落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~   作:火神零次

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第6話です!爛に話しかけた相手は一体・・・そして、すみません!m(__)m文字数の問題で模擬戦は次に引き延ばしです。本当にすみません!


第6話~入学式~

 爛に話しかけた相手は、伐刀者(ブレイザー)なら、誰もが知っている人物だった。

 

「あれ、父さん。」

「やっぱり爛か。学園生活はどうだ?」

「まあまあ、かな。」

「そうか。調子を聞きに来ただけなんでな、俺は戻る。」

「それじゃあ。」

 

 爛に話しかけたのは、爛の父である、『宮坂双木(なみき)』。二つ名は『天剣の騎士(オーバーロード)』圧倒的な魔力の量と剣術で、KOKリーグで東洋最強と謳われた『夜叉姫』の西京寧々よりも強く、寧々達が魔力制御等、様々なことに悩みだし、頼みの綱として、双木のところに行き、双木は爛と模擬戦をし、勝った者が教えてやると言い、寧々達は爛と模擬戦をするが、結果は完敗。それも、爛一人で戦っているのだが、寧々は黒乃と組んでいるのだ。それは、双木が二人がかりでも大変だと言って、試したのだ。しかし、爛は二人の予想を超えた力を持っていたのだ。負けてしまった二人は、双木からヒントを聞くことができなかったが、爛と師弟関係になったのだ。寧々も不得意の魔力制御を重点的に底上げし、今では、『覇道天星』をしっかりと操れるようになったのだ。

 双木はスポーツドリンクを持って会計に向かっていった。すると爛は、こんなことを呟く。

 

「それだけだよな、父さん・・・」

 

 双木は忘れがちなことが多いのだ。それを知っている爛は心配をする。

 買い出しが終わり、部屋の中に入り、カレーを作っていた。

 

「よし、これでいいな。」

 

 鍋に蓋をし、部屋を出てた爛。鍵を閉め、一輝とステラの部屋に入る。

 

「よう、二人とも。」

「あれ?爛は何か用?」

「あれのことね。」

「その通りだ。一輝には言ってなかったな。ステラの歓迎会をな。」

「あ~成る程ね。それじゃ、爛の部屋に行こうか。」

 

 一輝の言葉にそれぞれ頷き、部屋から出て、爛の部屋に行く。二人をソファに座らせ、飲み物とカレーを用意する。

 

「あ、カレーなんだね。」

「ん?どうかしたか?」

「いや、僕の好みだからね。嬉しいんだ。」

「そうか。それは良かった。」

「ランは料理とか、得意なの?」

 

 ステラに聞かれると、爛は少し苦笑いをし、答える。

 

「まあ、家の母さんが俺に家事のことを叩き込んだからね・・・」

「それは大変ね・・・」

「ま、そろそろ食べるか。冷めない内に召し上がれ。」

「「いただきます。」」

 

 一輝とステラは、爛の作ったカレーを食べると、二人とも笑顔を見せる。

 

「美味しいよ、これだけ美味しいカレーは食べたことがない。」

「ははは、そんな大袈裟に言わなくても良いぞ。」

「でも、イッキの言ってることは分かるわ。アタシも同じこと思ってたしね。」

「そう言うなら、素直に受け取っておこうか。」

 

 爛もカレーを食べ始める。そして、少し時間が経ったとき、爛が思い出したかのように二人に話す。

 

「明日、東堂姉妹との模擬戦、見に来るか?」

「どうして、二人と模擬戦を?」

「まあ、二人がもう一度俺の力を見てみたいってな。明日の昼頃からだからな。」

「東堂姉妹?」

「ステラは来たばかりだから分からないよな。東堂姉妹は、破軍学園最強と呼ばれているし、二人とも七星剣武祭のベスト4に入ってる。でも、ステラ辺りなら勝てるんじゃないかな。」

「成る程ね。ランクは?」

「Bランクだ。」

「それくらいなら、アタシも勝てそうね。」

 

 そう言いながら、胸を張るステラ。二人は、それを見ていたのだが、それよりステラに言いたいことがあったのだ。

 

