「ミスターサタン決勝戦の舞台で何かあったらしいです。
カメラも全て壊れており、係の者をやったんですが連絡もこなくなってしまいました。
申し訳ないのですが、決勝戦の場にご足労お願いできませんか。」
サタンの休憩室に息をきらしながらやって来た係の者はサタンに頭を下げて切に頼んだ。
「よかろう。わし専用のコースターを用意してくれ。」
サタンは堂々と係の者に話係の者は安堵しながら「すぐに用意します。」といい走って会場に戻っていった。
サタンは係の者が去って行くのを確認し
「もうそろそろカーシさんが終わらしてくれただろうから前のような危険な目にはあわんだろう。」
と呟き準備をするのであった。
――――
白いマントをはためかせた人物が悟飯を救った。
「ピッコロさん!!」
悟飯はその人物を見ると花開くような満面の笑顔になる。
「大丈夫か悟飯。」
ピッコロは空から降りてくると悟飯に駆け寄り、悟飯を拘束する念能力でできた糸を切ろうとする。
「くっ、特別な力で作られた糸か。面倒な。やつを始末しないといけないようだな。」
ピッコロですら糸を切ることができず、糸を作り出した者を倒すべきだという結論に至る。
「悟飯ここで待っていろ、今からやつを始末してくる。」
ピッコロはそう悟飯に宣言すると、蹴り飛ばしたブージンが吹っ飛んでいった方向へ向かって飛んでいった。
「悟飯君大丈夫?」
悟飯に言われた通り離れた所で隠れていたビーデルではあるが、先ほどあった壮絶な戦闘音を聞き、悟飯が心配になり出てきた、そして糸で拘束された悟飯を見て急いで走りよってきた。
「ええ、大丈夫ですよ。」
悟飯は心配かけないように笑顔でビーデルに話しかけるが、すでにブージンの攻撃によりボロボロであり、かつ糸で締め付けられている状態でありそれを見て「大丈夫」という言葉を信用しろというほうが無理な話であった。
またそれだけですむ話ではなかった。
悟飯とビーデルは自分たちに強大で邪悪な力を持った男がすぐ側に来ていることに気づいてはいなかった。
――――
「ちっ飛ばし過ぎたか。」
ピッコロはブージンが飛んできた辺りを探していたが未だに見つけることができていなかった。
「貴様よくもこの俺をこのような目に合わせてくれたな命は無いものと思え。」
気を消していたのかブージンはピッコロのすぐ後ろに現れていた。
そして繰り出された蹴りであるが、ピッコロは難なくその足を受け止める。
「探す手間が省けたな。
可愛い悟飯を傷つけた報い死をもって償ってもらうぞ。」
ピッコロはそのままブージンを地面に叩き落とした。
ブージンは地面スレスレで舞空術を駆使して踏みとどまる。
「なにやつはどこだ。」
ブージンが投げ下ろされた場を見るがすでにピッコロの姿はない。
「後ろだ。」
「何!!」
声を便りに振り向いたブージンの顔面に形が変わるほどのピッコロの強打が打ち込まれた。
「グハァ。」
再び空に打ち上げられるブージン、
「お、おのれコイツハはさっきの餓鬼より強い。
こうなれば超能力で。」
ブージンは超能力を掛けるべくピッコロを視界にいれようと向き直るが、やはりピッコロを視界に入れることは出来なかった。
「貴様は視界に入った者に超能力を掛けるようだが俺はそんなへまはせん。」
再び自分の後ろから聞こえる声にブージンは生きた心地がしない。
「ワタタタタタ、ワタァッ。」
ピッコロの連打が悉くブージンに炸裂する。
そして
「これが悟飯の分だー!!」
ピッコロはそのように叫び渾身の一撃を見舞った。
「俺は甘くないぞ。」
ピッコロは二本の指を額に当て気をため始める。
ピッコロの人差し指と中指が輝き始め、スパークが迸る。
「死ね。魔貫光殺砲!!」
ピッコロの二本の指から一本の光線とそれを取り巻くように螺旋を描く光線がブージンに襲いかかり、苦もなく貫きそれだけでは満足できないように、地面に地獄まで続いているのではないかと思われるほどの底が見えない穴を開けていた。
ピッコロが腹に大きな風穴が空いたブージンを見下ろすと既に息はなかった。
ピッコロはブージンの死を確認するともう振り向くこともなく帰途につく。
――――
ピッコロが悟飯のためにブージンと戦っているとき、悟空とベジータは激闘を繰り広げていた。
打ち付けられる拳と拳、ぶつかる度に地上にクレーターが出来上がる。
「これじゃあ会場は持たないな。」
カーシは悟空達の戦いを見ながらそう呟くと、腰をあげる。
「おーい、悟空とベジータこれじゃあ会場もたないから俺が別の場所に連れてってやるぞ。」
カーシは二人に提案する。
ドラゴンボールによくある
「ここじゃ町に被害がでる、場所を変えるぞ。」
である。
「もう少し待ってくれカーシ、今いいところなんだ。」
と悟空が言えば
「うるさい黙っていろ。俺たちの邪魔をするな。」
とベジータ。
再び戦い始める悟空とベジータ。
「強引だがしょうがない。」
カーシは呟くと自分の腹から2つの肉を取り二人に投げつける。
2つの肉の塊は悟空とベジータを覆い包みこむとカーシの体に戻っていった。
「よしこれで会場が壊れることもないしサタンも大丈夫だな。」
そう言うとカーシは意識を自分の体内に持っていった。
ピッコロ強すぎないかという意見がありそうですが、ブージンはダメージを受けていたことと、セルゲーム以降もピッコロは修行を続けていたということで。
悟飯の成長を見ていないピッコロなら修行を続けるだろうと思いますし。