MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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天下一武道会優勝とサタンの決意

サタンは一回戦スポポビッチを倒し一回戦を突破しその後も順調に勝ち進み、準決勝もジュエールと戦い勝利し決勝に進出した。

準決勝のジュエール戦では、ジュエールにあまりにも多くの女性ファンがついていたことに、サタンが少々嫉妬し、スポポビッチとの戦いのような紳士的なものではない戦いであったということもあった。

カーシも勿論決勝に進出した。対戦相手は息を吹くだけでぶっ飛ぶといった、過去のジャッキーチュンがヤムチャに勝った時のような試合であった。

この会場でその試合のことが頭に浮かんだのはアナウンサーだけであったというのも時代の移り変わりなのかもしれない。

そして、サタン対カーシ決勝戦が始まる。

「第24回天下一武道会決勝戦大変なことになりました。

皆さんの予想の通り格闘技世界チャンピオンのサタン選手が勝ち上がったのは当然といたしましても、なんと圧倒的な力で勝ち進んできたカーシ選手はサタン選手の愛弟子だそうです。」

「えっマジかよ。」

「強いはずだ。」

「くぅ~。見に来て良かったぜ。」

アナウンサーの発言に会場も沸き立ってきた。これによりカーシがサタンの愛弟子ということを周知徹底することに成功する。

あとはサタン>カーシという構図が出来上がれば今回の天下一武道会は、サタンとカーシにとっては大成功ということになる。

アナウンサーがサタンとカーシについての説明が終わると、太鼓がならされ始める。会場もそれにあわせて今か今かとソワソワし始める。

「決勝戦はーじめてくださーい!!」

アナウンサーが今大会で一番の声で宣言すると、サタンとカーシがぶつかりあう。

目にも見えない拳の打ち合いが始まる。

当然であるが綿密な打ち合わせ道理の動きである。

もう何度もサタンとカーシは八百長試合を続けていたので阿吽の呼吸であり、共に魅せる試合というものを熟知していた。

サタンは華麗にカーシの攻撃を避け続け、逆にサタンが放つ攻撃は的確にカーシを捉え、押していく、ように観客には見えている。

もしここにZ戦士の元魔王や王子がいたら、「くだらん」、「低レベルな八百長試合だ」と一蹴されるであろう試合である。しかし、観客にはそうは見えずハラハラ、ドキドキの素晴らしい戦いであると思われ会場は興奮の坩堝と化していた。

長い攻防が続き、サタンとカーシが手を合わせ、力比べの体制に入る。

そこでサタンがカーシにウィンクをし、カーシは頷く。

サタンは力を抜き、カーシの体勢を崩し、揺らいだ体に、渾身の力で正拳突きを打ち込んだ。そしてその強烈な打撃によりカーシは吹っ飛び、場外の壁に叩きつけられた。

そのあまりにも凄まじい終わりかたに一瞬会場内も静まりかえる。

「カーシ選手場外よって、サタン選手が第24回天下一武道会の優勝者になりました!」

アナウンサーが静寂を振り払うように、声高らかに発表すると、一斉に観客の声援が飛び交い、サタンコールが鳴り響いた。それはとどまることを知らず、サタンの優勝者インタビューが始まるまでおさまることはなかった。

この戦いは後世語り継がれる者となり、全世界で80%以上の視聴率を得たということでも語り草となるものであった。

その後、サタンは大々的な優勝パレードを行い、祝勝会、テレビ番組出演と忙しく動き回り、1週間が過ぎた。

仕事が一段落就いた夜、サタンはカーシの元にやって来ていた。

それはいつものことではあるが、普段とは全く一線を画したものでもあった。

サタンの表情が真剣であったからである。

いつものおちゃらけた雰囲気など微塵もないことから、カーシも何かを感じとり尋ねる。

「どうしたんだサタン?いつもと違うぞ。」

 

カーシの問いかけに、サタンは神妙な面持ちで話始める。

「カーシさんに頼みがあるんです。」

「なんだ。俺とサタンの仲じゃないか、何でも言え。」

カーシに掛けられた温かい言葉によって、サタンは覚悟を決める。

「わしを強くしてください。」

サタンは土下座をしてカーシに頼み始める。

「どうしたんだサタン。セルは俺が倒すからサタンは安心していいんだぞ。」

いつもと違うサタンにさすがのカーシもとまどりながらも、サタンを気遣い話をし、落ち着かせようと試みる。

「その件についてはカーシさんを全面に信頼してるからいいんです。問題が一つあるんです。」

「問題?」

サタンの言う問題とやらに全く検討もつかないカーシは聞き返す。

「セルゲームが始まる前に、悟空さんや、報道陣の前で瓦割りをしたんです。あの時は見せてやったと自信満々だったんですが、悟空さん達の力を知った今になって考えると恥ずかしくて恥ずかしくて。悟空さんが見ても、恥ずかしくないパフォーマンスをしたいんです。」

サタンは思いの丈の全てをカーシに包み隠さず打ち明けた。

「よし、明日からサタンを強くしてやるぞ。

セルとか言うやつにはかなわないが、クリリンやヤムチャぐらいになるぐらい鍛えてやるぞ。」

「本当ですか?」

カーシの提案に喜びを隠せずに聞き返した。

「うん。」

カーシは子供のような笑みを浮かべ、頷いた。

サタンはこの世界の修行というものを甘く見ていた。そしてクリリンやヤムチャがどれ程の苦行を乗り越えた末にあの力を手に入れたのであるかということを見にしみて味わうことになるのであった。




次はいっきにセルゲームまで話がとびます。
第24回天下一武道会があったのがエイジ767年、またセルゲームが行われたのも同エイジ767年ということで、セルゲームまでサタンは修行に明け暮れていたと思ってください。

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