あ、キャスガメッシュ様お迎えしました。ついつい聖杯も1つ献上しました。
視界の端にあった街灯のポールの頂上に現れた黄金の光、それは輝く甲冑の立ち姿となって限界した。それっぽく言っては見たけど、簡単に言えば慢心王様が乱入してきた。
今まで黄金のタレとか言って馬鹿にしてたけど、実際に相対して実感する。存在感が違う、プレッシャーが違う。確かに英雄王は、別格のサーヴァントだ。優雅がセイバーを望んでたとか聞いた覚えがあるけど、これでもう十分じゃん。
「我を差し置いて“王”を称する不埒者が、一夜のうちに2人も湧くとはな」
冷や汗が垂れる。どうしよう…楽しもうと意気込んでたのは良いけど、我様だけはちょっとマジになっても勝てない気がする。まあ、セイバーライダーにも宝具使われたら怪しいし、大鎌と『
「難癖つけられたところでなぁ、イスカンダルたる余は世に知れ渡る征服王に他ならぬのだがなぁ」
「戯け。真の王たる英雄は、天上天下
あとは有象無象の雑種と言うのも、正直第七特異点を知ってる身としては否定し難い。イスカンダルが好きってマスターの意見も分かる。だって、私が地味に固まっちゃってる圧に対して問いを投げかけれるのだから。そしてキレた英雄王の殺気を真正面から受け止め、『
『ちょっとキャスター、もうヒトヅマニアさんはいないんだからどうにかしないと。ん? これはこれで続きが気になりはするかも?』
『大丈夫だよマスター、ちょっとビビってたけど…もう抑えない。だから、そこも今から危険域になるけど許してね?』
『え、嘘なにそ』
突然入った念話を切り、気合を入れなおす。下手したらここで敗退、けど楽しみは増大。聖杯戦争に戦いたいから参戦したんだし、やるなら後者に全額賭けるに決まってる。
「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を知らぬと申すのなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すらない」
「そうは言うけどさ、バビロニアの英雄王。私としては、あなたがそんな状態で召喚されて…しかもマスターに騙されてるのにも気づいてないとかがっかりです」
私は心底落胆した態度で、イスカンダルと英雄王の会話に介入する。私としては正直、第七にいたキャスター我様の方が好きだもん。この場にいる誰もが私の行動に息を飲むのを感じる。まあこれでこんな鯖がキャスターだなんて思う輩はいなくなるだろうし、今の私の限界を試すのにも丁度良いだろう。
「ほう、時臣がこの
どうやら優雅さんの事に惹かれてこっちに気を向けてくれた様だった。バビロンから顔を出す宝具と一緒に。まあ、これでバサスロさんの役割は果たした。ならば後は好き勝手に言わせてもらおう。優雅め破滅するが良い。
「だってこの左眼、あなたの大っ嫌いな神からの貰い物ですし。あ、イシュタルではないですよ」
「……続けるが良い」
神って言葉を出した瞬間、一段と殺気が強まった。多分つまらない事を言った瞬間バビロンから顔を覗かせてる宝具が斉射されるだろう。イシュタルじゃないってのがプラスに働いてくれたのを祈る。
でもこれはアレだね、ティアにはアサシンの駆除に動いてもらっていて正解だった。もし隣に出てきてたら問答無用で殺しに来られてた。
「それにお宅のトッキー、『英雄王ギルガメッシュ』を尊敬してはいても、サーヴァントのあなたに対しては精々が美術品程度の尊敬しか持ってませんし。それにトッキーの願いはこの世の内で完結しないから、最後にはあなたを令呪で自害させるつもりですよ? 魔術師なんて基本、サーヴァントを道具や奴隷としか見ていない」
今頃トッキーは必死に弁明でもしてるのかな? いや、我様が凄く良い感じにニヤついてるからきっとそうなんだろう。このままじゃトッキー破滅計画は頓挫しちゃうし、もうちょっと頑張ろう私。
「かと言ってサーヴァントである身の上、マスターからの魔力供給が途切れてしまえばひとたまりもない。けれど、サーヴァントのいないマスターがいれば問題はないです」
そこまで言ったところで、ティアから終わったと連絡が入った。うん、百貌さんはどっちにしろ早めに潰しておきたかったし是非もないネ。
「今、トッキーの隣にいる麻婆神父がそれになりました。英雄王の眼鏡に適うかは分かりませんが、中々に面白い男の筈ですよ?」
言い切った。これ以上はケイネスさん辺りが痺れを切らすだろうし、多分丁度良い具合に決まったと思う。多分、こうした方が絶対楽しい事になる。聖杯戦争を楽しまない? なにそれエリクサー病ですか?
