爆乳を楽しむバカゲーなのに、それが気になる私。
荒野で火花散らす侍
『忍』
それは、かつて戦乱の世、その裏側で暗躍していた者たちの総称。
伊賀、甲賀、御庭番、風魔など、その存在は古い文献により確認できる。
現代では空想の存在として扱われる忍だが、彼らは今でもこの世の影に存在し、仕える主を政府や権力者に変えて息づいている。
しかし、その血を絶やさず生きてきたのは忍だけではなかった。
『忍が在るなら、我らも在る』
そう言わんばかりに、『彼ら』も歴史の裏で生き続けていたのだ―――。
○□ △
日本。東京の外れにある山の、深い森。
その奥深くには、『運動場』を思わせる広い平地があった。
そこには幼稚園から中学生くらいの年頃の子供たちが輪になって広がっており、中心にいる『鎧』の一騎討ちを見つめていた。
『鎧』は二体。それぞれが灰と橙の色をしていて、医療や航空企業にて使われるパワーアシストスーツに和の鎧を足したような姿をしていた。
顔は口元を隠す布と恐竜の頭部を思わせる形の兜に覆われ、判別がつかない。
橙の鎧は腰から伸びるサブアームで抱えられた二丁の火縄銃を前方に向け、距離を取りながら戦っている。背中には折りたたまれた翼のように二丁の火縄銃が並び、鎧の動きに合わせて揺れていた。
現代でそんなものがあると言うのも驚きだが、それ以上に目立つのが灰の鎧の方だ。
なにせこの鎧は、武器どころか農業用の道具である二本の『クワ』を使って火縄銃を相手どっていたのだから――。
「今度こそはこのオレが勝つからな!」
「うん。頑張って」
「ハッ!敵に応援とか!塩送る気かよバカが!!」
皮肉にも聞こえる平坦な、ある意味では無骨な鎧に似合う若い声を買い言葉に、橙の鎧が二丁の火縄銃からドドンッ!ドドンッ!と四発の火を噴く。
サブアームによって反動を効率よく修正し、連続で放たれた弾丸は吸い込まれるように灰色の鎧に向かった。しかし灰色の鎧は、その弾丸を体を丸めて転げまわる事で回避し、同時に砂煙を巻き上げて視界を奪う。
『のぁあッ!? ちッ…!くしょぉうがあああッ!!』
視界を奪われた橙の鎧は、悔し紛れに両脇の火縄銃をやたらめったらに連射し、弾をバラまく。それは決してヤケで起こした攻撃はなく、接近したであろう灰色の鎧を遠ざけるための役目もあった。
しかし狙いの定まっていない弾が当たるハズもなく、灰の鎧はクワを地面に打ち付けて固定するとコンパスのように回転し、急速転換を実現させて銃弾を避け、勢いをつけて橙の鎧の顎下に接近。
「グガッ――!?」
もう片方のクワで橙の鎧のアゴをかち上げ、金属音や火花と共に橙色の鎧を空高くへと打ち上げた。
だが橙の鎧もしぶとく意識を飛ばさず、吹っ飛ばされた勢いを利用して体を捻じり、灰の鎧の背後へと降り立った。
「ッシャア貰ったぜ!!」
しかし。火縄銃を向けられた灰の鎧は微動だにせず、クワを前方の地面に打ち付ける。
するとクワの刃は地面にめり込み、それを支えにした灰の鎧は背後にいる橙の鎧の顔面に、強力な馬蹴りをおみまいした。
「がああああッ!?」
特大の火花を飛ばしつつ、吹き飛んで背中から火花を散らす橙色の鎧。
振り向いた灰の鎧は、橙の鎧に向かってクワを投げつけようと――
――キーン、コーン、カーン、コォーン……。――
―――腕を振り上げた所で、終了のチャイムを聞いた灰の鎧はクワを下ろし、カツン。とその先端を土につけた。
「そこまでーっ!今日の模擬戦は終わりです!おわりおわり!」
審判を担当していた少女がチャイムの音を鳴らし続けるラジオの電源を切り、両手を振って終了を伝える。
それと同時に橙色の鎧は火縄銃を投げ出し、両手両足を大の字に放り出して、「あぁ~~!!」と溜まっていた空気を吐き出して吠えた。
「またか!またかちきしょう!」
ガツンと、倒れたままの橙色の鎧は悔しそうに地面を殴り、自身を見下ろし手を伸ばす勝者に吠える。
「またお前の勝ちかよっ!春希ィ!!」
その視線の先には、角のないトリケラトプスを思わせる兜を外した少年が、負けた悔しさに吠える敗者を見返していた。
灰の鎧。または春希と呼ばれていた少年が主人公です。
個人的な性格のイメージは『鉄血のオルフェンズ』の三日月・オーガスと『俺物語!!』の剛田猛男!
これからも、この子達をよろしくお願いします!
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