落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~   作:火神零次

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伏線?知らんな。
遅い?知らんな。

冗談ですごめんなさい。リアルで死神は今日も笑うのことを書いていたのですガチですごめんなさい本当にごめんなさい刃物持って殺しに来ないでくださいお願いします何でもはしません。

ということで今回は落第騎士の方に戻っていきます。


第70話~襲撃~

「……と、続きを話したいところなんだがな」

 

 颯真が沈黙を破り、話の途中で止めてしまう。

 

「どうしたの?」

 

 一輝はどういうことなのか尋ねる。その瞬間、話していた部屋のドアが開け放たれる。

 

「大変なことになったぞ、一輝……!」

 

 焦った顔で爛が部屋の中に入ってくる。

 

「どうしたの?何か、あったの?」

 

 焦っている爛に驚きつつも、冷静に聞いてくる一輝。しかし、ただ事ではないと誰もが感じていた。

 

「破軍が、襲撃されている……!!」

「なっ!?」

「えっ!?」

「…………………」

 

 あり得ないような言葉に、言葉を失う一輝たちだが、アリスだけが、何かを知っているように黙り込んでいた。

 

「知っているなら、話してもらうぞ。有栖院凪」

 

 爛はアリスの方を向きながら、鋭い目付きで見詰めている。

 

「えぇ、知っているわ。襲撃の件もね」

「どういうことだ」

「アリス……!?」

 

 潔く話を始めようとするアリスに、睨むような目線をぶつける颯真と、どういうことか知らない珠雫。

 しかし、全員がアリスに向けている目線には、個々で違う考えが出ていた。

 

「アタシは元々、その襲撃のメンバーに入っていたの。貴方たちを確実に殺すためにね」

 

 アリスの口から放たれたものは、予想外のものだった。

 ……正直にネタバレをするが、急展開すぎて追い付けていないだろうか?

 

「どうして…!?どうしてなの…!?」

 

 珠雫が泣き崩れる。今まで信用してきた友人が、裏切り者だったということだ。

 しかし、アリスはそれを否定することになった。

 

「違うわ。貴方たちに、それを断ち切ってほしいの」

「信用ならないな。ならなんで、俺を殺せたはずの時に殺そうとはしなかった」

 

 アリスは首を横に振りながら話すものの、爛は信用に足るものではないとすぐに判断し、アリスに尋ねた。

 

「それは、その時には既にやる気はなくなっていたからよ」

「………………………」

 

 アリスは爛にその理由を言うものの、受け入れてもらえるなどと考えておらず、また爛も、受け入れようとは考えなかった。

 しかし、爛にとっては、手を出してこなければ、基本的になにもしない。

 

「信用に足る確証がほしい。一つ条件だ」

「何かしら?」

 

 爛は既に敵対していることに気づいていたため、確実に安心をすることを出来なかったのだ。

 

「相手の情報と、襲撃してきた意味を話してもらう」

 

 敵を裏切るのであれば、その情報を貰いたい。と、爛の中にも、敵に対する策を練り始めているのだ。

 

「いいでしょう。でもね、どうしても情報を集めることができなかった奴がいるのだけど」

「そいつは構わない。大体、予想がつくからな。全く、こういうときにあいつを動かさないようにしてて良かったと思うよ」

 

 アリスはそれを快諾する。情報を集められなかった者が居るが、既に爛は予想ができているのか聞こうとはせず、苦笑いをした。

 

「っと、こんな話をしてる場合じゃないな…!」

「でも、ここから破軍までどうやって……」

 

 颯真は破軍に戻ろうと意気込むが、リリーが言っている通り、破軍に帰る術を爛たちは持っていないのだ。

 

「いや、その辺は大丈夫だよ」

「え?」

「そうだな。爛がその術を持っているからな」

 

 六花と颯真は既に気づいている様子で話しており、明も二人の言っていることに、頷いているため、気づいている様子だ。

 

「ほら、さっさと行くぞ!」

 

 爛は既に玄関前に立っており、一輝たちが気づくように声を出していた。

 一輝たちが爛に続くように外に出ると、真っ黒な車があった。

 

「ささっと乗れ!全員が乗れるようになってる!」

 

 爛は運転席に座り、既に発進できる状態になっていた。

 

「皆、乗って!」

 

 六花が助手席に乗り込み、一輝たちは後ろの席に乗り込む。

 

「全員乗ったな!出るぞ!」

 