「中々に面白い話を聞かせて貰った。だが、王の会話に断りもなく割り込み、あまつさえ我を侮辱するなど万死に値する」
英雄王の左右に浮かぶ宝剣と宝槍が、完全に射出体勢に入るのが見えた。あ、これ、まず
「しかし今の我は気分が良い。これで許してやろう、雑種」
そう言い捨てると共に、私に向かってなんらかの宝具の原点が射出された。私もあんまり言えたことじゃないけど、宝具の使い方が雑すぎる。一応、英霊を象徴する武器の原点だっていうのに。
だけどその威力は、間桐邸を襲撃した私の
「やぁっ!」
◇
問答の
「雑種ども。次までに有象無象を間引いておけ。我と
それを見届けてから、アーチャーは実体化を解いた。黄金の甲冑姿が空気に溶け消え、それと同時に舞い上がった粉塵も落ち着きを見せ始める。
「あの童、確かに本人の言う様に油断をしてると首を取られかねんな」
「クラスが分からないとはいえ、あの年でえらい使い手よのぅ」
「いやいや、私はあなた方に褒められるような使い手じゃないですよ」
本当はもうちょっと隠れていたかったけど、褒められるのは正直恥ずかしいので渋々実体化する。
そして私のやった事は至って簡単だ。飛んできた宝具を
「こんなちびっこが生きてる!? そんな馬鹿な!」
「馬鹿なって言うけど、出来ちゃうもんは出来ちゃうんだから仕方ないじゃん。ウェイバーくん」
私は大鎌を担ぎ、ちょっとムッとした表情で言う。キャスターが近接戦してなにが悪いって話だよ。この世には…いや、座には? 殴ルーラーとかセイバー殺す
そしてなんだろうか、その人達を思い出すだけでちょっと胸が熱くなる。我様と話したせいでちょっと冷めてた闘争の熱が再燃する。
「だからまあ、一丁派手にドンパチやろうよ征服王。私は騎士の一騎打ちに割り込む程無粋じゃないから、あっちに混ざる気はさらさらないし」
そう言いつつ、青王と自害さんをチラリと見る。まあ、そっちはそっちで仲良くやっててくださいな。
一旦そこで言葉を切って、切れかけていた戦意に再び火を灯し殺意を爆発させる。 一応私なりの宣戦布告だ。もし宣戦布告しないで奇襲したらパールハーバーだからこっちが殲滅されても文句は言えないからね、仕方ないね。
「なにより、マスターが尊敬できるっていう王様と、一度本気で殺り合ってみたかったんだよね。いざ、参る!!」
そう言って私は、マスターとの約束も完全に忘れライダー組に突撃したのだった。私が現界した目的、果たさせてもらう!
銀「ライダー組は出来るだけスルーね、お願いだよ?」
イ「りょーかい了解」
↓現実
イ「ヒャッハー」
銀「 」
そして分裂してた人格1つ1つがSAN値0になり、それが本体に戻ったせいでちゃっかり脱落した百貌さんに敬礼( ̄^ ̄)ゞ。ダンスしか見せ場はなかった模様。