〜商店街〜
前回和菓子店に人形を届けてから10分後
「久しぶりだな2人に会うのは。」
「そうだな、大学を卒業してから会ってないもんな。それとマリサもっとおめかししなくてよかったのか?レイムちゃんが来るんだろう?」
「お前まだ言ってんのか。私とレイムはそんなんじゃない。それにそれを言うならお前と光輝との仲も相当噂されていたぞ。」
「ナニィ!ちょ、それはどう言うk「そんなことよりもうすぐ待ち合わせの時間だ、早く行くぞ。」そんなことじゃないだろ!あっ待ってくれ!」
〜豊田駅前〜
豊田駅前のバス停横のベンチ、そこで2人の若い男女が待ち人を待っていた。
「遅いわね〜。一体何してるのよあの2人は、場所を指定しといて。こういうのは指定していた方が早く来るのが常識じゃない。ね光輝さん。」
「まあ確かにそうだね。しかしあの2人が遅れるなんて珍しい何かあったのか。」
彼らの名前は男性の方が緋野村 憲晴、女性の方がレイム・アバーライン。彼らは学生時代の友人に会いにこの豊田市に来ていた。
「しかし、この街に来るのも久しぶりだな。あの教授は元気にしているかな。」
「そうね、私は今ロンドンに住んでるからそうそう来れないのよね。でも光輝さんは意外と近くに住んでいるんじゃなかったかしら?」
「ああ、済まない言ってなかったようだが大学を卒業してから引っ越したんだよ。四国の方にね、だからそうそう気軽には来れなくてね。「おーい。」話ようやく来たか。」
「済まん遅くなった。」
「本当よレディーを待たせるなんて何考えているの?」
「まあ、まあ光輝も反省してるようだしいいじゃないか。」
「貴方もよ、マリサ!」
「私もかよ!」
「それよりどうしたんだ、2人が遅れるなんて珍しいじゃないか?」
「いや実はね、、、
「そんなことがあったんだ。ただそれって警察に報告すべきことでしょ!」
「「いや、まあその、」」
「まあ咎められた時はその時だな。それじゃあそろそろ行くか。」
「行くってどこに行くんだ緋野村?」
「お前の事務所に決まっているだろ。」
〜聖川探偵事務所前〜
聖川の探偵事務所前には1人の男が立っていた。
「ん、あの人は。、、徐手教授ではありませんか。」
「お、君は聖川君か。久しぶりだな。」
「お久しぶりです。ところでなぜ教授はこのようなところに?」
「なに、マリサ君から電話をもらってね、緋野村君とアバーライン君がここに来ると聞いていてね、会いに来たというわけだよ。」
「「お久しぶりです徐手教授。」」
「ああ久しぶりだね、緋野村君アバーライン君。また君達に会えて嬉しいよ。マリサ君は2日ぶりだね。」
「そうですね。私は教授にちょくちょく会いに行っていますからね。それで教授、明野君も来てるんですか?」
「彼は今道路の向こう側のコンビニにいるよ。みんなも揃ったようだし彼を呼び戻さないとね。」
(いまマリサって人によって話し方がずいぶん変わるわね)
〜聖川探偵事務所〜
「お久しぶりですレイムさん相変わらずお美しくて何よりです。あ、他の皆さんも久しぶりです。」
「おい、明野俺たちはオマケかなんかか?」
「いえ聖川さん、滅相もございません。」
「それで何で良夫もいるのよ。」
「まあまあレイム君そう邪険しない。彼は私がマリサ君に誘われたとき一緒にいたから来ることになったんだよ。」
「そうなんですよ。レイムさんが来ると聞けばこの僕は火の中水の中どこにでも行きますよ。」
「あっそ、それでマリサこれからどうするつもりなのよ。」
「そうだな、まずは久しぶりに教授の不思議体験を聞こうか。お願いできますか教授?」
「おいマリサそんなこと聞くのか?」
「不思議なことは実在するんだぜ。」
「そうだね、じゃあとある植物園に行った時の話をしようか、あれはもう10年以上前のことだ、、、、、
ジリリリン、ジリリリン、ガチャ
「はい徐手です。」
「あ、正義君。僕だよ僕。」
「僕の知り合いに僕なんて名前の方はいませんが。」
「んもう、意地悪しないでよ。正義君の友達の浅野ユキよ。」
「ああ浅野ちゃんか。分かってたよ。それで今日はどうしたの?」
「えっとね僕が園芸とかの研究をしているのは知っているよね。そのことでノーデンス植物園というとこにお世話になっているだけどそこの管理人と仲が良くてね無料のチケットをもらったんだ。それでこのチケット併設されているカフェの割引券も兼ねているんだって。」
「ふーん、ノーデンスねえ。その植物園の持ち主はケルト神話に興味でもあるのかな?」
