もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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もう一つとか言って前作とは関係がありません。

割と好き勝手にやっています。

駄文です。

それでも良いという方は第三十四話をお楽しみください。


もう一つの東方鬼狂郷 第三十四話 小さな強者

 金色の髪の毛、赤色の瞳、赤い洋服、背中から生えた吸血鬼の持つ羽とは似ても似つかない羽の骨組みに、ひし形の様々な色のクリスタルが釣り下がられているように宙に浮いている。

 そして、身の丈は私の四分の三ほどの見た目は幼女のフランドール・スカーレットは私に向けてレーヴァテインを突き出した。

 揺らめく炎の中に何か固形物があるのではないかと思うほどに、私の体はレーヴァテインに容易く貫かれる。

「っ……あ……!!」

 天子と違い、数百度か数千度かは知らないが熱を感じ、私のレーヴァテインと接している部分が焼かれ始め、喉を震わせて叫んでいた。

「魔理沙さん!!」

 大妖精が先に動いた。

 瞬間移動で急接近した大妖精はフランドールに向けて大量の弾幕を放つ。

 だが、天狗に匹敵する速度で縦横無尽に動かれてしまい、大妖精の弾幕は一つも当たることもなく飛んでいく。それでもフランドールを引き離すことには成功して、フランドールは一度私たちから距離を取った。

「魔理沙さん!永琳さん!」

 大妖精がすでにボロボロの私たちに向けて走ってくる。

「私は大丈夫だ……それよりも永琳を見てやってくれ」

 私は腹に刺さったレーヴァテインを手が焼けるのも構わずに掴み、魔力を流して安定してレーヴァテインの形を維持していたフランドールの魔力の流れを乱し、消滅させる。

 一息つき、貫かれた腹を押さえながら立ち上がると、フランドールに牽制を与えてこちらに近寄らせないようにしていた小悪魔の方向にできるだけ早く走り寄る。

「…魔理沙さん、これは身内の問題です……妹様とは私が戦います……皆さんは先に進んでください」

 小悪魔はフランドールに向けて連続的に弾幕を放ちながら呟く。

「……なあ、小悪魔…あれが見えないわけじゃあないだろ?」

 私は言いながらフランドールを見ると、弾幕よりも圧倒的に速く動きながら余裕で遅く動く弾幕を避けている。

「…遊んでやがる……大人数でやった方が確実だ」

「…しかし…」

 小悪魔が渋ってくる。身内の問題は身内で解決したいのだろう。気持ちはわかる。

「堅いこと言うなよ…接近戦はお前しかできん…私は援護に徹する……そこは譲れないぜ」

 私が言いながら弾幕を放ち、近寄ろうとしたフランドールを遠ざける。

「……」

「…お前も私たちの主戦力なんだ……壊されたら困るんだよ」

 私が言いながらレーザーを放つと、フランドールはそれをレーヴァテインで消し飛ばした。

「…私が負ける前提ですか……」

 小悪魔がこちらをじろりと睨む。

「…無い話じゃあないぜ」

 私が呟きながら肩をすくめたとき、フランドールがレーヴァテインをこちらにむけてぶん投げた。

「あぶな…!」

 私が横に避けると、さっきまで心臓があった位置をレーヴァテインが紙一重で通り過ぎる。

「魔理沙さん!…来ますよ…!」

 小悪魔が身構え、私は箒に乗って二人から距離を稼ぐ。いつでも援護できていつでも助けに入れる位置に私は陣取る。

 相手は武器を持っているとは言え、素人同然の相手に小悪魔が負けることはないだろう。何もなければ、

「……」

 私は手先に魔力を込めながら永琳たちの方を見ると、永琳は自分の治療を始めている。

 あっちは問題はなさそうだ。問題があるとすればこっちだ。

 すでに戦闘が始まり、フランドールの横に振り回したレーヴァテインを小悪魔がしゃがんでかわした。

 一気に距離を詰めようと小悪魔は走るが、素早いフランドールは小悪魔の手が届かず自分のレーヴァテインだけが当たる間合いを保っている。

 残像を残す速度でフランドールが自分を追う小悪魔に向けてレーヴァテインを振る。

 私はすぐさま手に集めていた魔力を使ってレーザーで精密射撃をするために、集中して狙い撃ちだした。

 それがフランドールのレーヴァテインにちょうど良く当たり、レーザーを構成している魔力の粒子や一緒に飛ばしている光の魔法を受けて、剣を振る速度が劇的に遅くなって小悪魔が避けれて、さらに近づくだけの時間稼ぎができた。

