割と好き勝手にやっています。
駄文です
それでも良いという方は第三十九話をお楽しみください。
「…………」
軽く妹様からは二十メートルは離れているはずなのに、妹様が手に持つレーヴァテインの熱をひしひしと感じる。
とんでもないほどの熱に私たちは顔をゆがめた。
レーヴァテインの炎が天井に達していて、天井の岩石が熱で赤く染まり溶解を始める。
「せぇの!!」
妹様はそのレーヴァテインを私たちに向かって振り下ろす。
「……っ!」
私たちはとっくに移動を開始していたが、妹様のスペルカードの広すぎる射程距離に、私の体がレーヴァテインに包み込まれる。
「ああああああああああああっ!!?」
魔力を使い全力で体を防御したが、需要と供給が間に合わず簡単に体を覆った魔力がはがされ、私は撃ち落とされた。ほぼ一瞬でレーヴァテインの中を通り抜けたというのにこの威力だ、私たちとはわけが違う。
撃ち落とされた私は地面とたいした距離が離れていなくても、受け身を取ることができずに私は強い衝撃と共に地面に落ちた。
通りの多少整備されている道のタイルを砕きながら私は地面を転がり、しばらくしてようやく止まる。
燃え移った炎は落ちて地面を転がっていた時にある程度消えてくれたおかげで、私は残り火を手ではたき消すだけで済んだ。
「…げほっ……」
少し気管が炎の熱で開けただれている。レーヴァテインを食らた時に息を少しだけ吸ってしまったのだ。
「……っ」
土で汚れている体を持ち上げようとしたとき、後ろから弾幕などとは比べ物にならないほどのオレンジ色の光が私を照らす。
「くっ…!!?」
私が振り向いた時、永琳さんの矢が妹様に当たるが妹様は気にも留めていない。
このままでは殺される。
「…っ…!」
私は妹様の方向を見て後ずさった時、妹様は巨大なレーヴァテインを振り上げた。
反射的に目をギュッと閉じた時に、声が聞こえた。
「小悪魔!避けろ!」
空中で箒を乗り捨てて魔理沙さんが現れる。
「マスタースパーク」
魔理沙さんの持つミニ八卦炉が起動し、中央の白と黒色のマガ玉を合わせたような模様の上に光り輝く球が現れる。
魔理沙さんは妹様のスペルカードを見てこっちに駆けつけてくれたのだ。
私は魔理沙さんの言う通りにマスタースパークの射線上から逃れるように走り出す。
魔理沙さんが持つこちらに向けているミニ八卦炉の前で球体が輝いていたが、こちらに向かって膨れ上がり、巨大なレーザーとなってこちらに突き進んでくる。
この場所に到達するのにタイミングとしては私が射線上から出るか出られないかのギリギリのタイミングだ。
「くっ…!」
ボロボロの体では全力で走るのはかなりきつい。だが、あと一歩で射線上から逃れることができるというところで、妹様が私の髪の毛を掴んだ。
道ずれにするつもりなのか、妹様は私を掴んでい向かってくるマスタースパークの方向に私を盾にする形で向けた。
「なっ…!?」
魔理沙さんの驚愕する声が聞こえてくる。
私は掴まれている妹様の手を放させようとするが、妹様の手から逃れることができる気が全くしない。
でも、私は護身術で妹様の手を人間の姿をしている以上は絶対に手を放してしまう技を使い、ようやく手を放させることができた。しかし、
逃げようとしたが、すでにマスタースパークは目の前、まぶしい光に耐え切れずに私は目を閉じた。
二人がマスタースパークに包まれてから数十秒後。
ようやく私がつぎ込んだ魔力分の働きをしたミニ八卦炉が高温の気体を出しながら、自身の冷却を開始する。
「…こ……小悪魔……!」
ほとんどの魔力を使い果たした私は足から力が抜け、倒れ込んでしまう。
だが、小悪魔とフランドールがいた場所に這いずって向かうと、マスタースパークの影響で一部の地面が融解していて触れると手がかなりの高温に焼けた。
「っ…!」
マスタースパークで焼けて溶けている地面が一直線に旧都の端まで続いているが、すぐ近くに人型の黒く炭化した物体が立っているのが見えた。
その身長からフランドールだと特定できた。魔力の防御が足りなかったのだろう。
