もう一つとか言って前作とは関係がありません。
今回はシリアスではありません。
割と好き勝手にやっています。
それでも良いという方は第二十三話をお楽しみください。
部屋に入ったとたん、目の前いっぱいに見える肌色の拳。それと少し遅れて甲高い悲鳴。
ガツン!!
私の眉間に拳が正確に打ち込まれた。
「…ごばぁっ…!?」
口から変な悲鳴が漏れて私は顔を押さえながらよろける。
「何……勝手に入ってきてるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
小悪魔が手に持っている司書の服を胸元に持ってきて胸を隠しながら左手で私を容赦なく殴打する。
「…ちょ……ちょっと…話を…聞いてくれよ…っ!!」
「黙ってください!!…もともとそっちのけがあるとは聞いていましたが、ここまで節操がないとは思いませんでしたよ!!見損ないましたよ!!」
誤解だと言いたいところだが、小悪魔のパンチが痛すぎてそっちにまで頭が回らない。
上半身が裸の小悪魔が顔を真っ赤にして殴ってくるが、普通の人間であれば微笑ましくかわいいなと思うかもしれないが、魔力が扱える者の場合はその姿に似合わないほどの威力の拳を叩きこまれることになる。
何か棍棒で殴られてるんじゃないかと思うほどのパンチの威力に、魔力で体を強化した私でも頭がくらくらしてくる。
「ちょ……待って……くれ!……香霖……が……!!」
「なにを訳の分からないことを言ってるんですか!!…人に自分のしたことを擦り付けようとするなんて、最低……です…よ……?」
私を殴っているうちに自分たちに向けられている悪意に気が付いたのか、とりあえず私に攻撃することはやめてくれた。
「…うぅ……」
私が床に倒れていると小悪魔が冷ややかな言葉を投げかけてくる。
「…何のんきに寝ているんですか…早く起きてください」
「…誰のせいで倒れてると思ってんだよ」
私は殴られた頬などを手で押さえながらヨロヨロと立ち上がった。
「…きちんと訳を話してくれればよかったのに……」
「その訳を話す時間すらくれなかっただろうが!!」
私が小悪魔をじろりと睨みながら怒鳴ると、小悪魔は視線を明後日の方向に向ける。
…こいつ。
「…まあいい。それより早く着替えてくれ…その、目のやり場に困る」
「…なんでですか?女の子同士なんですからいいじゃないですか」
小悪魔がそう言いながら着替えを始めようとする。
「ちょ…ま…待てって!…お前には恥じらいというものはないのか…!」
私が慌てて顔を背けると、それを見た小悪魔が私に言った。
「…あれあれ?もしかして魔理沙さんは女性を恋愛対象としてみてるから、そういうふうになるんじゃあないですか?」
小悪魔が意地悪な表情を向けてくる。
「うるさい…!そ…そんなことはないから早く着替えろ…!」
私が悪あがきで叫ぶが小悪魔はニヤニヤと笑って私をいじり倒そうとするが私が言ったことで、いちおう着替えは始めようとする。
「…はいはい」
小悪魔が軽く私を煽りながら返事をして着替えを始めるが、私にとあることを聞いてきた。
「…それで、もう霊夢さんとはキスまでは言ったんですか?」
目を向けていなくても小悪魔のニヤニヤと笑う顔が想像できる。
「キ…キス!?…そ…そんなこと……する…わけが………な…」
神社での出来事を思い出してしまい。口ごもりながら私は答えてしまう。
「……。そう、したんですか……いやー。魔理沙さんはわかりやすいですねぇ……ってどうしたんですかぁ?顔が赤いですよ?」
小悪魔がそう笑いながら真っ赤に染まる私の顔をプニプニと後ろから触れてくる。
「……っ…。…死にたい」
顔から火が出るくらい恥ずかしい。
「……ってそれどころじゃないだろ!!…早く着替えてくれ、香霖が…正気じゃない連中と同じだったんだ」
それを聞くと、小悪魔が驚いたような顔をした後、すぐに頭を切り替えてさっきまでのふざけた雰囲気を緊張させた。
「霖之助さんはどこに?」
「…さあ、わからん……さっき攻撃したんだが…逃がしちまった」
