Final Fantasy XV, Return of the King(旧題 ファイナルファンタジー15 新世の王) 作:レレレのレイド
ゲーム的なレベルはLv4~5相当
前世のおかげで戦闘慣れしており戦闘技術は極めて高い
Lv12程度の魔導兵当たりなら15人クラスの部隊でも勝ちに持っていける程度の実力を持つ。
欠点はスタミナ(HP・MP)が低いこと
王の剣のメンバーについて
ノクトが介入する前に死亡したキャラについてはノクトの介入で運命が変化してどうこうというわけでもなく本当にどうしようもない状態ですので本作でも死亡扱いです。
そこのところよろしくお願いします。
14時 王城 和平調印式会場
帝国宰相アーデンは予定の時刻になっても報告がないことに気になった。
「んー。どうやら予定が狂ったみたいだねぇ。向こう側が一枚上手だったのか、それともーこちらの手札がひ弱過ぎたのかわからないけど。少々時間がかかるけど、第二プランで行くとしますか。」
アーデンはそう独り呟いたのち近くの兵に小声で何かを伝え、イドラ皇帝のもとに歩みより小声で話しかける。
「予想外に苦戦しているようです。第二プランの準備を進めます故、皇帝陛下にはもうしばしお時間をお稼ぎいただきたい。」
「フン・・・・・使えぬ者どもが・・・構わぬ。奴との会談は不愉快ではあるが・・・しくじるなよ、アーデン。」
「御意。」
皇帝陛下の了承も得たことで第二プラン開始の旨を通信機で伝え始める。
「王城内部の帝国兵に伝達・・・・第一プランが失敗した可能性があるため、これより第二プランを開始する。クリスタルジャマーの使用を許可する。繰り返す、クリスタルジャマーの使用を許可する。ジャミングが成功し魔法障壁が解除され次第待機している艦隊に連絡を入れを王都に突入させ・・・・クリスタルを奪取せよ。」
そう命じアーデンは議場を後にする。アーデンには第一プランを邪魔してくれた存在が気になっていた。
王城内の内通者の情報から警備の情報は把握済。囮の救出の為、王の剣は不在。力のあるものは議場におり王城内の警備は非常に手薄であるはず。投入した帝国兵がいかにぼんくらであろうともあの物量での奇襲に護衛の王兵が耐えられるわけがないのだ。
「そんじゃ・・・・俺は第一プランを邪魔してくれたイレギュラーの確認でも行きますかねぇ。向こうさんが用意した秘策とやらが何なのか楽しみだ。」
口元に笑みを浮かべ彼は議場を後にする。
場所は変わって王城クリスタルの間、階下
ノクトとグラディオは少なくない帝国兵を蹴散らしつつ議場へと向かっていた。
「っクソが!!」
議場に向かう最中、目の前に帝国兵と交戦している兵の一団を見かけるとその一団に向かいシフトを用いて即座に向かう。
今にも帝国兵に殺されそうな兵士を背後から伏龍王の投剣の一撃を食らわせ瞬時に屠り助ける。
流れる動作で別の帝国兵に剣を投擲し攻撃が当たる瞬間にシフトで転移し十文字に切り裂く。
帝国兵の目がノクトに向いたその隙をグラディオが見逃すはずがなく、大剣を敵にぶん投げて帝国兵を吹き飛ばす。
一通り帝国兵を殲滅したらノクトは助けた王兵に声をかけた。
「大丈夫か!?」
「ノ・・・ノクティス様!?どうしてこちらに!?」
「どうやら大丈夫そうだな。悪いが生き残った連中を纏めて上に行ってクリスタルの護衛をしてくれ。帝国兵らは俺らが倒す。」
「っは・・はい!!!」
ノクティスは兵士の質問を無視して指示を下す。
襲撃が始まっているのだ。もはや一刻の猶予もない。
「今の戦闘といい、その状況判断からの指示といい、ノクトお前何があった?・・・・っとすまねえな今はそれどころじゃねえな。後で説明してくれよ?」
「ああわかった。約束する。・・・・っ!!」
少ししてフロアの制圧が終えグラディオと軽い会話をこなした時、さらなる異変が起きた。
突然、王城の四方から赤い閃光が昇り王城を覆い囲んだのだ。
「なん・・・・だこりゃ?」
状況がつかめず困惑するグラディオに対しノクトはある感覚を感じていた。
かすかな違和感。この感覚をノクトは覚えていた。確か・・・・前世のジグタナス要塞で感じたものとほぼ同一、だが影響力は前世の比にならないくらい弱いものだ。あの時とは何かが違うのだろうか。こちらの魔法には影響がなさそうだ。
「・・・・ジャミング・・・」
「ジャミングだと?帝国の連中は一体何をジャミングしてんだ?」
「そりゃあクリスタルの力に決まっているだろう?」
「・・・・テメェは!!」
突如響く声に振り向くノクトは宿敵の姿を目にする。
