割と好き勝手にやっています。
それでも良いという方は第四十六話をお楽しみください。
最近サブタイトルに困ってます。
「……」
これまでにない気まずい雰囲気が私たちの間に流れている。
上の方向に意識を向けると私たちが暴れたことにより、鬼たちが何だか忙しそうに走り回っているのが聞こえてきている。
「……」
いちいち相手にするのも面倒くさい。急ぐか。
少し早歩きで歩き出し、しばらくの間一つ一つの牢屋を確認しながら私たちは進むが、レミリアの姿は見られない。
「…」
それどころか永琳の姿も見当たらない。
「…小悪魔、永琳の居場所は知らないか?」
私が聞くと、小悪魔が少しの間をあけて呟いた。
「…わかりません。私も気を失っているときにこの場所に連れこまれたので……」
小悪魔が周りを見回した。
「だよな……そう簡単にわかるわけがないか…」
私はそう言いながら次の牢屋を確認すると、聖が倒れているのが見えた。
「……聖…?」
私が足を止めると、小悪魔が私の後ろに立ち止まり、牢屋の中を覗き込んだ。
「…聖さん!」
牢屋の中にいる聖に小悪魔が声をかけるが、反応する様子はない。
でも、特に外傷はなさそうだ。
頭頂部やその辺りは紫色で段々と茶色と黄色が混じったような色の髪が臀部の位置まであり、白と黒と腕には白いなわのようなものが巻き付いている服だ。
「…魔理沙さんは外で周りを見張っててもらってもいいですか…?」
小悪魔が言いながら牢屋の扉を押した。
聖が敵だった時、私は近いと役立たずに成り下がるため、離れた位置にいろということだろう。
「…おう」
私が言い、前方と後方にも意識を向けながら私は壁に背を預けて牢屋の中に入っていく小悪魔を眺めた。
倒れている聖に近づいてしゃがみ、小悪魔は上向けて倒れている聖の肩を掴み、軽く揺らしながら声をかける。
「…聖さん、大丈夫ですか…?聖さん?」
聖が揺らされると眉間にしわを作り、目を少し開けた。
その瞳の色は正常な色を示しているが、霊夢や霖之助の件がある。何かスイッチが入ると正体を現すタイプもいるのだろう。だから油断はできない。
「……小悪魔…気を付けろ」
私が言うと、手振りで了解と伝えてくる。
「…頭が……痛い…ここは……?」
頭を押さえながら聖は体を起こし、近くにいる小悪魔に聞いた。
「…天狗の屋敷の中です……正確にはそれの地下ですが……」
「…そう……ありがとう」
聖がそう言いながらゆっくりと立ち上がる。
「…聖……お前は何か覚えていないか…?」
私が言うと、聖が牢屋の外にいる私を見た。
「…あら……魔理沙……ずいぶんと様子が変わったわね…容姿も、雰囲気も…」
「ああ、そうかよ」
私は言いながら周りの音の確認をした。誰も接近していないことを確認する。
「…荒んだ顔をしてるわよ」
「…聖、質問に答えろ」
聖の言い方から、私はずいぶんと酷い顔をしているらしい。
「…さあね……私は確か村に向かったはずなんだけど……思い出せないのよ…」
思い出すようなしぐさをしながら聖は呟く。
「……それが通じるとでも…?……いつもは普通なのに何かがスイッチとなり、おかしくなる奴もいるからな……何も覚えていない…そういうタイプもいるのかもしれない」
「…大丈夫…私は光を見ていないことは確かよ」
聖がそこは譲れないと胸を張りながら言った。
「………そうか…じゃあ、何のために村に向かったんだ?」
「そうねぇ。村の周辺から光が発生したのはわかるわよね?」
「…ああ、聞いた限りでは」
「萃香が村にいて、何かやばいことをすると聞いたから止めに行ったのよ」
「…なるほどね。もう一ついいか?」
私はもう一つ聞きたいことがあり、聖に質問をすることにした。
「なに?」
「…お前は異変があるってわかっていたのはなぜだ?」
私の質問に聖はすぐに返答を返してくる。
「…うちの寺にいる子が教えてくれたのよ」
「…ちなみにそれは誰だ?」
「ぬえよ、森のなかでコソコソ話す正邪と勇儀をの姿を見たそうよ、気になって話を聞いてみたら大規模で幻想郷全体を巻き込むレベルの異変をするっていうのを聞いたらしくてね、萃香が村にいて準備を始めてるらしいって聞いたから急いで向かったのよね」
