「お・に・い・ちゃぁぁぁぁぁぁん♡……とぉぉぉぉぉ!」
明は爛の方へと走っていき、飛び込むように爛に抱きつこうとする。
「っ、と、飛び込むなって!危ないって!」
爛はそう言いつつも、飛び込んでくる明をしっかりと受け止める。なんだかんだ言いつつ、明のことは好きなのだ。
「えへへ♪別にいいじゃ~ん♡やっと、帰ってきたんだからぁ~♡何なら、一緒にお風呂にでも入る?」
爛に抱きついて頬擦りをする明は、甘い声で爛にそう言う。
「ま、まぁ、別にいいけど……。」
「それじゃ、決まりだね!」
「って、おい!」
爛は渋々そう言うと、明は爛の手を引いて風呂場の方へと向かっていく。
「で、やっぱりこうなるのか………。」
湯船に浸かりながら、爛は苦笑いをしながらそう呟く。
「嫌なの?お兄ちゃん……。」
「嫌な訳じゃないけどさぁ………。」
シュンとした声で爛に尋ねると、苦笑いをして爛は返す。
「だって、私は六花ちゃんやリリーちゃんと違って、そんなに胸ないし………。」
「あ、あのなぁ………。」
明は自分が気にしているところを思いっきり爛に暴露してしまい、爛は頭を抑える。
「別にな?人それぞれの物ってあるもんなんだ。別に、気にするほどでもないぞ。」
頭を抑えながらも、爛は明にそう言う。
「ホント!?」
「………まぁな。」
明は目をキラキラさせて、爛の方を向くと、爛は別の方へと視線を向けながら明にそう返した。
「えへへ♪やっぱり、お兄ちゃんのこと大好き♡」
明はそのまま爛の首に腕を回し、恥ずかしがることもなく爛に抱きつく。
「………そうか……///」
爛は少しだけ恥ずかしがりながら、明を抱き締める。二人とも素肌を晒して抱き合っているため、お互いの体温を感じやすかった。
「……もう、あがろっか。」
「まぁな……。のぼせるからな……。」
先に明からあがることになり、後から爛があがり、寝間着に着替える。
「ね、お兄ちゃん。」
「ん、どうした?」
明は何かをしたそうに、自分の後ろに手があり、何か隠しているように感じられる。
「……耳掻きか……?」
「そ、そう。でね、お兄ちゃんに耳掻きしてもらいたいなぁ……って、……良い?」
隠していたのを見ると、そこには綿棒が入っている箱だった。
「ん、……まぁいいぞ。」
爛はベッドの方に移動し、明が横になっても落ちないようにベッドの上で正座をし、ポンポンと膝を優しく叩く。
「じゃあ、やろうか。」
明は綿棒が入った箱を爛に渡すと、爛の膝に頭をのせる。
「先ずは……、耳の縁から。」
爛は綿棒を手に取ると、明の耳の縁に綿棒を入れ、掃除を始める。
繊細な手つきで耳掃除をする。女性だと間違われても仕方ないほどの爛は巫女服で耳掻きも合うかもしれないと明は顔を赤くしてそう思った。
「……どうした?顔が赤いが……。」
爛が手を止め、明の顔を見ようとしたとき、明がそれを止める。
「だ、大丈夫だから!続けてくれる?」
明は顔が赤くなっていることを知ってほしくないのか、爛を止める。
「……あぁ。」
爛は特に何もないか、何か考えているのかと感じたが、明のことでもあるから、爛は深く追求することはなかった。
「……ちょっと待ってろ。」
突然爛から放たれた言葉。明は爛の膝から離れる。
「少し目を瞑っててくれ。俺がいいと言うまでな。」
「うん。わかった。」
爛はそう言うと、ベッドから降り、別の部屋の方に入っていった。
(何をするのかな……。もしかして…、やっと私に……!)
