もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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もう一つとか言って前作とは関係がありません。

割と好き勝手にやっています。

それでも良いという方は第四十五話をお楽しみください。


もう一つの東方鬼狂郷 第四十五話 吉とでるか凶と出るか

 

 正邪に挑発すると、顔に青筋を立てた正邪が私に向かって跳躍してくる。

 能力を使っているのか、正邪の力を強く感じる。

「…馬鹿は、扱いやすくて助かる」

 私は指を強く噛み、出血させた。

 小悪魔は私に何かを叫ぶ声が聞こえてくる。その声を意識から除外していたため、何を言ってるかは聞こえなかったが、私は向かってくる正邪に攻撃を開始した。

 私が放ったレーザーを正邪は地霊殿に行く前に戦ったときのように、掻き消そうとするがレーザーに触れるとその腕や一部の胸部が魔力で強化されているのにもかかわらず、蒸発した。

「ぎぁ……あああぁぁぁっ!!?」

 正邪の酷くやかましく耳障りな絶叫が、少し広いこの廊下に響き渡る。

「…うるさいな」

 私は歩きながら床に倒れている正邪の元に歩み寄る。

「……なあ、正邪」

 泣き叫ぶ正邪の元に歩み寄った私はしゃがみながら正邪に問いかける。

「…な……なんだよ…!!」

 胸に穴が開いて苦しそうに胸を押さえながら正邪は叫ぶ。

「…情報をよこせ」

「…誰…が……お前……に…!?」

 聞くと、正邪が返答してくるため、返答中に私は正邪の首を握りつぶす勢いで握る。

「がっ……!?」

「…イエスか、ノーで答えろ……返答次第では助けてやらないこともない」

 私がそう伝えると、正邪が息をのむ。

「…!」

「…自分の命と…作戦の遂行……どちらを天秤にかけるか……せいぜい考えろ…五秒以内だ」

 私が目を細めると、正邪は顔をひきつらせた。

「………五秒」

 私が言い始めると、正邪が悩みだす。どちらがいいか葛藤しているのだろう。

「………本当に……私を…助けてくれるのか…?」

 程なくして正邪が言った。

「…ああ、助けてやるよ……情報をくれるならな」

 私がそう言うと正邪はわかったと呟く。

「…じゃあ、とりあえず…この場所はどこなんだ?」

 私が言うと正邪が咳き込みながら小さな声で話し始める。

「ここは天狗の屋敷だ………今は地下の監獄にいるんだ……」

「…ふむ。…次はレミリアやさとりたちの居場所だ……指定した場所にお前もつれていく、嘘だったらその場で殺す」

 正邪の首から手を放し胸ぐらをつかんで持ち上げた。

「…う……ぐっ…!」

 正邪が痛みに呻いた。

「…道案内しろ」

 私が言うと正邪が呟く。

「………紅魔館の奴らはこの広い地下の監獄のどこかにいるはずだ……でも、どこかはわからない……地下に監禁してあるとしか聞いてない……それに、さとりたちはこの場所にはいない…」

「…早く治療してほしくて嘘をついてるんじゃあないだろうな…?」

 壁に正邪を押しつけて私は呟いた。

「…本当だよ…!嘘じゃない!」

 正邪が涙目で訴えてくる。

「……じゃあ、どこにいるんだ」

 私が目を細めて睨みつけると、怯え切った正邪が震えた声で話始める。

「…あ……あいつらは……地霊殿に引き続き監禁されてる…!」

「……。じゃあ、この異変の黒幕は誰だ……いるだろう?…そこに転がってる勇儀と酒呑童子の伊吹萃香…それとお前にあと一人……」

「…そ……それは…」

 正邪が口ごもるが私が魔力を込めた手のひらを向けると話始める。

「…わ……わからないんだ!」

 正邪が叫んだ。

 私は正邪の言葉を聞きながら唇を歯で噛みつき、出血させた。

「…お前、状況わかってんのか?……そんなウソが通じると思ってんのか?」

 私は言いながら勇儀が歩いてきていた方向の奥の曲がり角から数人の鬼がまとまって走ってくるのが見えた。巨大なレーザーで薙ぎ払い、一人残らず蒸発させる。

 悲鳴を上げる暇もなく、鬼たちはその生涯に幕と閉じた。

「…嘘じゃない!!…本当だよ!……酒吞童子を通して最低限なものしか伝えられてなかったんだ!……それに、私たちだって一枚岩ってわけじゃない!異変が始まった時に何度か集まったこともあるけど……来なかった奴もいる…!…だから知らないんだ!」

 精一杯に叫ぶ正邪に少し間をあけてから質問を投げかける。

「…そうか、じゃあ……とりあえずお前の言うことを信じよう」

 私が正邪から手を放すと、正邪はせき込みながら座り込む。

「…だがな、お前には死んでもらう」

「……なっ…!?…約束が違うぞ!」

 叫ぶ正邪に手のひらを向け、レーザーを問答無用で放つ。

 閃光瓶のような眩しい光が発生し、正邪にレーザーが突き進む。

「うああああああああああああああっ!!」

 正邪が絶叫した。

「………。…どういうつもりだ…?…小悪魔」

 隣に立つ小悪魔は私の手を掴んで正邪に向けていた手のひらを別の方向に変えている。

「…魔理沙さんこそどういうつもりですか、話したら生かしてやるって約束したくせに殺そうとするなんて!」

「…いや、あるね……なぜなら…こいつは自分のためなら仲間も売るような奴だ。そんな奴が殺すと言われてぺらぺら話し出さないはずがないだろ……何かを隠している」

 私は怯えている正邪に目を向けた。

「でも、もう一度聞けばいいだけでしょう!?」

「…だめだ、これは一度のチャンスなんだよ…嘘をついていると分かった時点でこいつから得られた情報の信用性はゼロだ……ということは、こいつは私たちに嘘をついてこの場を乗り切り、あとでやり返そう、そういう事にもつながるんだよ」

「………!」

 小悪魔は怒っているのか、私を睨んだ。

「…危険分子は早めに排除しておきたいところなんだがな…」

 怯え切っている正邪を見下ろしながら私は呟き、それから視線を小悪魔に向けた。

「……こいつはまあいいや、これが吉と出るか凶と出るか」

 手を下げて私は言う。

「……」

「…とりあえず、私達以外につかまってるやつがいるかもしれないからな…探してみることにするか」

 私は言いながら薄暗い廊下を奥に向けて歩き出した。

「……」

 




明日は投稿できると思います。

その時はよろしくお願いします。

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