「それはそうとして、ステラさん、カレーの量多くない?」

「え、これが普通よ。」

「明らかに常人が食べる量じゃないんだが・・・」

「?」

 

 ステラが食べているのは、常人が食べる何倍もの量のカレーだ。それこそ、食べる量で言えば、『測定不可能(ダウジングオーバー)』なんて二つ名をステラに付けられそうで、ある意味怖いのだ。ステラは女性の誰もが理想とする『食べれば育つ』をやっているようなものなのだ。こんな話をすると、全世界の女性がステラの敵になりそうで怖いのだ。仲間は居るだろう、爛の知っているなかで一人だけ、同じようなことをやっている人物が居るからだ。

 

「まあいいか。来るのか?」

「勿論行くよ。」

「そうか。」

「アタシも行かせてもらうわ。ランの実力を見てみたいもの。」

「おーおー、期待に添えるよう頑張らないとな。それより一輝、模擬戦の後の話しは終わったか?」

「勿論、終わったよ。」

「そりゃ良かった。」

「ごちそうさま。」

「お、終わったか。流しの方に出しといてくれ。」

「分かったわ。」

 

 ステラが食べ終わると、流しの方に向かい、皿を出す。ステラが戻ってくると一輝は、こんなことを言ってくる。

 

「ステラさんも、朝練どうかな?」

「呼び捨てで構わないのだけれど・・・アタシもやることにするわ。」

「決まりだな。さて、明日のためにも体を休めるかな。」

「それじゃあ、僕たちは部屋に戻るとするよ。」

「ありがとね、ラン。」

「ああ、また明日。」

 

 一輝とステラが自分の部屋に戻ると、爛は食べたものの片付け、風呂に入る。

 

「はぁ~やっぱり風呂はいいよね~」

 

 爛は体を洗い、湯船に浸かっていた体を起こし、風呂からでる。寝間着に着替え、すぐさまベッドに入る爛。そのまま、眠りに入る。

 

 次の日の朝。いつも通りの時間に起きた爛は、ジャージに着替え、部屋を出ると一輝が、ステラを待っているのか、部屋の前に居た。

 

「おはよう一輝。ステラ待ちか?」

「おはよう爛。その通りだよ。」

 

 爛と一輝が、今日の爛が出る模擬戦のことについて話していると、ステラが部屋の中から出てきた。

 

「おはようイッキ、ラン。いつも早いのね。」

「おはよう、ステラ。まあ、いつもはこれくらいだよな。」

「そうだね。おはようステラ。早速朝練をしようか。」

 

 朝練に励むことにした三人は、爛は自分がいつもやっているメニューでやるが、二人は一輝がやっているメニューでやっている。一輝とステラは、25㎞のランニング。爛は、50㎞をダッシュでやっている。そこに加えて魔力を少しずつ放出しているので、かなりの負担になるのだが、爛はそれをやっているのだ。一輝もやってみたのだが、かなりの負担に倒れる勢いだったのだ。そして、二人が25㎞のランニングを終える頃には、爛は自身の霊装を振るっているのだ。

 

「おう、お疲れ一輝。」

「爛はいつも速いね。」

「そうか?ステラはどうした?」

「バテてる。」

「あ~成る程。」

 

 一輝も自身の霊装を顕現し、爛と剣を振るう。普通ならば霊装を顕現させるためには、学園の理事長である黒乃に許可を取らなければならないとだが、黒乃は自分の師ならば、その権限も同じようにあると爛に言い、霊装の顕現を一輝達に出したのだ。少ししている間に、ステラが戻ってきた。

 

「ハァハァ・・・」

「お疲れステラ。大変か?」

「これくらい、大丈夫よ・・・」

「無理したらダメだよ。」

「と、言ってるけど、一輝が。」

「じゃあ、ちょっとだけ・・・」

 

 ステラをベンチに座らせ、スポーツドリンクを渡すと、それを一気に飲み、水分を補給する。

 

「ありがと。助かったわ。」

「無理すんなよ。」

 

 ステラは息を整えると、自身の霊装を顕現させ、一輝に振るう。一輝も陰鉄を振るい、襲いかかる刃を退けていく。爛はそれを見ながら、黒乃に渡された物、黒乃が愛用で吸っている煙草を吸っていた。普通ならば未成年である爛は吸うことができないのだが、十五で成人扱いされることを利用し、煙草を吸っているのだ。