爛が離れていったことで明は目を瞑りながら良からぬことを考えていた。
「……目を開けても良いですよ。」
突然、敬語で言われた言葉。明はそれに驚き、目をすぐに開ける。
「…………………………。」
「…………………………///」
女性がいる。それしか言葉になかった。それくらいの美貌だ。つい、見とれてしまう。明の目の前にいる女性は顔を赤くし、視線をそらす。
「………お兄ちゃん?」
明は目の前にいる女性にそう尋ねた。それを聞いた女性は明に笑みを見せた。
「はい。」
黒髪の巫女服の女性は爛であった。いつもの話し方とは違い、敬語になっていた。
「いつもその姿だと白髪なのに……。」
「それは、魔力によってそうなるだけです。意図的に髪の色を変えることもできますよ。」
爛は微笑みながらそう話し、ベッドの上で正座をする。
「さあ、続きをしますよ。」
「あ、うん。」
明は爛の膝に頭をのせ、爛は耳掻きを再開する。いつもよりも優しく、耳掻きが爛にされることにより、いつも以上に快楽が明を襲っている。
「……自分で耳掻きをしていますか……?」
爛から指摘されてしまったところ。どうにも、明の耳が掃除されていないようだった。
「ごめん。最近、忙しくてやってる時間がなかったの……。」
「確かに、それでしたら誰だってあるものですね。」
明の理由に爛は納得しながら、明の耳を優しく掃除していく。
(あ、気持ちいい………。癖になっちゃいそぅ……♡お兄ちゃん、気を付けて優しくしてくれるから、自分でやるより気持ちいいよぉ……♡)
明は既に瞼が落ちかけていた。余りの快楽に眠ってしまいそうであった。
「はい。片方は終わりましたよ。では、反対の方を見せてください。」
そのまま眠りにはいると思いきや、爛の優しい声が明を覚醒させる。明は爛の方を向いて、左耳を見せる。
「左耳の方をしていきますね。」
爛はそう言うと、縁の方から耳を綺麗にしていく。
「~♪~~♪~♪~~~♪~♪~~♪~~~♪~~~♪」
爛は鼻唄を歌いながら、丁寧に、優しく掃除をしていく。
明は、爛のその歌に聞き惚れていた。
「………はい。終わりましたよ。」
縁から丁寧に奥の方まで綺麗にすると、爛は同じように優しい声音で話す。
「ありがとう。お兄ちゃん。」
明はそう言いながら、爛の膝から起き上がる。
「さて……、それではいいですね?」
「え?」
爛が笑みを浮かべながら明に尋ねるが、何のことだが分かってはおらず、素っ気ない声をあげてしまった。
「忙しい。というのは嘘ですよね?私に耳掻きをしてほしいという理由だけでしてなかったのですね。」
「ギクッ。」
爛は明の嘘を既にお見通しだったようだ。明は焦り始め、苦笑いをする。
「ということで、罰として抱き締めます♡」
普通は入るはずのないものが入っていた。それは♡。♪ならまだしも、流石に爛で♡が入るとは思ってなかった。というか、明自身、爛がこれほどに可愛い声で言うことがなかったため、少しだけ唖然としていた。
「では。……ぎゅー。」
爛は明の傍で思いっきり抱き締める。
(罰というより、これはご褒美だよね!?え!?罰が何でご褒美みたいな抱きつきなの!?私を虜にしようとしてるのお兄ちゃんは!?)
明は、爛が思いっきり抱きついてきたことに驚いているが、これが本当に爛の罰なのかと疑うほどに、明からすればご褒美に値するものだった。
「ん~♪」
「わっ、お兄ちゃん。スリスリしないで、くすぐったいって♪」
爛は満足そうな顔をして頬擦りをする。明は目をハートにしながら、爛の頬擦りにくすぐったさを感じていた。
「駄目です~♪私が満足するまでずっとこうです♪」
爛は満面の笑みでそう言い、明に抱きつきながらも押し倒す。
「眼、見えてるよね?」
「ええ。まだ、変える時ではありませんが。」
爛の目は両目とも黒と黄金の色ではなく、少しだけ灰色に近い色だった。
「でも、本当によかった。眼が見えなくなる何てことがなくなって。」
「あぁ。また、お前たちの顔が見えてよかったよ。」
明は爛の目のことについて心配をしていると、元に戻った爛が自分の手を見つめながらそういった。
「いきなり戻るなんて……、驚くよ?」
「ハハハ、悪いな。」
明は頬を膨らまし、爛にそう言うと、爛は抱きついていながらも、笑みを浮かべて言った。
「……一輝さんの顔が見れて良かった?」
明は爛を見つめて頬に触れる。爛は頬に触れた明の手に覆い被さるように自分の手で触れると、嬉しそうな笑みを見せた。
「あぁ、良かった。いい顔だったよ。あの時から、気になってたんだ。髪の色は?眼の色は?顔立ちは?髪の形は?その眼差しは?そう。気になり続けていたよ。」
爛は一輝の顔を
「まぁ、この話は置いておこう。追加の罰、な?」
「え?」
爛はニヤリとすると、追加の罰と言い放ち、明はまたもや素っ気ない声をあげる。
「……なぁ、久しぶりに……するか?」
爛の甘い声が明の理性を崩していく。というか、耳掻きの時点で崩れかけているのだが、止めと言わんばかりに、爛の甘い声で、明の理性が完全に崩れた。
「もう……、今日は寝かさないよ?」
「それはこっちの台詞だ。今日は逆にこっちが寝かしてやらないからな。」
二人は愛の思いを重ねながら、二人の体は重なりあう。
明日。明が何故かツヤツヤしており、爛がキラキラしていたのは言うまでもない。何故か、爛までもだ。
爛が甘くなった……だと?まぁ自分が書いているのでなんとも言えないのですが?次回は……、香か沙耶香のどっちかでしょう!