前世におけるルーナの仇であり自身の祖先でもあり世界を破滅させようとする追放されし王
今は世界最強の帝国の宰相にして帝国の実権を握る男。
「あんたは一体・・・」
「あいつは二フルハイム帝国宰相・・・アーデン・イズニアだ。」
「だーいせーいかい。初めましてノクティス王子。俺の顔と名前を知ってるなんて意外だねえ、それがお前さんの素顔ってわけかい?・・・まあいいや、どちらにしてもお前さんにはしてやられたよ。こちらの裏を斯いて王城に戻っていたとは・・・・さ。おまけにこちらが差し向けた帝国兵の一個中隊を殲滅するだなんて予想外にもほどがあるねえ。さすがは・・・選ばれた王だけはあるってことかな?」
帝国の宰相が現れたことに驚くグラディオらに対し、ノクトは冷静だった。
王の武器を集め六神の啓示を受けた上で力を蓄え、光耀の指輪をつけた状態でようやく勝てた相手だ。今の状態で戦いを挑んだとしても勝てないことぐらい直感で分かっていた。
「クリスタルのジャミング・・・まさか!?てめえら帝国の目的は魔法障壁の破壊か!?」
「へえ・・・それも正解。ただの道楽王子ってわけじゃない訳・・・か。クリスタルジャマーってさあ魔法障壁内部からじゃないと発動しても意味ないんだよねえ。じゃあさ、俺たちが次することもわかるでしょ?王子?」
魔法障壁が無くなれば、魔導船の侵入は容易となるだろう。
帝国は襲撃に備え、大規模戦力を差し向けていたはずだ。それが容易に王都に侵入できるとなると・・・・・・
この瞬間、クリスタルの奪取を防ぐということは不可能に近くなったことをノクトは悟った。
「グラディオ!!今すぐ上に行ってクリスタルの間を守っている連中に伝えろ!!クリスタルの奪取は避けられない!!戦力温存・・・いやお前たちの命の為のためにもそこからすぐに離れて議場へ向かえと!!」
「・・・・ごだごだ言ってる暇はなさそうだな。わかった伝えてきてやる・・・が、ノクトお前は絶対死ぬなよ!!」
「宰相とやりあうつもりはねーよ。頼んだ!!」
現状で最善ととれる選択をとりつつグラディオと別れ、ノクトはアーデンと向き合う。
「へえ。俺と・・・戦わないとはどういうつもりなのかな?臆病風に吹かれたのかい?」
「テメエは今の俺とやりあっても何の意味もないだろうが。俺が力を蓄えてからクリスタルと未来そのもの同時に叩き潰すまで手を出さない。アーデン・イズニアはそういうしちめんどくせえ男のはずだったと思うが?」
アーデンの挑発に対し未来でしか知りえない事実を交えて挑発で返すノクト。
アーデンの纏う空気が一瞬変わったが気にせず口を動かす。
「アーデン・イズニア、お前の相手なら後でたっぷりしてやるからそれまで我慢しておくんだな。」
「ハハッハハハハ!!・・その言葉・・・・覚えておこう・・・じゃあまた会おう。・・・ノクト。」
ノクトの台詞に笑みを浮かべ身を翻し立ち去るアーデン。
手をひらひら振りながら去るアーデンは立ち去り際にノクトに対しとある爆弾を投げつける。
「あ、そうそう。ノクト、愛しのルナフレーナ様ならあの魔導船団のどこかにいる。お救いしてやりなよ。ま、あそこまで行けるならばの話ならな。じゃあ、その時を楽しみにしてるよ。選ばれし王様。」
「・・・・・・っ!!」
アーデンの言葉に返答する前に上のほうからガラスが割れるような音が響き渡る。
これは・・・・第二魔法障壁が崩れ去る音だ。
「帝国のやろう・・・・王城で好き勝手しやがって・・・・」
アーデンの言うことは気に食わないが今後の指針は決まった。
ルーナの救出のためにノクトは魔導船に乗り込むことを決意しバルコニーを目指す。
15時 王城 バルコニー
バルコニーへと出たノクトは魔導船を確認して違和感を覚える。
「ん?あの魔導船燃えてねーか?」
そう、大型魔導船の二隻が炎上しているのだ。
そういえばここまで王の剣の隊員と一人とも会っていない。もしかしたら・・・・
「あの魔導船に乗りこむか・・・」
飛王の弓を召喚させ、炎上する魔導船に向かい矢を打ち込み矢に対しシフトを使う。
一回でのシフトで届かないのは承知していたため転移直後に再度弓を打ち込みシフトを行う。三度同じことを繰り返し魔導船よりも高い位置に転移し内部がよく見えてきたところでノクトは異様なものを目にする。
「・・・!?あれは魔獣か!?」
爆発炎上する魔導船内部から見えたタコの魔獣を目にしたノクトは落下中にも関わらず魔獣目掛けて矢を放ちシフトブレイクを行い攻撃した・・・・・。