「ううん、有名な植物学者の名前だよ。それでどうするの?」
その問いに浅野に好意を寄せていた僕は行くと答えた。
浅野と一緒にパンフレットをもらい植物園に入る時彼女は[この植物園の管理人は自分が学生のときから慕っている先生、小島カオルである。今日はいるはずだから珍しい植物の解説なんかもしてくれるのではないか。]ということを話してくれた。
植物園の中は何やら甘い匂いが漂っていた。
「おかしいな何時もはこんな臭いなんてしないはずだけどな。」
「そうなんだ。う、なんだ急に、眠く、、、」ドサッ
なぜだかはその時は分からなかったが僕は急に意識が遠くなって倒れてしまった。
目を覚ますと先程までと同じ場所に倒れていた。それと同時に違和感を感じた、視界が狭いのだ
「ん、なんだ、、、うわーー!!」
徐手 現在正気度75→74
その原因を確かめるため片目を触ろうとした時気付いてしまった。片目からなんと植物の蔓のようなものが生えていたのだ。
「きゃああー!!」 浅野 現在正気度45→43
悲鳴を聞いて振り向くと浅野の右足にも蔓が生えていた。
「大丈夫かユキ!?」
「だ、大丈夫だよ。今までこんなことなかったのに。小島先生や他のお客さんはどうなったんだろ。ねえ、正義一緒に探してくれない。」
「分かった。確かに他の人がどうなったか心配だしな。」
それに受付は蔓に塞がれていて出れそうになかった。その植物は私たちの体から生えているものと同じ種類のもののようだった。それと、手元のパンフレットには今までのものとは違う地図が書かれていた。
「その地図は大体こんな感じだったよ。」
そう言って徐手は持っていたメモ帳に簡易な地図を書いた。
○○○○○
○❷❸❹○
○❶空❺○
○↑空❻○
○受ーカ○
受:受付
カ:カフェテリア
ー:蔓の壁
「まあ取り敢えずはこんなところか。それでは話に戻ろう。」
❶招待状の部屋
部屋の真ん中に机があり、洒落た封筒が置いてあった。部屋の壁沿いには植木鉢に植えられた花が咲いていた。
封筒の中身を確認すると《出口でお茶会はいかが?赤いお茶を用意して、みんなで青い花でも眺めよう》と書かれた招待状とチケットが入っていた。それと部屋の中は青い花だけがなくなっていた。
「これは一体どういうことなんだ、まるで何者かの手によって引き起こされたみたいじゃないか。なっ!」
私が少しチケットを手にとっていると招待状に書かれた文字が消えたのだ。
「何かのトリックか?」 徐手 現在正気度74→73
「どうしたの何かあったの?」
「いやなんでもない。」
「ん、なんだろこれ、徐手ちょときてよ。」
私が彼女のそばに行くと彼女は何かのメモを見せてきた。
・メモ・
《それは君の才能だ。君でさえも芽を摘むことはできい。栄養があればもっと大きく強く育つ》
「これは、この蔓のことを言っているのか?」
この後はこの部屋で喋るようなこともなかったので話を進めさせてもらおう。
❷資料の部屋
その部屋は本棚と薬品棚、群生する植物で構成されていた。僕はその本棚がなぜかとても気になったんだ。その中で2冊の本と論文がが特に僕の目を引いた。
「この本は
《ハーブと生活の歴史》
医薬品が充実していなかった時代、ハーブは治療や健康に欠かせないものだった。
抗生物質が発明されていない時、殺菌作用のあるハーブは大切な薬草だった。これらは現代においても、十分使えるものがある。
例えば、ハーブに含まれているタンニンは、傷口のタンパク質と結合して止血する作用、火傷の患部のただれを防ぐ作用もある。
切り傷に役立つハーブは、ヒソップやローズマリーなど。葉を煮出した浸出液でガーゼを湿らせ、患部に当てて止血する。
《ハーブティーの効能》
ラベンダーは鮮やかな紫の水色をしたハーブティーで、鎮静効果があり、イライラや不安感、不眠症に有効だ。
マロウブルーはせきや気管支炎などの呼吸器に効果的で、花で淹れたハーブティーはレモンなどに反応して赤く変色する。
ハイビスカスのハーブティーは美しい赤の水色をしており、ビタミンCやクエン酸が豊富で美容や疲労の回復に効果がある。
「なるほどこれはいいことを知った。さてと論文の方は、「まって、これは僕が読むよ。」あ、ああ分かったよ。」
「こ、これは、、」プルプル 浅野 現在正気度43→39
「だ、大丈夫か?「大丈夫。」そうか。それでどんな内容だった?」
「人間の血で植物を育てることはできないっていう内容だったよ。」
「そうか。ありがとう。」(ならこれはなんなんだ?)
