爛が愛華と戦って三日が経った。今日は爛が三回戦目があるのだが、相手は桐原だった。爛からすれば最愛の妹を殺された憎む相手。だから一輝達は爛を心配するのだが、爛は変わらなかった。そして、爛が今でもブツブツと呟いているのだが、それを聞いているステラと珠雫は爛が恐ろしく感じていた。
「さて今日はどうしようかな?桐原をどういたぶろうかな?気絶ができないように雷で操作して針を一本一本突き刺していこうかな?それとも雷を落として焼け焦げさせようかな?それともすべての部位をくりぬいてやろうかな?人生を諦めさせようかな?それとも桐原の罪を暴いて桐原が騎士を・・・ってそれは無理か。桐原は厳に加担しているからな。罪は軽く・・・・・・いや、厳を脅しにいけば良いか。普通の裁判のやり方ならば桐原は騎士を止めなければならない。桐原の処分はそうしよう・・・・・・ブツブツ・・・・・・」
爛が桐原をこの三回戦目でどうしようかとブツブツ言っているのだが、言っている内容が人ではない内容なため、ステラと珠雫は一輝の後ろに隠れていた。
「ランのことが凄く怖いのだけど・・・」
「妹の怨みは・・・怖いですね・・・」
一輝はそれを苦笑いしながら見ていたのだが、爛はそれに気にすることもなくブツブツと呟いている。何を言っているのかと耳を澄ませる二人なのだが、そんなことをしなければ恐れなくて良いんだけど、と一輝は思った。
「拷問のやり方はどうしようか?板に張り付けて鞭で四六時中打ちまくるか?それとも俺の練習の的になってもらおうかな?それとも四六時中檻に放置しておこうかな?戯れ言を言ったら生き地獄を味わってもらおうかな?それとも五右衛門風呂で焼いてやろうかな?それともガムテープを口と鼻につけて窒息死させようかな?食事なんて出さずに餓死してもらおうかな?・・・・・・ブツブツ・・・」
聞こえている部分がそうなのだが、爛の言っていることは全て殺されることになっている内容だった。
爛の言っていることは絶対に死でしかないような気がするんだけど・・・大丈夫かな?爛の二つ名も変わることになりそうだけど、怖い印象は持たれないかな?
爛の言っていることに少し不安になってきた一輝であったが、爛はそんなことを気にしない方だった。爛自体、一人でいても複数でいてもどっちでも良いのだ。正直言って桐原をぶちのめしたい爛はそんなのはお構いなしだ。すると、爛は手帳を取りだし、持っているメールアドレス全てに同じ内容でメールをした。
『今日の俺の戦いは見に来ない方が良いよ。見てる見てないは俺は気にしないけど、見てると騎士を止めたくなるほどだと思うから。』
爛はそう送ったのだ。これで爛は文句を言われていてもしっかりと言うことができるのだ。対策をしないなんて爛はしない方だ。そして、爛の試合の時間になる。今回の試合は悲惨なことになりそうなのだが、爛も注目の的なのは確かだ。今日、最後の試合なのだが観客はたくさん居た。
『これから、今日最後の試合を始めます!実況は月夜見半月。解説は西京寧々先生です!』
『よろ~』
半月の説明にやる気のなさそうな寧々。と言うかないと言い切れる。
「赤ゲート、選手入場。」
『赤ゲートから入ってきたのは、一回戦目で黒鉄一輝選手に負けてしまった桐原選手!しかし、黒鉄選手に一回戦目に負けてしまったが二回戦目では一回戦目のショックはなかったような立ち振舞いと戦い方でした!今日も
桐原は一回戦目の一輝との戦いの始めのように余裕の表情でフィールドに立つ。しかし、今日の戦いばかりは最初から決着がついている。桐原は棄権をするべきだったのだと後悔することになるのだった。
「青ゲート、選手入場。」
『青ゲートから入ってきたのは、一回戦目と二回戦目で大判狂わせをした宮坂選手!今日はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか?一年、宮坂爛選手!』
爛が青ゲートからフィールドに向かうと声をかけられる。
「爛君!」
「ん?なんだ?」
爛は声のかけられた方に歩いていくと、小さな包みを渡された。よく見ると菓子の入った包みだった。
「マカロンを作ってみたんだけど、爛君に食べてもらいたくて・・・良いかな?」
「ああ、ありがとな。この戦いが終わったら、食べさせてもらうよ。」
「ありがとう!感想を待ってるね!」
「ああ。」
爛は少し慈悲をかけた方が良いのだろうかと考えてしまった。自分のために菓子を作ってきてくれた人に酷すぎる戦いを見せるわけにはいかないと思ったのだが、それは桐原の振る舞いで決めることにした。そして、爛はフィールドに立つ。
「逃げることはしないんだね。惨めな騎士君。」
「逃げる・・・か。俺からするとお前が逃げた方が良いんだけどな。」
「クロスレンジの武器しかない君に僕が負けることはない。」
爛と桐原の会話を聞いていた周りの生徒達が爛に向かってこう言ってくる。
「行けーっ!お前なら勝てるぞー!
「頑張ってー!爛君!」
生徒達から応援された爛を見た桐原は盛大に笑う。
「ハハハハハ!君は応援されるようになったのか。大切なものを守ることができない君が。」
桐原の言ったことに爛の中で、あるものが途切れた。糸が切られたようになった。そして、爛は決めた。
絶対に怨みを晴らすっ!!殺すっ!!
