一輝「作者は優柔不断だからね。」
爛「作者をたっぷりと叱っておくから、読んでくれている人、作者を許してやってくれ。」
一輝「それじゃあ、第11話スタート!」
アイスクリームを投げた子供を蹴ろうとし、風に連れられていき、壁に打ち付けられる。壁から出るが、床に立とうとすると、足などに激痛が走り、立つことなど到底できることではなかった。改めて、自分を壁に打ち付けた相手を見ると、子供とその母親を気遣うように少年は立っていた。少年が持っているのは短剣。そして、
「なっ・・・伐刀者だと!?」
「こうなったら、人質もろとも・・・」
人質もろとも撃とうとしているのを見逃さなかった珠雫と明は
「遮れ───『
「防げ───『砂の
二人は防御系の伐刀絶技を使用し、人質へと飛んでくる銃弾の雨を防ぐ。水の壁と砂の壁、この二つの壁は、重火器であろうと防ぎきる。
「なっ!防がれた!?」
「なら、コイツだけでも・・・!」
解放軍は突然現れた水の壁と砂の壁に、弾を防がれ、人質を撃つことはできなくなってしまう。しかし、その壁の外にいる少年に狙いを絞り、弾を撃つ。しかし、その少年は数千と飛び交っている銃弾の中を平然と立っていた。それは、少年が使う風の力を使い、弾の軌道を変えていたからだ。
一方、一輝達のところでは、颯真が行動したことに驚いていたが、行動しようとしていた。
「珠雫達が注意を引いている今のうちに、僕達は動こう。」
「そうね。騒ぎを聞き付けて、来るかも知れないからね。」
そう言い、一輝とアリスは影の中に入っていく。
銃弾が飛び交っている中を立っている少年───颯真はため息をつくと、跳躍をし、壁の内側に入ると、ステラに話す。
「ステラ、今だ!」
「ハアァァァ!」
颯真のタイミングに従い、自身の異能で壁の外側の解放軍を焼き尽くしているステラ。解放軍を焼き尽くすと異能を止め、炎を無くすと颯真が風を起こし、解放軍の死体を運ぶようにする。理由とすれば、燃やされた死体を見れば、一般人が恐怖するからだ。解放軍の死体を見えないところまで運ぶと風を止める。二人はそれを確認すると、伐刀絶技を解除する。すると、騒ぎを聞き付けて来たのは、フードをかぶり、表情が見えないように衣を纏っていると男と護衛の兵士が姿を現す。衣を纏っている男が颯真達の姿を見ると、伐刀者だと分かり、冷静では居られなくなる。
「なっ・・・伐刀者である者が我々の邪魔をするのか!?」
「非力な人間達を人質にとっているお前らに言われたくないんだよ。」
衣を纏っている男からの質問に颯真は即答する。颯真が歩き出そうとしたとき、一瞬止まるが、数歩だけ歩くと、口を開く。
「あ~あ、お前らが来なかったらお前らの命はあったのにな。」
「フッ、それはことかな?」
颯真の挑発的言動に男と兵士は銃を構える。身構える珠雫達だが、ある気配に気付くと構えを解く。それを見た男は颯真達に聞く。
「構えないところを見ると、降伏したということで良いのかな?」
「それは違うんだよ。逆にお前らは逃げた方が良いぞ?」
「貴様ぁ!」
颯真から完全に挑発したと分かる事を言われ、痺れを切らした男───ビショウは銃の引き金を引く。しかし、銃から弾が発射されることはなかった。不思議に思ったビショウだが、次第にビショウの右腕が霞んで消えていく。すると、突然ビショウの目の前から血が飛び散る。それが、自分の血であることを身をもって知ることになる。
「がああぁぁぁぁぁ!?」
「第零秘剣《
「これで、
ビショウの右腕が霞んで消えていったのは、一輝が《神楽》を使ったからである。《神楽》は、斬ったものを幻覚であるように見せるというもの。原理は爛しか分からないのだが、爛は一輝ならこれをできると言い、一輝に教えたのだ。その結果、一輝は《神楽》の習得に成功。爛も《神楽》を使うことはできる。爛自身、一輝に《神楽》を教えるのは無謀だと思っていた。それは、斬ったものを幻覚であるように見せるという部分のことだった。それには、高度な技術がいるのだが、一輝が得意とする相手の剣の理を読み、上位互換の剣を作る『
「さて、これ以上被害を加えないのなら、なにもしない。」
「くっ・・・」
負けている状況でありながらも笑みをしているビショウ。しかし、一輝達にとってはもう分かっていることだった。彼がどうしてくるかも。
「悪いけど、君の伏兵ならご退場してもらったよ。」
「何!?」
「二段構えで来るのは誰もが分かることだ。人数が足りないからな。」
「くそぉ!」
ビショウは自分の策が二度も看破されるとは思ってもおらず、この怒りをまだ残っている左腕を使い、近くにいた一輝に殴ろうとする。
「っ!?」
すると、ビショウが滅多斬りにされ、その場に倒れてしまう。そして、そのビショウを斬ったのは、青いパーカーに赤い血がついている少年───爛だった。爛はここまで歩いてきたのだが、たまたま着いた時がこの瞬間だったため、この解放軍を統率していたビショウを滅多斬りにしたのだ。そして、爛は自身の霊装を解除する。
「ふう、終わったな。」
「そうだな。それと、いつまでそこで女子と群がりながら見ているんだ?昨年度首席入学者、Cランク、『
