黒乃と香の居る理事長室に向かった爛と六花。そこで爛は香の心のことを知り、香のことを心配する。そして、香は爛に甘えた。それを見てしまった六花はヤンデレとなり、ブツブツと言っていた。そして、爛と六花は理事長室から退室する際・・・
「爛。」
「ん?どうした?」
爛が六花の顔を見ると、六花の目のハイライト消えており、爛は冷や汗をかきはじめた。嫌な予感がしたのだ。
「ねぇ、ちょっと来て。」
「え?え?え?どう言うこと?」
爛が戸惑いの表情と声をあげていると、六花は爛に天使のような笑みを向け、
「爛が僕の物だって分かるように印をつけないとね。」
と、言うのであった。それを聞いた爛は確実にマズイと思い、六花から逃げ出し、理事長室を飛び出した。六花は爛を追うように、理事長室を跡にした。
「フフッ、
「そうだね。私は甘えることができて嬉しいよ。」
と、どこ吹く風のように見ていたのであった。一心不乱に逃げている爛は身の危険を感じた。
「見つけた~。」
「~~~~~~ッ!?」
正面から六花が現れたのだ。爛は雷の力で急旋回し、六花から背を向けて、階段を飛び降りる。六花もそれに続くように爛を追うのであった。
「怖すぎるんだよ!前より大変なことになってるんじゃないのか!?」
爛は叫ぶように言いながら、外を目指した。外ならば隠れる場所はたくさんあるし、時間的に一輝達がトレーニングをしている時間であったからだ。爛はそれに賭け、外に出るとすぐに一輝達を探した。
(何処だ!?一輝!)
爛はそう思いながら走り、六花が居ってきてないか、後ろを見ると・・・
「もう逃がさない・・・。」
「なッ!?速すぎないか!?」
爛のすぐ後ろまで来ていたのだ。外に出るときまでは結構な差があったはずなのだが、もうここまで詰められていた。すると、一輝達がトレーニングしている場所に着いた。
「あ、爛。ってどうしたの!?」
「悪い一輝、俺は───」
「捕まえたよ。爛。」
「ええっ!?」
一輝は爛を見つけ、話しかけようとしたのは良いのだが、爛が全速力で走ってきていることに驚き、後ろに見知らぬ美少女を見つけた。爛はこの事を簡単に話、逃走を続けようとしたのだが、六花は爛を捕まえた。
「さぁ、爛。部屋に戻って僕の印をつけようか。」
「い、嫌だーーー!!もう、勘弁してくれ!!俺はやることがあるんだーー!!」
「問答無用。さ、行こうか。」
「い、一輝!助けてくれーー!」
爛は六花に放すように言うのだが、六花はそれを一言でバッサリと言い、爛は一輝に助けを求めるのだが、一輝は六花から発せられている気に動くことができず、助けにいくことが出来ない。と言うか一輝自体、こういうのは触れないでおく人だ。触らぬ神に祟りなし。と言う考え方だ。
「うん、頑張って。」
「おいーー!」
爛は一輝が触れないでおくと言うことに気付き、一輝に向かって叫ぶのだが、一輝は苦笑しながら見ることしかできなかった。すると爛が姿形を崩していき、最終的に雷となって消えていった。
「雷の力で分身を作って、囮にしたのか。」
六花はそれに気付くと、一輝達の方を向き、一輝に話す。
「初めまして、黒鉄一輝さん。僕は葛城六花。よろしくお願いするよ。それじゃあ。」
自己紹介を終えると、破軍学園の校舎に入っていく。一輝達は唖然とするしかなかった。一輝が爛にそう言ったのは突然のことですぐに一輝の頭の中に出てきたのはそれに触れないこと。だから一輝は触れないでおいたのだ。
「爛のルームメイトって居たかしら。」
「多分、居ない・・・。けど、『
「もしかして、『
「『雷撃の女王』?」
武曲学園とは、関西地方にある
そして、『雷撃の女王』についてだが、六花の二つ名である。彼女は武曲学園唯一のAランク騎士。しかし、六花が武曲に来るまでは武曲学園に居る姿は見たことがないとあるのだが、Aランク騎士がいた。それが『
一輝達はその噂を耳にしていたため、その可能性は考えられた。そして、六花のことを知らないステラは一輝達に聞いてくる。
「『雷撃の女王』は武曲学園のAランク騎士。そして、日本で二人しか居ないAランク騎士の内の一人です。」
「なるほどね。そのリッカって多分Aランクだと思うわ。魔力量が私と同じくらいだもの。」
「もしかしたら、さっきの人は『雷撃の女王』の可能性があると。」
「でしょうね。それは明日にでも聞きましょうか。」
一輝達はその事を明日、爛に聞こうと思い、それ以上は蓋を開けず、閉めておくのだった。
一方、爛の方では爛は校舎内で隠れたは良いものの、結果的に六花に見つかり、六花から逃げている最中だった。
「俺、運悪いなぁ!!あんなに簡単に見つかるか!?」
爛はそう叫びながら、走っており、息が荒れているなか、六花から逃げ回っている状態だった。
「居た~!」
「ま、マズイ!」
爛は咄嗟に近くにある窓を開け放つと、そこから飛び出した。そして、雷の力を使い、きれいに着地する。
「ふぅ。あそこから飛んだら流石に───」
「よいしょっと。」
「え?」
爛があんな高いところから飛んできたら、例え六花であろうと流石に無理だろうと思っている際に、六花は平然と爛の隣に降りてきたのだ。
「嘘だろ~!」
「む~、早く捕まえられろ!」
爛はすぐに走りだし、六花も爛の跡を追いながら叫ぶ。しかし、流石に爛は体力の限界だったのか。その場に倒れ込んでしまう。
「っ・・・。」
「爛!?」
流石におかしいと感じたのか、六花は爛にかけより、心配して爛の様子を見る。すると、爛の魔力が異常なまでに減っていた。
「ど、どうしたんだい!?魔力が大量に減ってるじゃないか!?」
「き、気にしなくて大丈夫だ。流石に《
そう、爛は六花から逃げ切るために《刹那ノ極》を使っていたのだ。しかし、六花があまりにも粘って追いかけていたため、爛は魔力切れを起こし、倒れたのだ。その後、六花は爛を部屋まで運ぶことにした。因みに、あの鬼ごっこはたとえ伐刀者であろうとしてはダメだ。良いな?
