落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~   作:火神零次

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爛「おい、題名さ、絶対ゲームのところから引用したよな作者。」
作者「いや、爛の状態を書かなくちゃいけないときにこれしか思い浮かばなかったの。」
爛「あー、それは仕方ないな。」
作者「第8話、読んでくださいね!」


第8話~人ならざる者~

 人ならざる者へと変わった爛は、魔力とは別のものを感じさせている。爛の姿が変わったことに、観客は驚愕する。この姿を知っているのは姉の香と妹の明。そして、爛の家族しかしらない。刀華と愛華は驚き、手を止めてしまう。

 

「爛・・・君が言っていたのはこの事か・・・」

「イッキ?」

「いや、何でもないよ。」

 

 一輝は爛に前から言われていたことがあった。そのときは何も分からなかったが、爛の姿が変わったことに一輝は爛が言いたかったことが分かったのだ。それは、自分達も巻き込んでしまうかもしれない自体に。フィールド内になぜか、炎の羽が落ちていることに気付く。上の方に向くと、炎の羽が綺麗に落ちていた。まるで紅葉が落ちていくように。すると、炎の羽が一点に集中し、少しずつ形になっていく。

 

「陰陽師の血を引き継いでいる者として、この力を見せてやる。朱雀召喚。激、敵を一掃せよ。」

 

 少しずつ形になっていったものは、炎を纏った鳥、四神獣の朱雀だった。朱雀は南の神獣であり、夏の朱雀とも呼ばれる。朱雀が咆哮をあげると、フィールド全体に炎の羽が飛び散る。その羽は高密度に圧縮された羽。本能的にマズイと思った二人は後退するが、フィールド全体に羽が飛び散っているため、避け続けることはほぼできない。そう考えた二人は霊装を振るい、羽を退ける。

 

「流石に長時間は召喚できないか。」

 

 爛はそう呟くと、朱雀が少しずつ形を崩していき、完全にいなくなる。炎の羽も同じようになくなっていく。

 

「愛華!」

「分かってる!〈麒麟〉!」

 

 愛華は自身の伐刀絶技(ノウブルアーツ)を使う。雷を纏い、まっすぐに突き抜ける伐刀絶技。まさに『麒麟』という名でもかわりないほどに。愛華と爛がぶつかり合い、つばぜり合いをしている。

 

「くっ!」

「はあっ!」

 

 愛華はつばぜり合いに押し負けてしまい、後退させられる。

 

「《雷切》!」

「うおっと!危ない危ない。」

 

 刀華はつばぜり合いをしている間に、爛の後ろに回り込んでおり、そこから〈雷切〉を見舞う。爛は即座に対応し、雷切を防ぐ。

 

「はあぁぁぁぁぁ!」

「っ!うおぉぉぉぉ!」

 

 刀華が、雷切で使えるすべての力を使っていることに気付いた爛は、それに対応するように力を使う。

 

「くっ!《麒麟》!」

「っ!《身体能力・神速化(アクセラレート)》。」

 

 愛華が再び〈麒麟〉を使ったことに気付くと、身体能力強化では間に合わないと踏んだ爛は伐刀絶技を使い、一気に後退する。

 

「ホント、二対一はキツいな。」

「そう言ってるけど、理事長とかにも二対一で勝ってるんでしょ?」

「まあな。」

 

 刀華と愛華は爛の力に敵わないと思ったのか、最大限に力を溜める。そのことに気付いた爛は、次が最後の一撃だと分かり、爛も同じように力を溜める。

 

「一矢報わせてもらいます!《建御雷神(たけみかづち)》!」

「全力で行くよ!《雷迅双破(らいじんそうは)》!」

 

 刀華は磁力を越え、爛に向かって突撃する。愛華は脚に雷の力を使い、一気に突き進む。爛は右腕に力を溜め、刻印ができると同時に走り出す。そして、三人がぶつかり合う時、爛は伐刀絶技の名を呟く。

 

「《刻印の力の一閃(イグニートレイ)》。」

 

 三人がぶつかり合うと、強い光が放たれ、観客はその光から目を背ける。しばらくすると、光がおさまり、フィールドの方を向くと、立ち尽くしている爛と、その場に倒れている刀華と愛華が居た。爛は人間に戻っており、刀華と愛華の霊装は壊れており、意識を失っていた。そして、香が合図を出す。

 

「そこまで!勝者、宮坂爛!」

 

 爛の勝利となり、観客は驚愕する。それもそのはずだ。校内一位の『雷切』と『麒麟』に勝ったということになる。この大判狂わせは、後に爛の過去を聞かなければならない自体になり、爛が狙われることになる。刀華と愛華は破軍学園の救護係に運ばれていった。

 そんな大判狂わせをした爛であったが、すぐに自室に戻っていた。

 

「くっ!やっぱり、抑えきれてないか・・・!」

 

 人ならざる者へと変わったときの反動か、右腕に激痛が走っている爛。人ならざる者のことを知っている者は、爛の言っていることが分かるのだが、それは話すときが来る・・・それまで待ってくれ・・・

