もう一つの東方鬼狂郷   作:albtraum

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忙しくて投稿することができませんでした申し訳ございません。

第十五話をお楽しみください。


もう一つの東方鬼狂郷 第十五話 永遠亭へ

「……はぁ…」

 華扇から逃げることができたことで私はため息交じりの安堵の息を漏らした。

「大妖精。瞬間移動はもういいだろう」

 私がそう大妖精に呟くと瞬間移動でかなりの魔力を消費したのか、少し汗をかいた大妖精が瞬間移動をするのをやめた。

「……おつかれ……助かったぜ…」

 私はそう言いながら大妖精の頭をポンポンと撫でると少し嬉しそうに、恥ずかしそうにして大妖精は撫でられた。

「…響子もありがとよ……」

 私は言いながら大妖精から手をどかし、横にいる響子の方向を見る。

「……いいえ…こちらこそありがとうございました…」

 響子は戸惑いながらも私と大妖精にお礼を言った。

「……一度…どこかで休もう…」

 私は言いながら地面に降りて周りの景色や古い記憶を探りながらある物を探す。

「…どうしたんですか?」

 大妖精はそう言いながら地面に降りて小走りで私についてくる。

「……ちょっと待ってくれ…記憶が正しければこの辺りにあったはずなんだが……」

 何をしているんだと言いたげな大妖精と響子にあいまいに答えながらしばらく探すと、目的の大樹が見つかった。大樹の根元にある隙間に体を押し込んで中に入ると、木の根で回りからは視線が通らない空間があり、薄暗い。

 中には誰もおらず、安全そうだ。

「……入っても大丈夫そうだ」

 私は言いながら二人を招き入れた。

「ここはなんですか?魔理沙さん」

 大妖精が薄暗い木の隙間に入りながら呟くように言った。

「…物を集めてるときにこの辺りまで来ることがあったんだ……でも、拾ったと言ってもたくさん拾ったものがあるときは全ての物を持ち帰るのは面倒だ……だから、この中継地点に一時的に置いておいて、あとでほしいものだけを選別して持ち帰る場所だぜ」

 私はそう言って周りを見回すと、周りには私が持ち帰らなかったガラクタがたくさん転がっている。

「見られない限りたぶんこの中にいるのはばれないだろう」

 私はそう言いながら座り込み、一息ついた。

「ふう……」

 緊張から解かれた大妖精も脱力して地面に座り込む。

「……」

 響子も私たちと同じように地面に座って安堵の息をついた。

「……響子、異変の解決の手掛かりになるかもしれない。話を聞かせてもらえるか?」

 私が言うと響子がうなずき、ゆっくりと話し始めた。

「…詳細に話すと、部屋で水蜜さんと話をしていたんです。でも、いきなり光が見えたと思って外に出たら、なんだかみんなの様子がおかしくて…」

 その時のことを思い出したのだろう。響子は少し体を震わせた。

「……水蜜さんが私のことを助けようとして頑張ってくれた。でも、多い数には勝てなくて追い詰められちゃって……戦えない私を床下に逃がして水蜜さんは庭で戦ってました…」

 そのあと、水蜜は殺されたのだろう。

 だが、水蜜が寅丸やナーズリンを殺った訳でないなら、いったい誰がやったというのだろうか。

「……誰が…寅丸たちを殺したっていうんだ?」

 私は疑問を響子に投げつけた。

「…それが……わからないんです…水蜜さんの…悲鳴を聞いていられなくて……耳を塞いで目を閉じてしまっていたら……いつの間にか…みんな死んでて……」

 響子が俯きながら呟く。

「……なるほどな……じゃあ…もう一つ聞いていいか?」

 私が聞くと響子が顔を上げた。

「……?」

「…一昨日、聖はどうだった…?何か…おかしなところはなかったか?」

「…おかしな…ところですか?……特になかった気がします……でも、珍しく村に用事があるって言ってました」

 響子がそう言う。

「……目的はわかるか…?」

「…さあ……。…でも…床下に隠れているとき……そう言えば…誰かの声を聴いた気がします…」

「…声…ですか?」

 響子が言うと大妖精がいうと、響子がうなづきながら続きを話した。

「……誰が何について話しているか、まではわからなかったんですが……でも途中で…確か、永琳…そう言ってました…」

 その名前に私の眉がピクリと動いて反応した。

「…えいりん…?…永琳って言ったら永遠亭の…?…むしろそいつしかないか……」

 普通の薬から傷がたちまち治る薬品から人を秒殺できる薬まで作れる医者(?)だ。私が作る回復薬などとは比べ物にならないぐらいいいものだ。

 副作用などはなく、直接混ぜなければ基本的に安全である。

 永琳か、あいつも嫌でもこの異変にかかわっていることだろう。起こした側か、もしくは起こされた側か、どちらになるかはわからんが。

 どちらでもいいが、近いうちに永遠亭に行くことにしよう。それでわかることだ。

 私はそう思いながら響子にとあることを聞いた。

「…聖の話に戻ろうが、村に行くとき……何か変わった様子はなかったか?」

「…どうでしょうか……いつもよりも少し、落ち込んでいるような……そんな印象を受けました…」

 響子が考え込みながらいう。

「…そうか、ありがとよ、響子………とりあえず、永遠亭に行ってみることにしよう…何かわかるかもしれない」

 私が言うと大妖精がうなづいた。私は響子の方を見て、一応聞いてみることにした。

「…響子はどうする?私たちと一緒に来るか?」

 私が聞くと響子はぶんぶんと顔を横に振った。

「…いいえ、私は異変が終わるまで森の中で隠れていることにします…」

 響子の反応はいたって普通だ。それだけ怖い目にあえば当然の反応と言えるだろう。

「…わかった。……でも、敵に合わないように気を付けろ。誰が異変の首謀者で、誰が手を貸しているか、まだ見当もついていないからな」

「は…はい……!」

 響子の顔が緊張で強張った。

「…じゃあ、気を付けろよ」

 私と大妖精は一足先にこの場所から出ることにすることにした。

 