 

「ふぅ、二人の剣を間近で見るのはいいな。」

 

 そう言いながら、携帯用灰皿に吸殻を落とし、また口にくわえる。

 

「終わりにしようか。」

「そうね。」

 

 一輝が霊装を解除すると、ステラもそれに習い、霊装を解除する。そこに爛は、スポーツドリンクを二人に投げる。

 

「お疲れ様。どうだ?もう一度相手の剣を見て。」

「やっぱり、剣を盗むことができるのは厄介よね。」

「僕的には、ステラの霊装自体が厄介だと思うな。」

「剣を盗むことができるイッキがそんなこと言えないと思うわ。」

「それ、言い過ぎだと思うな。」

「ところで、爛。煙草を吸ってるけど、どうしたの?」

 

 爛が煙草を吸っているところは、初めて見たのだ。一輝からすると、何故煙草を吸っているのか、気になるのだ。

 

「あ~、これね。黒乃が俺に渡した奴。十五で成人扱いされる俺達は、運転とか出来るわけだしね。」

「成る程ね。」

 

 三人はそのまま、学園内に戻ろうとするが、あるものを見ると、爛がふと口にする。

 

「もう、1年か。」

「速いね。1年って。」

 

 そこには、入学式・始業式と書かれたプレート。二人、いや、一輝にとっては1年。爛にとっては数ヶ月なのだが、半年ほど破軍学園に居たのだ。

 

「もう、新入生か・・・お前のところの妹が来るのか。」

「そうだね。爛の言っていた妹も?」

「ああ、そうだな。」

「そうなのね。」

「そうだステラ。『無の火力(レミントン)』って知ってるか?」

「カオリさんのこと?」

「学園の教師なんだが。」

「なんで教えてくれなかったの!?」

「いや、俺の姉に興味を持つ奴が居るのか気になるし、俺の母さんが、お前のことについて言ってたしね。」

「カオリさんの弟なの!?」

「ああ。」

 

 ステラは香のファンなのだ。爛自体、香にファンが居るのかどうか聞きたくなるのだが、香はそんなことを気にしないため、ファンが居ることは分からないのだ。香の能力については、後々話すことにしよう。

 ステラの相手をしている爛が手帳にメールが届いていることに気付き、手帳を開くと黒乃からのメールが来ていた。

 

「そろっと始まる。行くぞ。」

「分かった。行こうステラ。」

「分かったわ。」

 

 三人はその場を離れ、学園内に向かう。入学式・始業式のことについてなのだが、この学園も含め、他の学園も理事長の話が長いとのこと。だが、黒乃は必要なこと以外はすべてを省くという大胆なことに出る。爛自身、必要なことは省いた方が良いと黒乃に言っているため、こんなことになったとかもしれない。それを感じさせることも黒乃の挨拶でもそうだった。

 

「まずは入学おめでとうと言っておく。私はランクよりも、君達の努力に期待している。才能も努力がなければ意味がない。その言葉を胸に刻み、学園生活に励んでほしい。以上だ。」

 

 簡潔に終わった挨拶だが、元Aランクの言葉は重みが違った。それに、黒乃の知っているなかで、才能がなくとも才能に匹敵する努力をしている人間を知っているからだ。これを聞いた学生はどよめきを作るだろう。今までは、ランク重視の世界だったため、ランクしか見てなかった人間は驚くであろう。ランクが高い人間も弱いと言う訳ではない。しかし、状況判断が甘いとランクの高い人間も負けてしまうと言うことだ。その事については、どう考えるかは個人の問題だ。

 

「お昼頃にってこういうことだったな・・・」

 

 爛の呟いたこととは一体・・・

 

 ーーー第7話へーーー

 




作者「遅れてすみませんでした!それと後書きに少しだけメタ話し等をします」
爛「まあ、この事は作者が悪いよな」
作者「ちょっ、酷い!」
ステラ「作者が悪いわね」
一輝「言い過ぎじゃない?」
作者「(´・ω・`)」

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