転生したら戦闘力5のオッサン以上にモブだった件 作：大岡 ひじき
…惰性なのか、元々の嗜好が目覚めただけなのか。
誕生日にパパからもらった恐竜図鑑が、読んでみたら結構面白くてハマった件。
そーいや前世でも男の子が好むモノの方が好きだったよアタシ。
つか元の世界ではとっくに絶滅した生物がこっちでは普通に野生動物として生きてたり、同じ形でも小型のものがペットとして人に飼われてたりもする。
しかもおんなじような姿してるけど言語を解する種族もいて、それらの方々はほかの人間と変わらず普通に社会生活営んでたりもする不思議。
まあ獣人とか妖怪とかごく普通にその辺歩いてても誰も不思議に思わない世界だからね。
でも最近は捨て恐竜とか野良恐竜とかが問題になってるみたい。
人間の勝手で可愛がったり捨てたり、それで問題になって捕獲して処分とか、前世の世界でもあったけど、あっちから見て創作の世界であるこっちも、本質的には変わらないんだって事か。
大きくたって小さくたって命は命。
責任が持てないんなら安易に飼おうとかするもんじゃない。
もうね、遠くから愛でるのが一番なんだよ。
恐竜かっこいいよ恐竜。
そんなわけで図鑑片手に恐竜の魅力を語っていたら、いつのまにかクラスの男子の間でリーダー格になっていて、逆に女子からは総スカンくらってた。
まあ別にいいさ。
女に好かれる女なんて生物学的に負けだからな。
女は本能的に男に好かれる女を嫌う。
女が憧れる女性像なんてのは大体男から見ると、女性として魅力ない場合がほとんどだ。
これはもう本能的な情報操作なんだと思ってる。
まだ未熟な個体に対し、憧れって形でそこを目指させ、女性的な魅力を突出させないようにすることで、自分が選ばれるチャンスを増やす為の。
そこに気づいてからは、ぶりっこ嫌いとか言う女の方が嫌いになった。
ぶりっこだろうがなんだろうが、異性に選ばれる努力のできるやつを、それもできないやつが見下すとかバカだろ。
お前らその見下してる個体より牝として劣ってるんだからな。気づけよ。
男だってバカじゃないんだから、ぶりっこに騙されてるわけじゃないんだよ。
自分の前でそういう態度を取る→即ち好意の現れ→だから可愛いってなるんだよ。
自分一人でなんでもできて男に媚びない女がかっこいい、なんて思ってる女とか普通にイタいよ。
うん知ってる、全部前世の自分の若い頃。
40過ぎてからようやく気づいた。遅いわ。
今考えると死にたくなる。
いや死んだから今ここにいるんだけど。
ただ問題は、アタシはこの男子たちから、女の子としてモテているわけじゃないって事。
それ考えると若干モヤっとする。
なのでアタシは考えるのをやめた(爆)
そういう事で仲良くしてる男子たちと話をしてたら、日々の生活ですっかり忘れていた原作情報が彼らの口から発信された。
「オレこないだパパに、天下一武道会連れてってもらったんだー！」
「え？天下一武道会!?ちょ、優勝したの誰？」
「え？ジャッキー・チュンっておじいちゃんだよ。
すごかったんだぜー！
(以下延々と試合内容が興奮気味に語られる)」
…そうか。
ジャッキー・チュンさん(=武天老師様)優勝の天下一武道会って事は、悟空さん初出場で準優勝だった時か。
という事は…ちょ、孫悟空さん、アタシより5才年上だったしw
「…ほんとみんなかっこよかったー！
オレ大きくなったら武闘家になろうかなー！
そんで天下一武道会に出るんだー!!
そしたらマリンも応援に来いよな！
今からサイン書いてやろーか？」
「…いらないけど、いいね。頑張って」
そう言ってた彼がこの4日後の宿題の作文に『ぼくのゆめ』というタイトルで、「まちのパン屋さんになる」という内容を原稿用紙6枚に渡り延々と綴っていた事実は、とりあえずアタシ1人の胸にしまっておこうと思う。
…男はバカじゃないけれど、男の子は割とバカかもしれない。