そして、その後は何事もなく時は過ぎていき、夜になった。爛は夕食をとり終え、風呂に入っていた。魔力切れまで起こした鬼ごっこの疲れを取り除くには丁度良かったのだ。そんなことを思っている際・・・
「僕も入るね~。」
爛の耳にそんな声が聞こえたのだ。それを聞いた爛は何度目かも分からない冷や汗をまたかきはじめた。そして、風呂のドアが開けられ、爛がそちらの方に目を向けるとそこには六花が居たのだ。一応体にバスタオルは巻いているのだが、彼女のきれいなくびれ。そしてうなじ。何と言っていいのか分からない豊満な胸。誰もを虜にする体の持ち主であると、異性に興味のない爛でさえそう断言できた。
そのあと、六花は体を洗い始め、爛は六花を見ないよう反対側の方を向いて待っていた。そして、六花は爛の入っている浴槽に体を浸かる。しかし、六花が浸かってきた場所は爛の前。浴槽自体一人用のため、二人で入ることはないのだ。そして、爛からは六花のきれいなうなじははっきりとわかるほどだった。六花は爛の方に体を向けると、またもや爛に抱きつく。
「・・・逃げないんだ。」
「逃げないよ。」
「逃げられないから?」
「違うな。俺だって思い返してみれば、こうしていられたのもお前のことが好きだからかな。」
「ストレートだね。・・・嬉しいけど。」
「そっか。」
爛はそう思っていた。そうだったとしか言えない。病み気味な彼女にたいして普通に居れること自体凄いことなのかもしれない。しかし、爛からすればそれは、彼女のことが好きだったから普通に居れたのかもしれないと思ったのだ。すると、六花は顔を赤くさせながら爛にこんなことを言ってくる。
「ねぇ、キ、キスしても良いかな?」
「フッ、好きな相手にこんなこと言われたら、応えない男が居るか。」
爛は六花に顔を近づける。六花も同じように顔を近づけ、もう少しでキスができると言う位置で爛は顔を止めた。すると、六花も顔を止めた。そうして少しの間見つめあったまま、顔を見合っていた。そして・・・
「悪い、ちょっと強引になる。」
「え?」
爛は耐えられなくなり、強引に六花とのキスに移行する。六花は爛が自分を求めてきてくれたことに驚きと喜びが混ざりあっていた。それも、二人してファーストキス。
「ん・・・ちゅ・・・れろ・・・はぁ・・・んんっ・・・。」
「ちゅ・・・ら、ん・・・んんっ・・・はむ・・・。」
二人して長いキスを楽しんでいるのであった。そして、初めてのキスにしては長いキスをした二人。
「ぷはっ!」
「はぁ、はぁ、はぁ。」
爛は六花の方を見ると、六花は蕩けた顔をしながら爛に抱きついていた。しかし、長い時間湯に浸かっていた爛はのぼせてきそうなのだ。
「悪い、六花。のぼせてきそうだから上がっていいか?」
「僕も上がるよ。」
こうして、二人して風呂を上がり、ベットに横になる。そして、またもや六花が行動に出るのだ。
「ねぇ、一緒に寝てもいい?」
「構わないよ。二人で寝れば暖かいもんな。」
六花は爛のベットの中に入り、爛と一緒に横になるのだった。すると、今度は爛が行動に出る。六花を抱き締めたのだ。
「何?爛。」
「あのさ、俺達って付き合ってるようで付き合ってないよな。」
「確かにそうだね。」
「それでさ、良かったら・・・付き合ってくれないか?」
「人のファーストキスを奪っておいて何言ってるんだい?でも、僕も爛と付き合いたいよ。」
「じゃ、決まりだな。」
「そうだね。」
これで、誰にも気付かれずに恋人同士になった二人は確かな幸せを感じながら、眠りについていった。それも幸せな夢を見たと言う。
ーーー第28話へーーー
晴れて恋人同士になった二人───、急展開のような気がしますが二人して両想いですので、それなら大丈夫でしょう。末永くお幸せに。