薬品棚
この場所のことは省こう。結果を言えば除草剤6本と液体肥料3本が見つかったんだ。その時はこれがのちに役立つことになるとはその時はまだ知る由もなかったが何故か持っていかないといけない気がしたんだ。
「そんなもの持ってどうしたの?」
「これを持っていると何故だか落ち着くんだ。それと、あそこの花とか美味しそうだな。」
「え?」
「嫌なんでもないよ。次の部屋に行こうか。」
❸階調の部屋
左右に草丈が腰くらいまでの花が咲いている部屋。計画的に植えられているのか、手前が白、奥の部屋へ向けて黄色、橙、赤、紫とグラデーションになっていた。
そして、この部屋に入った時
「ひっ、さっ成長している。」 浅野 現在正気度39→39
浅野の足に生えていた蔓が成長して蕾ができていた。
(なんなんだこの植物は成長速度が異常だ。)
徐手 現在正気度73→72
「この部屋には何もないようだしこの植物も気になる、早く次の部屋に向かおうと思うがいいかな?」
「うん。」
❹疑念の部屋
藤棚のようなものがあり、天井一面に紫や白、赤の花が咲いていた。花弁がひらひらと散っていて、床も同じような色に染まっていて、誰かが通った跡はなかった。
「ん、これは、手帳?」
僕は花びらに埋もれていた日記と手帳が見つかった。
《小島の日記》
《2/2
仕事がひと段落しそうだ。今年も1年経つのは早かったな。春先に咲く植物の健康診断をしておきたい。それからついでに今年も風景画を描こう。今から描けば花が咲く頃にちょうど花弁を描けるだろうか。これだから油絵は楽しい。
2/17
浅野君の研究が順調であると聞いた。在学中から面倒を見ていた愛弟子が喜んでいる姿を見るとこちらも幸せな気持ちになる。
そういえば最近、珍しい植物をもらった。多肉植物のようだが類を見ない植物だ。これについての研究もしてみたい。観察日記はつけておこう。
2/25
研究が上手くいかない。体調が悪い。なぜかすぐ植物が枯れる。しばらく休みをとっていなかったせいだろうか。気持ちが滅入る。
3/2
多肉植物について調べていたら浅野の名前を発見した。どうやら順調らしい。しばらくぶりに会ったが自分の研究が上手くいかないことばかり話してしまいそうになって嫌になる。浅野は励ましてくれるがそれを素直に受け止める余裕がない。申し訳なくて、悲しい。
3/16
どうして浅野ユキの研究ばかりが評価されているんだ。私の研究は、本当のことを書いているのに、信じてもらえないのに、どうして。あの植物は本当にもう腰丈ほどまで成長したんだ。スケッチがダメなら写真を見てくれ。スケッチがいけないのか。信じてくれ。もう描かないから、信じて。
3/24
どうして私の研究は受け入れてもらえないんだ!どうして、どうして、どうしてどうして。本当に背丈を越えたんだ!これは!どうして!!浅野がいけないのか。なぜ!わからない!あさのの研究よりも私のほうが大発見だ!なぜわかってもらえない!浅野さえあさのさえいなければよかったのに。あさのなんていなければ、あいつが論文なんて書かなければ、成長がはやいのはほんとう、嘘なんてついてないんだ。 あさの、しんじて。
3/30
あさのをみかけた。あさのだった。あさのが成長する。せをこえた。おおきい。あさの。天井。にくい。そだってよかった。》
(怖ええーー。何なんだよこの日記は。一体手帳の方には何が書かれているんだ?) 徐手 現在正気度72→70
《成長記録》
《 2/19
何日か前にもらった謎の植物について観察しようと思う。触った感覚では柔らかく、多肉植物を思わせる。あまり水をやりすぎてはいけないと思うが、日光にはどれくらい当てるべきだろうか。
2/24
土が合っていたのかすくすく育っている。葉の日焼けが心配だったが、窓際で育てても問題なさそうだ。じきに株分けできそうだが、ここまで成長が早いとは。環境以外にこの植物の特徴なのだろうか。
3/13
腰よりも大きくなったので株分けをしてみた。上手く根付くといいのだが。
3/20
株分けしたもののほとんどが枯れてしまった。成長するにはいい環境なのかもしれないが。発芽する環境は違うのだろうか。