 激痛が収まり、爛は、刀華のいる部屋、医務室へと向かっていた。

 

「居るか?刀華。」

「居ますよ。」

「入ってもいいか?」

「どうぞ。」

 

 刀華から許可をもらい、医務室に入る。そこには刀華だけではなく、愛華も居た。

 

「二人して居たんだな。」

「ええ、二人して同じ部屋に居ましたから。」

「んで、刀華。何で敬語なんだ?」

「あ、つい・・・」

「お前らしいな。」

 

 そう言いながら笑ってしまう爛。何か疑問に思ったのか愛華が聞いてくる。

 

「それで、何で来たの?」

「まあ、様子を見に来たんだけだが、大丈夫そうだな。」

「まあね、私達も柔じゃないから。」

「そうだったな。」

 

 三人で話していると、医務室の外がやたらとうるさいことに気付く。

 

「何か、うるさくないか?」

「そうだね。」

「ま、それはいいとして、戻ってもいいか?」

「うん、いいよ。」

「じゃあな。」

 

 爛は医務室を出ると、手帳にメールが届いており、それを見ると、一輝からメールが来ており、それを見た爛は教室に向かう。教室に入ると一輝の近くに行く。

 

「どうした?」

「そんなに時間が掛かる訳じゃないけど、これ、何とかしてくれる?」

「ん?」

 

 一輝が指をさした方向を向くと、ステラともう一人の少女が睨みあっていた。一輝の方を向くと一輝は苦笑いをした。

 

「しょうがないな~」

 

 睨みあっている二人はついには霊装を顕現し、本気でぶつかろうとしている。それにマズイと思った爛は霊装を顕現する。

 

「「っ!?」」

「二人とも、こんなところで霊装を顕現するのは止めてくれ。消化作業はごめんだ。初めましてだな、『黒鉄珠雫(しずく)』。」

「・・・・・・」

「おっと、俺も軽率だったな。俺の名前は宮坂爛。よろしくな。」

「・・・よろしくお願いします。」

「まあ、二人とも止めてくれ。こっちが面倒になるし、最悪の場合、退学の可能性があるんだから、霊装を今すぐ解除。一輝は黒乃のところに行って、罰を受けるんだ。勿論、お前らもな。」

 

 爛はステラと珠雫が霊装を解除すると、自身の霊装も解除する。一輝達と理事長室に行く。

 

「おう、黒乃。」

「どうしたんですか?師匠(せんせい)。」

「あー、ついさっき電話した通りだ。」

「成る程。黒鉄とヴァーミリオンは?」

「連れてきた、入ってくれ。」

 

 爛が一輝達を呼ぶと、理事長室のドアが開き、一輝とステラ、珠雫が入ってくる。爛は黒乃の横に立っている。

 

「罰則だが、霊装を顕現した場所、許可をとらなかったこと、だ。黒鉄、お前は止めるはずの立場だろ?」

「すみません。」

「取り合えず、この事に関しては、師匠に任すから師匠は罰をしてやってください。」

「取り合えず、全員有罪(ギルティ)。罰としては、七星剣武祭選抜戦の初戦を無傷で突破することだ。反論は受け付けないからな。」

 

 爛からの罰に反論したいステラと珠雫だが、爛の言っていることは正論なので、反論をすることができない。一輝は苦笑いをしていた。

 

「ん、じゃあ終わり。」

「よし、戻っていいぞ。」

 

 罰則を受けた三人は理事長室から出る。爛も同じように出ようとするが・・・

 

「待ってください。」

「ん?」

 

 黒乃は爛を引き留め、あることを聞こうとする。

 

「模擬戦の時のあの姿、あれは一体・・・?」

「やっぱり気になるか。何も言ってなかったからな。」

 

 爛は一つため息をつく。爛が言ったのは黒乃にとって、最悪の展開を考えなければいけないことだった。

 

「俺の力は、研究サンプルとして扱われる。研究サンプルを作ってるのは『国』だ。最悪の展開を考えとけ、黒乃。」

 

 爛はそう言い、理事長室から退室する。黒乃の頭の中は最悪の展開を描いていた。

 

「まさか師匠は・・・」

 

 爛は自室に戻り、久しぶりに本を読むことにした。しかし、余りページが進まず、霊装を顕現できる場所に行き、霊装を顕現させる。しかし、爛が顕現した霊装は刻雨ではなく、別の霊装であった。

 

「久しぶりに持ったな。やっぱり手に馴染む。」

 

 爛が持っているのは刻雨と同じ、刀型の霊装だが、刃や柄は真っ赤になっており、まるで血がついた刀を握っていた。

 

「でも、七星剣武祭にも使うことはないかな。」

 

 爛はその霊装を振るい、前の感覚を掴む。爛は霊装ごとにスタイルを変えているため、そのときの霊装の感覚を掴まなければならない。爛は霊装を振るい続け、元の感覚に戻す。

 

