ソードアート・オンライン一紅き魔剣士と冥界の女神一   作:ソル@社畜やってます

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今回はちょこっと真面目っぽい路線、でもシリアスじゃない。
固有のスキルっていうのはね、便利なだけじゃないんだよ(遠い目)


第2話 属性魔剣

「はっ!」

気合いを載せた掛け声と共に放った疾風の刃は約20メートル先にある木の幹…ではなくその隣の岩に当たり、岩に亀裂が走る。

76層解放時に0になってしまった<属性魔剣>を再び以前と同じくらいに戻したリクは、普段ゴロゴロして過ごす攻略のない休日を珍しく訓練に当てていた。

その理由は、<属性魔剣>にある飛び道具の命中精度を上げるためだ。本来ソードスキルに剣から放たれる飛び道具など存在しておらず、近接戦闘しかしてこなかったリクにとって離れた敵に飛び道具を当てることは非常に難易度が高かった。

動くことのないフィールド上のオブジェクトを的によーく狙いさえすればなんてことはないが、動いている敵に対してとなるとそうはいかない。常に状況が変わる戦闘時において時間をかけて狙うなどそんな悠長なことはしていられないのだ。可能な限り早く…それこそほぼノータイムで、距離があっても当てられるようにならなければならない。

そのために今、こうして一人黙々と訓練しているわけだが…

「距離が開くとダメだな…なんで縦にしか飛ばせないんだよこの技」

現状使える飛び道具は2つあり、1つは光属性で三日月丈の光の刃を3連続で放つ<星影連波(せいえいれっぱ)>。これは縦、横、斜め、どの向きでも放てるため使いやすい。

もう1つは先程放った疾風の刃を放つ風属性の<絶風刃(ぜっぷうじん)>。威力と射程はこちらの方が上なのだが、放つのに若干の溜めが必要な上に縦に、しかも1発しか放てないせいで少しサイドステップすればそれだけで簡単に避けられてしまう。それなら動きを先読みするか当たるように味方で誘導すれば…と考えたが前者はそもそも無理、後者はわざわざ絶風刃1発のために誘導するくらいなら他のソードスキルで攻撃したほうがいいため両方とも却下…つまるところ単純に小さな隙を見つけて即座に放ち当てられるようにするしかない。

…とはいうものの、約20メートル先のそこそこ大きい的にすら安定して当たらない現状ではこの技は封印しておいたほうがいいのだろうかとリクは考えている。

(使わないってのは簡単だけど、これ以外に今使える風属性って1つしかないんだよな…)

現在、計7種類の属性を使えるがメインー実際には個人的な好みーで炎属性や光属性ばかり使っているせいか、他の属性…とりわけ風と地は2つしかスキルがない。

今のうちにスキル数の少ない属性を伸ばしたほうがいいのか、現状必ずしも必要というわけではないからしばらくはこのままでもいいのか。考えれば考えるほど、どっちが正しいかなんてわからない。そもそもリクは本能や直感力で危機を乗り越えるようなことが多い、簡単にいえば脳筋に近い種類だ。あまり細かく先のことを考えたりするのはハッキリいって向いていない。

「一々考えてても仕方ない、とりあえずこういうときは…」

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「覇道、滅封!」

ほとんど壁に近い位置で通路に振り向き一瞬溜めてから勢いよく剣を振りぬく。前方一直線に炎の波動が凄まじい勢いで走り、範囲内にいたモンスターは全て一撃でHPが0になり、炎のなかでポリゴン片と化す。

炎属性長射程広範囲スキル<覇道滅封(はどうめっぷう)>

前方のみだが広範囲かつ超火力をもつこれは、リクが特に気に入っているスキルの一つだ。

なんかもやもやしたときは迷宮区かダンジョンのザコ複数を広範囲か今のように長射程範囲スキルで一気に殲滅するのがリクの解消法になっている。

「やっぱ、一気に蹴散らすのはスカッとしていいね。癖になる」

かれこれ五十数体のザコを粉砕したであろうか…そのときせっかく爽快だった気分が一気に不機嫌になる人物がやってきた。

「やっほーリク、休みなのに頑張ってるね」

全身を紫色の装備で統一。薄い紫のロングヘアーと赤い瞳にリーファにも負けないプロポーションをもつ、どこからともなくやってきて相応の実力を見せつけ攻略組に新たに加入した、リクが正体を怪しむ謎のプレイヤー<ストレア>だ。

「…なんの用だ?なにも無いんだったらはやいことどこかへ行ってくれ」

「むむーつれないなー。せっかく二人きりなんだしお茶でもしようよ!」

「生憎、俺はシノン以外とデートする気はこれっぽっちもない。だからさっさと…」

「まーまー!そんなこと言わないでっ!」

と言いながら腕に抱きついてきたストレアをリクは強引に引き離して距離をとる。

SAO内でもキリト、アスナに並んで攻略組として知られているリクは信じようが信じまいが、プレイヤー間において「殺気をや見えない気配を感じ取るなんてそんなことできるわけがない」と言われているこのSAO内で、ソレらを感じ取るシステム外スキル<超感覚(ハイパーセンス)>を会得しているが、そのリクをしても目の前にいる謎の少女が一体何なのか全く掴めないでいる。

無理やり引き離されたにも関わらず、ストレアは特に嫌な表情を浮かべることもなく話し掛ける。

「ま、そこまでするなら大人しく退散しておくよ。あ、そうそう次の攻略は一緒のパーティだからよろしくねー!」

返事を返す間も無く、ストレアは鼻歌を歌いながら軽い足取りでその場をあとにした。正体がわからないというのもあるが、そもそも同じ休みのはずの彼女がなぜヒンポイントで俺のところへ、しかも攻略時と変わらない装備でやってきたのか。

「~~~ッああもう!わけがわかんねえよ!なんなんだあいつッ!!」

拭うことのできない疑問と言い表せない妙な感覚を無理やり振り払うかのように、リクは愛刀を手に再び敵へと向かった。

 




ぶっちゃけストレアってこんなんだったっけ?感が拭えないけど、うちのストレアはこんなかんじのキャラでいきます。
本編にまったく関係ないですけどホロウ・リアリゼーション、ようやっと全キャラ分のエンディング見終わった~!どのキャラも良かったけど、まあ1番はシノンだよね常識的に考えて。なんでキリシノが正史じゃないんだよ!

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