「行くぞ、刻雨。」
「狩りの時間だ、朧月。」
爛は光の中から
『
合図が出ると桐原は〈
『あーっと!桐原選手いきなりの《狩人の森》だぁー!宮坂選手、苦戦をするのか!?』
『爛はワイドレンジアタックの
爛は未だに全力を見せることはない。寧々の言う通り、爛がワイドレンジアタックを持っている可能性もあるのだ。しかし、今の爛にとって、それはどうでもよかった。そして、爛に襲いかかる朧月の矢。その矢はまだ見えている矢だった。爛はそれを斬り落とし、矢が来た方向に走りだし、桐原を捉える。
「ハァ!」
「くっ・・・!」
『な、何と!宮坂選手も黒鉄選手と同じような行動をしています!どう言うことなのでしょうか?西京先生。』
『黒坊の時にもいった通り、爛は矢を見つけると、矢が飛んできたところを測定したのさ。だから桐やんを見つけることが出来た。』
すると、桐原は木の上に居た。
「僕に勝つ気なのかもしれないけど、君に勝算何てないんだよ。」
「なら、今この場で俺の目を見ろ。沙耶香を殺した罪は相当重いんだがな。次に写るのがどうなるのか、見せてやる。」
爛が桐原を釣るために言ったことに見事に引っ掛かる。桐原はニヤリと笑い、爛の目を見る。爛は左目を開放し、桐原と目を合わせる。その瞬間───、
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」
周りの景色が変わり、真っ黒な世界に爛と桐原が居た。そして、爛は桐原の右手をもぎ取る。
「黙ってろ。俺の妹の命を奪った下衆が。お前にはこれから一日、生き地獄を味わってもらう。」
爛はそう言うと、桐原からもいだ右手の指を一本ずつ抜いていく。もがれているはずなのに、痛みは感じないはずなのに、桐原には指を一本ずつもがれていく。その痛みを感じていた。
「があぁぁぁ!」
「お前の神経はこの世界では全てと繋がっている。もがれた部分でも痛みを感じるのさ。そして、この世界では永遠の命がある。俺とお前もそうだ。何度も復活し、永遠の痛みをお前は味わい続ける。お前が俺の妹を奪った罪としてな。」
そういいながら爛は、すべての指をもぎ取ると、霊装で桐原の右手を真っ二つにする。そして、血が溢れ出す。爛は桐原の体を痛め付けながら話す。
「お前が俺の妹を奪わなければこんなところまで行かなかったんだよ。大事な家族を奪われたんだ。相応の罪を背負い、償ってもらう。」
爛はそういいながら、自分の左腕を全て斬り落とす。爛に痛みが伝わるのかと思いきや、桐原に痛みが伝わる。
「俺だけは特別だ。俺はこの世界を作ったようなものだからな。お前はこの世界にいる限り、痛みからは逃れられない。」
爛は霊装を右手で器用に使い、自身の左腕を粉々になるほどに斬り刻む。
「ああぁぁぁぁぁぁ!止めてくれ!すまなかった!僕が悪かった!罪は償うからここから出してくれ!頼む!宮坂君!」
爛は桐原の声を聞くと、少し間をおき、桐原に話す。
「なら、妹を復活させることができるのか?最愛の妹を取り戻すことはできるのか?」
爛はそう桐原に問う。しかし、桐原にはただの口実に過ぎない。死者を本当に生を受けた人間にさせることなど不可能だ。
「できる!僕はできる!だからここから出してくれ!頼む!」
それを聞いた爛はニヤリと笑い、霊装を解除する。そして、桐原に近づき話す。
「ふーん、なら、お前を開放───、」
桐原が安堵した瞬間───、
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「何てやると思ったのかよ。ゴミ。」
桐原の両腕全てを斬り落とす。今の爛には慈悲なんてない悪魔なのだ。だから、なんと言おうと桐原は一日中爛の生き地獄を味わらなくてはならないのだ。桐原が爛の腕を見ると、爛が斬り落としたはずの左腕が再生していた。桐原は必死に命を乞おうとしていた。その判断が自分を絶望へと引きずり込んでいる罠だと気づかずに。
「せめて斬った部分を再生してくれ!それをしてくれるのなら一日中受けてるから!」
「そうか。」
爛はそれを一言で受けとると桐原の体を再生する。そして、完全に再生したのを確認すると、即座に斬り刻む。そして再生させるのを繰り返していた。時には火炙りにしたり、時には水の中に落としたり、底無し沼に沈めたり、時には自分の異能の雷を形態変化させ、雷の槍で串刺しにしたり、目を潰したりしていた。まるで極悪非道。桐原よりも酷いことになっていた。これは彼の伐刀絶技《
『桐原静矢、戦闘不能。勝者、宮坂爛。』
『し、試合終了!一体二人には何があったのでしょうか?桐原選手が宮坂選手の目を見た瞬間倒れ、決着がついてしまうことになりました!これは一体どう言うことなのでしょうか?西京先生。』
『これはウチにも分からないけど、爛は桐やんに絶対何かをしていた。罠を仕掛けている訳ではないようだけれど、こればかりはウチにも分からないねぇ。』
爛は試合会場から立ち去るときに、貰った包みから一つマカロンを取り、口に放り込む。味は美味しく、飽きない味だった。爛はマカロンをくれた女子生徒に感想を言うと、嬉しそうに喜んでいた。
後に桐原は一体・・・?
ーーー第21話へーーー
はい。絶対にうちは家の写輪眼ですねw
桐原くんもといゴミ原くんはどうなったのでしょうか。それでは次回にお会いしましょう。