爛が桐原の名前を言うと、ある部分の背景が削り落ちていくかのようになっていき、姿を現したのは昨年度首席入学者の桐原静矢。一輝達の事を見ていたようだ。そして、桐原は顕現していた霊装を解除する。そして、颯真とアリスは驚いた。それもそうだ。二人の異能では桐原が感じ取れなかったからだ。
「風じゃ、感じ取れなかったぞ。」
「あたしも無理だったわ。って言うことは。」
「ああ、アイツの能力は『
「それでも僕を見つけることができたんだ。久しぶりだねぇ黒鉄君、宮坂君。君ら、まだ学園にいたんだ。」
二人が感じ取れなかったのは、爛も説明した通り、桐原の能力は『認知不能』、見つけることが出来ない。しかし、爛は見つけることができた。それは爛がいつも行っている方法で、探しているからだ。爛の方法はどんなものでも見つけることができる。だからこそ桐原を見つけることができたのだ。そして、爛にとっては一番面倒な相手でもある。その後は警察が現場に到着、爛と一輝、颯真はこの事件の事をよく知っているため、事情聴取を受けることになった。桐原は、ただ見ていただけ。と言い、取り巻きの女子と何処に行くのかと話し合うということになった。それを見たステラはこんなのを口にする。
「正直言って、アイツを今この場で焼き尽くしたいわ。」
「まさか、貴女と同じ考えになるとは思ってもいませんでしたよ。」
「私も同感ね。アイツは本当に許せない。お兄ちゃんや、お兄ちゃんが認めた一輝さんを馬鹿にしてるから。」
ステラ、珠雫、明の三人は、桐原に思っていることが同じになり、桐原を許せないと思っていた。すると、ふと桐原がこんなことを言ってくる。
「そう言えば、いつまで君達はその
「アンタねぇ!」
「ステラ、いいんだ。」
「よくない!」
桐原の言ったことに痺れを切らしたステラは、桐原に対しての怒りがマックスにまで溜まっていた。ステラの堪忍袋の緒を切るには丁度良い言葉だった。一輝はステラを止めるが、ステラは止まることはなかった。
「ステラ、止めろ。」
「でも・・・!」
「止めろ!今やっても無駄だ。」
爛の覇気のこもった言葉に、怒りを抑え込むステラ。それを見た桐原は高らかに笑う。
「あ、あはははははは!これは良い傑作な笑い話だ!黒鉄君は格好いいところを彼女に吹き込んでいるみたいだねぇ。でも、皇女様、君と仲の良い彼と彼は僕と戦うのが怖くて逃げたんだよ?それが、格好いいとでも言えるのかい?」
桐原の言ったことに、ステラは完全に怒ってしまう。
「アンタ、それ以上言ってみなさいよ。アタシの炎で焼き尽くしてあげるわ。」
ステラからは尋常じゃない殺気が放たれる。それには、ステラをよく知っている一輝も少し怖じ気づいてしまう。しかし、爛はステラを見たまま、止めることはなかった。桐原はそれをただ見ており、一輝に話す。
「そう言えば黒鉄君。手帳はもう見たのかい?」
「手帳?まさか!」
一輝はあることを察し、手帳のメール受信を見ると、一輝の初戦の相手の通知が来ていた。
「黒鉄一輝様、選抜戦第一回戦は二年三組、桐原静矢様に決まりました。」
「そう、君の初戦は僕、桐原静矢様が相手だ。精々逃げないでくれよ?最も、宮坂君のは逃げ出しても良いんだけどね。」
桐原が言う頃には、爛は手帳をもう開いて、メール受信を確認していた。爛の選抜戦の初戦はーーー
「宮坂爛様、選抜戦第一回戦は三年三組、
校内序列第三位の生徒会の会計、貴徳原カナタ。破軍学園では、刀華と愛華に次ぐ強者。すると、爛は桐原にこんなことを言った。
「桐原。お前がどう思おうと勝手だが、慢心していると負けるぞ?特にランクという差を見ているだけじゃ、な。それと、俺と一輝は必ず勝ち上がる。それをどう思うかはこれも勝手だ。」
「そうかな?ランクという差は絶対にひっくり返らない。君のような人間ではない人に言われたくないけどね。」
「そうか。お前もあっちに付いたのか?」
「なんのことかな?『ノヴァの騎士』について知りたいのかい?」
「いや、別にいい。」
「そうか。それじゃあ今度は選抜戦て会おう。逃げ出さないでくれよ?惨めな騎士達。」
桐原は爛と話したあと、桐原についている女子と共にショッピングモールから姿を消す。すると、珠雫とアリスが爛に聞いてくる。
「爛、『ノヴァの騎士』とはどう言うことなの?」
「『ノヴァの騎士』・・・人ではない存在の力だ。一輝とステラ、颯真と明は見たことはあるよな。『ノヴァの騎士』それは、人よりも生命力を持ち、圧倒的な力を持つ。最も、『ノヴァの騎士』の力は受け継がれていく。いや、選ばれると言った方が正しい。」
「どう言うことですか?」
「選ばれた人間が、『ノヴァの騎士』になると言った方が良い。『ノヴァの騎士』の生命力は並の人間の何十倍だ。数百年は生きられる。」
「っ!?」
「後は、ある儀式に『ノヴァの騎士』の力が必要になってくるとしか、俺は知らない。」
爛は悲しい顔になりながら、『ノヴァの騎士』について話す。『ノヴァの騎士』の歴史を聞いた二人は何も言えない状態だった。
ーーー第12話へーーー
爛「第11話、終了だ。」
一輝「僕達もまだ、ノヴァの騎士についてはあまりよくわかっていない。だけど、これから少しずつわかっていくことになるよ。」
爛「それと、作者には怒っておいたからな。第12話、読んでくれよ。」