MrサタンZ 真の英雄   作:寅好き

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天下一武道会前夜の出来事

 天下一武道会前日の夜であった。サタンはカーシに話があると呼び出された。その場にはザンギャも同席していた。

「サタンごめんな。用事ができてしまったから、明日の天下一武道会には出られなくなった」

「!!」

 サタンには悪そうな顔で謝るカーシでありカーシ自身も残念そうな表情であったが、サタンにはそれ以上にショックなことで言葉を失っていた。

「…そうですか。残念なことですが、カーシさんの大事な用事なら、わしの大事な用事といっても過言ではない。安心して行ってきていいですよ」

サタンは本当に申し訳なさそうな顔をするカーシを見ていると、自分まで悲しくなってきてしまったので、覚悟して笑顔で送り出すことにした。

「ありがとなサタン。それとな、天下一武道会のことなんだが、俺の変わりにザンギャが出てくれることになったぞ」

カーシは一応話で今回の天下一武道会ではサタンが優勝することになるということは聞いていたが、話によるとなんとも情けない勝ち方であり、不審に思われるかもしれないということで、サタンを引き立てるための自分の代理を見つけてたてたのだ。

「ええ、あまり気乗りはしませんが、サタン様の秘書として頑張らせてもらいます」

ザンギャは言葉では、そう言っているが、目の奥で何かが光った感じがしたのをサタンは敏感に察知していた。

「じゃあ、ザンギャさんよろしくお願いします」

口ではこういうサタンであったが、心のなかでは(手加減なしのドSなザンギャさんじゃあ死人がでるかも)と一抹の不安を抱えていた。

「じゃあサタン、行ってくる」

カーシは真剣な顔になるとサタンに挨拶をして、出ていった。

その姿はサタンになにか底知れない不安を与える姿であった。

(カーシさんならきっと大丈夫だ。)

もう姿は見えなくなってはいるが、カーシが出ていったほうを見ながら、そう自分に言い聞かせていると、サタンにやはりと言うほどの声が掛けられた。

「ではサタン様参りましょう。」

「えっ何ですかザンギャさん?」

全く言っていることが分からないという顔で問い返すサタンにザンギャはいつもどおりの秘書の顔になり説明を始める。

「サタン様だけでなく、私も参加するとなると、仕事が滞ってしまいます。なので今日中に出来る限りの仕事をサタン様には片付けてもらいます。今日は徹夜ですよ。寝させてあげませんからね」

茶目っ気を出したのか、最後の所でウィンクをしたザンギャ、普通の男であればイチコロであるが、サタンには某ワ〇ピースのおかま王のデスウィ〇クを受けたように強烈なダメージを物理的にも、精神的にも受けていた。

「…はい…」

逆らっても意味はなく、余計に大変なことになるということをサタンは身をもってこれまで味わってきたので、元気なく頷いて渋々仕事部屋に向かうのであった。

 しかし、サタンの悲劇はこれからが本番であった。

「こんなに朝までじゃあ終わらないよ~」

「黙って手を動かしてくださいね」

目の前にうず高く積まれた書類の山を見て泣き言をいうサタンに、ザンギャは冷たく言いはなつ。

 サタンは大きくため息を吐くといそいそと仕事に取りかかっるのであった。

 二人が仕事をしていると、なにやら玄関のほうで言い争うような怒鳴り声と、爆発音、悲鳴が順に聞こえてくる。

「なにごとだ!」

「私が見て参りますので、サタン様はお仕事を続けてください」

驚くサタンに冷静にザンギャは告げて、サタンの静止もきかずに、ザンギャは出ていった。

 やはり心配になるサタンであったが、ザンギャの強さ、有能さ、そして、サタンだけでなく、使用人全てから絶大な信頼をおかれているザンギャを信用して仕事を続けるサタンであった。

 音のあった現場にザンギャがたどり着くと大変な状態が広がっていた。

 壊れた壁、燃える絨毯、辺りには破壊された調度品などがところ畝ましと転がっている。

 怪我した使用人たちも蹲ったり、倒れていたりする。

「なんなの、何があったの?」

先に異常に気付きここに来ていたビーデルが倒れた使用人に事情を聞いているようである。

 ザンギャも同様に聞こうとした時である、

「地球最強というサタンとはどいつだ?」

と聞いたことがない声が玄関内に響きわたる。

声のした方へザンギャとビーデルが視線を送ると、人間ではないエイリアンのような異形の生物がその場に立っていた。

「あなたがこのようなことをしたのですか?そしてなにかようがあるのですか?」

淡々と聞くザンギャであったが、ビーデルにはその声の端々に怒りが隠しきれていないと感じていた。

「ああ、これは俺様がやった。なんだ女お前サタンとかいうやつを知っているのか?」

 ザンギャはなにも答えないのでビーデルが問い掛ける。

「パパになんのようがあるの?」

異形の男はにやりとほくそ笑むと話し出す。

「娘かいいやつを見つけた。まあ捕らえるまえに教えてやろう。俺様はチチン、バビディ様の配下だ。魔人ブウを復活させるためにバビディ様にエネルギーを集めて来いと言われてな。今ではバラバラになっていきてはいないが、近くで聞いたヤツが地球最強の男はサタンというといったので、ここにエネルギーをもらいに来た。この程度の星では必要はないと思うが、念のためだ人質になってもらうぞ!」

言い終わると同時にチチンの姿は消え、すでにビーデルの目の前に迫っていた。

「容易いな…!!」

チチンが気づいた時には、ビーデルに伸ばした手は青い手によって捕まれていた。

「そんなことのためにここまで来たのか。サタン様の仕事の邪魔をし、このように仕事を増やして……。処刑ですね。少し遊んだあとにね」

ザンギャに狂気の笑みが浮かんだ。それを見て本能的に危機を察したチチンであったが、ザンギャの握力たるやまるで万力で締め付けるような強さで、いくら力をいれてもザンギャはびくともせず、振り払うことすらできない。

「は、放せ!」

「お外であそびましゅうね」ザンギャがチチンを軽く放り投げると壁を突き抜けて飛んでいった。

「おあそびの時間です」

楽しそうに呟くと、ザンギャもそれを追って外に出ていった。

 

――――

 

「ザンギャさん遅いな。どうしたんだろ」

サタンが帰りが遅いザンギャを心配していると、外から笑い声と断末魔が幾度となく響き渡り、最後に「シュートブラスター!」というザンギャの声がすると目映い光が辺りを照らし、巨大な気弾が空に向かって飛んでいった。

 その後、楽しそうに笑顔で帰ってきたザンギャはなにもなかったように仕事をこなし始めたのだった。




敵キャラチチンはオリキャラです。
魔法チチンプイプイのプイプイがあるならチチンでもいいだろうと。
次回から第二十五回天下一武道会が始まります。

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