二時間目の授業は、一夏が参考書を古い電話帳と間違えて捨てた、というなんとも嘘くさい事件?が発覚したがその後は滞りなく進み、現在は休み時間に入っていた。
タイガは面倒事に巻き込まれるような予感を感じたため、授業が終わるとすぐに教室を出て屋上に向かった。
「こういう時の俺の感は当たるからなぁ......、ハァ。」
タイガは缶コーヒーを飲みながら黄昏ていた。
「タイガの感大正解だよ。今教室戻んない方がいいよー、織斑と金髪ロールが揉めてるからさ。」
タイガは後ろを振り返ると、そこにはニコが立っていた。
「お前か、あまり聞きたくはないが・・・何があった。」
「それがさー、――――」
ニコの話を簡潔にまとめると
・金髪ロールが織斑に話しかけた
・織斑は金髪ロールの事を知らなかった
・金髪ロールはイギリスの代表候補生だったが、自分を知らない織斑に激怒
・さらに追い打ちをかけるように織斑が代表候補生って何?発言
ということがあったらしいが、ニコはそのやり取りにアホらしくなって、教室を抜けてきたらしい。
「金髪ロールの代表候補生?・・・あぁ、セシリア・オルコットとかいう奴か。」
「あれ、知ってんの?」
「何年か前にイギリスに行ったことがあってな、その時に見かけたことがある。」
「へぇ~。」
「しかし、オルコットも抜けてるな、織斑は電話帳と間違えて参考書を捨てるような馬鹿だぞ、
そんな奴が代表候補生って言葉の意味を知ってるように思うか普通?」
「あー、確かに。」
ニコはタイガの辛辣な言葉に苦笑いしながら同意した。
「そもそも国家代表ならともかく、一介の代表候補生の顔と名前なんざ、知ってる奴なんざほとん
どいねえだろ。腕の立つ優良株ならわかるがな。」
「まぁね。」
タイガは腕時計を見ると、時計の針は休み時間が終わる1分前を指していた。
「そろそろ戻るか。」
「そだね。」
そういうと、タイガとニコは教室に戻っていった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あー、すまない。授業を始める前に決めることがあった。」
3時間目の授業を始めようとした千冬はふと思い出したようにそう言った。
「えー、何を決めるんですかー。織斑センセー。」
ある生徒が千冬にそう聞いていた。
「それはだな。・・・再来週に行われるクラス対抗戦に出るクラス代表を決めなければならん。」
「クラス代表?」
その言葉に一夏は首を傾げていた。
「言葉の通りの意味だ、生徒会主催の会議や委員会への出席をする・・・一言でいえばクラス長の
事だ。一度決まると1年は変更できんからな、そのつもりでいろ。」
その言葉に教室がざわざわと色めきだった。
一夏はイマイチ理解できていないのかポケーっとしていたが........。
「自薦他薦は問わんぞ。誰かいないか?」
「はい!織斑君を推薦します!」
「私もそれが良いと思いますー。」
「なるほど、候補者は織斑一夏か、他にいないのか?」
千冬は真耶を一瞥し、メモを取っているのを確認しながらそう聞いた。
「っ!?俺!?」
一夏は自分が推薦されているのに気付いて驚きの声を上げながら立ちあがった。
「あいつ、自分が推薦されて他の気づいてなかったのか」
「バッカじゃない、フツー気づくでしょ。」
「まったくだな。」
タイガとニコは小声で会話しながら一夏に呆れていた。
「だ、だったら、俺は!?タイガを推薦する!!!」
一夏はタイガにクラス代表を押し付けようとタイガを推薦した。
「ふむ、立花か、なるほどな。他n―――」
「待ってください。納得いきませんわ!」
その時、一人の生徒が異議を唱えて立ち上がった。
その生徒の名は
「男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!このわたくし、セシリア・オルコットにそのよう
な屈辱を味わえとおっしゃいるのですか!?」
イギリスの代表候補生―――セシリア・オルコットだった。
「ねぇ、タイガ。屈辱に耐えきれないんだったら自薦すればよかったんじゃないの?」
「まったくだ。」