「響子さん……大丈夫でしょうか…」

 大妖精が何度も後ろを確認してもう見えなくなっている大樹の方向を見て、私に言った。

「…さあな…あいつ次第だろ」

 私はそのまままっすぐに進み、村方面に出た。そこから永遠亭の方向に進むことにして、方向を変えた。

 遠くに迷いの竹林が見える。あの竹林はいくら森や竹林に慣れている者でも必ず迷うと言われている竹林だ。

 まぁ、空を飛べばだから何だという話だ。

「…魔理沙さん……」

「…ん?…なんだ?」

 私が聞くと大妖精が呟く。

「……地霊殿なら…光を見ておかしなってしまったっていう被害はないんじゃあないですか?」

「私もそれは考えたんだが……。今回の異変の始まり方は…地霊殿に何の被害もない……」「…だから、もしかしたら地霊殿の人たちが異変を起こしたかもしれない…ということですか?」

 大妖精が言いながら後ろを見るのをやめて正面を見て飛び始めた。

「…ああ、でも…一つ解せないのは……地霊殿が異変を起こしたとしても、どうやって人間や妖怪をおかしくしている方法だ」

「…そう…ですね…」

 私の疑問に大妖精も唸りながら考え始めた。

「…でもまあ、精神を犯すタイプの能力を持っている奴は大抵本体を叩いて戦闘不能にすれば元に戻る。…それが誰かということを情報から推測するためには、信憑性がある情報を得るしかないな」

 響子が聞いた永琳という名前。それに鈴仙の能力は回数や時間などを考えても現実的ではない。そう結論を出したが地霊殿に次いで異変を起こした連中である可能性は捨てきれない。

「魔理沙さん…もし、永遠亭が異変をおこしたのなら、あの大人数に二人ではこちらはかなり不利になるんじゃあないですか…?」

 大妖精がいいながら迷いの竹林の入り口辺りに転がる人間や妖怪の死体から顔を背けて言った。

「…ああ、わかってる」

 私はそう言いながら少しだけ魔法を発動した。

 ぱっと見れば迷いの竹林はいつも通りで変化はない。だが、すでに私たちは捕捉されていてあらゆる方向から狙われている。ときおり風で木の葉などが揺れてこちらを狙っていたり、包囲して攻撃するために移動しているウサギなどがちらりと見えた。

 とりあえず、今は気が付いていないことにしよう。現在は昼で明るく、私たちは空を飛んでいてウサギたちは薄暗い地面を走っていたりしている。だから、体を強化した際に見られる淡い光は逆光で見えないはずだ。

 永遠亭までは約1キロメートルを切っている。ウサギたちはいつ攻めてくるつもりだろうか。どういう攻撃方法で、どの方向からどれだけの速度でいくつ飛んでくるかでそれらにたいしての対策は大きく異なる。

「……魔理沙さん」

 ウサギたちが放つ殺気にようやく気が付いた大妖精が顔を引きつらせながら私に話しかけてきた。

「大丈夫だ。自然にふるまうんだ……心配すんな」

 私は言いながら取り乱さずにいつものように進み、大妖精も私の隣をいつも通りの姿勢で飛ぶが、殺気を向けられたことによって動作などが少しぎこちない。

「……。すこし表情がぎこちないぞ、大妖精」

 私が言いながらバックの中を確認した。

「…なっ……何か対策はあるんですか…?」

 大妖精が締まりの悪いネジのような動きでこちらを見てくる、大妖精の目が何か作戦があると言ってくださいと目線で訴えかけてくる。

「……大丈夫だぜ…心配すんなって」

 私はそう言いながら周りに意識を張り巡らせた。

 周りからビシビシと感じる殺気はあらゆる方向からである。それ故に全てのウサギの位置を把握することは不可能に近い。

 だから、今回は攻撃的な方法ではない方法で行くことにしよう。

 周りから感じる殺気は今にでも攻撃が飛んできそうであり、銃で言うならば常にトリガーに指がかかっている状態だろう。

「まあ、あれだ…大船に乗ったつもりでいてくれよ」

 私が言うと、大妖精がコクコクと顔を振ってうなづいた。

 その時、十数だと思っていたウサギたちの数は間違いであり、数十人単位で私たちを囲んでいたらしく、木や竹が入り混じる竹林のあらゆる場所から弾幕の光が発せられた。

 昼でもわかりやすいほどのレーザーが光を放ちながら私たちの方向に向けて360度あらゆる方向から迫って来た。

「…この数は…想像以上だぜ…」

 目の前に迫るレーザーを呆然と眺めながら私はそう呟いていた。

 あたりがレーザーの放つ光により輝き、光以外何も見えなくなった。

 




二日か三日後に投稿すると思います。

駄文ですがよろしくお願いします。

今年最後なので、よいお年を

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