MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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「許さんぞ!!」怒りの悟飯猛反撃

 瓦礫と化していたビル群は吹き飛び、辺り一面は更地になっていた。

 しかし、そんな中でも悟飯は無傷で茫然自失の状態で佇んでいる。

 悟飯の頭の中では、『なぜビーデルさんがここへ』

『守ると言ったのに逆に守られてしまった』

『なぜ僕はこんなに無力なんだ』

という思いが頭の中を占領していた。

 しかし、そのような思いを簡単に払いきってしまうある思いが心の中から沸き上がってくる。

「ビーデルさん、ビーデルさん、ビーデルさん、うわーーーーーっっっ!!よくも、よくも、よくもビーデルさんを!!絶対に許さんぞーーーー!!!」

悟飯が叫ぶと同時に巨大で桁違いな気が悟飯の体から溢れ出る。

「悟飯が怒ったこれなら……」

悟飯の体から吹き荒れる気と爆風のような突風に耐えながら悟空は呟いた。

 だが、そんな悟空の目には未だに拭いきれない考えがあった。

 悟飯は先ほどまで立っていた場に抉ったような跡を残して衝撃波を撒き散らしながら魔人ブウに怒りの形相で突っ込んでいく。

「ハーーッッ!!」

突っ込んだ勢いのままに拳を魔人ブウに叩き込む。

 グチャッという肉を潰したような音と共に拳が過ぎた頭部が破片を撒き散らし消し飛ぶ。

「まだだーーっっ!!」

悟飯は怒りに任せて連打を叩き込む。

 左右のパンチ、左右のキック、吹き荒れる嵐のように、叩きき付ける豪雨のように、爆発音のような音と、辺りを破壊するような衝撃波を撒き散らしながら止むことのない攻撃を加える。

「お前なんかお前なんかお前なんか!!」

怒りの形相ながら涙を流しながら攻撃を加え続ける悟飯の姿は大変痛ましい。

 この姿をピッコロが見ていたら、

「悟ハーーーン!」

と叫び出してしまうだろう、そのような姿である。

「最後だ。かーめーはーめー波ーーーー!!!」

肉片と化した魔人ブウを消し去るほどの巨大な気のかめはめ波を放つ。

 かめはめ波の目映い閃光の中で魔人ブウの肉片は消えていった。

「はあはあはあはあ…やったか…」

全力の攻撃を絶え間なく繰り出した挙げ句に渾身の力を込めたかめはめ波。

 すでに悟飯の体力は限界に達していた。

「カカロット何があったんだ」

驚いた表情でベジータがやって来る。

「ベジータ、トランクスはでえじょうぶか?」

「ああ界王神の野郎が回復させた。それより何があった」

「ビーデルが悟飯を庇って……死んだ…それを見た悟飯が怒って魔人ブウを…」

「なに。悟飯が魔人ブウを」

聞き返すベジータに悟空は静かに頷いた。

 しかし、悟空はそれに続ける。

「ああ、ただあまりにも呆気なかった。たしかに悟飯の攻撃は凄まじかった。だが魔人ブウがあの攻撃を避けられないとは考えられねえ…」

不安げな表情で呟くように話す悟空。

「フンッ、カカロット、お前は考え――――な、何!?」

突然ベジータの表情に驚きと恐怖が走る。

 それは悟空も、そして息を切らせている悟飯も同様だった。

 空中に塵になったような細かい粉塵が集まり、纏まり、膨らみ、再び形をなし始める。

「殺ったんじゃなかったのかカカロット!!」

「殺ったはずだった…だがヤツの気は全く変わってねえ。悟飯の攻撃は全くの無駄だったんだ」

悟空は苦虫を噛み潰したような表情で呟く。

 そして、悟空は最後の手段をベジータに提案する。

「ベジータ、界王神のじっちゃんからもらった『ポタラ』を使うしかねえ」

「なんだと!俺がカカロットお前と合体するだと!死んでもごめんだ!!」

ベジータは頑なに拒否する。

 いくら強くなるためとはいえ悟空との合体などベジータのプライドが許さなかったのだ。

「ベジータ、おらたちが死ぬのは構わねえ。だがな、おらたちが死んだら次は、ブルマやトランクスが死ぬんだぞ。それを防げるのはおらたちしかいねえんだぞ」

悟空が真剣な表情で強い口調ながら説得するようにベジータに告げる。

「ブルマ……トランクス……クソッタレーーーー!!カカロット『ポタラ』を寄越せ!!」

「ああ、ベジータこれだ」

ベジータに『ポタラ』を渡した瞬間魔人ブウは元のガリガリの黒い体色の姿に戻っていた。

 魔人ブウは悟空が持つ『ポタラ』を見た瞬間表情が緊迫したものに変わる。

 そして間も開けず悟空達に突っ込む。

 『ポタラ』をつけるのを阻止するために……。

「ヒィアアァァア!!」

「速え!!」

すでに目前に迫っている魔人ブウ。

 そんな時であった。

「父さんの邪魔はさせない!!」

悟空に迫っていた魔人ブウが横から攻撃を受け吹き飛ぶ。

「今です悟空さん、父さん」

キビト界王神により回復させてもらったトランクスであった。

「すまねえトランクス」

「……よくやったトランクス……」

二人はそれぞれ違いはあるが礼を述べ、悟空は右耳に、ベジータは左耳に『ポタラ』をつける。

 着けた直後二人の体はまるで磁石のN極とS極のように引っ付く。

 普段であれば絶対に見られない光景である。

 そして、ベジータが「ひっつくなカカロット!!気色悪い」などと言う暇も与えず目映い閃光を放ち始める。

 閃光が止んだ時には、その場には悟空、ベジータはいなく、一人の戦士ベジットが誕生していた。

 魔人ブウは苦々しげにその姿を睨み付けていた。


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