周りに小悪魔の姿は見えない。私がフランドールと一緒に小悪魔を消し飛ばしてしまったのかと血の気が引いてくる。
「…嘘だろ……」
私が呟いた時、
「……魔理沙さん…私はこっちですよ…」
小悪魔の声が私からは死角の位置からして、大妖精と一緒に現れた。
「………無事でよかった……」
私は安堵で体から力が抜けてしまい、ペタリと地面に座り込む。
「…かなりギリギリでしたよ……大妖精さんがいなければ……私は消し飛ばされてましたよ」
小悪魔が言いながら私に近づいてくる。
あの瞬間、大妖精が小悪魔を瞬間移動で助けてくれたのか、見た目以上に勇気のあるやつだ。
「…魔理沙さん……それと、あんまり喜んでいる暇はなさそうですよ…」
小悪魔が私に肩を貸して立たせてくれながら私に言った。
「……え…?」
私が視線をフランドールの方向に向けると、もうすでにほとんどの傷が再生を完了している姿が目に入る。
「…くっそ……これでもダメなのかよ…!」
私は歯を食いしばり、残り少ない魔力を使いフランドールにレーザーを撃とうとすると、小悪魔が手を掴んできて下げさせられる。
「…小悪魔…!?…何するんだ…!?」
私が小悪魔の方向に顔を向けた後、フランドールの方向に顔を向けると違和感に気が付く。
いつもならばもうすでに襲ってきていてもおかしくはない。だが、フランドールは襲ってこずにずっと立ち尽くしている。
「……?」
大妖精がずっとボーっと立ち尽くしたままのフランドールのもとに警戒して用心深く近づくと、フランドールの目の前で手を振った。
しかし、フランドールの瞳は手の動きに影響されずに、ずっと虚空を見つめている。さらに霊夢達と同じように怪しく光っていた目のオーラがフランドールの瞳から消えていた。つまり、気絶しているのだ。
フランドールの体から力が抜け、地面に崩れ落ちる。
大妖精は慌てて倒れそうになったフランドールのことを手で掴んで支えた。
「……フランさん……気絶してるみたいです…」
眠るようにして気絶しているフランドールを覗き込みながら大妖精が言う。
「……マスタースパークではありませんでしたよね…?」
小悪魔が私に話しかけてきた。
「…ああ……でも、いったい誰がやったんだ?」
「……わかりません。切り傷などの外傷は特にありませんよ?」
大妖精がそう言いながら気絶してるフランドールをこちらに連れてきた。
「…魔理沙さんは…妹様が攻撃されたのを見ましたか?」
小悪魔が肩を貸している私に語り掛けてきた。
あのとき、私は特におかしい人影も攻撃も見てはいない。フランドールが何者かの攻撃を受けたという事だけが確かではある。
うーん。と私が唸っていると近くに永琳が着地して近づいてきた。
「…どうやら、作戦はうまくいったみたいね」
永琳がそう言いながら気絶しているフランドールを覗き込んだ。本当に気絶しているのか確認しているのだろう。
「…まあ、マスタースパークを当たる作戦までは成功した。だが、今は別の問題が浮上してな……第三者から攻撃を受けたところだ……周りを警戒した方がいいかもしれないぜ」
私が言うと、素早い動きでお互いに背中を向けあうようして周りに注意を向けた。
「……その人は敵なんでしょうか……」
「…わからんな……正気なら味方かもしれないが、異変を起こした連中が邪魔になったから攻撃したのかもしれない」
目の前で見ていた私たちや感の鋭いフランドールが全く気付かなかった。だから、私の予想ではこうやって周りを警戒しても無駄だろう。
私がそう思っていると私の視線の先にいつの間にか少女が立っていた。
歩いてきたところを見たわけでも、隠れていたところから出てきたわけでもない。いきなりそこに現れたのだ。
「……こいし…」
黄色い服に黄色のリボンのついた黒い帽子をかぶり、胸の前には瞳を閉じたサードアイが浮遊している。
銀髪の髪の間から見える瞳の色は緑色で、赤いオーラは見えない。
こいしは自分の名前が呼ばれると、ニコッとはにかんで私に笑顔を見せた。
明日は投稿できると思います。