落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~   作:火神零次

42 / 105
コンカイノアラスジ・・・。
爛と珠雫の戦い。珠雫は自分の頭に何かが流れ込んできていた。それは、爛からのもの。それを爛に聞こうとするが、爛は彼ではなくなっていた。




第41話~無の栄光~

 刀華達の会話の後、爛が動き出そうとする。珠雫も爛の動きに対応できるようにするのだが・・・、

 

「ッ!?」

 

 一瞬にして爛に間合いを詰められる。爛はそのまま、固有霊装(デバイス)雷黒鳥(らいこくちょう)を珠雫に振るう。

 珠雫は宵時雨(よいしぐれ)で爛の雷黒鳥を受け止めるが、力量の差は歴然。力に押し負けて、後退させられる。

 

「・・・?」

 

 珠雫は自分の頭の中に何かが流れ込んでいるのに気づく。どんなものが流れているのは分からない。ただ分かることは、爛が雷黒鳥を振るい、その振りを受け止める度に、流れ込んできているものが、分かってくる。

 

 命とは───・・・

 

 それだけしか分からない。続きが流れることなどなかった。珠雫は疑問に思った。何故、自分だけにしか来ないのだろうかと。そう考えるしかなかった。

 

「爛さん。」

「・・・・・・」

 

 声をかけるも、爛は返さない。

 

「爛さん?」

「・・・・・・」

 

 聞こえていないのだろうか。

 そう思った珠雫は後で爛に聞こうとする。しかし・・・

 

「命とは───、生きる物の為にある───。

 故に───、選択肢はその物にある───。

 だからこそ───、考えは違う───。

 生きる物と───、生きない物───。

 それは───、運命か───。

 それとも───、自分の意思か───。

 決めたことか───、それでもない───。

 この定め(人理)が決めたもの───。

 無の栄光よ───、世界に轟け───。

 その光はーーー、全てを覆すーーー。」

(マズイ!今のマスターは・・・!)

 

 爛は珠雫に流れ込んできていたものを詠唱する。

 そして、リリーはいち早く、爛の異変に気づき、二人のいるフィールドに飛び込む。

 

「リリー!」

「リリーさん!」

 

 ステラと一輝の声も聞かず、フィールドに駆ける。そして、続くように一輝達も走り出す。

 しかし、そこにはアリスだけ残った。

 

「良い感じになってるわね。後は・・・、あれだけかしら。」

 

 アリスはそう呟く。そして、一輝達を追う。

 爛のところでは、爛が雷黒鳥を真上に上げ、力をためていた。可視化される力は、光と闇。相反する力が重なりあい、大きな力となる。

 

「全てを覆した先は───、望む物か───。

 それとも───、違う物か───。

 否───、たった一人が望む物───。

 それが───、無の世界───。

 代理の鍵よ───、その門を───、

 切り開け───。」

 

 爛は一歩踏み出す。その右目は、灰色の目をしていた。

 

「《化物が望む世界への喪失した宝庫の鍵(スペア・ワールドブレイズトレース・キー)》!!!!」

 

 降り下ろすその刃は、全てを切り裂く赤い刃へと変わっていた。その刃を降り下ろす姿は、全てを───、

 

『失っているように見えた───。』

 

 

 珠雫はその姿に恐怖した。その刃を受け止めたら───、

 何故か───、

 

 

化物()の考えを否定することができないように感じた。』

 

 

 逃げなければならない。逃げなければ。だけど───、

 逃げられない───。

 すると、珠雫の視界に一人の影が映った。そしてその瞬間、珠雫の視界が揺れる。そして、何かに抱えられている感覚がした。珠雫を抱えていたのは───、

 

「お兄様!?」

「大丈夫かい?珠雫。」

 

 一輝だった。一輝は抱えている珠雫を降ろし、爛の方を向く。

 

「爛・・・。」

「爛さんは・・・。」

「リリーさんの言ってた通りだ。爛は・・・。」

 

 一輝は俯き、爛から目を背けていた。そして、降り下ろされている中で、一人だけ、爛の射程内に居た。

 

