もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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もう一つとか言って前作とは関係がありません。

割と好き勝手にやっています。

それでもいいという方は第六十四話をお楽しみください。


もう一つの東方鬼狂郷 第六十四話 逢うと遇う

 調子よく旧都から出てきたは良いが、すでに既に殺害したいという欲求が膨れ上がり、それを押さえつけているのがやっとの状態になっていた。私は動きを止めてうずくまって心を静める。

 誰がいるかわからず警戒して歩いていたわけだが、その緊張が生存本能や戦闘本能をくすぐられてしまい。また、前任者たちが顔をのぞかせ始めた。

「……く……そ…っ…!」

 殺戮や破壊の快楽、それはまるで麻薬のように強力に脳に作用し、頭ではわかっていても体が快楽を求めてうずいているのがわかる。

 あの快楽に身を任せろと体が理性に訴えかけてくる。

「…っ…!!」

 近くの木に頭を叩きつけ、押し寄せてくる快楽を紛らわせようとしたがそれだけでは不十分だったらしく、体の疼きは止まらないどころか疼きは大きくなり、前任者たちの声も大きくなっていく。

「…はぁ……はぁ……!」

 十数分かけて私は何とか快楽と前任者たちを鎮め、体を浮かせて低空飛行した。

 霊夢のいる場所、おそらく博麗神社だろう。あそこだけは探していない。

 しかし、場所がわかって博麗神社に行ったとして、霊夢に勝てるのだろうか。騒ぎを聞きつけてきた小悪魔たちの足を引っ張るか、前任者たちに支配された私がまとめて屠ってしまうだろう。

 どうやったて一度目覚めてしまった前任者たちを抑え込めるのかわからず、私は考えながらゆっくりと進んでいた時、不注意で隙だらけになっていた顔に横から強い衝撃を食らった。

「よう、また会ったな」

 誰かの声が聞こえる。

「が……っ……ぁ…!!?」

 小さな悲鳴が口から出た時、すでに私の体は高速で移動していて木に衝突していた。

「…っはぐ…っ……が…はっ…!!」

 奇襲されて殴られてしまったことにより、前任者たちを押さえ付けている枷が緩んでしまい。前任者たちを押さえることができないぐらいにまで膨れ上がってしまう。

 まずい、このままではさっきのように乗っ取られてしまう。

 すでに意識と体の半分を乗っ取られている私は嗤い始めていた。

「…あ?」

 笑われた萃香が苛立ちの声を上げて、倒れ込んでいる私に近づいてい来る。

「…お願い…だ…!…いまは……だめ……だ……やめ………ろ…!!」

 なんとか前任者たちを押さえ込めて力を振り絞って懇願するが、萃香は大笑いをして私に近づいてくる。

「駄目だ…だって?…これは戦闘だぞ?…はい、そうですかって引き下がると思ってんのか?……ずいぶんとお疲れのようだが……簡単に死んじまったらつまらんが、まあ、いいだろう」

 萃香が嗤いながら私に殺気を向け、ゆっくりと歩み寄ってくる。

「…そ……ういう……こと…じゃ…な……い……早く……に……げ………」

 四つん這いになって立ち上がろうとした私の足を萃香が踏んだ。

 骨が砕け、肉を突き破って白い骨が外部に露出し、筋肉が潰れて組織が破壊され、傷口から血が漏れだした。

「……っ!!」

 初めのうちは激しい激痛を感じた。だが、次第にそれが快楽へと変更されていき、私の頭の中で前任者たちの声がノイズのようで、鐘のように反響していき、頭の中を笑い声で埋め尽くしていく。

 私が笑っているのか、前任者たちが笑っているのか、それすらも私には判断ができないが、一つだけわかっていることがある。

 何かない限り、私にはもう前任者たちを押さえ付けることはできそうにない。ということだ。

 萃香が私を見て眉をひそめて何かおかしなものを見るような目をした後、ニヤリと笑い戦闘体制に移行していく。

 その時、脳を犯されてわけがわからなくなっている私が話し出した。

「次の一撃、一撃でお前を殺す」

 私の老若男女の声が入り混じっている声が響く。

「やれるもんなら、やってみな!」

 萃香が走り出し、私は食いちぎる勢いで指にかぶりついた。

 走り出した萃香が地面をわずかに陥没させながら一歩を踏み出し、同様にさらにもう一歩踏み出そうとした。しかし、足を踏み込むどころか前に出すことができなかった。なぜなら、その時にはすでに体の半分が吹き飛んでいた。

「…………は……?」

 状況が理解できないのか、萃香は受け身取ることもできずに地面に倒れ込み、自分の体が半分吹き飛んでいるのを眺めてようやく脳が理解したらしく、悲痛な絶叫をする。

「あぐああああああああああああああああっ!!?」

 萃香の絶叫が鼓膜を強く揺らし、破壊衝動を満たすことができた私は気分が良い。

 左半身が無くなった萃香に近づき、右腕を掴んで力任せにもいだ。

 グギッ!!

 と肩関節の骨が脱臼し、肉が伸びて限界に達すると皮膚が裂けて腕が千切れた。

 筋肉の繊維や千切れた血管が外部に露出して大量の血がそこから漏れ出し始める。

「あああああああああああああっ!!」

 萃香が抵抗しようとするが、すでに五体のうち頭と右足しかない萃香にはどうすることもできそうにはない。まあ、その右足も幽香に使った重力の魔法でひき肉になっているが。

 叫び散らしている萃香の口を掴んで黙らせ、グイッと持ち上げて無理やり口から魔力の吸収を始めた。

 食べ物は口から入れて胃から魔力として吸収されるため、口から口に魔力を移す方が効率がいいが、そんなのはどうでもいいため、私は構わずに萃香からの魔力の吸収を進める。

「んー!んーー!!!」

 口をさえられている萃香がどうにかしようと腹や背中の筋肉を使って体を揺らすが、それで私の拘束が解けるわけもなく、萃香は無駄にもがいている。

「や……やめ……!!」

 わずかにあいた隙間から萃香が叫ぶが、私はお構いなしに魔力を吸い続けた。

 魔力が尽きれば生命エネルギー、すなわち寿命を魔力に変換させて魔力を吸い続ける。

「私が……悪か……った……!!……やめ……て……く……」

 萃香の懇願がさらに私の気分を高揚させ、懇願を無視して私は萃香の寿命を魔力で返還させ続けた。

 傷を回復させるための魔力も私に吸い取られてしまったため、萃香はなすすべがなくなりってしまう。

「あはは……あはははははははははははははっ!!!」

 私は嗤いながら、ぐったりと動くことができなくなってきた萃香を眺める。

「…魔……理沙………!!……こ……れ以…上……吸わ……れ…たら……本…当に……死……!!」

 萃香の呟き声を聞きながら殺すためのラストスパートに入ろうとしたとき、萃香の口元から手が離れた。

「……?」

 ドサッと掴んでいた萃香が地面に落ちてしまう。

 魔力がなく、さらに手足もない萃香は逃げることもできずにその場に横たわっているため、何も考えずに萃香を掴もうとしたときに私の手首を誰かが掴んでいるのが見え、そこで萃香を放してしまったのではなく、放させられたということに気が付く。

 私が顔を上げると、複雑な表情をした小悪魔が私の手を掴んでいた。

 




たぶん明日も投稿すると思います。

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