もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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もう一つとか言って前作とは関係がありません。

割と好き勝手にやっています。

それでも良いという方は第三十話をお楽しみください。


もう一つの東方鬼狂郷 第三十話 東風谷早苗 ②

 

 動かないといけない、戦わないといけない、やめさせないといけない。でも、もう早苗さんは五芒星を書き終えそうになり間に合わないだろう。

 動こうとした私は、五芒星を描き終えた早苗さんの周りが白く輝きだしたのが見えた。

「…っ…!?」

「…私を恨んでも憎んでもかまいません。でも、それでも、私は助けなければならない人がいるんです……せめて、苦しまずに死んでくださ…」

 早苗さんが私に向けて何かをしようとしたとき、下方から何かが突き進んでくる。攻撃態勢に入っている早苗さんはそれをよけることはできなかったらしく、

「なっ…!?」

 驚きの声を上げると、森の茂みの合間から魔理沙さんのレーザーが早苗さんの左半身を包み込む。

「うぐああああぁぁぁっ!?」

 早苗さんの絶叫が響き、発動しかけていたスペルカードがキャンセルされて、輝き始めていた早苗さんの周りの光が徐々に光を失い。すぐに薄暗い空間に戻った。

「…う……っぐ……!」

 早苗さんが怯んだことで私が使づくための時間は十分にある。

「…くっ…!…まだ…っ!」

 私に向かって早苗さんがお祓い棒を振るう。

 だが、早苗さんのお祓い棒を持つ右手の手首を左手で掴むと同時に手首を捻りあげ、右手の手根、手首のあたりを早苗さんの胸部に叩き込んだ。

「…あ……がっ…!?」

 早苗さんの呼吸が乱れて動きが止まる。そのうちにお祓い棒を叩き落とさせ、霖之助さんの時と同じように腕を背中側に回させた。

「ぐう……っ!?」

 関節が脱臼する寸前まで腕を回らせ、動けないようにして早苗さんの肩を掴んで押さえつけた。

「…形勢…逆転ですね……大人しくしてもらいますよ…早苗さん」

 だが、強い衝撃を腹部に食らい、私は早苗さんから手を放してしまう。脳が理解した。私の方向に向いていた手のひらから弾幕を撃ったのだと。

「うぐぁっ…!?」

 私が怯んだすきに早苗さんが私の胸倉を掴み、ゼロ距離から私の腹に向けて連続的に弾幕を撃ちこんでくる。

「…うくっ…あがっ…!?」

 魔力の強化が足りなかったわけでない。連続的に弾幕を撃ち込まれたことにより魔力がはがれてしまい、ダメージを余計に食らってしまう。私はせき込みながら後ろに下がろうとする。

 魔力で効率よく防御することのできなかった私の肩を早苗さんが掴むと、早苗さんは自分の方向に私を引き寄せながら私の腹に持ち上げてきた膝を叩きこんでくる。

「…かぁっ………!?」

 私は呼吸ができなくなるほどの痛みに、息ができなくなるが早苗さんはそんなのは関係なく、今度は私の胸に向けて私よりも魔力を調整して高い位置を飛び、膝蹴りを叩きこんできた。

 ゴギッ!!

 胸骨と肋骨が砕ける嫌な音が体の中から響き、すさまじい激痛が電流のように体の中をめぐる。

「早苗ぇ!!」

 大妖精さんに瞬間移動をしてもらったのだろう。魔理沙さんがいきなりすぐ近くに現れ、早苗さんに至近距離からレーザーを浴びせた。

 早苗さんが魔力を手先に集中させてレーザーを魔理沙さんのように放つが、魔理沙さんのような鍛えられた貫通力など持っているわけもなく。早苗さんのレーザーはすぐに押し返され、早苗さんの手を焼け焦がした。

