もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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注意

駄文です。

魔理沙の性格は原作からかけ離れています。

今回ではないですが、原作無視の強さを持っていたりする奴もいます。

それでも良い方は第七話をお楽しみください。


もう一つの東方鬼狂郷 第七話 紅魔館へ

 ドアをくぐると、アトラスがいた世界に入った時のように、真っ白な光で自分の手すらも見えなくなるほどに眩しくなる。

 気が付くと私は寝かせられているのが分かった。さっきまでのように実体がないような感覚ではなく。体重を感じて私は生き返ったんだとわかった。

 私の体は寝かせられているといった。しかし、寝かせられていると言っても霊夢に殺された時のように四肢を投げだしているわけではなく、きっちりと手足をそろえているのだ。

 周りでは、誰かが話して泣いているような声が聞こえた。でも、顔に布がかぶせてあって誰がしゃべっているのかわからない。

 もともと呼吸していなかったのが、生き返ったことにより、ものすごく苦しくなってくる。

「……っはあああああっ!!」

 私は顔にかけられた布を取り、息を大きく吸い込みながら起き上がった。

「きゃあああああああああああああああああっ!!!?」

 甲高い早苗の絶叫が聞こえ、早苗が握りしめたお祓い棒で私の顔をぶん殴った。

「ぶふぅっ!?」

 顔が跳ね上がり、後ろに倒れこんだ。床に後頭部を打ち付けてしまい、頭がすごく痛い。

 痛み、私が生きていると実感させてくれるものだ。

 だが、今の状況ではそんなことを言って喜んでもいられない。手加減なく本気でお祓い棒を振るう早苗に生きていると証明しなければならないのだ。

「さ……早苗…!!…止めろ…!!」

 私が力いっぱい叫ぶと、早苗のお祓い棒が私の顔を叩く寸前で止まった。

 私は一日に何回泣かせかけられればいいのだろうか。

「…魔理沙、あなたは大丈夫なの?」

 咲夜が私を警戒してナイフを構えながら言った。

「……ああ…。私は正気だぜ」

「……」

 私が言うと、咲夜が私の目をのぞき込んできた。おそらく、ルーミアたちのように赤いオーラがないか見ているのだろう。

「……一応大丈夫みたいです……しかし、魔理沙…あなたその髪と目どうしたんですか?」

 咲夜が私から視線を外して後ろにいる早苗に伝え、私に言った。

「…え?……髪と目…?」

「髪は金髪だった髪が白く色が抜けてて、瞳の色も真っ赤ですよ?」

 今いる場所は変わらず博麗神社で、早苗は壁にいつもたてかけられている鏡を取って私に見せてくれた。

 鏡を見ると、確かに私の髪の毛の色が白髪になっていて、目の色も真っ赤に染まっている。アトラスのやろうが説明を忘れていたのだろう。

 起き上がった時、私の右目が治っているのに気が付いた。潰れたはずの目が治っているということは、アトラスが治してくれたのだろう。

「……霊夢は…?」

 私は近くに立っている早苗に聞いた。

「…わかりません。……霊夢さんがどこまで異変の解決に向けて進んでいるか聞きたかったんですけど、いなくてかわりに魔理沙さんの死体があったんです」

 早苗が言いながら私が倒れていた場所を見下ろした。

「…」

 私もつられて見ると、頭があった位置の床にはこすった程度では落ちなさそうに血がべっとりと付着している。

「…魔理沙、あなたに聞きたいことが2,3あります」

 咲夜が言った。

「…その前に……この場所を離れないと…」

 私が言うと二人は首を傾げた。

「なぜですか?」

 早苗が言いながら私を見る。

「…信じられないかもしれないが、私は……霊夢に殺されたんだ」

「……っ!!?」

 咲夜と早苗が驚き、目を見開く。

「……霊夢さんが異変を起こした側だということですか!?」

