいる気がした。

でも、すぐに後ろを向いてしまったから、本当に流したかは分からない。

でも、私は違和感を覚えた。

それは先輩には分からないかもしれない。

長年一緒にいたからこそ覚える違和感だった。

 

 

リゼ「……そっか…そうだよな」

 

 

シャロ「先輩…先に帰ってチノちゃんに話を聞いてきてくれませんか?」

 

 

リゼ「シャロ?」

 

 

シャロ「お願いします。チノちゃんが長い間一緒にいたのは先輩ですから、私はこのまま千夜と話します」

 

 

リゼ「…わかった。後は頼むよ」

 

 

シャロ「…」

 

 

千夜「…」

 

お互い黙ったままだった。

私はしばらくして口を開いた。

 

 

シャロ「千夜…もしかして…」

 

 

千夜「やっぱりシャロちゃんは気づいちゃったか…小さい頃から一緒にいたもんね」

 

 

シャロ「じゃあ、さっきの全部嘘?」

 

 

千夜「そんなことないわよ。だって、ココアちゃんとチノちゃんの仲が戻ってほしいと思うし、私たち5人また仲良くしたいもの。そうじゃなきゃ困るわ」

 

 

シャロ「でも、千夜もココアの事好きなんでしょ、いいの?」

 

 

千夜「もちろんよ」

 

 

シャロ「じゃあ、千夜は諦めるの?」

 

 

千夜「そんな事ないわ。ココアちゃんが私を選んだら私はココアちゃんと付き合うわ。私、シャロちゃんが思ってるほど優しくないもの。今の5人の関係を捨てる事になっても、私はココアちゃんを選ぶわ。5人みんなずっと仲良くいられるなんて、ただの欲だもの」

 

 

シャロ「どうしてそう思うの?私たち、そんな仲じゃないじゃない」

 

 

千夜「だからこそよ。これから先、大学とか仕事とか色々な事で会えなくなることが増えていくし、離れていく人もいるもの。だから私は初めから割り切って、ココアちゃん一人選ぶのも悪くないと思ってるの」

 

 

シャロ「千夜…」

 

 

千夜「ごめんね、シャロちゃん。私よくこう思うことがあるの。5人の関係と2人の仲を天秤にかけたら、どうしてもこっちが勝っちゃうの。でも安心して、私たち5人また仲良くなれるから…元通りになるから、私達5人別れることも…無いと思っているから」

 

 

シャロ「どうしてそう言いきれるの?」

 

 

千夜「だって言ったでしょ。ココアちゃん優しいから最終的に私を選ぶ事はないし、チノちゃんと仲直りをする…だから好きになったのよ」

 

 

シャロ「千夜…」

 

 

千夜「ほら、もういいでしょ。ココアちゃんなら心配しなくても大丈夫。

1人でも答えを出せるわよ」

 

 

シャロ「そうね…ココアは強いもんね」

 

 

千夜「シャロちゃんはもっとしっかりしないとね」

 

 

シャロ「どういうこと?」

 

 

千夜「そんなんじゃ、リゼちゃんに振り向いてもらえないよ?」

 

 

シャロ「!///」

 

 

千夜「シャロちゃんも私と同様で不器用だからね〜」

 

 

シャロ「余計なことは言わなくていい!」

 

そういって、私たちはいつもの関係に戻った、そんな気がした。

もちろん気がしただけなのだが、それでも、5人が元通りになる第1歩だ。

 

 

ーーチノの部屋ーー

 

 

リゼ「チノ、入るぞ」

 

 

チノ「…」

 

 

リゼ「チノ…ココアの事聞いたよ」

 

 

チノ「…」

 

 

リゼ「その、なんて言うかさ。話してみないと分からないだろ?」

 

 

チノ「でも…でも!ココアさんは千夜さんとキスをしてました!そこは…変わらないじゃないですか」

 

 

リゼ「(そこを言われると弱るな)」

 

 

チノ「何か言ってください、リゼさん」

 

 

リゼ「…」

 

 

リゼ「…それでもいいのか?ココアと何も話さないで、何も理解しないでそのまま別れるのでいいのか?」

 

 

チノ「…」

 

 

リゼ「チノは昨日のココアの様子を知ってるか?」

 

 

チノ「…知らないです」

 

 

リゼ「チノと一緒。ずっと部屋に閉じこもったままだよ」

 

 

チノ「そんな!だってココアさんは…」

 

 

リゼ「話してみなよ、チノ。せっかくできた恋人だろ?チノはきっとなにか誤解してる」

 

 

チノ「でも、私なんかに会いたくないかも…」

 

 

リゼ「チノ、意地を張らないの。私たちはチノ達はいい恋人だと思ってるよ。1回の思い違いで別れるのはもったいないよ」

 

 

チノ「リゼさん……私、少し行ってきます!」

 

