落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~   作:火神零次

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待たせたな!(スネーク風に)

モンハンやってましたぁ。楽しいぜ!まぁ、持ってるのは4と4gにxとxxだがな。


第63話~力~

「それで、どんな力があるの?」

 

 ステラがどのようなものがあるのかと、爛に尋ねる。

 その瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空気が凍った。

 爛のことをよく知っているであろう人物は全員、顔を伏せ、爛から目をそらしている。

 

「………教えるとは言ったが、それで俺に対する見方が変わっても知らないからな。」

 

 爛は釘をさした。それもそのはずだ。爛の力のほとんどが、人が持つべきではない力なのだから。

 

「……もう一度、俺から聞こう。

 ……俺は、話す覚悟はできている……。

 そちらは、できているか……?」

 

 爛は鋭い目付きでステラを見る。

 その眼光は獲物を狙う獣の目でもある。

 けれども、ステラは他に感じていることがあった。

 

(……ラン……。アンタ、どういう人生を送ってきたというのよ……。)

 

 ステラは爛の今までに疑問を感じていた。

 

「えぇ、出来ているわ。」

 

 それを知ることができるのは、これきりかもしれない。

 

「……そうか……。聞くのか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の送ってきた地獄の日々をな………。」

「え………?」

 

 爛が放った言葉に目を見開く。

 

「………俺の力の一つ……。この左目と、右目……。これは、突然変異だ。」

 

 爛は眼帯をはずし、両目を見せる。

 真っ黒に染まっている左目と、黄金に輝き続ける右目。

 

「俺の、一番下の妹……、沙耶香が死ぬまでは、この目じゃないんだ。」

 

 爛は少し、苦笑いをしながらそう言って、自らの右手を見る。

 

「前までは、青みがかった黒い目をしていてな。その時から、異常な目でもあったよ。」

 

 爛は何も感じさせずに、淡々と話していく。

 まるで感情のない機械のように。

 

「その時はまだ、俺に力はない。

 嫌われるだけの存在だったよ。

 何もできない、異質な存在だったけどな。」

 

 爛は嘘は言っていない。

 これは、全て事実であることを、誰もが分かっていた。

 

「けどな………。俺はある一人の死を見た………。」 

 

 爛の重い声が、部屋のなかで響く。

 

「誰が……死んだんですか……?」

 

 爛のとなりに座っていたリリーは、爛に尋ねた。

 

「……正確には……、この世界で起きた死じゃない……。

 別世界のだ。」

 

 その事に、全員が唖然とする。

 今、爛が言っている話は、リリーたちも知らない。

 正確に知っているのは、今話している爛と、六花と颯真だけだ。

 

「……おい、爛。それは………。」

 

 颯真は爛を止めようとした。……けれども、止めることができなかった。

 爛の目が、輝かなくとも、颯真は感じていた。

 彼の目が、その死を悲しんでいる目であったと。

 

「……こんなのは初めてだったよ……。

 初めて見た人の死が、まさか別世界の『自分』だったことにな。」

「っ……!?」

「え……!?」

「そんな……!?」

 

 唖然とするリリーたち。顔を伏せていたのは、六花と颯真だけだった。

 

「そこからだ。俺は……、別世界で死んだ自分を見て、伐刀者(ブレイザー)として覚醒した。」

 

 爛はそう言った。とても見てられない顔で。

 

「………なぁ、ステラ……。」

「何?」

 

 爛は悲しむような顔で、ステラを見つめる。

 

「……お前は……、大切な人たちから……、捨てられると考えると……、どう思う……?」

 

 爛が、ステラに尋ねたことは、誰もが答えられるようなものだった。

 でも、これをステラに尋ねたのは、爛が確かめたいことだったから。

 『異質な自分』の存在を認めてくれている意味も、彼の言葉にはあった。

 

「……そんなの、悲しいに決まっているじゃない。

 アナタ、そんなの、何のためにアタシに聞いたのよ?」

 

 逆にステラから尋ねられた。

 しかし、爛の答えはたった一つだ。

 

「ハァ……。」

(爛……大丈夫だよ……。僕がいるから……)

 

 しかし、勿体ぶるように爛はため息をつく。

 六花は何か感じたのか、先程よりも抱き締める力を強くした。

 

(ステラ……。爛が聞いているのはその答えじゃない。

 ………何時のまにステラを試した。爛……。)

 

 颯真は、ステラの答えが爛の尋ねていることと違うことに気づいていた。

 そして、爛がステラを試したことも。

 

「ステラ。……俺と模擬戦をしろ。」

「爛……!」

(やっぱり、こうなるんだね……。)

(止める準備だけしておくか……。)

 

 爛は尋ねたことに関しては何も触れずに、ステラに模擬戦を挑んできた。

 

「……教えてやるよ。別世界の俺が使ってた技をな。」

 

 爛はそう言うと、六花を抱き上げ、そのまま外に出てしまう。

 

