ソードアート・オンライン一紅き魔剣士と冥界の女神一   作:ソル@社畜やってます

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リク「本気で出番が無い…」←本作の主人公
シノン「名前くらいしか出てない…」←本作のヒロイン              
水着回が終わればガールズ・オプスの話にもちょいちょい出れるよ、シノンさん。  
シノン「え、本当?」          
本当本当。ただしリクはほとんど出ない。具体的には最新4巻の話に進むまでガールズ・オプスの話には出れない。      
リク「なんでや!俺主人公やろ!」    
ガールズ・オプスは出番の無…少ないSAOガールズがメインのお話だからね。仕方ないね。



第15話 GIRLS'OPERATIONS!天使の指輪クエスト(後編)

 難なく狼型魔獣を撃破した一行は、クエストの流れに従って子供のようなことを言うツンデレ天使NPCの元へと向かっていた。道中でルクスの驚異的な成長の詳細を聞いたリズベットとフィリアが盛大に驚きつつ、キリトの使っていた二刀流ソードスキルをちゃっかりOSSとして使っていることに嫉妬したりということがあった。

 また、途中で起こった地震によりシリカがそこそこ高低差のある段差から落下しかけて、それを前を歩いていたルクスが咄嗟に受け止めて助けるということがあったが、ルクスの装備は剣だけでなく防具も憧れのキリトにかなり寄せているためシリカが一瞬キリトと勘違いして慌てふためいていた。

 やがて天使のいるバラ園へと到着したのだが…

「ひどい…」

「なんでこんな…」

 美しかった天使のバラ園は、地面に裂け目が入り、天使のいた建物は天井と柱が壊され、綺麗なバラは半分以上が巨大な何かに踏み荒らされる、見るも無残な光景へと変わってしまっていた。

 それぞれが思い思いの言葉を口にする中、ストレアは冷静にバラ園の状況を見回して言った。

「巨人に襲撃を受けたってところね」

「巨人…北欧っぽく介入要素が追加されたのかな」

「ねえ、もしかしてさっきの地震って」

「うん。多分襲撃の伏線だね」

 自身たちの身長の三倍はあろうかという巨大な足跡を見ながら、状況を推察する。

「結構大変なことになってきましたね。そわそわしながら待ってた天使が懐かしいですよ」

「「べ、別にお前たちのことなんか心配してなかったんだからな!勘違いするな!」」

 リズベットが得意のツンデレ天使の真似を披露すると、他のメンバーが「似てる似てる」「すごい再現度だよね」と笑いながら言う。

「今となってはあのツンデレ天使は完全に癒やし要素ですね」

「で、肝心のツンデレ天使様はどこに行っちゃったんだろ?」

 フィリアの言った疑問に答えるかのように、シリカの肩に乗っているピナが「キュルル」と鳴きながら天使のいた場所に顔を向ける。そこには天使が残したと思われる操作可能な羽のオブジェクトが残っており、シリカが羽に触れるとソレから天使が現れた。

「きさまたち、よく戻った!だがタイムオーバーで試練は失敗だ、残念だったな。きさまらに渡す指輪はない!今すぐにここから去れ!いいか、決して追っては…」

 そこまで言うと天使の言葉と姿が消えて、これが天使によって残されたメッセージだということが判明した。

 いきなりの出来事と天使の言葉の内容に、一同がポカーンとしている中で一人、リズベットが「ふふふっ」と笑って言葉を続けた。

「荒らされたバラ園にさらわれた天使。そして私たちを遠ざけるような暴言…なかなかどうして、ナイスな展開じゃない。もしかしたらプレイヤーだけじゃなくて天使との絆も試されているのかしらね?楽しくなってきたわ」

「リズってば燃えてるね。ま、私もだけど」

「私も、こういう展開は嫌いじゃないよ」

 ストレアとルクスが同意すると、リズベットは巨大な足跡が続いている方を見てから、振り返って全員を見て言った。

「よーし、それじゃいっちょツンデレ天使様を助けてシノンみたいにデレッデレの骨抜きにしてやるわよ!」

「「「「「「おー!!」」」」」」    

 道中で出現するモンスターを数と質の暴力で難なく倒しながら巨人の足跡を辿り続けて数十分、少し大きめの扉が一つあるだけでこれといった装飾も施されていない簡素な建物へと一行は到着した。

「さて、鬼が出るか蛇が出るか…」

「よし、行くよみんな」

 実質的にこのパーティのリーダーの立場になっているストレアの言葉に言葉を発することなく全員が武器を構えて力強く頷くと、ストレアが扉を開けて中へと一斉に突入し、そして呆然とした。