聖が言いながら小悪魔と一緒に牢屋から出てきた。
その話を聞いてなぜ霊夢に言わなかったんだという言葉が喉まで出かけたが、結果だけを聞いてみれば間違いだった。でも、その時の選択が正しいと思って行動した。結果が間違っていたからと言って攻める気にはならない。
「村に…萃香はいたのか?」
「ええ、いたわ」
私が聞くと聖はうなづきながら体をほぐした。
「…そうか、じゃあ……聖は村に行き、光が発生して……そこから先が記憶がなくて…何もわからない…そういう事だな?」
私が聞くと、聖がうなづく。
「…そうなのよ、そのあとどこに行ったのか全く分からないのよね……こう、モヤがかかった感じで…」
「…でも、それなら説明がつく……。…聖…ショックかもしれないが、命蓮寺は潰された……今はわからんが生きている奴は一人しかないかった」
私が言うと聖は目を見開き、ふらふらと私の方向に歩み寄ってきて呟く。
「………本当なの…!?…あの子たちが……死んだって……本当なの!?」
当たり前だが相当ショックだったのだろう。聖がすごい剣幕で私に迫り、両肩を掴んで私を覗き込んでくる。
「…ああ、生きていたのは……響子だけだったよ」
私が言うと、聖が目に涙を溜めて呟いた。
「…そう……でも…響子だけでも生きていてくれてよかった……」
私はそれを聞きながら考え込む、異変がおこることを知ったぬえが聖に話し、聖は村に向かった。
村に行ってからの聖の記憶はない。記憶がない部分で萃香に何かをされ、ぬえが異変の内容を知ってしまったことがばれてしまい。萃香が命蓮寺に向かった。
細かい部分まで異変の内容場流出すると困るため、萃香がたとえ広まっていても情報が命蓮寺にしかないと考えて、皆殺しにしたと考えられる。
響子の話ではほとんどの命蓮寺の奴らは光を見てしまったと言っていた。それでも殺したのは不安分子を排除したかったからだろう。
ほかの可能性としては、聖がウソをついているか、響子がウソをついているか。のどちらしかない。限りなくゼロに近い可能性ではあるが、
「……。まあいい……聖はこれからどうするんだ…?」
私が聞くと、目の座った聖は静かに言った。
「…巻物も取り上げられてしまったみたいだから、それを探してから萃香を探しましょうかしら」
聖が言いながら周りを見回した。
「…地下からの出口はたぶん向こうの方向だ」
私は今来た道を指さして言うと、聖はそっちに向けて歩き始める。
「…聖」
私が十メートルほど離れた聖に声をかけた。
「…?…なに?」
聖が振り返り、私を見る。
「…気を付けていけ」
私が言うと、聖がクスッと笑った。
「それを私に言うのかしら」
聖は幻想郷でも屈指の実力者だ。笑ってしまうのもわかる。だが、この異変はいつもとは違う。
「…いつでも危険な場所にいるならば、用心に越したことはないぜ」
私が言うと聖はそれもそうね。と微笑み、歩いて行った。
「……」
私たちも歩き出してしばらくすると、牢屋が並ぶ廊下の一番奥についた。階段があり、さらに奥に降りることができるようになっている。
今来たところとは違い、作られてまだ新しい通路となっている。
風化で少し丸みを帯びていたさっきの岩とは違う。ゴツゴツした質感。
一定の間隔を置いて吊り下げられた電球が頼りなく暗い階段を照らしている。
「…行ってみるか?」
私が後ろにいる小悪魔に聞くと、小悪魔はうなづく。
私が始めに階段を降り始めると、すぐに暗くなり頼りない電球の光だけが頼りとなる。暗くて狭くて息苦しささえも感じるほどの密閉された空間。早くこの場所から出たいものだ。だが、地下を出るのは全て探索してからだ。
誰がいるかもわからない。できるだけ音を立てないように歩く。
しばらく降りると、
カン……カン……
岩と乾いた木が合わさる音が響いてくる。
「…!!」
この場所は一本道で隠れることのできる場所ややり過ごすことのできる場所などない。絶対に見つかってしまう。
「くそっ…!」
私が呟くと、階段の曲がりかどから萃香が顔を見せた。
諸事情により明後日に投稿します。申し訳ございません。
その時はよろしくお願いします。