 爛はブレーキを掛けずに、アクセルを踏み込む。急いで行かなければ、大惨事になりかねない。

 

「見た目より広い……」

「俺が改造したからな。こんな人数を乗せるつもりは全然なかったけどな」

 

 リリーがそう呟くと、爛が説明を始める。

 

「全く、車に境界を作るなんて考えがつくわけないだろう……」

 

 先ずこんな発想はないだろう……。

 そう思いつつ、急いで破軍学園へと行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……!?」

「嘘………!!」

 

 前に座っている爛と六花が見たのは、可笑しな光景だった。

 

「絢瀬ッッ!!」

「折木先生ッッ!!」

 

 絢瀬と折木が倒れていたのだ。あり得ないはずだ。倒れている場所は校門前とも言ってもいい。

 爛と六花は急いで降りて二人の安否を確認しに行く。しかし、爛はここで、車の扉にロックをかけ、一輝たちが出られないように施す。

 

「ちょ!?ラン!」

 

 ステラはそのことに気づいたのか。扉を開けようとする。

 

「ダメよ」

「どうしてなんですか!?」

 

 ステラと同じく出ようとする珠雫は聡美が言い放ったことに叫びながら尋ねた。

 

「彼には、考えている展開がある。私たちは、彼に従った方が良いの」

「だからって………」

 

 決して開けることのできない扉と、聡美の言葉により、ステラと珠雫の刃が納まる。

 

「絢瀬!折木!」

 

 二人のところへと

 気を失っているのか、二人は起きる気配はしなかった。死んでいるわけではないため、気絶させられたか幻想形態で斬られたかのどちらかだろう。

 

「ッ……!六花、下がれ!」

 

 爛は絢瀬と折木を抱えると、何かに気づいたのか、六花にそう叫んだ。

 

「…………!」

 

 六花は爛の言った通りに急いで下がると、六花と爛が居たところに、何かが降ってきていた。

 

「ッ、お前たちか…!」

 

 爛が睨んだ先には、破軍を襲撃したであろう人物が煙の中から出てくる。

 

「…………………………」

 

 黒い長髪の男が、爛を見詰める。その隣には、とても見覚えのある少女がいた。

 

(沙耶香か………!)

 

 それが沙耶香だと気づいた爛は少しずつ、下がっていく。

 

「……お前たちが、二人をやったのか……?)

 

 爛は悟られぬよう下がりながらも、絢瀬と折木を幻想形態でやったことを尋ねる。

 その質問に、答えたのは───

 

「そうですよぉ?」

 

 道化(ピエロ)だった。

 

「……道化(ピエロ)気取りか?」

 

 爛は敢えて全力で威圧はせず、小さな殺意を向ける。道化(ピエロ)はその殺意に気にも止めなかった。

 

道化(ピエロ)気取りだなんてお酷い方ですねぇ」

道化(ピエロ)だって言うのなら、切り札(ワイルドカード)はあるはずだろう。特に、俺に対してのな」

 

 爛は既にわかっていた。アリスからの情報で、自分を捕まえることを。

 そのためには、捕まえるための切り札(ワイルドカード)が必要になる。

 

「ッ、六花!絢瀬と折木を連れてここから逃げろ!」

「でも、爛!」

「いいから早くッッ!!!」

「………………!!!」

 

 六花の側まできた爛は絢瀬と折木を渡し、刻雨(こくさめ)を顕現する。

 六花は戻ることに躊躇うが、怒りを含めた声が響き渡り、六花をおさえつけた。

 

「………ッッ、気を付けてね!」

「─────分かってるよ」

 

 六花は車へと向かって走り出す。

 爛は最後に、とても優しい声で六花に聞こえるようにそう言うと、鋭い視線を沙耶香たちに向ける。

 

「どうせ、全員できたんだろう?ならば来い。俺が全てを相手にしてやる。せいぜい、どこまで俺を本気にさせてくれるのか───楽しみだぞ」

 

 闘争本能を剥き出しにして、笑みを浮かべる爛は、戦いの中へと身を沈める。

 復讐の機会が訪れていることを知らずに。

 

 

 ーーー第71話へーーー




急展開ですが、爛が六花を車へと戻した理由は次回わかることになります。
ほぼやりたい放題のように進めているように見えますが、ご了承ください……このようになっているのです……。
過去に関しては、完全なオリジナルとして入れるところがあるので予想してくださると嬉しいです。
因みに、ゴッドイーターのところに関しては、原点関連です。


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