「光の聖剣よ、今ここに顕現せよ。カリバー。」

 

 リリーがカリバーを構えて、爛の前に立っていた。そして、リリーの持っているカリバーに光の粒子が集まっていく。

 カリバーを振り上げ、詠唱する。

 

「光の聖剣よ───、闇を切り裂け───。

 あるべき物へと───、変える───。

 闇の世界を───、照らせ───。

 全ての物に───、新たな───、

 未来を切り開く───!」

 

 爛の詠唱より短いもの。しかし、その詠唱だけでも、大きい力はカリバーに宿っていた。

 リリーが一歩踏み出す。それだけで、周りの空気が一輝達を強く打つ。

 

「《未来を切り開く最強の聖剣(エクスカリバー)》ァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 光の剣が、爛に降り下ろされる。そして、爛の剣とリリーの剣がぶつかり合う。

 しかし、どちらともほぼ最強の力。ぶつかり合えば、周りの空気が観客、一輝達を強く打つ。

 《化物が望む世界への喪失した宝庫の鍵(スペア・ワールドブレイズトレース・キー)》と《未来を切り開く最強の聖剣(エクスカリバー)》。どちらも詠唱付だ。ステラの《天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)》でさえ止められるかどうか分からない。つまり、破軍学園最強と言っていいほどの力を持つ爛と、最強の聖剣であるリリー。どちらも最強同士の激突。止められるわけがない。

 

「くっ・・・うぅ・・・。」

 

 おされ出したのはリリーの方だ。普通ならば、爛はここで止めるはずだ。しかし、止めることなく、リリーを斬ろうとする。

 

「リリーちゃん!逃げて!」

 

 明が叫ぶ。確かに、リリーは逃げなければならない。そうしなければ、実像形態で伐刀絶技(ノウブルアーツ)を使っている爛に斬られてしまう。つまり、殺されるということ。おされている状況では、逃げなければ、爛に殺されるのは時間の問題。だが、リリーは逃げるということをしなかった。

 

「マス・・・ター!答えてください!何故、攻撃するの・・・ですか!?」

「黙れ。貴様らに答える筋合いなどない。潔く死ぬと良い。」

 

 その言葉を聞いたとき、誰もが爛から目を背けた。

 いや、背けたのではない。背けるしかなかったのだ。自分達が知っている爛と、今の爛がどれだけ違うのか。そして、何故、爛の異変に気づくことさえできなかったのか。それは、リリー以外、誰もがそう思った。

 

「それでも・・・、くっ・・・、マスター!私とマスターの・・・、契約をしたときの、あの時の合言葉を・・・、お忘れですか!?」

「知らん。そこまでして知りたいというのならば、貴様のマスターである(幻想の化物)にでも聞いてみると良い。」

「なっ!?」

 

 彼が、幻想の化物・・・?

 リリーは言葉を失った。爛の・・・、いや、彼の皮を被った奴には、それは知らない。リリーと爛が契約を交わしたとき、そして、戦いの中でも、別れの時でも、彼は契約を交わしたときに決めた合言葉を、リリーに言っていた。「お前を、俺は絶対に忘れない。」と、そう誓ってくれた。それなのに、彼は・・・、変わった。

 

「知らんといったはすだ。つまり、貴様らを覚えているなどと口にすることは絶対にあり得ない。そして、万物の宝庫へと沈むと良い。」

(負けられない・・・!終われない・・・!マスターとの約束は・・・、何があっても守り続ける・・・!マスターがこんな私に愛情を注いでくれるのも・・・、私に笑顔を見せてくれることも・・・、すべては、あの契約と、合言葉が始まりだったんだ・・・。だから・・・、今のマスター・・・、いや!マスターを幻想の化物の罵る貴様を許すわけにはいかない!!)

