MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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独自設定をさらに追加します。
本当にドラゴンボールファンには申し訳ないです。


魔人ブウの脅威。二人を襲う恐怖のあの技

「ヒャハハハハーーー!!」

人を貫き血塗れになる魔人ブウが突如歓喜に溺れた声をあげる。

 その声が振動となり、辺りの建物のガラスを砕き、一面にガラスの雨を降らせる。

 ガラスの雨はキラキラと輝き美しい幻想的な情景を作り出すが、魔人ブウのおぞましさがそれを遥かに上回り悟空達は声を発することもできなかった。

 しばらく呆けて見ていると、魔人ブウに付着した血液と、貫いている女性の亡骸が魔人ブウの体内に飲み込まれていく。

 その時だった、魔人ブウの気が再び膨れ上がった。

 目の前で起こる異常な事態に困惑を隠せない仲間たち。

 そんな中で震えながらキビト界王神が重たい口を開いた。

 

「魔人ブウは人が死を前にして、また死を体感することによって生み出される、負の感情、恐怖、悲しみ、怒り、無念を人の亡骸とともに自分の体内に吸収することによって自分をさらに強化しているのです…」

絶望的な結論。

 ただでさえ桁外れの力を持っていた化け物がこの二、三日でさらに力をあげていたのだ。

 皆が底知れぬ恐怖に顔を歪めていると、魔人ブウが悟空達を見てにやついているのに気づく。

 しかし、そんな恐怖を振り払うかのように二人の戦士、悟飯とトランクスが前に出て、気を解放する。

 二人を中心にし吹き荒れる突風、そして、地球自体も鳴動し始める。

 辺りのビル群も次々と崩れ去っていく。

「父さん行ってきます」

「ああ、無理すんなよ」

悟空と悟飯が言葉を交わす。

 すでに悟飯は普段の好青年の優しい容貌ではなく、戦士のそれになっている。

「行ってきます」

「ああ」

ベジータ親子もたった一言だが言葉を交わす。

 この親子だからこそ、そのたった一言であっても言葉にださやなくても伝え会う何かがあった。

 二人は視線がを交わし、頷き合うと爆風のような衝撃波を撒き散らしながら魔人ブウに襲いかかる。

 魔人ブウはそんな二人に視線を向けながらも構えすらとる素振りすら見せない。

 魔人ブウの目の前で急加速し、姿を消した悟飯が死角となる背後に現れ頭部目掛けてハイキックを繰り出す。

 呼応するようにトランクスは懐に潜り込み正拳を叩き込む。

 しかし、二人の同時攻撃も造作もなく魔人ブウは受け止める。

 そのまま悟飯の足とトランクスの拳を掴んだまま、体をひねり、振り回し始める。

 次第に腕が延び先程の悟飯達の気に耐え残ったビルに、そしてガラスの破片で埋め尽くされている地面に叩きつけはじめる。

「ぐはっ!」

「がっ!」

たったそれだけの攻防でも明確に力の差が見えていた。

 そのまま地面に二人は投げつけられ、地面に大きなクレーターを作り二人は横たわっていた。

 魔人ブウは大きく息をすう。

 ガリガリの胸と腹が膨れ上がる。

 極限まで膨れ上がった腹と胸から息を吐き出すと口から風船ガムのような白い何かが無数に排出される。

 すう十個の白い何かが魔人ブウの前に整列するように並ぶ。

 それは足がなく、よくイラストでかかれる幽霊そのもので魔人ブウの姿をしているものだった。

 そう、正史でゴテンクスが見せた『スーパーゴースト神風アタック』が再現されたのだ、青年となった二人に。

 魔人ブウが地に伏せる二人に指を指すと、無数のゴーストが突撃を開始する。

「あれはヤバイぞ、ベジータ撃ち落とすぞ!」

「言われんでも分かっている!」

本能で初見の『スーパーゴースト神風アタック』の危険性を察知した悟空とベジータは連続エネルギー弾で撃ち落とそうとする。

 だが、幾多の弾幕も掻い潜りながらゴーストは突き進む。

「なめるなー!!」

連続エネルギー弾職人のベジータは照射スピードをあげる。

 そのスピードに次第に対応できなくなりゴーストは次々と爆発していく。

 しかし、難を逃れた一つのゴーストがトランクスに直撃した。

「――――」

声にならない断末魔を上げてトランクスは爆発に巻き込まれた。

「トランクス―――――!!」

ベジータの叫びが辺りに木霊した。

 血液を撒き散らしながら吹き飛ぶトランクスを追い、ベジータが飛び出した。

「悟空さんここはお任せします」

それだけ言うとキビト界王神もトランクスを助けるべくベジータの後を追い飛び出した。

「しまった!!悟飯逃げろーーー!!」

トランクスに気をとられ視線を外していたその時に魔人ブウは赤黒い禍々しい気弾を用意していた。

 それをなんの躊躇もなく悟飯に放つ。

 悟空は一歩出遅れた。

 瞬間移動も間に合わない。

 悟飯は迫り来る気弾を虚ろな目で見ているしかなかった。

 迫り来る『死』を間近に感じながら。

(来る)

覚悟を決めた時だった。

 悟飯の前に何かが立ちはだかった。

 悟飯を守るように。

 悟飯の脳内にはあの時、同じように自分を命をかけて護ってくれたピッコロの姿がフラッシュバックしていた。

 しかし、それはピッコロではなかった。

 その人物は振り返り、

「悟飯君、お帰りなさい。頑張ってね」

 

と涙を流しながら必死の笑顔を浮かべているビーデルであった。

「ビ、ビーデルさーーーーーーーーん!!!」

悟飯の叫びなど無視するかのように非情の気弾がビーデルを飲み込んだ。


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