もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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もう一つとか言って前作とは関係がありません。

割と好き勝手にやっています。

駄文です。

それでも良いという方は第三十七話をお楽しみください。


もう一つの東方鬼狂郷 第三十七話 作戦開始

 永琳がフランからは死角の位置に移動して矢を放つ。

 だが、フランドールが空を飛ぶには非効率的過ぎる翼を広げて上昇したことにより矢は空を切る。

 私はそのうちに右手の親指をかみ切り、溢れてきた血を舐めて飲み込んだ。血を飲み込むとすぐに腕が修復され始める。

「小悪魔も早く回復しないと!」

 私が再度血の力で治った指をかみ切ろうとしたとき、フランドールが血の匂いにでも反応したのか、ものすごい勢いでこちらに向かってくる。

 私は口から手を放し、バックに手を突っ込んでとあるものを取り出して上に投げた。

 それは鏡、しかし、鏡と言ってもただの鏡ではない。特殊加工をしてあるもので小さな何枚もの鏡を少しずつ違う角度で接合してある特殊な鏡だ。

 私はそれに向けて最大出力でレーザーを放った。

 いつものように光の魔法が載せてあるレーザーは光の性質を強く受け継いでいて、太いレーザーがそれぞれの小さな鏡に反射して大量の小さなレーザーが鏡からフランドールの方向に向けて発射される。

 フランドールがいた場所は大量の小さな小石を投げつけたように隙間などがないほどにレーザーで埋め尽くされている。

 さらに、投げたことにより常にゆっくりと回転する鏡によってレーザーは不規則に撃ち抜き、焼け焦がす位置を変える。

 これに当たらないやつはそうそういないだろう。紅白巫女が一人いるが、

 私はレーザーを撃つのをやめ、落ちてきた鏡をキャッチせずに地面に落とした。これをやった後は鏡はレーザーに乗せた光の魔法の光エネルギーで熱せられて熱を持つからだ。

 フランがいた位置に視線を向けると、あまりの高温に陽炎が出ていて見つけづらい。

「……!」

 だが、すぐに見つけた。傷を全く負っていないフランドールが揺らめく陽炎の中、立ち上がる。

「…やはり一撃一撃が軽いと話にならないか」

 わかってはいたが、こうも全く効果がないとなると、本当にお手上げだ。

「…どうするよ……圧倒的火力不足だぜ」

 私は言いながらバックの中を確認する。私の視線の先にはミニ八卦炉が鞄の一番そこでほかのマジックアイテムに埋もれている。

「……実際のところ、火力がないわけじゃない…」

 私は言いながらフランドールに向けてレーザーを撃ち出す。

「…じゃあ…それをやるしかないじゃないですか」

 小悪魔が言いながら弾幕を避けるフランドールに向けて弾幕を撃ち、少し下がる。

「…それがな、いくつか問題が浮上する…」

 私は言いながらフランドールが投げたレーヴァテインを身を投げ出して転がってかわした。

「…魔理沙さん!問題って何ですか!?」

 小悪魔は少し横に動いてかわしていたらしく、私とは違いすぐに攻撃に転じて私が体勢を立て直す時間稼ぎをしてくれる。

「…一つは今のフランドールに効果が望めるのかわからない。こればっかりはやってみないと分からないが、再生能力の方が高い可能性がある」

 私も矢を放つ永琳や小悪魔に続いてレーザーを出力を最大で放った。

「…もう一つは、これをやれば私の魔力をほぼすべて使い切る……もし外したり、当たっても効果がなければ、その時点で私は終わりだ………どうする?」

 私が聞くと、小悪魔はこちらをちらりと見てから言った。

「……。やるのは魔理沙さんです……魔理沙さんが作戦をやるかやらないかを決めてください!」

 小悪魔が言いながら接近してきたフランドールを迎え撃つ。

 フランドールのレーヴァテインを受け流し、すぐに反撃に転じる。

 だが、目に見えて小悪魔の動きが悪くなっていくのがわかる。さっきフランドールにありとあらゆるものを破壊する程度の能力で何かを壊された。臓器系の物を壊されたのだろうか。