3/26
これくらいおおきい。葉が多い。幹はたにく。なにに分るいされるんだろう。やわらかい。》
その手帳にはスケッチも描かれていたそれを見た時僕は全身に鳥肌が立ったよ。 徐手 現在正気度70→69
「きゃ!」
「え、グハァ」 バシッ
その時彼女の体から生えていた蔓がうねって僕は打ち付けられた。
徐手HP13→11 浅野HP14→13
「大丈夫正義!?」
「ああ、何とかな。何で急に蔓が動き出したんだ?」
「わからないけど、勝手に動いたよ。」
「おっと、そうだハイビスカス積んで行こう。」
「?」
❺樹木の部屋
この部屋に入った時ついに僕に生えていた蔓も成長した。
徐手 現在正気度69→69
この部屋は樹木が生い茂っていた。今までの部屋よりも湿度があるようで空気が湿っていた。部屋の隅には机があり、1人の男性が椅子に座って植物を眺めながら呆然としていた。
「あのー、そこの方ちょっとよろしいでしょうか?」
声をかけて見たがその男性は虚ろな目をして殆ど反応がなかったが浅野を見た途端笑い出して、何か呪文のようなものを唱えた。すると近くの蔓が僕達を弾き飛ばしたんだ。
「ぐっ何だ一体!?」
「小島先生!?」
「アハハハハ、ヒヒヒヒフヒャヒャヒャ。」
「ぐあ!」 バシッ 徐手 HP11→9
「きゃっ」 バシッ 浅野 HP13→9
「ぐっ」 徐手 HP9→5
「ぎゃぁ」浅野 HP9→8
その頃の私は荒事に慣れていなくて避けようとするだけで精一杯だった。
「フヒャヒャヒャ、あ、、、」ドサッ
しばらくすると小島が倒れたんだ。それと同時に蔓も攻撃をやめたんだ。僕が小島に近寄ってみると彼は気絶していた。僕はまず自分たちの応急手当てをすることにした。ちょうど背負っていたリュックサックに必要なものは入っていたからね。
「これで良いかな?どうかな痛むところはあるかな?」
「うん、でもかなり良くなったよ。」 浅野 HP8→10
「それは良かったさて僕の方もやらないとな。」
正直この時の痛みは気をぬくとうずくまってしまう程のものだった。
徐手 HP5→11
その時の処置は非常にうまくいった。心理的作用によるものもあるかもしれないが痛みをかなり減らすことに成功したよ。それでも痛くてかなわなかったがね。
その後小島の様子を見て見たけどどうやら体調不良によるものらしかった。ただこのまま寝ておいてもらうわけにはいかないから、あの手この手を駆使して起きてもらったよ。起きてからも混乱しているようでなかなかまともに会話できなかったけどね。
「はっ、、、私は何を、」
「ようやく正気に戻られましたか。これでようやく質問ができますね。ここは一体何処ですか?」
「私にもわからない。いつも通りここに来たのに、気づいたら景色がいつもと変わっていて、目の前に化け物がいて」
「何処で目覚めましたか?」
「奥の部屋で目覚めたが、大きな化け物がいて襲われたからこの部屋に逃げてきた」
「大きな化け物とは?」
「わからない……」
「どうやって蔓を操っていたんですか?」
「そのバーで習ったような……」
「誰に習ったんですか?」
「お酒を呑んでいたし覚えていない。モデルみたいでかっこいい感じのする人だったと思うが……」
「そうですかありがとうございます。ところで貴方は片方だけ手袋をしているようですが、、」
それを聞くと彼は手袋を取った。そこには蔓が生えていた。しかし彼のそれは萎びて細く乾燥していた。
「君たちのは元気があるようだが自分の蔓はもう枯れている。見たこともない植物だ。」
「あの僕液体肥料を持っているんですが。」
「ふむ、来ないような植物なら液体肥料がかかると何か変化があるかもしれないな。」
「あのそれで貴方の手の萎びたやつにかけたら元気になるんじゃないですか?」
「そうだな、液体肥料を貸してくれ、」
そういう風のやり取りの後彼の手の植物に液体肥料がかけられた。すると、枯れかけた蔓とは別に彼の左目の付近から蔓が現れてあっという間に成長し、顔の左半分を覆う。丁度目だったあたりに青い大輪の花を咲かせた。
徐手 現在正気度69→69 浅野 現在正気度39→38
「青い花だ。あの、」
