落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~   作:火神零次

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久しぶりの嫁編じゃあ!


嫁編〜香1〜

「すぅ……すぅ………」

 

 爛は自分用の寝室にて、体を休めて眠っていた。

 だが、後ろの方から、物音が聞こえてくる。

 

「んむぅ……香姉?」

 

 寝惚けながらも、後ろから物音がした方に顔を向け、その音を出した人物の名を言う。

 

「あ、起きちゃったんだ。ごめんね?起こす気はなかったの」

 

 物音をたてた人物は香だった。

 香は謝りながらも、爛の布団の中に入る。

 

「待った。何で入ってくるの?」

 

 爛は香の方を向き、尋ねた。

 

「何でって。そんな事言わないでよぉ」

 

 香はしゅんとした顔でそう言うと、爛は溜め息をつきつつ、香から顔を背ける。

 

「何でこっちに顔を向けてくれないの?」

 

 香は尋ねるが、爛は何も答えない。

 

「むぅ~。なら、こうしよっと!」

 

 すると、香は爛を背中から抱きつく。

 

「か、香姉!」

 

 爛は顔を赤くさせ、離れようとするが、力がとても強く、離れることができなかった。

 

「撫で撫でもしてあげる~♡」

 

 香はそう言うと、爛の頭を撫で始める。

 

「あぅ……」

 

 爛は香の手のちょうどいい暖かさに大人しくなる。

 

「ふふふ、可愛いっ♡」

「あぅぅ〜……」

 

 何も言い返すことができない爛は、香にされるがまま。

 香はそんな愛しい弟を可愛がり続けるのだった。

 

「因みに余談ですが、お姉ちゃんは愛しい爛からの夜這い希望ですよ?」

「ちょっ!香姉!」

 

 耳元で囁くように言ってきたのを聞いてしまった爛は、顔を赤くさせて香の方を向く。

 

「もらい!」

 

 そう言うと、こちらを向いた爛を思いっきり抱き締める。

 

「香姉、そんなに力強く抱き締めなくても……!」

「だって、爛がこっちを向いてくれないからでしょ!」

 

 香は爛が自分の方を向いてくれないため、そっぽ向かれないために、力強く抱き締めていた。

 

「……分かった!分かったって!」

 

 爛は折れて、香にそう言った。

 

「えへへ~♪じゃあ、爛もギュッてしてくれる?」

 

 嬉しそうな表情で香はそう言うと、爛は何も言わずに抱き締める。

 

「これで満足なのか?香姉」

「うん!」

 

 爛が香に尋ねると、満足そうな顔でそう言ってきた。

 

「………………」

 

 爛は悩んでいるような顔をしている。

 

「どうしたの?」

「あ、いや。最近、六花たちに会ってないから、どうしてるのかなぁ、と」

 

 爛がそう言うと、香は不満そうな顔をする。

 

「むぅ……」

「ど、どうしたの?」

 

 爛はどういうことなのかが分からずに、驚いた顔をする。

 

「……私が居るのに、何で他の子のことを考えるの?」

「か、香姉?」

 

 低い声でそう言ってきた香に、爛は驚くしかなかった。

 

「何で?何で私のことを見てくれないの?どうして?魅力がないから?六花ちゃんたちの方が魅力があるの?あのときにいってくれたのは嘘だったの?それとも興味が私にはなかったの?爛を満足させることができなかったの?不満があったの?見捨てるの?私から離れていくの?自分が満足してただけだったの?もしそうなら私はどうすればよかったの?ねぇ、爛。教えてよ。私はどうすれば爛とずっとずーーーーーーーーっと一緒に居ることが出来るの?教えて?私わからないから教えてもらえないと何もできないの。こんなに爛を愛しているのに、爛に見捨てられたら私、生きていくことなんて出来ないの。だからお願い。六花ちゃんたちじゃなくて、私を見て。私だけを見つめて。私の声だけを聞いて。私のことだけを愛して。私だけを触れて。そうしてくれたら、私は何だって出来るの。愛してくれている爛のためなら、私は何だってするの。命だって捧げることが出来るの。だって、爛の一番が私だって言うんだったら、私はそれだけでも嬉しいの。私、爛を触れるの好きなんだよ?私だってずっと爛のことしか眼中にないし。真っ黒な髪の毛。真っ直ぐな瞳。微笑む顔は可愛いし、体を触れていても飽きない。色々としている手は綺麗だし、体の隅々が好きなの。これは爛だからだよ?」

「━━━━━━━━━━」

 

 目のハイライトを消して、爛の耳元でずっと呟き続ける香に、爛は唖然とするしかなかった。

 

(あ、愛が重たい……。

 六花たちにでも感化されたのか……?)

 

 爛は、ここまで香がこうなるとは思っていなかった。嫉妬程度ならばいいのだが、それを通り越したが故に、爛は驚いていた。

 

「ねぇ、爛。爛は……私を愛してくれるよね?」

 

 香はハイライトを消した状態の瞳を爛に近づける。爛は、今の香の状態を六花たちから今まで感じることがなかったため、すごく焦っていた。

 

「う、うん。愛してるよ」

 

 こういうしかなかった。としか言えないだろう。もし、愛していないなどと言った日には、殺されているか、彼女が自殺をするかもしれない。できれば、そのようなことは避けておきたい。 

 それを聞いていた香は、花が咲いたような笑みで此方を見ている。

 

「えへへ~♪ありがと~♪愛してるよ。爛」

 

 そう言うと、香は爛に顔を近づけてくる。

 

「あ、あはは……ッッッ━━━━━!!??」

 

 爛はいきなり唇を塞がれたことに驚く。

 香が爛にキスをしたのだった。

 

「ん……ちゅ……ぢゅる……んぁ……♡」

 

 ただわかることは、いつもよりも積極的であること。

 頭の中が徐々に白くなっていく。ぼーっとしていく。甘ったるい電流が頭の中に流れていく。

 何も考えられなくなる。弱いところを、全て舐められていく。

 快楽に呑み込まれていく。キスは長く、もうしばらく続けられれば、完全に快楽に堕ちてしまう。

 

「……ご馳走さま、爛♡」

 

 香はそう言うと、未だにぼーっとしている爛の胸に顔を埋める。

 

「香姉……」

 

 爛は小さな声で香を呼ぶ。

 

「どうしたの?爛」

 

 埋めていた顔を上げて、爛を見つめている。

 

「いや、さっきのキスが……病み付きになっちゃって……」

 

 爛は顔を赤くさせながら、香を見つめる。

 

「……!可愛い!やっぱり爛は可愛い!」

 

 香はそういって、爛は仰向けにさせて、馬乗りになる。

 

「うぅ~……余りにそういうことを言わないで……恥ずかしい……」

 

 目線を外して、顔を背ける。

 とても見せられないような顔だ。

 だが、それは関係ない。もう香を止めることはできなさそうなのだ。

 

「もぅ!爛は天使!このままいただきます!」

「か、香姉~~~~~~~~~~~~~!」

 

 歯止めが効かずに、香はそのまま爛を襲った。

 結果、爛は隅々まで香に食べられたのだった(意味深)


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