割と好き勝手にやっています。
それでもいいという方は第七十三話をお楽しみください。
霊夢の振り下ろしたお祓い棒を私は真正面から受け止めた。
来ると分かってたため、私は霊夢の大ぶりで威力のある振るわれたお祓い棒を何とか押さえ込み、鍔迫り合いの状態となる。
私は魔力で体を強化し、瞬間的に霊夢以上の力を発揮してお祓い棒を弾き飛ばした。
霊夢がわずかに体勢を崩し、私はそこに畳みかけることにする。
しかし、おそらく今回も霊夢の罠だろう。弾いた時の押し返してくるはずだったお祓い棒が軽すぎた。でも、あえてその罠にかかってやることにした。
私が大きく踏み込むと霊夢の口が三日月のように左右に裂け、私に向けてお祓い棒を薙ぎ払う。
だが、私がお祓い棒の軌道上に棒を移動させたことにより、霊夢のお祓い棒と棒が打ち合わさる。
霊夢はお祓い棒を凪いでいるという攻撃方法で、かつ、私の棒に当たった時にお祓い棒の角度をかなり浅くしたらしく、私は完全には止めることができずにお祓い棒が滑り、棒と面しているお祓い棒が縁まで行くと棒をすり抜けて私に向けてまた直進し始める。
「…くっ!」
顔を傾けようとした私の右目に霊夢のお祓い棒がめり込み、瞼を引き裂いて眼球をミンチのようにかき混ぜる。
「いづ……あああああああああああああああああっ!!」
私は絶叫しながら潰された右目の全身が痙攣するような激痛を無視して、霊夢に向けて魔力で強化した棒を振りあげた。
霊夢はお祓い棒を振ってしまっているため、丸腰に近い。
どんな生物でも共通の弱点である顔をガードしようとした霊夢の私よりも多少発達の良い胸に、私はお祓い棒を食らわせるのではなく。歌仙が私にやったように掌底を思いっきり食らわせた。
ドォォッ!!
鈍く、腹に来るような重い音が私が掌底で触れた霊夢の胸からする。それは見た目通りの威力を発揮したらしく、霊夢が目を見開いて表情を苦悶に歪める。
霊夢の体が浮き上がり、後方五メートル程度の場所に生えている木に背中を打ち付けさせた。
「が…はぁ……うぐ……っ……ぁあ…っ…!!?」
霊夢が胸を押さえてもだえ苦しむ。
「…ようやく……一撃……!!」
私は呟きながら霊夢を見る。
霊夢の弱点、それは生まれた時から圧倒的力を持ったことにより、防御をしたことがないということだ。
萃香たちのおかげで私は何人かいれば、霊夢と互角に接近戦で戦えるようになっていた。このようにこの異変が始まってからは接近戦がある程度できるようになっていたというのは、慣れたということだ。
それと同じで霊夢は防御をしたことがないため、どうやったら体を効率よく守れるのかは知らないだろう。
だが、いつもの霊夢ならばなんとなくでできなくはないだろうが、今は私の睡眠薬で勘が鈍っている。途中半端な防御では強力な攻撃は防ぐことができないだろう。
私は血の力で目の傷を塞ぎながら、後方にいる小悪魔を見た。
小悪魔は起き上がり、私に近寄って来る。
レミリアや咲夜もそこまで重症ではなかったのか、何かに掴まって立ち上がり、腹を押さえてうずくまっている霊夢を警戒する。
「…ようやく一撃入れてやったぜ……でも、気は抜いてられない……ここからが本番だからな」
私は言いながら霊夢を見ると、咳き込んでうずくまっていた霊夢がゆっくりと木を支えにしてゆっくりと立ち上がって私たちに呟く。
「……しゃらくさいわね」
霊夢がそう言いながら、懐の内ポケットから一枚のスペルカードを取り出した。
「!!?」
私はそのカードを見た時、ゾッとして思考が停止しかけてしまう。
「そのスペルカードを使わせるな!!」
私が叫んだ時、レミリアがグングニルを投擲し、咲夜が時を止めて霊夢の周りにナイフを敷き詰め、永琳が矢を放つ。
全方向からの同時攻撃は霊夢を中心に発生したまばゆい光に照らされると、魔力で形成されているグングニルや永琳の矢が消え去り、一部の魔力で作り出していた銀ナイフも消え去ってしまう。
本物の銀ナイフも合たはずだが、光を受けた瞬間に不自然に前方に飛ぶ力をなくし、地面に十数本のナイフが突き刺さり、異様な光景となる。
霊夢の腰のあたりの高さを、白と黒が混ざり合ったような形をしている陰陽玉が十個ほど規則的な速度で円を描く。
「………これは、やべぇ…!」
私が呟くと永琳やレミリア、小悪魔の表情に焦りなどが生じているのが伺える。
霊夢の周りを漂っている十個の陰陽玉がそれぞれ光を放ち、それぞれが様々な方向に回転しながら公転運動をして上昇を始めた。
霊夢の身長を超え、高さ数メートルの位置で陰陽玉たちはピタリと止まり、高速になったり低速になったり、円の回転方向を逆方向に変えたりと不規則で規則性などかけらもない動きで陰陽玉たちは絶えず形を変えていく。
霊夢が上で回転している陰陽玉に向けて手を掲げ、手のひらを上に向ける。
私はレーザーを撃とうとしたが、霊夢がスペルカードを使用したときに発生した余波を受けたことで、すでに私たちは魔力を使うことができなくなっていることに今頃気が付いた。
「…これで、あんたたちは終わりよ」
霊夢は言いながら上を見上げ、私たちに死刑を宣告するようにそのスペルカードを発動してしまう。
「『夢想天生』」
霊夢のその言葉を引き金にし、上で円運動を行っていた陰陽玉の円の回転速度が目に見えて上昇してゆく。
バラバラの十個の陰陽玉が高速で同じ場所を回転しているため、陰陽玉たちは一つの線となる。
キィィィィィィィィィィィッ……!!
それと同時にわずかだが、陰陽玉の放つ光も強くなっている気がする。
陰陽玉が回転する円の大きさが狭くなっていき、少しずつ陰陽玉が重なっていく。
最終的には一つの球体となった陰陽玉が私が使う閃光瓶のような、目を覆わないと何も見えなくなるぐらいに強烈な光を発する。
その光を受けると同時に、私の体の中にある魔力の流れが停止した。
目を閉じると、白色の強い光のせいで一時的に視覚情報が遮断されてしまう。だが、数秒後に私の視界はすぐに回復をはじめる。その間にも霊夢は私たちには危害を加えようとする様子は、今はないようだ。
こんな状態だというのに、私はずいぶんと落ち着いていた。。
横にいる小悪魔も私と同じように霊夢を睨んで一歩も引かない。霊夢は魔力の流れが停止している私たちに、最大まで強化して青白く光るお祓い棒をこちらに向けた。
たぶん明日も投稿すると思います。