僕は今までの話をしてその花摘み取ってもらった。それから机の上にあった2Lペットボトルや電気ケトル、水を使って途中で採取したハイビスカスで赤いお茶を作ったんだ。それからそれを水筒に入れてティーカップ対処に持っていくことにしたんだ。
そして次の部屋に行こうとした時
小島がその先の部屋で襲われたのは自分の育てていた植物が更に成長した姿ではないか、育ての親の自分がいれば襲われないかもしれないという提案をして来たんだ。
確かに論理に矛盾する部分はあったけど特に断る理由もなかったしその提案に僕は了承したんだ。
そして、次の部屋に奴はいた。
❻枯葉の部屋
花壇や元々木があったと思われるところには大量の萎びた茎や朽ちた幹、枝などが散乱していた。そして、部屋の中央に植物の怪物が鎮座していた。この怪物の描写は遠慮させてもらうよ。
「なんだよあれ。」 徐手 現在正気度69→65
「あ、ああ」 浅野 現在正気度38→28
「花を、花を小島先生に捧げないと、、」
(いかん、恐ろしさのあまり正常な思考ができなくなったのか、確かに人よりかなり図太い僕だって足が方々震えて今にも漏らしてしまいそうなんだ、だけどあの怪物がいた攻撃してくるかわからないここは。)
「うおおー!」ガシッ
「え?、きゃ。」 バタバタ
僕は彼女を担いで出口に向かうことにした。
部屋の奥には今までよりも重苦しい扉があり、扉には棚のようなものが設置されていた。棚の上にはケーキスタンドとソーサー、ナイフが置かれていた。
僕は青い花をケーキスタンドに乗せてソーサーにティーカップを乗せてハイビスカスのお茶を入れてから扉を開いた。
奥の部屋への重い扉を開けると、覚えのある匂いがしていることに気づいた。それは気を失った時に嗅いだものと同じ、頭が痛くなるような甘い匂いであることはすぐにわかった。それに気づくとまた瞼が重くなるのを感じた。なんとか部屋の中に入れば、本来カフェテリアがあった場所には一人の人影が見えた。
「君たちはすごいね、とても面白かったよ。ご褒美にその花を持ち帰るといい」
その影はそう言うと、空気に溶けるようにして消えてしまった。そして、僕も意識を失ってしまった。
後日僕と浅野は再びあの植物園を訪れていた。あの日の話をしたいと言ったところ、浅野があの日に行けなかったカフェテリアで話そうと持ちかけてきたからだ。あの不思議な体験をした日、誰かが救急車を呼んだらしく気づけば病院に搬送されていたのだが、医者曰く寝不足か何かでしょうということだった。
あの懐かしいような忌まわしい植物園の話がひと段落してから、浅野は笑顔と泣き顔のあいだのような顔をして、小島が自殺したことを教えてくれた。植物学の界隈では、あの人は若い頃は冴えていたんだけどなぁなんていう話が囁かれていることも悔しそうに教えてくれる。しかし生前小島が描いていたいくつもの絵にとんでもない価値がついたらしく、その名は違う界隈でも有名になりつつあるらしい。
「先生、1つは枯れてたけれど、2つめの花を咲かせてたよね。先生はきっと、とんでもない天才だったんだよ。僕も、花が咲くように、頑張らないと」
彼女は顔を歪ませながら、決心するように呟いた。
「浅野実は他にも話があるんだ。」
「話って?」
「こういう話はこういう時にするべきじゃないだろうし、君に不快感を与えるかもしれない。だけど今までずっと言えなかったんだ、だからいわせてくれ。
浅野、いやユキさん学生の時からづっと好きでした。僕と結婚してください。」
「とまあ、こんな感じかな。」
「最後のいりましたか?」
「興味深い、実に興味深いですよ教授。僕もその場に居合わせてみたかったていうくらい興味深いです。」
「オカルトマニアが盛り上がっているわね。それでマリサこの後はどうするの?」
「もちろん決まってるんだぜ、この後は博物館に行こうと思う。」
to be continue
過去の正気度回復
徐手 正義 65→72
浅野 ユキ 28→37
徐手 正義の能力値を公開します。
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