なんとなくFate   作:銀鈴

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シルヴァリオ・ヴェンデッタ成分多めでお送りいたします。


zeroに至ってほしい物語 其之捌

「ハァァァァッ!」

「どうした、何かしてみせよ」

 

 私が振るった大鎌の軌跡をなぞり爆炎を発生させ、桁違いの熱量で原初の宝具達を蒸発させる。しかしその爆炎の向こうから新たな宝具群が飛来し、続いてこちらも迎撃するというイタチごっこに現状は陥っていた。

 自分で使っておいてなんだけど、そもそもの話「英雄王ギルガメッシュ」との相性自体が元々最悪なのだ。こちらが死因を持つ英霊である以上、宝具群の中にあるそれに繋がる物により撃破され、神性がある以上神殺しには勝ち目は薄い。

 だからこそ、こちらが何倍もの出力で相対しなければいけない。奇をてらった使い方なんてした場合、私はこの魔術に問答無用で焼き尽くされるだろうしね。この魔術を使ってるうちは、私たちは王道しか歩ませてもらえない。

 

「そんな事を言うなら、貴方本人が、手ずから私の命を摘めばいい! この慢心王が!」

「慢心せずして何が王か! 貴様程度、全力で相手するに足りんわ!」

 

 毎秒上昇していく出力で放った大火球が、マシンガンの様に放たれる宝具の雨を蒸発させ英雄王に迫るが、突如『王の財宝』から出現した盾によって打ち消され消失する。

 いくらこの魔法が、王道を選ぶ限り出力を天井知らずに…それこそ私の命をも顧みず上昇すると言っても、今みたいに炎を打ち消す宝具なんて使われたら最悪の一言に尽きる。だからこそ、

 

『斑の衣を纏う者よ、AGLAーー来たれ太陽の統率者。

 モード失楽園より、ウリエル実行!』

 

 限界を超え上昇した出力でキャスターが放った数億度に達する劫火が、炎の打ち消す宝具をそんな効果を無視して蒸発させる。いくら打ち消すとか消滅させるといった宝具でも、所有者でしかない以上英雄王には太陽の直撃は防げない。そして、発生した光熱の余波が英雄王を襲い焼き焦がし、次の瞬間にはその爛れた皮膚が再生した。

 王の玉体がどうのって話なんだろうけど、果てしなくウザい。消えてしまえと願う気持ちが増大したお陰で、私の限界を超えて更に出力は上がっていく。

 

「ちぃっ、天の鎖よ!」

 

 舌打ちしながら展開される対神性の最終兵器、天の鎖(エルキドゥ)。確かにそれは、今の私にも有効だろうね。一度捕らえられたら、多分2度と脱する事は出来ないだろう。あくまで捕らえられたら、の話だけど。

 

「それはもう知ってるんだよ! 開け『もう1つの世界(アナザーワールド)』」

「なにっ!」

 

 射出された黄金の鎖を私に届く前に異界に呑み込み、即座に門を閉じ固定、無力化に成功した。キャスターの力を受け継いで、更にその当人から直接のサポートを受けているお陰で出来る芸当だった。

 自信満々に繰り出したズッ友チェーンを破られた事で、一瞬ではあるが英雄王の動きが止まり…その十分な隙に私は大魔術を組み上げた。

 発動し続けているこの魔術の真骨頂は炎じゃなく、()()()。命も魔力も演算能力も酷使するけど、それさえ厭わなければ戦略兵器の真似事だって問題なくできる!

 

創生(フュージョン)純粋水爆星辰光(ハイドロリアクター)ーー消し飛べぇ!」

 

 それは重水素と三重水素の核融合第一段階から生み出される、前世の私からしても今の私からしても未来の戦略兵器。放射能を発生させない、清潔(クリーン)な虐殺の火。因みにキャスターの知識そのままだから、意味はあんまり分からない。

 けれど、解き放たれた大熱量は絶望的なまでに巨大。この展開している異界すら消し飛ばさんとする炎の波濤が、私たちごと英雄王を呑み込んだ。

 

「キャスター、ティアさん!」

『はいはいっと』

『全く、邪神使いが荒い』

 

 勿論、これに何の対策もしなければ私だって骨まで残らず焼滅する。だから戦闘する私とキャスターと、術式を制御してくれてるティアさんとで最大の防御魔術を行使する。

 元々のスペックも考えて、十分に耐えられる。そう確信した私の目の前で、全力に近い炎が忽然と消え去った。

 

「おのれ…雑種如きが、我に財を使い捨てさせおって!」

 

 そんな声と共に飛来した氷の斬撃、炎の刀身、弓矢が防御に使っていた炎の壁に当たり蒸発した。攻撃から察するに、1個目のは知らないけど、2個目は『万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)』、3個目は…『真・射殺す百頭(ナインライブズ)』…だったらいいなぁ。違ったら恥ずかしいね

 

