もしもの世界を生きる彼女と   作:マーマレードタルト

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ハルコタンにあるでっかい川の名前ってなんでしたっけ……


【双子】の残したもの

「シャオ、状況の説明をお願いしてもいい?」

「もちろん」

 

キャンプシップに帰還したマトイはアークスシップには戻らずにハルコタンへ直行し、現在はハルコタン上空で待機している状態だ。

 

「マトイはハルコタンの黒の民の事を覚えているかい?」

「うん。【双子】に食われて今居るのはみんな複製体だったよね」

「その通り。この黒の民なんだけど【双子】によって生み出されたものなのに、何故今も存在していると思う?」

「え?えぇと……確かになんでだろう。もう【双子】が居ない以上増える事は無いはずだし、そもそも存在を維持出来ないよね」

「【深遠なる闇】関連で色々あってそっちの調査は後回しになってたんだよねー」

「うぐっ……」

 

どこの誰達のせいとは言わないけど、そんな視線を通信モニター越しに受けて凄く気まずいマトイである。

 

「まぁ、過ぎた事は置いといて。調査結果なんだけどね、あの黒の民はもうほとんどダーカーと変わらない存在だったよ」

「ダーカーと変わらない?」

「順番に説明するよ。まず【双子】が生み出す複製体はダーカー因子で汚染したフォトンに複製の元なる情報……今回だと黒の民だね。それを入力して再現させたものなわけ。まずはこれが大前提ね」

 

そこで一度区切り話を続ける。

 

「まず【双子】に生み出された純粋な複製体。これを倒した時に霧散したダーカー因子が周囲のフォトンを汚染して“複製体の姿”をまた再現させるんだ。これは複製体の情報を持つダーカー因子が存在する限り再現され続ける、いわば自己増殖型のウイルスみたいな感じだね」

 

アークスにはダーカー因子やそれに汚染されたフォトンを浄化する能力を持っているが、その大半の者は倒したダーカーの全てを浄化する事は出来ない。例外を除きどうしても“漏れ”が出てしまうのだ。

その漏れが中心となって新たな複製体を再現するという訳だ。

 

「それを繰り返すうちに大元の【双子】から生み出された複製体の複製体が増えたわけ。今僕達が戦ってるのはこっち。仕組み的にはダーカーと一緒。もう“黒の民の姿をしたダーカー”が正しいかもしれないね」

「黒の民の姿をしたダーカー……でもなんで今この話を?」

「本題だね。現在惑星ハルコタンでは大軍勢の黒の民が白の領域に向けて進行中。救援要請が来てるからマトイを含めた適当なアークスに向かってもらう予定。その先は状況に応じて指示を出すよ」

「スクナヒメ達は無事なの?」

「大丈夫だよ。今は白の領域で防衛に向けて準備中みたい」

「よかった……」

「とりあえずマトイには下に降りて皆んなと合流してもらう」

「うん、分かった」

 

友人の無事が確認できたことで幾分か緊張も解けたところでキャンプシップの流体ゲートへ飛び込む。

視界が真っ白に染まり数瞬、再び目を開ければそこは惑星ハルコタンの地上、花が咲き乱れるここは白の領域だ。

『まずは座標を送るからそこ向かって』

「了解」

 

マップを開けば目的地は白の領域から少し離れた場所。どうやら白の領域と黒の領域の間くらいみたいだ。

それを確認してマトイは歩き始めた。

 

 




双子が居なかったら複製体って存在維持できるの?って言うのと、なら今いるのはなんで?の私なりの考察です。
分かりにくいですけど、双子が作った複製体の複製体だから純粋な双子産の複製体は既に存在していません。


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