この話はあるゲームをやったことがある人は帝王の方がわかるかな?
「……居た!」
「数が増えてないか…!?」
六花は化物と戦っている人を見つける。
颯真は辺りを見回すと、化物の数が増えていることに驚きの声を出す。
「やるしかないだろう……。俺だって、六花を危険に晒したくないさ……」
爛は剣を手に取る。既に、爛は殺気を向けている。
「それは分かってるけどさ……でも、やるしかないのか…」
颯真は顔を俯かせるが
それもそうだろう。油断すれば殺される可能性がある。
「僕も戦うよ……爛に守られてばかりじゃ、強くなれない。怖いけど……やるしかないから」
六花も同じように
「……行くぞ……!」
爛は一言だけ二人に言うと、一気に加速して化物たちの中に切り込んでいく。
「六花、あんまり無茶をするなよ。爛が悲しむからさ」
「分かってるよ。僕だって、爛や颯真が傷ついてほしくないし」
颯真は六花を気遣うようにそう言うが、六花は首を横に振って走り出す。
「ッ、退けぇ!」
爛は化物たちを斬り伏せながら、駆け抜けていく。鮮血が飛び散り、爛を汚していき、赤く染め上げる。
「チッ!邪魔するなぁ!」
自分を狙って走ってきた化物を、一瞬にして切り刻み、化物が倒れる。
「消え失せろ!」
爛は周囲にいる化物たちを一掃するために、剣に力を溜める。
「オオオォォォォォ!」
爛の加速は光の速さと同等となり、周囲の化物たちを確実に、絶命させる。
「ハァ!」
颯真も化物を斬り進めていく。その目には慈悲など無く、彼は既に恐怖という概念をなくし、機械が決められたことを何も考えずにやることと同じように、ただ化物たちを殺すためだけに『殺す』という概念だけを残して、そこにすべてを注ぎ込む。
それが出来ないというのは、爛と六花、颯真にとっては有り得ない。
何故なら、元々感情という概念を無くすことができるからだ。
これが、元々の存在であるかのようにできる。
「ッ、せい!」
「シッ!」
足を止めるということはしない。時間はかけないのだ。かければかけるほど、数で不利である爛たちは最速で助け、この場を離れることが、今の状況で最善だからだ。
(あと少し………!)
爛はここで戦っている人物が、近くに居ることを察知した。
彼方も完全に戦いに集中しており、此方に気は止めていないようだ。
化物たちから鮮血が飛び散り、その影響で服が赤く染められていくが、気に止めることなどしない。
「ぐっ!?」
突然現れた黒い何かが、爛の目の前に振るわれる。
咄嗟に剣の腹で直撃を防ぐが、下からすくいあげられるように体は地面から離れ、まだ崩れていない建物へと吹っ飛ばされる。
「ガッ…ハァ…!」
爛は打ち付けられた衝撃で吐血するものの、衝撃を受け流すことで最小限のダメージで済ませる。
爛が睨んだ先には、黒い獣。顔は人の顔に近いものの、到底人とは思えないような顔だ。
黒い外郭に、黄金のマントのようなもの。そして、虎のような尾をもつ。
(正に『帝王』……か……)
爛は地面へと降りるが、黒い化物から目は離さない。
一瞬でも隙を晒せば殺されるからだ。
「……ッ!?」
黒い化物は爛の目の前に現れる。爛の動体視力を超えたのだ。
「チッ!」
爛は潜るように黒い化物の下を通り、壁を背につけないように立ち回る。
「……おいおい、何だよ……あれ……」
爛は目を疑った。黄金のマントのようなものは無くなり、そこからは翼のようなものが生えてきていた。
しかし、翼というには言い難いものの、攻撃に特化していることは見てとれる。
「……っ……っ……」
爛は後退るものの、化物にとっては数歩でしかない。
「ッ!」
(怖じ気づくなァ!この程度で怖じ気づいて何を守るって言うんだよッッ!!)
爛は恐怖を拒絶し、その概念を殺す。
一気に駆け出し、距離をつめようとする。
「……ッ!」
(もっと速く……もっとだ!)
化物は後ろに下がり、距離をとるが、爛はそのまま距離をつめていく。
「ッ!?」
何処からか視線を感じる。
殺意を向けられている。
直感でそう感じ取った爛は即座に、足を止めて後ろに下がる。
「ふざけるなよ……こんな量、俺が捌ききれるか……」
目の前に現れたのは、先程まで対峙していた化物とは違い、青いマントのようなものに、女性のような顔をした化物が10匹、守るかのように爛の前に居た。
「チッ、おい、逃げるぞ!此方にこい!」
その声を聞くと、爛は六花と颯真が声のした方にいるのを確認すると、警戒をしながら走り出す。
追いかけてくるのを感じた爛は、あるものをひとつ投げる。
「前向いて走れ!」
3人に届くように叫び、それを聞いた3人は爛と同じ方を向いて走り出す。
後ろの方では光が発せられ、化物たちは呻き声をあげ、あらぬ方向を向いている。
化物たちの姿形が見えなくなるほど走り続けると、爛の先を走っていた3人は爛を待っていた。
「よくあの中を生きられたな……驚きだよ」
「あんたは……」
ひとりの男のような人物は爛に手を差し出す。
爛は男の顔を見ながら、誰なのかと問う。
「俺か?俺は、『爛』だ。『宮坂爛』」
「なっ……!?」
「えっ……!?」
「………………」
男のような人物は、爛と同じだったのだ。
颯真と六花は知らなかったのか、驚きの声をあげて、『爛』の方を見る。
爛は何かを察していたのか、顔を俯かせて『爛』の顔を見ようとはしなかった。
「お前さんは、何となくわかってるようだな」
「あぁ、あんたも分かっていただろうに。居るとは信じたくもなかったし、こんな世界があることも知りたくはなかった」
『爛』は笑みを浮かべて、爛の方を見つめてくる。
爛は差し出された手をつかみ、『爛』の顔を見つめて、何かを考え始める。
「……世界が違うから、必ずしも俺が居るとは限らない」
「何か言ったか?」
「いや、何も」
爛は『爛』の存在に疑問を持つが、そのような世界もあるのだと思い、微笑をして『爛』から尋ねてきたのをやり過ごす。
「そうか。なら、話がある。長く話さないといけないから、ついてきてくれ」
『爛』の話に3人は頷き、彼の後ろをついて歩く。
3人は彼の話を聞き、そして、この世界の絶望を知る。
ーーー第69話へーーー
なんか、ほぼクロスオーバーだよねw
一番長くしてるのはfateだけど。
今回は短め。
次回への伏線みたいなものです。