もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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もう一つとか言って前作とは関係がありません。

割と好き勝手にやっています。

それでも良いという方は第二十九話をお楽しみください。


もう一つの東方鬼狂郷 第二十九話 東風谷早苗

「へえ、…本当になくなった部位が再生するんだな」

 正邪が面白そうに笑いながら私に言った。

「見せもんじゃあないぜ」

 私はそう言いながら持っていた瓶をありったけの力を込めて正邪に向かって投げる。

 正邪は油断していたのか、能力を使って余裕があったのか、よけようともせずに私の瓶を拳で砕いた。

「…大妖精!伏せろ!」

 私は言いながら自分が伏せると同時に大妖精も伏せさせると、正邪が砕いた瓶の中身が外気と接触するとなんかしらの化学反応が促進され、青白い炎をまき散らしながら大爆発を起こした。

「うお……!」

 爆風と爆発音をまじかで受けて頭がクラクラする。

 でも、爆心地にいる正邪に比べれば、このぐらいで済めば万倍もいい方だろう。

 私は体を持ち上げて立ち上がると、正邪がいた位置は爆風と衝撃波で砂が舞い上がり、ほぼ視界はゼロだ。

「……」

 得意ではない風の魔法の詠唱をして発動させた。

 強い風が吹き始め、舞い上がった砂埃を吹き飛ばすと、さっきいた位置よりもだいぶ横にズレた位置の地面に正邪が倒れていた。

「……ぐっ……くそっ…!」

 油断していて体の強化を怠っていたのか、正邪の右手が熱で焼け焦げて、さらに爆発で吹き飛ばされたのか骨がむき出しとなっている。

 瓶の破片が正邪の服や皮膚、皮下組織に加えて筋肉にまで達しており、傷口から血が出ている。

 瓶を叩き割った位置がだいぶ耳よりの位置だったため、右耳の鼓膜も破れているらしく、耳から血が流れている。

「…不用心だな、魔法使いがバックから出したものを投げつけたんだぜ?危ないものに決まってるだろう?」

 私は再度バックから瓶を取り出して魔力を込める。

「調子に乗りやがって…!」

 正邪は耳をやられたことにより、平衡感覚が一時的におかしくなってしまい。立つことができずにいる。

「ほらよ!」

 正邪が無理矢理に立とうとするとき、私は正邪の居る方向に向けて瓶を投擲した。

「またか!そう何度も同じ手を食らうか!」

 正邪が体を魔力で強化して焼け焦げた右手ではなく左手の拳で瓶を砕く。

「…大妖精。目を閉じとけ」

 私がそう呟いた時、さっきとは違う真っ白な光がまき散らされ、前に投げた爆発瓶の爆発音よりも桁違いな爆発音と光が、砕かれた瓶を中心に発生する。

「…ひゃぁっ!?」

 隣に立っていた大妖精があまりの爆音にびくついた。

 光が収まった時にようやく目を開くことができた。

「…あ……か…っ…」

 正邪が白目をむき、起き上がろうとしていた体勢から地面に崩れ落ちる。

「…へ…?…魔理沙さん……正邪さんにいったい何をしたんですか?」

 攻撃的なものでなかった物の攻撃で正邪が失神しているのだ。こう質問してくるのもわかる。

「…失神してる……いや、失神させた」

「…さっき投げた瓶で、っていうのはわかるんですけど、あれは何なんですか?特殊な薬でも入ってるんですか?」

「あれはただの閃光瓶だ……別に特殊なことはしてない。人間はある一定基準以上の光と大きな音を近くで聞くと失神することがあるんだが、それは妖怪でも変わらなかったみたいだな……それを利用したんだ」

 初めに使った瓶は攻撃的なもので外の世界の手榴弾みたいなものだ。それを正邪に一回目に使うことで二つ目も同じものだと思い込ませた。正邪は体の防御にしか魔力を集中しなくなるだろう。だからそれで爆発瓶じゃなくて閃光瓶を使った。

 私は言いながら正邪に近寄った。

 完璧に失神しているか確認する。

「…大丈夫そうだな。……確かに力やその他のいろいろな部分でお前は私を大きく上回っていた。だが、自分よりも強いものと戦うといった経験は私の方が多い、それが勝敗を分けたな…正邪」

 私は失神している正邪に向けて語りかけ、バックから縄を出して正邪を縛った。縄に魔力を込めて簡単にはほどけない様にするが、正邪が能力を使えばすぐにほどけてしまうだろう。

 正邪みたいなタイプは嫌われてはいるが、自分よりも強いやつとの戦いになると、三枚舌でのらりくらりと戦いを避けてきていたタイプだろう。正邪の敗因はそれだ。

「…よし、これですぐに起きても攻撃されることはないと思うぜ」

 私が立ち上がると、どこかに言っていた大妖精が瞬間移動で私の近くに現れた。

「……加勢に行きたいが……箒がないんじゃ私は飛べんぞ……大妖精…私のこと抱えて飛べるか?」

 私が聞くと、大妖精は無理です!と言いながら持っていたものを私に見せた。

「魔理沙さん、持ってきましたよ」

 大妖精が私に落としていた箒を差し出してくる。

「…おお、サンキューだぜ」

 私は言いながら大妖精から箒を受け取った。

 

 メキッ!!

「…か……はっ…!?」

 早苗さんが私の脇腹にお祓い棒を叩きこんだ。

「動きが悪いですね…小悪魔さん」

 早苗さんが言いながら私に向かっていくつかの札を投げ飛ばしてくる。

「…くっ!」

 私は身をひるがえして飛んできた札の間をギリギリですり抜けた。

「…確か、あなたはパチュリーさんに召喚された身でしたよね……ああ、全力を出せない理由はそう言うことですか」

 早苗さんが動きの悪い私の状況を理解したのか、一人で納得したようにつぶやく。

「…っ……だから何だっていうんですか……!……全力を出せばあなたを倒すことは恐らく可能ですが、試してみますか?」

 私が言うと、早苗さんはすぐに言って来た。

「…止めてください。無駄死にするだけです」

 早苗さんはそう言いながら下をみた。何か爆発音が響いて光が見えた。

「…どちらが勝っているか知りませんが、魔理沙さんはあんな怪我を負っていました。正邪さんがまくることはまずないでしょう」

 早苗さんが言いながら私に弾幕を放ってくる。

「っ…!」

 傷を負った私は動きが悪く、いくつかの弾幕を捌くことはできたがそのうち体が追い付かなくなり、当たる弾幕が増え始めてきた。

「…私にもやらなければならないことがあります……ここで、死んでください……小悪魔」

 早苗さんが魔力でプログラムが書かれた紙を取り出し、魔力を流して砕くと魔力の粒子となって紙が消え去る。

 スペルカードを発動したのだ。

 私も早く何かをしなければならないのに、私の体は言うことを聞いてくれない。

 永琳さんが早苗さんに向けて矢を放つが、奇跡の能力でも使っているのだろう。矢はスレスレで早苗さんには当たらずにどこかに飛んでいく。

 早苗さんが五芒星を描くためにお祓い棒を空に向けて突き上げた。

 




たぶん明日も投稿すると思います。

その時はよろしくお願いします。

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