 私はすぐに小悪魔の方に走り出すが、フランドールの膝蹴りが小悪魔の腹にめり込むと、小悪魔は顔を苦痛にゆがめてそれだけで地面に崩れ落ちてしまう。

「小悪魔!」

 それ以上の追撃をされないように私はフランドールに飛び蹴りをかました。

 全体重を乗せてさらに魔力で強化した私の蹴りを受けてそのまま吹っ飛んでいくと思ったが、空中で宙返りをして空中でフランドールは静止する。

「…大丈夫か!?」

 私は起き上がろうとした小悪魔に手を貸そうと手を掴んだ。だが、掴んだ小悪魔の手を放してそれどころか突き飛ばした。

「なっ…!?」

 小悪魔が驚いた表情をして後ろに尻もちを着くが、その位置ならフランドールからは家の壁で死角になっていて安全だろう。

「ギュッとして」

 フランドールが私が思った通り、ゆっくりとこちらに向けた手を握りしめた。

「どっかーん」

 フランドールが私に笑顔を向けながら手を完全に握ると、私の右腕が大量の血液、筋肉片、砕けた骨片、皮を四散して周りにまき散らした。

「ああああああああっ…!!?……ぐぅ……ぁぁっ!!」

 右腕の傷口を押さえながら私は膝を地面についてしまう。逃げなければさらに追撃を受けてしまうというのに、フランドールにわざわざその身をさらしてしまう。

「…魔理沙さん!!」

 私が突き飛ばした時の腹部の鈍痛が酷いのか小悪魔がうずくまりながらも、手をこちらに延ばしてくる。

 私はその手に向けて無意識のうちに血まみれの左手を伸ばしていた。

 永琳は援護できる位置を探していて今は援護できない。

 流石に今のうちに攻撃を仕掛けてくるかと思ったが、フランドールは私と小悪魔のやりとりを楽しそうに眺めている。

 小悪魔の手が指に触れ、小悪魔が私の手を血をつくのも構わずに力強く握ってくれた。

 小悪魔が私のことをフランドールの視線から外れるように家の陰に引き寄せられた。

 フランドールが放った弾幕がいくつかの壁に当たって木の表面を削り、木片が散る。

「…くっ…!」

 小悪魔が一度弾幕で応戦した後、フランドールから放たれて壁に当たる辺りから体を引きずりながら移動した。

「…魔理沙さん。今のうちに早く回復してください」

「…ああ……わかった」

 私は血が足りなくなって回らない頭をフル活動して、左手の指にこびりついている血を舐め取って飲み込んだ。

「……小悪魔も……早く」

 私の伸ばす左手の指についた血を小悪魔は少し躊躇しながら咥えて舐めた。血を飲み込むと、小悪魔の傷が治り始めているのか、顔色はだいぶ良くなってきた。

 私の右腕も既に出血が止まり、骨や筋肉などの組織が再生を始めている。

「……小悪魔、マスタースパークでフランドールをぶっ飛ばす……誘い出しと誘導を永琳と協力してくれ、私はいる入り口の付近まで戻る。あの辺りは少しこの場所よりも天井が低いし、幅も狭い……当てられる確率がグンと上がる。

「…わかりました……魔理沙さんはとりあえず身を隠して退いてください。永琳さんには作戦の詳細を私から伝えます」

「…わかった…頼んだぜ…」

 私が入り口に向けて、小悪魔が援護のために移動している永琳の元に行こうと走り出そうとしたとき、フランの笑い声が上から聞こえる。

「…!!?」

 私が見上げた時、永琳の飛んできた矢を普通にキャッチして握ってへし折ったところのフランドールが屋根の上にいた。

 ふわりと緩やかな動作で屋根から降りてきたフランドールがレーヴァテインを使わずに私に向けて鋭い爪をちらつかせた。

「くそっ…!」

 右手を向けるが、それを手で掴めるほどに接近していたフランに私の手が掴まれてしまう。

「…!」

 まだ左腕は治っていない。

 殴ろうにももうすでに私はフランドールの手に生えている鋭い爪で喉を掻っ捌かれていた。

「あっ……!?……ごぼっ…!」

 喉の切り裂かれた部分から血が気道に入り込み、私はせき込んでしまう。

 喉から逆流してきた血が口から吐き出され、地面に弧を描いて落ちる。さらに喉元からも血が溢れ、服を血で濡らす。

「……!!」

「魔理沙さん!」

 すぐ近くでフランドールに私がやられたことを察知した小悪魔が弾幕をフランドールに撃ち始める。

「……ふふ……ひひひ」

 早くも崩れ始めた私よりも小悪魔の方が楽しそうと判断したのか、フランドールは私の掴んでいる手を放して小悪魔の方に向かっていく。

「……」

 喉から溢れてくる血を飲み込む、するとすぐに常識ではありえないほどの速度で喉の切り傷が回復した。

「…小悪魔…すまん……」

 すでに見えなくなってる小悪魔に向けて私は呟きながら、入って来た洞窟の方向に向かって走り出した。

 




たぶん明日も投稿すると思います。

その時はよろしくお願いします。

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