転生したら戦闘力5のオッサン以上にモブだった件 作:大岡 ひじき
1・転生したけどモブキャラでした
ブラック企業で過酷労働してたら過労死して転生した。
その辺のことは面倒だから省く。
問題は、転生した先がどう考えても以前生きてた世界と違う件。
アタシと今の家族の住んでる家はそこそこ都会にあるんだけど、この世界に生まれて初めての夏休みに母方の祖父母の家(ど田舎の村)に遊びに行ったら、裏手にある険しい山の方に普通にでっかい翼竜とか飛んでてびびった。
おじいちゃんとおばあちゃんに慌てて報告したら何事もないような顔で笑いながら、
「都会の子は恐竜なんて見た事ないんだねえ」
とか言ってて更にびびった。
ちなみに山の名前はパオズ山だそうだ。
いやもう、普段の生活の中にホイポイカプセルとか普通に浸透してる時点でそうだろうとは思ってたけど完璧ドラゴンボールの世界です本当にありがとうございます。
てゆーかなんでドラゴンボール!?
いや嫌いじゃないってか割と好きな漫画だったから連載中リアルタイムで読んでたけど、多分ブルマさんの子供とかいきなり出てきてフリーザ様とか倒したあたりで一旦読むのやめてた筈。
途中からしかも敵として登場しといてなし崩しに共闘した挙句いきなりヒロインと結ばれるとかズルイよベジータ。
その随分後にTV放映してた劇場版をたまたま見て、主人公の孫悟空さんに2人目の子供がいた事を初めて知ったくらいだし。
えってなって次の休日にネカフェ駆け込んで半日かけて全巻読んだわ。
つかね、アタシ『◯!!男塾』とか『北斗◯拳』とか『ジョジョの奇妙◯冒険』とかの、男臭いやつの方が当時は好きだったんだよね。
ただソレ友達とかに言うのなんか恥ずかしくて、表向きは『聖闘◯星矢』にキャーキャー言ってる友達に混じって自分も騒いでたけど、いい大人になって◯塾の文庫本全巻買い揃えた時は、初恋の人に会えたくらいの感動を覚えたものだった。
いやそんな事はどうでもいいけど。
ああでも男◯がもう読めないって考えたら急に悲しくなってきたよグッバイ桃…ってだからそうじゃなくて!
そんなわけでコアなファンだったわけでもなかったアタシ、ストーリーの正確な年表とか覚えてるわけもなく、ここがドラゴンボールの世界だとして、今アタシのいるこの時間って、孫悟空さんの冒険譚でいうとどのあたりなわけ?
あの山に登って孫悟空さんの所在とか確認できればタイムテーブルの把握も可能かもしれないけど、あんな物騒な生き物のいる山に1人で入ったらアタシ確実に死にます。
てゆーか!
常識的に考えて漫画の世界に転生する時って、チート能力とかの特典与えられるもんなんじゃないの?
漫画の世界に転生って時点で非常識とか言うな。
今まだ子供だから伸び代はあるのかもだけど、ぶっちゃけ混じりっけなしの地球人100パーセント天然素材。
武闘家とか身近にいるわけでもなく、現時点では戦闘力のかけらもない、多分ラディッツさん出てきた時にいきなりやられた、ライフル持った戦闘力5のオッサンと戦おうもんなら鼻ほじりながら瞬殺されるに違いない、ごくごく普通の女の子なわけで。
だから漫画の世界に転生って時点で既に普通じゃないとか言うな。
つまりあれか?
この世界でのアタシの立ち位置…これっていわゆる
ってやつですね本当にありがとうございますそのまま死ね。
…すいません言い過ぎました。
「マリンちゃん、何ぶつぶつ言ってるの?」
「…なんでもない。ママ、今日は何かのお祝い?
凄いごちそうだけど…?」
「何言ってるの。
今日はあなたのお誕生日でしょ?」
「え…そうだっけか」
「7才のお誕生日おめでとう、マリン。
はい、プレゼントだよ」
「あ、ありがとうパパ…これ、図鑑?」
「恐竜の図鑑だよ。
ママのいなかに行った時、翼竜を見たって大喜びしてたろう?
あの後ずっと山の方ばかり見ていたし。
でもマリンがそんなに恐竜好きだったなんて知らなかったなあ」
「(全然好きじゃないし山見てたのは違う理由ですが)」
主人公:マリン
10月生まれなので名前の由来はトルマリン。
転生者で前世の名前は覚えてないが今生で自我が芽生えた時点から前世の記憶はある。
この時点で7才の誕生日を迎えたばかり。
なお本人はまだ知らないが夏休みにパオズ山で翼竜を見たくらいのまさにこの時期にブルマさんが悟空さんを訪ねていて原作始まってる。
マリンの誕生日の頃は多分悟空さん、クリリンさんと共に亀仙人様のトコで修行中。