もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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もう一つとか言って前作とは関係がありません。

割と好き勝手にやっています。

それでも良いという方は第四十話をお楽しみください。


もう一つの東方鬼狂郷 第四十話 休息

「……っ…」

 敵か味方かわからないこいしに私たちは少しだけ後ずさった。

 こいしの能力は無意識を操る程度の能力だ。こいしがその気になれば私たちが彼女を認識する前に、こいしは私たちを殺すことなど容易だろう。

「…私に……警戒してるわね…?」

 私たちに笑顔を見せていたこいしはいつもの表情に戻り、話し出す。

「…ああ、地霊殿も今回の異変にかかわってるんじゃないかと思っててな…」

「…ひどい、せっかく助けてあげたのに!」

 こいしが私の言葉を聞いて、怒ったと手をぶんぶんと振って表した。

「…そこのところは感謝するが……正直…まだお前が敵なのか味方なのかがわからないんだ」

 私がそう伝えるとこいしはうーんと唸ってから言った。

「お姉ちゃんに連れてきてって頼まれたから、私は来てほしいんだけどなぁ…どうする?」

 困ったなー。とこいしは呟きながら私たちの返答を待っている。

「…どうする?」

 これは私一人が決められることではない。後ろや横にいる三人の意見を聞いてみることにした。

「…どうすると言われても……ついていくしかないんじゃないですか…?」

 小悪魔はそう言いながらこいしをちらりと眺める。

「…まあ、そうよね……敵でも味方でも…いくことには変わりないわけだし」

 永琳がそう言いながらこいしと地霊殿に向かうことに賛成する。

「…大妖精もそれでいいか?」

 私が聞くと、大妖精はうなづく。

「よし………こいし…とりあえず地霊殿についていくぜ」

 私が言うと来てくれてよかったー。とこいしが言いながら私たちの先導を始めた。

「…ああ……それと、フランちゃんは置いて行ってもらうわ……地霊殿に招いて中から壊されたら私たちも困るからね」

「……しかし…妹様は…」

 そう呟いた小悪魔にこいしが振り返って近づきながら言う。

「…あなたの気持ちはわからないでもないわ。…私だってお友達だもん。でも、それで何かがあれば傷つくのは私の家族。こっちの事情も考えてほしいわ」

 こいしがフランドールを抱える小悪魔に近づき、気絶しているフランドールの頬に触れて言った。

「……。…すみません……わかりました」

 小悪魔が言いながら手短な家に入る。ベットなどは置かれていない質素な部屋で誰も住んではいない空き家。その部屋の壁にフランドールを壁にもたれるようにして寝かせた。

「…すみません…妹様…」

 小悪魔はフランドールにそう呟くと部屋から出てくる。

「…お待たせしました…ではいきましょう」

 小悪魔がこいしにいうと、こいしはさっきのように先導を始めた。

「……すまん……小悪魔、肩を貸してもらえると助かる…」

 私が言うと小悪魔が私に肩を貸してくれ、私は動きが遅くてもつれる足を一生懸命に動かして引きずるように歩き出す。

 こいしの案内に従って旧都の大通りを通って地霊殿に歩いて向かう。

 しばらく歩くと、鉄で作られた柵のような門が現れる。

「……」

 こいしの姿が見えると、門番を言い渡されたペットたちが門を押しあけた。鉄の擦れるむず痒い嫌な音を響かせながら扉を開く。

「…お姉ちゃんが早く会いたがってたから、早くいかないとね」

 こいしが言いながら歩き出し、私たちも中に入るとペットが門を閉めた。

 屋敷の本館の扉を開き、広い玄関に赤いカーペットが引かれている廊下にでた。

 そこから、別の廊下にでてカーペットの上をこいしの後を追って二人三脚のようにしてしばらくの間ついて行くと、こいしがノックもせずに豪華そうに表面が滑らかに仕上げられていて装飾がある木製の扉を勢いよく開ける。

「お姉ちゃーん!つれてきたよ!」

 こいしに続いて案内された部屋に入ると、一番奥にデスクがあってそれの椅子に腰かけているさとりが何かを書いていたのか、机の上に置かれていた紙から顔を上げた。

 いつものように少し癖のある薄紫色の髪の毛にハートの形をした飾りのつけられたヘアバンドをし、フリルのついた水色の洋服を着ている。胸の前にはこいしと同じように赤色のサードアイが漂っている。

「……!」

 私の容姿を見た霊烏路空やパルスィなんかが警戒を始めた。

「…あんた、本当に霧雨魔理沙か?」

 パルスィが私を睨みつけながら言う。

「ああ、まあ……この異変でいろいろと私にもあったんだよ。………で、さとりは私が聞きたいことはわかってるよな?」

 私が聞くとさとりは真紅のサードアイの開けられた瞳を閉じて、自身の目を開いた。

「ええ」

 さとりが呟きながら椅子から立ち上がるとさらに言った。

「……とりあえず、魔理沙も魔力不足で動けないようだし、食事を用意してくれるかしら?」

 外の廊下にいるペットの一人にそうさとりが伝えると、そのペットは食堂に向けて小走りで向かった。

「…私だけじゃなくて、全員分を頼む」

 私がさとりが無表情のまま呟く。

「……もちろん。…ちょうど夕食の時間だからね」

 さとりが言い、私たちは食堂に向かうことにした。

 私の家の数倍も広い食道に案内されると、十メートルはある白いテーブルクロスのかかった楕円形の机に、たくさんの食べ物がさらに盛り付けられて並べられている。

「わあっ…すごい!」

 大妖精が目を輝かせながら机に並べられている食べ物を眺めている。

「……」

 一人一人の食事ではなく、バイキングのように大きな皿にあらかじめ食べ物が盛り付けられていて、自分で取って食べる形式ということは、食べ物に毒は入っていないということなのだろう。

「……適当に座っていいわ」

 さとりに言われ、私たちは椅子に座った。続けてさとりのペットたちも椅子に座って食事の準備が完了し、私は帽子を脱いで椅子にひっかけて食事を開始することにした。

 




明日は投稿できるかわからないです。

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