もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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もう一つとか言って前作とは関係がありません。

割と好き勝手にやっています。

それでもいいという方は第五十話をお楽しみください。

記念すべき五十話目ですので、そのうち気が向いたら何かを投稿しようかなとか考えていますw


もう一つの東方鬼狂郷 第五十話 斬り合い

 

 ドオッ!!

 結界の壁の壁が内側からの圧力により膨れ上がり、パンパンの風船のように耐え切れずに破裂するかと思ったが、結界はすぐに小さくなっていって私が結界を張った時と同じ大きさに戻った。

「……befreiung(解除)」

 私が呟くと、よく見ないと分からないぐらい薄い色のついたガラスのような結界が消え去り、結界の中で起きた爆発で舞い上がった砂煙がゆっくりと風に吹かれて飛んでいく。

「…っ……かはっ…!」

 立っていた妖夢が地面に膝をつき、桜観剣を地面に突き立てて自分が倒れないように体を支えている。

「……」

 私は妖夢を睨みつけながら桜観剣の完全射程距離外から彼女に手を向けた。

「くっ……酷い勘違いね……私は、アリスのことは殺してなんかない…!」

 妖夢が叫んでくるが、私はそれに対して苛立ちしか感じられない。やったならやったでさっさと白状しろよ、と。

「…まず一つに、この幻想郷で剣なんかを使う奴はそうそういない、持っている奴はいるだろうが、魔法使いと戦ってさらに首を綺麗に切り落すほどの腕前と技術を持っているとなればさらに選択肢は狭まる」

 私はそう言いながら手先に魔力を集中させた。魔力が集まる手のひらが淡く光り出す。

「…言い逃れができると思うなよ!妖夢!」

 私が叫びながらレーザーを放とうとしたが、妖夢も何かをするつもりらしく私は足を止めて警戒した。

「…私は、嘘はついていない!!」

 妖夢がこちらに向かって桜観剣を構え、本当に地面の上を走っているのかと思うほどに滑るように素早い動きでこちらに向かって来た。

 妖夢がカードを取り出し、魔力を流すと淡く光り、段々と輝き始めたそれを私に向かって投げつけた。

 レーザーで撃ち落とそうとするが、スペルカードを破壊すれば妖夢のスペルカードが発動してしまう。

 私に撃ち落とさせてそのままスペルカードで私を倒す気なのだろう。

 私は後ろに下がって距離を開けようとするが、妖夢がさらに踏み込んでカードごと振り下ろした桜観剣で私をぶった切る。

「…ぐっ…!?……あぐっ……!!」

 とっさにガードに使った右腕が桜観剣に中途半端に骨まで切られ、支えの無くなった私の手がプラプラと揺れる。

「人符『現世斬』」

 妖夢が使ったスペルカードが分かった。

 確かこのスペルカードは、切る人物の横を一瞬で走り抜けながら切り裂くというものであったはずだ。

 妖夢の姿がブレて消え失せた。

「…なっ……!?」

 以前戦ったときは、辛うじて目で追える速度だった。しかし、今は全く見えなかったというのが本音である。

 妖夢達が異変を起こして以来私は戦ってはいなかったため、ここまで妖夢が強くなっているとは思わなかった。

 いつの間にか走り抜けていた妖夢に切られていた腹部の切り傷から血が流れ出し、服を赤く染める。

「…はぁ…はぁ……」

 かなり神経や体の機能を無理に使うらしく、妖夢が後ろで息を荒くしているのが聞こえる。

「…魔理沙……」

 後ろから近付いてきた妖夢が私の肩を掴んで呟いた。

「妖夢、まだ戦いは終わってないぞ」

 妖夢に切断されかけていた腕は既に治癒が終わっている。その手で拳を握り、後ろにいる妖夢に向けて拳を繰り出した。

「ぐ…ぇ……ぁ……っ!?」

 妖夢は理解できないだろう。なぜ傷がこんな異常なスピードで治癒するのかが。

 不意打ちに近いというのに妖夢は後ろに飛ぶことで、私のパンチの衝撃を逃した。だが、やはり不意打ちであったため、こちらにも手ごたえはあった。逃がせた衝撃は2~3割と言ったところだ。

 腹を押さえて動きの鈍くなった妖夢の腕を掴み、私は少し遠くにある気に向けて妖夢を投げ飛ばした。

 その場にしゃがみ、手ごろなまっすぐな棒を手に取り魔力を流す。

 霊夢の代々継がれてきているお祓い棒のような特殊な加工をしているわけではないが、魔力力が上がった私の魔力を流せばその分このただの棒きれもお祓い棒のように堅くなり、そう簡単には折れなくなるだろう。