「くうっ…!」

 早苗さんが私から離れ、魔理沙さんから大きく距離を取って私たちを警戒する。

 私はずるっと地面に向けて落ちそうになるが、魔理沙さんが私に近づいて支えてくれた。

「あ…ありがとうございます…」

 現在、早苗さんは私がお祓い棒を叩き落としたことにより丸腰だ。

 攻めるなら今だろう。

 私も魔理沙さんに加勢をしようと体を持ち上げた時、私の思考回路が停止した。

「…どうしたんですか……それ…」

 私は早苗さんがいるのにそちらを全く目も向けずに魔理沙さんの右目を凝視したまま語り掛けていた。

「……ちょっとな」

 私の質問に魔理沙さんは短く答えるとすぐに私に言ってくる。

 早苗さんが動き出し、私を抱える魔理沙さんに向けて強化した拳を振りかぶる。

「…小悪魔、お前の方が大丈夫か…?」

 右目を失った魔理沙さんは襲い掛かってくる早苗さんのことなど気にしていない様子で私の労をねぎらった。

 魔理沙さんに当たる直前で、停止する。いや、止まったわけではない、弾かれたのだ。魔理沙さんの張った結界の魔法によって。

「…はい…何とか…」

 私は数本の肋骨が折れたことにより、呼吸するのも苦しく胸元を押さえながら呟いた。

「…あいつは私が何とかする、小悪魔は休んでいてくれ」

 近くにいた大妖精さんに私を預けて魔理沙さんは早苗さんの方向に進んだ。

「…ま…待ってください……!…早苗さんは……私が……!」

 何か言いたげな私に魔理沙さんは言った。

「………。殺すのか?」

 魔理沙さんの言葉に私は少しドキリとする。もし、私が早苗さんを圧倒できるだけの力があれば、殺してしまっていたかもしれないからだ。周りの人から見てもわかるほどに、私は早苗さんを殺そうとする勢いが雰囲気があったのだろう。

「……いや…そんな……ことは…」

 きちんと言い返すことができず、私は口ごもる。

「…私は、仲間が殺されたり…殺したりするのは見たくない」

 私に優しくそう語りかけた魔理沙さんの話を結界越しで聞いていた早苗さんが口をはさんでくる。

「…ずいぶんと甘いことを言うんですね……魔理沙さん」

「……かもな…」

 魔理沙さんは言いながら結界越しにいる早苗さんに向き直った。

「……殺さないってことは、私を捕まえて何か情報を吐かせようとでもするんですか…?……それで私が吐かなければ死なない程度に拷問でもするんですか?」

 早苗が私にそう言ってくる。

「……こんな異変を起こした連中なら、それぐらいのことはするだろうな……でも、お前たちと一緒にするんじゃあないぜ……そんなことするわけがないだろう…」

 魔理沙さんは早苗さんを睨みながら言い終わると口元に手を運び、親指に噛みついた。

「……?」

 早苗さんがその行動の意味が分からず、困惑している。

 だが、魔理沙さんが何かをしようとしているのは感じたのだろう。魔理沙さんに向かって早苗さんは突っ込む。

 途中に魔理沙さんの結界があるが魔力を大量につぎ込み、結界の防御力以上の威力でたたき壊した。

 魔理沙さんが血を飲むまでに早苗さんは間に合う。私が大妖精さんの手から無理やり離れて魔理沙さんの方向に向かおうとしたとき、私たちの後方から高速で飛来してきた矢を早苗さんはとっさにかわし、魔理沙さんが血を舐めて飲み込むまでの時間稼ぎができた。

 魔理沙さんが血を飲み込み、何らかの力が倍増する。

「…なんですか……それ…!」

 魔理沙さんの力がばぞうしたことにより早苗さんが驚き、目を見開いて後ずさりする。

「…早苗……歯を食いしばるんだな……意味があるとは思えんがな」

 魔理沙さんはそう言うと、魔理沙さんの周りに大量の魔力で書かれた小さな直径20センチ程度の魔法陣が形成される。

 10や20じゃない。40はある。

 パチュリー様でも十五個程度を作り出すのがやっとだと聞いたことがある。なのに、それをこれだけの数作り出すとは思いもしていなかった。

「……放て」

 魔理沙さんがそう呟くと魔法陣が輝き、圧倒的な光景に立ち尽くしてしまっている早苗さんに向けて、一斉にレーザーのようなものが発射される。

「……っ…!」

 早苗さんが今頃になって動き出そうとするが、既にレーザーは目の前に迫っていて、あれは誰がどうしようが手遅れだと私は思った。

 




たぶん明日も投稿すると思います。

投降しなかったら明後日に投稿します。しかし、近いうちにテストがあるのでしばらく投稿できない期間が続くかもしれません。

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