白騎士事件から5年が経過したとある大雨の夜。
土砂降りの雨の中で2体の異形が戦っていた。
1体はハンドガンのような武器を持ち、レモンイエローのマントを着けた灰色の戦士。
もう1体は龍の牙のような双刀の武器を持つ、龍のような緑色の怪物。
灰色の戦士はハンドガンを連射するが、緑色の怪物の持つ双刀によって放った弾丸全てを薙ぎ払われた挙句、距離を詰められてしまい、双刀の一撃によってハンドガンを手から弾き飛ばされ、首に双刀を突きつけられてしまった。
『クククッ。・・・残念だったなぁ、藪医者。』
緑の怪物は灰色の戦士の腹に強烈な蹴りをお見舞いすると、灰色の戦士は後方に吹き飛ばされた。
『グッ。』
『お前には闘いのセンスがある。・・・が、急ごしらえのその装備では完全体となった今の俺を倒すには足りん!!!』
『それでも、それでも俺はぁ!!!!』
灰色の戦士は体勢を立て直すと腹部のドライバーから黒いゲームカセットのようなものを引き抜くと左腰にあるスロットに突き刺した。
≪キメワザ!≫
≪バンバン!クリティカルストライク!≫
『ウォォォォォ!!!!!』
灰色の戦士は緑色の怪物に向かって走り出すと飛び上がり、エネルギーを纏った右足を突き出して飛び蹴りを放った。
『面白い!その一撃に全てを賭けるという訳かぁ!!!!』
緑の怪物は双刀に紅いエネルギーを溜めると、十字の斬撃を繰り出した。
『激怒竜牙』
≪会心の一発!≫
2体の異形は爆炎に包まれた。
爆炎が晴れたそこには右腕を亡くし、左手に半分に折れた双刀――グラファイトファングを逆手で持った緑色の怪物が立っていた。
『どうやら、甘く見過ぎていたようだ。』
一方、十字の斬撃―――激怒竜牙に圧し負けた灰色の戦士はビルの壁に激突した後、アスファルトの地面に落下した。
地面に落下した衝撃で灰色の戦士の腹部からベルトが外れ、灰色の戦士の姿は光に包まれると、次の瞬間、白衣を着た黒髪の青年が姿を現し、全身血まみれの青年の身体に冷たい雨が降りかかった。
緑色の怪物は白衣の青年に近づくと、武器を構えた。
「グ、グラ、ファ、ト」
『今後のためにも、止めを刺しておくべきか。さらばだ藪医者、いや―――仮面ライダースナイプ』
緑色の怪物―――グラファイトが武器を振り下ろそうとした、その時。
グラファイトに向かって弾丸の雨が降ってきた。
『むぅっ!?』
グラファイトは弾丸の雨を後ろに飛び退いて回避しながら、半分になったグラファイトファングで弾いてしのぎ切った。
『チッ!・・・ん?』
グラファイトが灰色の戦士―――仮面ライダースナイプ(プロトシューティングゲーマーレベル2)だった白衣の青年が横たわる場所に目を向けると、パワードスーツを着た女性が立っていた。
『ISか。・・・ん?』
グラファイトはパワードスーツ――ISをまとっている女性の頭に機械の耳がついているのを見てその女性の正体を見破った。
『まさか、篠ノ之束かっ!?』
「うっさい!!!バ○キ○マン!!!!!」
『バ、バイ○ン.........。』
グラファイトは女性―――篠ノ之束の言葉にショックを受け、フリーズしてしまった。
ISを纏った束はその隙に白衣の青年―――立花大河を抱えると、その場を飛び去って行った。
『ハッ!?逃げられたか。・・・・・・まぁ良い、どのみち腕の再生には時間がかかる。』
フリーズから元に戻ったグラファイトは失った右腕に目をやりながらそう言うとデータ化して姿を消した。
これは、世界初のIS男性操縦者が現れる2年前の出来事だった。