 私が投げ飛ばした妖夢は前回と同じように木の幹に着地し、私に向かって跳躍する。

「らぁっ!!」

 こちらに飛んできた妖夢に、上から下に向けて魔力を流したただの棒切れを全力で振り下ろす。

 普通に考えて妖夢の得意分野は得物を使った斬り合い、殴り合いだ。正直私には分が悪すぎる。毎日鍛錬してきた妖夢と私とでは勝負にならないだろう。だが、それはいままでならばだ。

 ガギィィィッ!!

 私が振り下ろしたただの棒きれと妖夢が振り下ろした桜観剣が合わさると、火花を散らして鍔迫り合いとなる。

「…なっ…!?」

 霊夢が持っているお祓い棒でもない、魔力を流しただけのただの棒きれを切断することができず、妖夢は驚いて目を見開く。

 妖夢が剣に力を込め、火花を散らしながら私を押し返した。

 私は棒切れを振って妖夢が近寄れないように牽制をするが、妖夢は軽く顔を傾けて攻撃をかわす。

 わずかに焦りが生じ、大ぶりの一撃を妖夢に食らわせるが、剣の棟をうまく使われて受け流され、私が振り切るまでに妖夢は私を二回ほど腹と腕を切り付けた。

「ぐっ…!?」

 私は歯を食いしばりながら見様見真似で妖夢に棒切れを振り下ろす。

 ギギギ!

 火花と魔力の塵をまき散らしながら再度妖夢と鍔迫り合いとなり、まじかで妖夢とにらみ合いとなる。

 力を込め、押し返すと同時に私は棒切れで殴りかかった。

 妖夢の肩に棒を当てることができたが、私が殴ると同時に体勢を変えて受け流されてしまう。

「…くそっ…!」

 私は毒づきながらもう一度棒を振り回すが、妖夢は簡単に私の棒を弾き飛ばす。だが、私はあきらめずに何度も妖夢に攻撃を仕掛ける。

 何十回も何百回も見てきて目に焼き付いている霊夢の太刀筋を思い出しながら妖夢に棒切れを叩きこむ。

 霊夢ならどうするか、次どうやってどの角度から、どれだけ踏み込み、どのような軌道を描くかを私は想像しながら殴りかかる。

「うおおおおっ!!」

 無我夢中で棒を振るう。

「霊夢さんの見よう見まねでこれだけとは、あなたもなかなか筋は良いみたいね……でも、魔理沙が私にこれで挑んできたのは間違いよ」

 私は棒を持っていない方の腕で妖夢の斬撃をガードすると、難なく切断された腕が重力に従い、地面に落ちた。

 妖夢が振った桜観剣の軌道上、私の頬を少し切って傷口から血が流れ出す。

 だが、ようやく妖夢に一撃をおみますることができた。肉を切らせて骨を断つとはよく言ったものだ。

 私が振った棒がわき腹にめり込み、妖夢の体がくの字に折れ曲がって後方に吹っ飛んでいく。

「…はぁ……はぁ…ようやく…一撃……!」

 私が言いながら腹を押さえて近くの木を支えにして、起き上がろうとしている妖夢に向けて私は走りだそうとしたとき、何かが後方から叫び声をあげながら現れる。

「てめぇ魔理沙ぁぁっ!…あそこでずっと待ってた私を置いて何してやがるう!!」

 萃香が後方から私に飛び掛かって来た。

「……やかましい」

 私は冷ややかに呟き、振り返りながら魔力で強化した棒を萃香の顔に叩き込んで吹き飛ばした。

 木の枝や草に隠れて萃香の姿が見えなくなったころ、肩から妖夢に切断された切断面に触れると大量の血が流れていて血が手にこびりついた。

 手にこびりついた血を口に含み、唾液と一緒に飲み込んだ。

 そのころになると妖夢も腹部を押さえながら起き上がってしまった。

 私は舌打ちをしながら息を整えて妖夢に向かって歩き出し。妖夢は私に向かって小走りで近づいてくる。

「「くらぇ!」」

 同時に桜観剣と棒を振り、それらが合わさった瞬間火花と魔力の塵があたりにまき散らされた。

 




たぶん明日も投稿すると思います。

その時はよろしくお願いします。

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