「星に誘われ───、二人が産み出す───、

 最古の世界───。そこに居るは───、

 我一人───。全てを超え───、

 闇を照らし───、その二人は───、

 誰にも屈しない───、絆を産む───。

 その力は───、全てを覆す───!」

 

 リリーの振るったカリバーが新たな力を纏い、彼の皮を被った奴に対抗していく。

 

「《遥か遠くに誓い合った揺るぎない絆(ロク・エヌストフラスリンク・ネオ)》!」

 

 リリーの可視化された光の剣が、爛の赤い刃より、何倍もの大きさにと変化する。

 

「くっ・・・。中々やるな。」

 

 リリーの《遥か遠くに誓い合った揺るぎない絆》には、今の彼が敵うはずがない。

 敵わない・・・、いや、敵わないはずだった(・・・・・)

 リリーの剣を弾き返したのだ。

 

「!?」

「だが、基本が甘すぎるそんな聖剣では、セイバーに示しがつかないぞ?」

 

 奴は、前からリリーが気にしていたことを言う。つまり、奴は自分だけの記憶ではなく、その器にもなっている()の記憶も利用しているということ。

 リリーは気に食わなかった。彼女の聖剣として居たときも、そして、今この時も。彼は「正義の味方とやらになったさ。」と、自分を使ってくれる主のマスターに、そう言っていた。そして、主のマスターの心を折ろうとしていた。

 けど、折れることはなかった。そして、主のマスター・・・、『衛宮(えみや)』は、奴に勝った。つまり、攻略法は見えている。

 

「何故、ここまで来たのですか、アーチャー。」

「アーチャー!?」

「アーチャーは、確か、英霊の一つのクラス・・・。」

「まさか、サーヴァントまでもが、この世界に居るとは思いもしませんでした。ですがアーチャー。我がマスターを返していただきたい。」

 

 その問いに、奴はフッと笑みをこぼした。その瞬間、爛の体は光に包まれ、爛と、もう一人の体が出てきた。爛はリリーがアーチャーと呼んでいた男に抱えられ、意識を失っていた。

 

「爛!」

「待つのです!リッカさん!今のマスターは、意識を失っている。今ここで動いてしまえば、マスターが殺される確率は跳ね上がる。」

「よく分かってるじゃないか。私の目的・・・、その作戦に参加したサーヴァント達はこの男を狙っている。ここで動けば、すぐにこの男を殺すことができるぞ?」

 

 アーチャーは、抱えていた爛を地面に捨て、左手に武器を持ち、爛を刺した。

 

「───ッ!!!」

 

 爛は痛覚により、意識が引き戻され、血を大量に流し始める。

 

「ガァァァァァァァ!」

 

 爛の叫びが訓練場に響く。訓練場には生徒達は居らず、爛の伐刀絶技により、全員が避難していた。

 そして、アーチャーがもう一つの武器で、爛の刺そうとしたとき、アーチャーが何かに吹き飛ばされる。

 

「何っ!?」

「ウチの義理の弟になにやってくれてるのかしら?」

 

 ーーー第42話へーーー

 

 




・・・・・・・・・・・

・・・何だろう。どんどん作品がfateとクロスしている。まぁ、作者がfateにハマってしまったからね!仕方ないね!

爛「仕方ないね!じゃないよ!あれだぞ!次回はもう一体のサーヴァントが出てくんだぞ!?その内聖杯戦争とかこの世界でやると可笑しなことにしかならないんだよ!そこをどうにかできないのか!?」

残念ながら、そんなことはできない!この世界で聖杯戦争を始める章が出てくるので、その時までは、多分ちょくちょく出るサーヴァントと、結構出てくるサーヴァントが居ると思うので、「あぁ、そういえば作者が聖杯戦争とか始めるとか言ってたな」程度で覚えてくれれば幸いです!

・・・というか、この作品の方針が・・・w

爛「変なことにハマリ過ぎだ作者。だから可笑しくなるんだよ。いっそのことfateの物語書けば良いじゃないか。」

残念ながら作者にそんな技術はない!まぁ、多重クロスとかは書けそうだけど。

爛「変な未来しか見えない・・・。まぁ、良いか!それでは次回をお楽しみに!こんな作者の作品に付き合ってくれている人!これからもよろしくな!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。