「いや、違う。……そこら中にいる妖怪たちと同じだ。何かに操られてる」

 私は言いながら霊夢がいつも掃除に使う壁に立てかけられている箒を取り、外に出た。

「とにかく咲夜が聞きたいことは後で説明するから、とにかくこの場所を離れないと」

「……わかりました。じゃあ、紅魔館に行きましょう」

 私に咲夜が言い、縁側から空を飛んだ。私と早苗もそれに続いて空を飛ぶ。

「……二人とも、どうしても聞きたいことがあるからちょっといいか?」

 私が呟くと、二人が周りを警戒しながらも私を見た。

「何ですか?」

 早苗が言った。

「……いったい……何があったんだ?」

 私が言うと、咲夜がはあ?といった表情をしてこちらを向く。

「……いや、私は三日間ぐらい地下にこもっていたから……外で何があったのかわからないんだ」

 私はそういながら咲夜の横を飛んだ。

「……そうなの?……私たちもわかっていることは少ないけど、わかっていることは…異変が始まったのは、一日前からです」

「…一日前か……」

「ええ、もうすぐ日付が変わるから二日前になるけど、昼頃にいきなり太陽よりも明るい光が発生しました」

 咲夜が何があったのかを説明をし始めた。

「光?」

「ええ、それが起こった後…こんな状態になりました……付近の妖怪や妖精の大部分はその光を直視したらしく、おかしくなってるみたいです」

 直視ということは、直視しなければ大丈夫というわけか。ライトの光源を直接見るのと、ライトの光源から発せられた光を見る。そう言った違いなのだろう。

 おそらく、咲夜や早苗は後者は見たが、前者を見たわけではないのだ。

「…なるほど…それで…二人は誰かと戦ったのか?」

 私が聞くと、早苗が私の横に来て言った。

「はい、私は諏訪子様と加奈子様と戦いました」

「諏訪子と加奈子……あいつらもおかしくなってんのか?」

 私が聞くと、早苗が少し暗い顔をしながらうなづく。すこし無神経すぎる質問だった。

 でも、あいつらも神の一種だ。よく生き残れたものだと私は感心した。

「…咲夜は何かと戦ったのか?」

 反対側を飛ぶ咲夜に私はそっちの方向を見ながら聞いた。

「…紅魔館に働いているメイドの妖精たちと戦いました。……約三分の一が光にやられてたみたいでした」

 紅魔館で働いている妖精のメイドは結構いる。それの三分の一とは言えかなり大変だっただろう。

 二人の服装などを見ると目立った外傷はあまり見られないが、かなりの激戦だったのだろう。かすり傷や擦り傷がたくさんある。

「そういう魔理沙はどうなんです?」

 咲夜が私の方向を見ながら言った。

「私か?…私は…ルーミアと文……リグルとミスティア…とかかな…あと人間」

 ほぼすべての戦いで死にかけたのは言わないが。

「…文さんもおかしくなってるんですか…?」

 早苗が驚いたように少し大きな声でいう。

「ああ、いきなり襲われてな…驚いたなんてもんじゃあないぜ」

 私は文との戦いを思い出しながら呟いた。あんな命綱なしの綱渡りをしているような戦いは二度とごめんだ。

「よくあの素早い文さん相手に生き残れましたね」

 早苗が目を丸くしていった。

「まあ、…相手が油断…?してくれたおかげで助かったんだ」

 私は文にナイフで刺されたことを思い出し、ブルりと身震いする。

「…?……それより私からも一つ聞いていいですか?魔理沙」

 咲夜が身を震わせる私に疑問そうな顔をしながら聞いてくる。

「…なんだぜ?」

「…私があなたを見つけた時、あなたは完璧に死んでいました……しかし、魔理沙は生き返ったばかりでなく、負っていた全ての傷が塞がっていました……何があったらそうなるんです?」

 咲夜が私の方を真剣な表情をしてみてくる。私の説明が悪ければ、最悪この場所で咲夜にばらされて殺されかねない。しかし、どう説明していいかわからないのだ。正直に話して信じてもらえるかわからないし、はぐらかせば異変の関係者じゃないかと疑われる。

