二ヶ月近く投稿ができず申し訳ないです。
既に一周年経ってますね。クリスマスと一緒にして書いておきます。
「ここは……?」
辺りを見回す。
灰色の雲が空を包み込んでいた。
「これって……もしかして……」
背中に張り付いている六花が驚きの声を出していた。
それもそうだろう。辺りに見えるのは、発展していたはずの街が、廃墟と化しているからだ。
「こんなところを通っているって言うのか。あの男たちは……」
辺りの光景に、唖然とするしかない。
ここから、手探りで出口を探していくしかない。
「……なぁ、爛。神領に行くことはできないのか?」
颯真は手探りで出口を探すより、爛の神領を通り、元の場所へと戻った方が早いのでは。と考えて提案をするが、爛は首を横に振った。
「いや、神領に行けない。さっきから、門を呼び出しているが、いっこうに来ない。
もしかしたら、移動した際に、何らかの原因があって呼び出せないのかもしれない」
未だに混乱している頭を振り絞りながら、状況判断するために周囲を見ている爛は冷静に話す。
「とにかく、ここで立ち止まるわけにはいかない。
手当たり次第、進んでみるしかない」
爛はそう言うと、一歩踏み出す。
その一歩を踏み出し、地に足をつけたとき。
ピチャ……
水溜まりに一粒の水が落ちたような音がした。
「爛、あれって……」
六花が指をさす。
その先には、赤いものが滴っていた。
「廃墟と化したのは、何かが起きたからだろう。
そして……それに巻き込まれた人達は数えきれないほどいる可能性がある。
……この見渡す限り廃墟のこの場所ではな」
滴っていた赤いものは
この見渡す限りの廃墟の山では、巻き込まれてしまったであろう人達は、数えきれないほどいる。
これがどのようにして起きてしまったのかは、爛の頭の中では二つほど浮かび上がっていた。
それは災害。災害は、この突発的に起きたりする場合もある。そう考えるならば、これに巻き込まれてしまった人達は、
ということが考えられる。
もうひとつは、誰かによる無差別な爆破。
ありとあらゆる建物に、爆弾などを仕掛け、同時に爆破していたならば、この廃墟が出来上がり、
「……どうしてこんなことに……」
六花も考えられる可能性を導きだしたことで、疑問に思ったことがあったのだろう。
そう言うしかなかったとも、言えるだろう。
「……この世界は、俺たちの知っている世界じゃないはずだ……。
……こんなところ、俺たちはなにも知らない」
颯真はそう言い切った。
確かに、こんなところは知るはずもない。
「ッ!」
爛が何かに気づいたのか、足を止める。
「どうした?爛」
颯真は爛の方を向いて尋ねてくる。
「……何だ……」
爛は自身の感覚を研ぎ澄ます。
足音を耳で聞く。その足音は、此方に歩いて来ていた。
「……誰か来る……」
だが、その足音とは別に聞こえる物がある。それは、爛が誰が来ているのかと見ようとしたときだった。
「グォォォォォォォォ!」
マズイ。本能的に爛はそう感じ取った。獣に近い雄叫び。
足音が聞こえてきた方向とは逆の方だ。
雄叫びで消されている足音は、徐々に音の出るテンポが速くなっていき、此方に走ってきている。
「ッ、颯真。走り抜けるぞ!絶対に振り返るなよ!」
爛はそう言うと、六花を背負ったまま走り抜ける。颯真もまた、遅れながらも走る。
「何……あれ……」
六花が振り返った先に見たものは、人を軽く超えている化物と、それに立ち向かう人間。
考えられる可能性を全て消し去り、新たな考えが生まれる。だがそれは、本当なのかは分からない。
「爛……!」
六花は目を背け、爛にしがみつく。
「大丈夫だ……!俺が守る……!」
爛は走りながら、そう言うしかなかった。
爛たちは振り向かずに走り続け、森へと入った。随分と走り続け、二人は疲れてしまう。
「ここまで来れば……」
爛は六花を下ろし、木へともたれ掛かる。
「……あれが、廃墟になった原因だろう……」
「だろうな……」
爛と颯真は冷や汗をかいていた。あれほど巨大な獣はいない。
「これから……どうするの?」
六花はあんな化物が他にも居たりするのであれば、ここも安全とは言えない。早く出口を見つけなければ、自分達は死んでしまう。
「……出口を探すしかないだろう。……いや、ここを知らない俺たちには、誰か案内人的なのが欲しいな」
「と、なると……」
爛の言いたいことは、二人とも察した。他に人が居ると言う確証が無い。
先程、獣に立ち向かっていった人間が生きているかどうか。
つまり、爛は───
「もし、あの人が生きているのであれば、その人を頼りにするしかないだろう」
その事を考えたのであった。
一応、三人には対抗することはできるだろう。六花と颯真は既に
「……また、戻るのか?」
颯真は分かっていながらも、確認をしてきた。爛はそれに頷き、肯定する。
「それしかないだろう。さっきは逃げることしかできなかったが、分かってしまえば、此方も対抗することはできる。それに賭けるしかない」
爛は瞳を閉じて、自身の中にある力に集中する。自身の中にあるのは力の塊。その塊は動くことを知らず、揺らぐこともせずに、どっしりと腰を下ろしたようにいる。そして、主を認めているかのように、暴走をすることもない。
「よし、行こう」
颯真がそう言うと、爛は何も言わず、六花は爛の背中にしがみつこうとはしない。
「怖かったら、無理しなくていいからな」
爛は一言だけ言っておくと、微かに六花の返してきた言葉が聞こえる。
「それはもう無いもん」
爛はそれを聞くと、笑みをこぼすだけだった。
ーーー第68話へーーー
短めとなりましたが、一つだけ報告をします。
色々とやるやらないと言っている自分ですが、本気でやろうと思っているものがあるので、楽しみにしていてください。
これから、執筆を全力で頑張っていくので応援お願いします。