「まあ、俺の相棒として、これからもよろしくな。」

 

 霊装に語りかけると、その霊装を解除し、また別の霊装を顕現する。

 

「これが、七星剣武祭とかで使いそうなんだよなぁ。」

 

 そう言いながら、刀型の霊装をまじまじと見る。その刀は先程顕現した霊装と配色は似ているが、黒で統一されている。

 それから数十分、自身の霊装を振るい続けていた爛は、止めることにし、自室へと戻る。自室に戻り、家事をしていると、部屋のインターホンがなり、玄関を開けると・・・

 

「どうも~こんにちは。」

「こんにちは。ところで、何でお前が来た?」

 

 爛の目の前に現れたのは、同じ一年一組の『日下部加々美』。記事を書いたりしているらしい。夢はジャーナリストとか。爛が出ていた模擬戦に来ていたのだろう。爛のことを興味津々に見ていた。

 

「理由は簡単ですよ。先輩の強さの秘密に迫りたいと思いまして!」

「成る程ね。因みに、一輝もそれに該当するかもな。」

「え、どういうことですか?」

「あいつも俺に劣らない力を持ってる。剣術で言えばあいつの方が上かもしれない。」

「でも、一位の二人に勝った先輩の強さを教えてください!」

「興味津々なこって・・・」

 

 爛は一つため息をつくと、加々美を部屋の中に入れ、お茶を出す。

 

「では、聞かせてください!」

「はい、待った。」

「なんですか?」

 

 爛は、この時間に加々美が来たことに少し疑問に思ったのを口にする。

 

「加々美お前、夕食どうするんだ?」

「あっ・・・」

 

 案の定、夕食のことなど考えておらず、爛に言われたときに、やっと気付く。

 

「お前、ルームメイトって居るのか?」

「居ますよ。」

「なら時間考えような。」

 

 加々美が来た時間は、午後6時。なにがなんでも遅い。爛としては部屋に戻ってもらわないと困るのだ。そこで爛は、加々美にこんなことを言う。

 

「聞くのは構わないが、俺もちょっと家事とかをしなきゃならない。取材は次にお預けでいいか?それこそ、一輝とかが居るところで。」

「確かにそうですね。・・・分かりました。取材は後日と言うことで。失礼しました!」

(回避成功っと・・・)

 

 爛は、加々美が部屋に戻っていったのを見て、ほっとしてしまった。理由とすれば加々美の執着心が半端ないからだ。後々面倒なことになることに、爛はため息をつく。爛は、すぐに家事に取りかかり、夕食を食べていた。

 

(まさか、本当に当たるとはな。面倒なことになりそうだ。)

 

 爛は黒乃から届いたメールを見ると、爛が黒乃に言っていたことが本当になることになってしまったのだ。『ノヴァの騎士誘拐作戦』。これは、ノヴァの騎士の力を持つ、魔導騎士、学生騎士を誘拐し、人ならざる者の研究をし、サンプルを作り、その他の騎士にもノヴァの力を持たせること。そして、誘拐していくのを見た等、嘘の情報を流し、誘拐したグループを見つけないように作戦。それと同時に『炎竜討伐(ベオウルフ)作戦』も、実行することになった。これは、破軍学園を潰すということ、一輝の父がやるという可能性も否定はできないが、もしかしたら『ノヴァの騎士誘拐作戦』を遂行するためには、『炎竜討伐作戦』が必要になるのかも知れない。『ノヴァの騎士誘拐作戦』の目的はノヴァの力。あらゆる手段を問わないということだ。事実、ノヴァの力を持っているのは爛である。その力は使いこなしてはいるものの、完全とまではいかない。この作戦を立案した者は、破軍学園にノヴァの力を持った人間が居ること。そのためには、『炎竜討伐作戦』で破軍学園を潰すこと。しかも、その二つの作戦には『解放軍(リベリオン)』もついているとのこと。ノヴァの力は絶大なため、最大戦力で爛を捕まえに、そして、破軍学園を潰すために。『解放軍』とは、自分達、用は解放軍の自分達を『選ばれた名誉市民』等と言い、平気で人に危害を加える。爛はそのせいで、一人の家族を失っていた。爛は解放軍に怒りを覚えている。復讐を誓っている。それほどに愛していた家族を失ったことは、爛にとっては大きな代償なのだ。この二つの作戦が始動するとき、爛は完膚なきまで、叩き潰すと考えていた。

 復讐に走っていく爛。この二つの作戦との関係は一体?

 

 ーーー第9話へーーー

 




作者「破軍学園の襲撃に一つ増やした作戦。」
爛「長くないか?作戦名。」
作者「仕方ないね。」
爛「そして、俺の復讐への道。」
作者「なんか色々と番外編とか、外伝とか作った方がいいのかも知れなくなってきた。というか、5000文字は疲れた。」
爛「書かなくちゃいけないのが山ほどあるし、作者の脳内がパンクしそうだな。」
作者「取り合えず、第9話も読んでくださいね!」

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