『まあ、うん。無駄遣いは良くないよね。うっ、家計簿を作った時の悪夢が…』

「偶には無駄な浪費くらいいいでしょうが!」

 

 内にも外にも半ギレで返答する私に飛来したのは、山すら斬り裂けそうな頭のおかしい大きさの刀身。流石にこれは蒸発させる事は出来ない。ならば使うモノは、威力の不足した集圧(ベクター)ではない。

 

 異界の中に存在する魔力を放出する太陽の様な発光体を中心に、色とりどりの巨大な水球たちが星雲の起動を描き銀河のように動き出す。人知れず異界の中で発生したのは小型の太陽系、魔術に当てはまるなら触媒だ。キャスターのあまりの準備の良さに舌を巻きつつ、私は魔術を発動する。

 

再結合(ユニオン)惑星間塵(コズミックダスト)!」

殺塵鬼(カーネイジ)、並びに氷河姫(ピリオド)私の霊基(マスター)の下に掬べ!』

 

 刹那、発生した物体は、数多の漆黒の瘴気を塗り固めたような凍気に煌めく氷の結晶。どこか矛盾に満ちた、けれど殺意に満ちた物だった。

 接触すれば最後、森羅万象形あるものを原子単位まで分解する赫黒の霧。それが凍結という特性を得て、飛来する『千山切り拓く翠の地平(イガリマ)』に襲いかかった。

 

「けほっ」

 

 そして、瞬く間にそれを漆黒の氷が覆い尽くして消滅させたのと同時、私は口から血の塊を吐き出す事になった。

 

『マスター、大丈夫?』

「うん、まだへーき」

 

 いかにキャスターとティアさんのサポートがあって、肉体も英霊を継承した物になっているとはいえ、私は所詮未熟者。大魔術を継続行使しながら大魔術を乱発するという無茶を、自分の限度を知らず行ってる以上こうなる事は必然だった。

 

「貴様のような雑種が無理を重ねれば、すぐに限界を迎えるのは必定であったな。

 だが、この我にここまでの傷を負わせたのだ」

 

 氷晶の壁の向こうから、英雄王が傲岸不遜にそう言ってくる。

 その背後に展開される砲門は、ゆうに500丁を超えていた。その全てから私/キャスターの知識の何処にもない宝具が覗いている。今それを展開するって事は、炎も氷も突破できる自信のある物なのだろう。そして今の私にそれらが直撃した場合、奇跡的なバランスで保たれている魔法が乱れる事が予想され、そうなれば汚い花火になる事が確定だ。

 

「その事は誇るがいい雑種! そして失せよ!」

 

 その程度の事を恐れてどうする。そもそもの話、力を受け継いだばかりの一般人が、戦術みたいな事を考える事自体間違っている。限界なんて意地で超えて、史実ジャンヌみたいに突撃突撃更に突撃で戦えばいい。

 

『いいねマスター、気に入った。お説教は最後にしてあげる!』

「やめてくれ大佐ァ!」

 

 同化してる以上、私の思考はキャスター達には読み放題だ。そしてそれを読んでなお同意してくれるっていうなら、覚悟を決めて最後まで突っ走るのみ!

 

『ゆえに邪悪なるもの、一切よ。ただ安らかに生き絶えろ!』

『鍛冶司る独眼よ、我が手に炎を宿すがいい』

「手を貸して、愛に破れた錬金術師(アルケミスト)! 後でなんでもしてあげるから!」

 

 キャスター・ティアさん・私の詠唱を合わせて、3つの大魔術を重ねて発動させた。

 無限に発生する炎をブースターのように展開、そして周囲に極限まで硬化させた炎を纏い、磁力操作によって宝具群を逸らしつつ、更に私と英雄王の衝突を確定させる。

 3つの大魔術の行使によって全身をズタズタに割かれ焼かれながら、私は宝具の雨の中を最速で、最短で、まっすぐに、一直線に突っ切った。

 それによって、最短まだ私には使えない転移もかくやといった速度で英雄王に肉薄する事に成功した。そしてもう、こんなゼロ距離まで接近したなら決め手はこれただ1つのみ!

 

「ぬっ!」

「ハァァァッ!」

超新星(Metalnova)ーー

 色即絶空空即絶色 撃滅するは血縁鎖(Dead end Strayed)!!』

 

 驚愕を顔に浮かべた英雄王に、私は衝撃操作の魔術を併用しつつ、盛大にロケット頭突きをブチかました。

 




シリアルな話を書いてるせいか、ふとしょうもないVRMMOモノが頭に浮かんだりする今日この頃。

-追記-
友達がSAOの映画をクソ映画って言ってたけど、そんな事言うなら実写版デビルマンとか、デビルシャークとか、トランスモーファーとか、恐怖!キノコ男とか見てみろよ…
個人的にシャークネードはオススメしたい。シャークネードはオススメしたい(大事な事なので二回言った)

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