私はドアの方向を警戒し、その後ろで小悪魔がゴソゴソと着替えを済ませる。
「…服のサイズは大丈夫か?」
私が聞くと小悪魔が体を動かして、どこかがきつくないか体の動きを制限されることがないか確認し始める。
「…大丈夫みたいです。……ただ…」
小悪魔が言葉を中断させる。どこかサイズが合わないところがあるのだろう。今交換しなければ、このまま香霖と交戦することになるため、着替える時間は今しかないだろう。
「どうした?…どこかサイズが合わないのか?」
私が小悪魔の方を振り返ると、小悪魔が胸元に手を置いて呟いた。
「…少し胸元が苦しいですが…まあ、大丈夫です」
「……」
小悪魔の言葉にイラっとくるがこのような状況ということで、許してやることにした。
「どうしました?…なんでそんなに私を睨みつけてくるんですか?」
小悪魔は理由をわかっていないのか、それともわかっていてからかっているのかわからないがそう言ってくる。
「…っち」
自然と舌打ちが口から洩れていて、会話の流れから小悪魔はなぜ私が舌打ちしたのかを察したらしく、慌てて言ってくる。
「いやいや、あっても邪魔なだけですよ?…肩とかこっちゃいますし、戦闘中だって動きが制限されることだってあるんですよ?」
ギリィィ…
歯噛みする私の歯が擦れて嫌な音を立てる。
これまでに、ここまで他人を呪いたいと思ったことはないだろう。
「うるせぇ!…ユタンユタンなお前には小さい私に気持なんかわかりやしねぇんだ!!」
小悪魔の胸を横から何の前触れもなく平手打ちをすると物凄く柔らかい胸が大きくゆがみながら跳ねる。
それがさらに私の神経を逆なでする。
更に止まることなく右から左から、小悪魔の胸に平手打ちを食らわせた。
「ちょっと!?そういうことは霊夢さんとしてくださいよ!!」
小悪魔が連続してガードをすり抜けて胸に平手打ちをする私に向かって叫ぶ。
「こんなこと霊夢にできるわけがないだろ!!…嫌われたらどうすんだ!!……そうなったら責任とれんのかこのやろー!!」
私も小悪魔も歯止めが利かなくなっているのか、こんな状況なのに言い争いを続ける。
「なんですか!?その程度で嫌われると思っているんですか!?…あなたは霊夢さんを信用していないようですね!」
「うるせー!!お前に何がわかるっていうんだこんちくしょー!!」
私と小悪魔は恥ずかしさなどの精神的なもののせいで涙目でこの不毛な言い争いを続ける。
「わかるわけがないでしょう!?あなたの恋事情なんて知りませんよ!!」
少し発達の良い胸を隠そうと小悪魔が胸を押さえるが隠しきれていない胸を見て、私の怒りが頂点に達する。
「てめぇ!!やがらせかこらぁぁぁぁぁっ!!」
顔を赤くして涙目の小悪魔の両肩を掴んでがくがくと手加減なしで揺らすと、胸を平手打ちされてバランスを崩していたため、小悪魔はあっけなく後ろに倒れてしまう。
小悪魔を掴んで揺らしていた私も引っ張られて必然的に小悪魔の上に倒れるわけで、
「きゃぁっ…!?」
小悪魔が背中を床に打ち付けて倒れ、私は手を床に着こうと手を伸ばすが、とっさのことで無我夢中でどこかを掴む。
まるでマシュマロのように柔らかく暖かい胸を私はわしづかみしてしまっていた。
「「……」」
「……誰かぁ!!助けてください!!同性愛者の変態に犯されるぅぅっ!!」
小悪魔は割と本気で泣き目になりながら私からに逃げようとする。
「お前ぇ!!何勘違いしてんだぁ!!それに誤解されるようなこと言うなぁ!!」
逃げようとする小悪魔の胸倉を掴みがくがくと小悪魔を揺らす。
「……あんたたち……なに乳繰り合ってんの?」
永琳が呆れ、冷ややかな目線を私たちに向けて言ってくる。
「「誤解だから!!お願いだから言い訳をさせて!!」」
息抜きがてらに作りましたのでそう言った内容になってしまいました。
私にはわかる。こんな内容なのにこんなサブタイトルをつけるなと思われているのが私にはわかる。だが、後悔はしていない。
たぶん明日も投稿すると思います。