 小悪魔がフランドールのレーヴァテインを持つ右手を右手で掴み、捻りながら空いたもう片方の左手でレーヴァテインを叩き落とした。

 右手で掴んでいた手を左手に持ち替え、右手でフランドールの胸ぐらをつかんでフランドールに足をかけて後ろに転ばせた。

 小悪魔はフランドールを拘束することで戦闘不能不能にさせるつもりなのか、掴んでいたままのフランドールの手を背中側に回させようとした。

「よし!」

 私はガッツポーズをしながら小悪魔に近づこうとしたとき、何かがおかしいことに気が付いた。

 押さえつけているはずの小悪魔が血を口から吐き出しながらゆっくりと地面に倒れたのだ。

「小悪魔っ!?」

 倒れた小悪魔に近づこうとしたとき、起き上がったフランドールがこちらに向かって小悪魔を蹴り飛ばしてくる。

「か……はっ……!!?」

 小悪魔が腹を抱えてうずくまる。

「…っ!」

 私は、フランドールがこちらに来る前に親指に噛みついて指から出血させた。

 すぐさま小悪魔に血を飲ませようとすると、素早い動きで接近してきたフランドールの蹴りが私の左肩に直撃する。

「ぐっ…!?」

 右肩の骨が鎖骨ごと砕け、私は吹っ飛ばされて近くに建てられていた小屋の壁に背中を打ち付けてしまう。

「ねぇ……もっと遊んでよ……楽しませてくれないなら…壊しちゃうよ?」

 怪しく目を赤く光らせながら倒れている小悪魔の喉元にフランドールが足をのせ踏みつける。

「くふ…っ…!」

 小悪魔が血を吐き出し、苦しそうに呻く。

「…やめろ…ぉっ…!」

 私がそう叫んだ時、大妖精が瞬間移動をしてフランドールに飛びついた。

「やめて!!」

 全体重を乗せた大妖精の飛びつきにフランドールがよろけて小悪魔に乗せていた足がどかされ、さらに小悪魔に足をのせて片足で立っていた状態に近かったため、バランスを崩したフランドールが背中を地面に打ち付けられる。後先考えずに飛び掛かったのか、大妖精もフランドールの上に転ぶ。

 大妖精はすぐにフランドールから手を放して逃げようとしたが、フランドールの腰回りから放した手を掴まれてしまう。

 弾幕で攻撃する間もない。

 大妖精の顔が凍り付き、フランドールが笑みをこぼす。

「やめろ!」

 私の静止の言葉を無視してフランドールはレーヴァテインを使い、大妖精の胸ぐら辺りから左足の太ももまでを切り裂く。

 ある程度は炎の熱で焼かれたが、焼かれなかった部分から真っ赤な血が滲め初めて、青色の服が対照的な赤色に染まる。

「ああああああぁぁっ!!?」

 大妖精がゆっくりと地面に膝をついてしまう。

 あれでは逃げることができない。

「あはははっ!!」

 フランドールが楽しそうに笑いながら今度は首を切り落そうと、大妖精の首元にレーヴァテインを添えた。

 大妖精がレーヴァテインの熱気に顔を背ける。

「止めろって言ってんだろうがぁぁっ!!」

 箒に乗らずに魔力だけを流して、前に進む推進力だけを得てフランドールに向けて突き進む。

 全速前進で突き進む私は箒から振り落とされそうになるが、筋力を強化して箒の柄をしっかりと握りしめる。

 フランドールがすぐに接近を開始した私に気が付き、こちらに向けてレーヴァテインを振るが、私の箒を持っている左手の二の腕にレーヴァテインは刺さってしまい、振ることができなくなる。

 だが、全力で進む私はそう簡単には止まれない。超高温の炎に焼かれる痛み、レーヴァテインの根元に近づくほど大きくなる炎の剣に切り裂かれる痛み、切り裂かれた断面をレーヴァテインが触れて動くことで生み出される痛み、それらの激痛が一度に襲い掛かってきて、私は叫びながらフランドールの頭部に手を伸ばして右手で掴み、そのまま前方に進む。

 全速力で進んでいるため、ほぼ一瞬で三十メートル後方にある小屋にたどり着いた。異様なほど早く過ぎていく視界に私は恐怖するが、今はそっちよりも仲間を失ってしまうという恐怖が私の中で渦巻き、他の恐怖を打ち消す。

「ああああああああああああっ!!」

 私は雄叫びを上げながらフランを前方の小屋の壁に叩き込んだ。

 壁はあっさりと壊れてしまい、辺りに大小さまざまな木片などがまき散らされる。

 そのまま進み続けて大きな木の柱、柱の直径が三十センチを超える大きさの柱に、私は掴んだままのフランドールの頭をぶち込んだ。

 




たぶん明日も投稿すると思います。

その時はよろしくお願いします。

そろそろ、中盤の後半に差し掛かってきました。

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