ルナフレーナがタコの化け物に捕らわれ救出を試みようとしたニックスは破壊された隔壁から化け物目掛けて飛んできた矢に目を奪われる。
「なんだありゃあ・・・・?」
次の瞬間、ニックスも目にしたことがあるシフトの転移現象が発生し、王都にいないはずの黒服の少年が出現した。
「・・・・!?あれは・・・・ルーナ!!」
「ノク・・・ティス・・様?」
化物に捕らわれながらもノクトの姿を見つけたルナフレーナは呆然とノクトの名を呟いた。
涙がこぼれそうになる。
「ルーナ!!今助けるから!!我慢してくれ!!」
ルーナを見つけたことでノクトの胸中にくるものがあるが今はそういう場面では無い。ノクトは気持ちを切り替え化け物に対し全力で戦闘をすることを決めた。
今まで使わなかったが現状で出せる力の限りを尽くしてあの化け物を叩き潰してルーナを助ける。
ノクトは周囲に十三のファントムソードを展開する。
タコ足が自身に迫ってくるのをシフトで移動し回避しながらタコ足の一本に賢王の剣を投擲しシフトブレイクで攻撃する。
突き刺した賢王の剣をそのまま切り上げ足を蹴飛ばして距離を取りつつ伏龍王の投剣を投擲し投げつけた姿勢のまま神凪の逆鉾を更に召喚しやり投げの要領で続けざまに投げつける。
伏龍王の投剣がタコの目元に神凪の逆鉾がルーナが掴まっているタコ足に刺さったところでシフトブレイクを連続で発動させ高速移動しながらひたすらに攻撃を加えていく。
ノクトがすさまじい戦闘を繰り広げタコの足が次々切り落としている中、ニックスの周囲に裏切っていない王の剣メンバー3人が集結する。近くには彼らが脱出用に確保した魔導船が接舷している。
「ニックス!!無事だったか・・・・あれはいったいなんだ!?」
「さあね・・・あれはノクティス王子だ・・・・丁度、ルナフレーナ様が掴まったところにノクティス王子が来て戦闘が始まった感じだな。恐らくルナフレーナ様には
ノクティス王子がヒーローのように見えるかね。」
「お姫様を救う王子様・・・・ってか」
「おとぎ話みたいな展開ね。」
「はは・・・・違いない。あのタコもだいぶ弱ってきてる。今のうちにルナフレーナ様をお救いするぞ。」
そうニックスが言い切ると王の剣の全員が支柱を蹴りタコへ飛び掛かる。
ニックスはルナフレーナが捕らわれる近くのタコ足にククリ刀を投擲しシフトを行い救出に当たり、他の3名はサンダーやファイアなど魔法で攻撃しノクトを援護する。
王の剣の隊員が放った魔法がタコに直撃しノクトの攻撃で怯んだ隙をついてニックスがルナフレーナを救出した。
「あああああぁぁぁああああ!!!!これで・・・・・止めだ!!!!」
ノクトは王の剣の隊員がルーナを救出したのを横目で見るとともに。この戦闘を終わらせるべく持てる力の限りを尽くす。
タコに夜叉王の刀剣のシフトブレイク、闘王の刀による高速の居合いによる連続攻撃を加え、止めにと覇王の大剣を召喚し脳天を貫く。
「・・・・・じゃあな!!」
タコに別れの挨拶を言い蹴って距離を取るとともに予め精錬していたファイラを投げつけルナフレーナと王の剣の隊員が避難した小型魔導船にシフトした。
転移直後、大型魔導船内で大爆発が起き小型魔導船を大きく揺らす。
「はぁっはぁっ・・・・慣れない・・・はぁ・・・ことは・・・・するもんじゃないな。」
その場でへたり込むノクトを王の剣隊員が出迎える。
「見事な活躍でした王子!!」「これが愛の力ってやつかすごいもんだ・・・」
「ノクティス様・・・・」
へたり込んでいるノクトにルナフレーナが歩み寄る。
ルナフレーナの言葉に顔を上げる最愛の人物を視界に収めるノクト。
「ルー・・・ナ。」
ノクトは疲れているのにもかかわらず体を起こしルナフレーナの下に駆け寄り・・・・
その華奢な体を強く抱きしめた・・・・
「・・・・今までっ!!会えなくて・・・・ゴメン・・ルーナが辛かった時に俺は何もしてやれなくて・・すまなかった・・っ・・・・ルーナは世界のことを考えているのに俺は・・・俺はっ・・・!!」
ノクトの慟哭に涙を浮かべながらルナフレーナもノクトを抱きしめる。
「ノクティス様・・・やっと・・・やっと会えた。やっとお声が聴けました・・・私は今、ノクティス様にお会いできて本当に・・・本当にうれしいです・・・・っ!!」
お互い涙を流しながら固く抱擁する二人。
王の隊員からしたらほんのわずかな時間だが彼らにとっては永遠にもとれる長さの抱擁であった。
まだ王都攻防戦は始まったばかり・・・・・・だがノクトの介入により攻防戦の経緯が大きく変貌したということは誰も知らない。