そう言ってチノは部屋から飛び出していった。

私はそのまま出ていった扉を眺めていた。

 

 

リゼ「まったく、チノも千夜も不器用なんだから」

 

 

ーーココアの部屋ーー

 

 

チノ「ココアさん、入りますよ」

 

 

ココア「うん、いいよ、チノちゃん」

 

私は昨日一日あの事の罪悪感にさいなまれていた。

どうしてあの時、千夜ちゃんと恋人になってしまったのか。

これでは本末転倒だとなんで気づかなかったのだろう。

チノちゃんも恐らく昨日のことを知っている。

だって昨日私がずっと閉じこもっていたことに何も言わなかったのだから。

私たちの関係はここで終わり、これでいいのだ。

これは私に対する罰だ。

 

 

チノ「…」

 

 

ココア「…」

 

 

チノ「昨日、千夜さんとキスしてましたよね」

 

 

ココア「うん」

 

 

チノ「何か理由があったんじゃないんですか?」

 

 

ココア「…」

 

 

チノ「言ってください。私、ココアさんと分かり合えないまま離れたくないです!」

 

 

ココア「チノちゃん…」

 

 

チノ「なんでも言ってください。お願いします…話してください」

 

 

ココア「それはね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

チノ「そうだったんですか…」

 

私はチノちゃんに全てを話した。

千夜ちゃんのこと。

私がチノちゃんといるのをなんとも思わなくなってしまったこと。

これで全部終わるのだろう、きっと私はこの罪悪感をずっと背負って生きていくのだろう。

これで終わる。

これで終わるとわかると心が軽くなりそうなのになぜか心は重かった。

いや、理由は自明だった。

 

 

チノ「私、分かってたんです。ココアさんがそう思っていること」

 

 

ココア「え?」

 

 

チノ「ココアさん、たまにすごくつまらなそうな顔をして、変だなと思ってました。もしかして私と一緒にいるのが辛いのではとも思いました」

 

 

ココア「チノちゃん…」

 

 

チノ「でも、考えたくありませんでした。だって、ココアさんと離れたくなかったから、そうでないと信じていたかったから。だから私はそのまま接してきたんです。ココアさんはまだ自分に心があると言い聞かせて、そう信じてココアさんに接してきました…でも間違っていました。私が欲しいのは…本物のココアさんです。偽物のココアさんは私にはいらないです」

 

 

ココア「チノちゃん…私は、私は、ずっと変えたかった、こんな自分を。チノちゃんと一緒にいるのが当たり前でかけがえのないものと思えない自分を。私…今ようやく気づけた。チノちゃんが私の事をどれだけ好きでいてくれたか、私がチノちゃんをどう思っていたか」

 

 

チノ「ココアさん」

 

 

ココア「私、やっぱりチノちゃんが好き。私に一生懸命なチノちゃんが好き。好きで好きでたまらない!」

 

 

チノ「ココアさん…私も…ココアさんが好きです」

 

 

ココア「チノちゃん…」

 

 

チノ「ココアさん…」

 

私とチノちゃんは抱き合った。

今までの不満を全て捨て去るまで抱き合っていた。

やっぱり、私はチノちゃんが好きで、これからはもうブレたりしない。

これが私の求めたもの。

 

チノ「ココアさん、今日は離れませんからね」

 

 

ココア「わかってるよ、チノちゃん」

 

 

ーー翌日のラビットハウスーー

 

先輩によれば昨日2人は話し合ってお互いの仲を再確認したらしい。

千夜の願いは叶わなかったみたいだけど、これでよかったのかもしれない。

これが私達の関係なのだろう。

 

 

ココア「チノちゃん!おはようのハグ〜」

 

 

チノ「ちょっ、離れてください恥ずかしいです」

 

 

千夜「ココアちゃん達、元に戻って良かったわね」

 

 

リゼ「結局、千夜はなんて言ったんだ?」

 

 

千夜「チノちゃんと仲直りさせるために嘘ついたっていったよ」

 

 

シャロ「それでよかったの?」

 

 

千夜「ずっと友達でいれれば十分よ…じゃあ私もココアちゃん達に混ざってくるわね」

 

と言って千夜はココア達の元に歩んでいった。

ココアとチノはお互いの気持ちを伝えた。

千夜も一応ちゃんと伝えたのだ。

私も、私も少し頑張ってみた方がいいのではないだろうか?

付き合うまでもいかなくても、なにかしらアクションを起こすべきではないだろうか。

それで新しい関係になれるのなら楽なものなのかもしれない。

 

 

シャロ「先輩!」

 

 

リゼ「ん、どうした?」

 

 

ーーチュッーー

 

私は先輩の頬にキスをした。

 

 

リゼ「!///」

 

 

シャロ「……これが私の気持ちです、先輩」

 

 

ーー終わりーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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