「爛……。これでいいの……?」

「あの皇女さんには丁度いいのさ。」

 

 爛はそう言うと、六花を下ろす。

 

「………来たみたいだね。」

 

 六花がそういうと、爛は振り返る。その先には、固有霊装(デバイス)を顕現していた。

 

「準備は出来ているようだな………。」

「もちろんよ。」

 

 爛はステラが既にトップギアになっていた。

 短時間でそこまでできるというのに驚きはするが、焦る要素は何一つない。

 

「じゃあ、見せてやるよ。」

 

 爛は目を閉じる。

 思い出すは、彼の呪文。

 

「───我、鬼神なり。

 ───操りしは最強の剣。

 ───汝を死へと導く。

 ───我が魂は剣と共に。」

 

 爛の詠唱は終わる。

 すると、爛の前には、一本の刀が突き刺さっていた。

 

「魔術なんて捨ててかかってこい。」

 

 完全な挑発。

 それは、ステラは気づいていた。

 

「上等よ!」

 

 爛は構える。しかし、その構えは、爛の剣術ではある得ないような構えだった。

 

(あの構えは、まさか……!)

 

 一輝は聞いたことがあった。

 爛の構えを。

 最強の剣技。

 それは、比翼を上回る力だったと。

 

「《無我の境地(むがのきょうち)》!」

 

 爛は思い出す。鬼神の技を。

 

「《サムライ・ドライブ》!」

 

 全てを一刀両断する技。力など無力。技など無力。

 彼の能力は、全てを切り捨てる能力。

 その極みの一つが、この《サムライ・ドライブ》。

 

「っ!?」

 

 ステラは後ろに下がる。だが、その衝撃は大きく、ステラは踏みとどまることができなかった。

 

「笑ってる……?」

 

 ステラは爛の表情を見て唖然とした。

 爛が笑っていたからだ。

 

「一体、爛に何が……?」

 

 溢れでる爛の力。それは、蒼光を纏っていた。

 

「それが、何なのよ……!」

 

 ステラは魔力を高める。

 

「本気で来るといい!」

 

 爛はそれを見て、笑みを浮かべながら、刀を構える。

 

「蒼天を穿て、煉獄の炎!」

 

 最大にためる。その炎は、全てを焼き尽くす力となる。

 

「焼き尽くせ!《天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)》ァァァァァァァァ!」

 

 煉獄の炎を纏った竜が、爛に襲いかかる。

 

「へぇ~。それで勝てるとでも?」

 

 爛は刃に魔力をのせる。いや、正確には刀自体に魔力を流し込む。

 爛は一歩踏み込み、刀を大きく構える。

 

「《サムライ・エッジ》!」

 

 そして、真一文字に振るう。

 爛が振るった刃は、ステラの《天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)》に当たると同時に、煉獄の炎を纏った竜が消えていった。

 

「嘘っ!?」

 

 後ろに下がろうとした瞬間には、爛は目の前に来ていた。

 

「《サムライ・スラッシュ》!」

 

 爛の放った斬撃は、ステラを切り裂いていった。

 

「そん……な………。」

 

 ステラは致命傷を受け、そのまま倒れる。

 

「やってみるか?一輝。」

 

 爛は間髪入れずに、一輝に尋ねる。

 

「うん。その前に、ステラを寝かせないとね。」

「はいはい。」

 

 一輝も笑みを浮かべながら、そう言った。

 

「ステラさんは、私が運んでおきます。」

 

 リリーはステラを抱えて、家の中へと戻っていく。

 

「ま、リリーがやってくれたからいいか。」

 

 一輝は、霊装(デバイス)を顕現し、構える。

 

「なら、始めようか。」

 

 爛は彼が使っていた刀を構える。

 

「ッ。」

 

 爛が踏み込んだ瞬間、姿が消える。

 一輝は全方位を警戒する。

 

「ハァ!」

 

 一輝が後ろに刀を振るうと、そこに火花が飛び散る。

 あまりの早さに、視認はできなかったが、爛の刀に当たったのを感じた。

 しかし、これでは防戦一方。何てしても攻勢に出なければ負ける。

 

「《一刀修羅(いっとうしゅら)》!!」

 

 一分間で決着をつける。

 それしかない。爛の速度についていくには、一輝の最高速を叩き出せる《一刀修羅(いっとうしゅら)》でなければならない。

 

「ッ!」

 

 爛は一輝の覚悟に戦慄する。

 より一層楽しめると、爛はそう感じた。

 

「じゃあ、ギアをあげるとしようか!」

 

 爛を包んでいる蒼光が、白光に変わった。

 

「《天衣無縫の極み(てんいむほうのきわみ)》!!」

 

 ーーー第64話へーーー




はーい、これで第63話は終わりです。

あ、そうだった。FGO。水着ネロ来たよぉ。嬉しいね。

模擬戦をちょっと入れましたが、次回も力の説明になりますね

次回、~天衣無縫の極み~お楽しみに!

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