「……なんていえばいいんだろう……なんか、死んだときによくわからないやつにあって来たんだ」

「…よくわからないやつ…ですか?」

 咲夜が小難しいことを考えている顔をしながら呟く。

「……そいつに…なんかこの世界を救え的なことを言われたんだぜ」

 アトラスのことを思い出しながら私は二人に簡潔に伝える。

「……魔理沙さん。私たちのことをからかってるんですか?」

 早苗がじろりと私を睨みつける。

「からかってはいない…真実だぜ、信じられないのはわかるけどな…」

「……」

 早苗が疑いの眼差しを私に向けたまま進む。

「……なんで、その人は魔理沙のことを助けたんですか?」

「さあ、……結構気まぐれな奴っぽかったからなぁ……たまたまじゃないか?」

「……魔理沙さん……私からも一ついいですか?」

 早苗がこちらに向き直った。

「別にいいぜ?」

「…何というか、魔理沙さんから…何か違和感を感じるんです」

 早苗が言うと、咲夜も私の魔力を探ったらしい。

「……確かに…感じますね」

 おそらく、二人はアトラスが私に授けたと言っていた力のことを言っているのだろう。

「…死んだときになんかあったやつに力を授けるとか言われたんだが……私にもいまいちわかっていないんだぜ」

 私は自分の手のひらを眺めながら言う。

「…まあ、それについては後ででもいいでしょう」

 咲夜が言ったとき、林をようやく抜けて湖に出た。

 前方には紅魔館という名の通り紅いレンガで作られた巨大な西洋の館が見えた。

 紅魔館の周りにはパチュリーが張った結界があるらしく、入るためにそれを破ろうとしてあまたの妖怪や妖精たちが群がっている。

 あの中を強引に移動するのは骨が折れるだろう。

「…吹き飛ばすか」

 私は手のひらを前に突き出して構えた。

「……たくさん敵がいるところはあなたたちに任せます。数が少なくなったら私がやりましょう」

 咲夜が言うと、時を止めて移動したのか消え失せた。

 タイミングは私たちに任せるということらしい。

「早苗やるぞ」

 私が手のひらに魔力を集中させながら言うと早苗も弾幕を撃つ準備を完了させる。

 私の手のひらに集まる魔力が収縮して強い光を放ち始め、最大までそれが明るくなった時に、レーザーをぶっ放す。

 早苗がタイミングを合わせてくれて、札や球体の弾幕を一気にばらまきながらある程度近い連中をお祓い棒で殴り倒す。

 レーザーを薙ぎ払い、結界に群がっていた妖精たちの約半数を吹き飛ばした。

 それを開戦の合図にしたように、妖精たちが私に向かって前進しようとするが、お祓い棒を持った早苗と時を止めてナイフを投げる咲夜に残りの大部分も地面に倒れた。

 遠くの残党を私が撃ち抜き、ようやくほぼ片付く。

「片付いたな……二人ともけがはないな?」

 少し離れた位置にいる二人の元に行きながら私は話しかけた。

「……大丈夫です」

 早苗が言い。

「私も大丈夫です」

 一呼吸間をあけて咲夜が言った。

「……倒れてるこいつらはどうするんだ?」

 周りを見回し、倒れている妖精と妖怪たちを見る。

「私たちじゃあどうしようもないので、放っておくしかないですね」

 咲夜が言いながら足元の地面に深々と刺さった銀ナイフを引き抜いた。

「……こいつら、今は気絶してるが……起きても元に戻るってわけでもなさそうだな」

 私たちがやっていない傷が地面や壁に刻まれているため、もしやと思って私が言うと、咲夜はうなづく。

「はい、残念ながらそうなんです。気絶させても、一回休みで生き返っても変わりません」

 咲夜が言いながら門を開けて門をくぐった。

 

 




戦闘を入れたかったですが、入れることができませんでした。

今更ですが、前作と似たような戦闘シーンがあったら申し訳ございません。私が忘れて書いてしまっています。

たぶん明日も投稿すると思います。

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