 外観の大きさとは裏腹に、扉の奥は巨大な砂時計のようなオブジェクトが一番奥に一つだけポツンと置かれているだけで、ただ広い程度の部屋だったからだ。しかもオブジェクトは砂時計をかたどっているわりには中に何も入っていない。

「…あ、あれ?」

「てっきりボスがいるかと思ってたのに…」

 思っていたのとは違う展開に先の天使の残した言葉よろしくポカーンとしていると、いきなり砂時計型オブジェクトの上部に[999]という数字が表示され、中が大量のスライムで埋めつくされた。

 続けて上部の数字がカウントダウンし始めると、下部の穴からスライムが次々に流れ出始める。

「もしかして、あのカウントの間耐えろってこと!?」

「うっわぁ…これソロプレイヤー殺しもいいところだね」

 すぐさまクエストの流れを見抜いてリズベットとフィリアがそう呟く。

 そう言っている間にも溢れ続けるスライムの群れを見て各メンバーでお互いをカバーできる距離をとりながらスライムを倒し始める。RPGの伝統として、古今東西のあらゆるゲームソフトで数十年も最弱の地位に居座り続けているモンスターというのはALOでも変わりなく、スライムはソードスキルを必要とせずに軽い攻撃でアッサリと倒されていく。

 しかし、まるで某四次元ポケット並の容量を持つ砂時計から際限なく出続ける、数の暴力によって倒しても倒しても全然減ることのないスライムに、メンバーの精神力は削られ続ける。

 更に追い討ちをかけるように…

「このスライム、酸吐いてくるの!?」

「くっ、しかもダメージが大きい…!」

 装備の耐久値を下げる特殊攻撃の酸によって、重厚な鎧や盾等の金属製ではなく皮製の防具を装備しているメンバーらの装備がスライムの攻撃によって少しずつ溶かされていく。この場に男性プレイヤーがいないのと、腕や足を重点的に狙っているのが鬼畜GMのせめてもの救いかもしれないが、装備が溶かされるという時点で女性からすればたまったものではない。

 汚いなさすがGMきたない。

「あーもう!こんなときにリク兄がいてくれたら…!」

 広大な範囲攻撃を複数持つリクがいればこの場での戦闘は格段に楽になったであろうが、その場にいない者のことを考えてもそれは無い物ねだりである。

 それでも巨大な剣である程度一掃できるストレアと、ニ刀流範囲OSSを習得しているルクスの存在によって、ジリ貧になりながらも順調にスライムの数を減らし続けていく。

 やがてカウントが300を切ったところで、異常なまでに出続けていた砂時計から最後のスライムが出たのを見て、シリカが部屋に声を響かせた。

「最後の一匹が出ました!」

「なら、後は部屋の中のスライムを全滅させるだけだね」

 残り僅かになったスライムの群れを見て、ここぞとばかりに装備を溶かされた恨みやらなんやらを込めて、リズベットがメイスで叩きのめし、ストレアが両手剣でなぎ払い、ピナがブレスで凍らせたところをリーファとシリカとルクスとフィリアが斬り刻んだ。

 忌々しきスライムを全滅させると、全員が一斉に床に座りこんで息をついた。

「疲れたぁ…」

「これ、もう二度とやりたくないね」

「本当ですね」

 ポーションを飲んでHPを回復させながら話していると、不意にルクスが砂時計型オブジェクトを指しながら言った。

「…少しいいかな。カウントが止まっていないみたいなんだが」

「「「「「えっ?」」」」」

 驚いて全員が同じ方向を向くと、確かにルクスの言った通り砂時計の上部に表示されているカウントが止まることなく減り続けている。

 スライムは全滅させたのに何故?という思考が全員の脳内で一致しながら砂時計を見続けていると、いきなりカウントダウンが加速して数秒も経たないうちに表示が0になった。

 するといきなり部屋の空間が引き裂かれるように、星空のような光景へと塗り替わっていく。

「な、なにが起きてるの!?」

 やがて部屋の全ての空間が変わり、円形の床が浮いているだけの全く違う部屋へと変貌した。

「ようこそ、我の間へ」

 厳かな声が響いたのを聞いて全員が振り向くと、そこには天使を胸部に埋め込んでいる杖を持った巨人が立っていた。

「まさか、ボス部屋への自動転送!?」

「さあ天使よ、お前の信じた絆が壊れゆくさまを見るがいい…!!」

 装備の耐久値が減少し、HPも全快していない状態でのいきなりのボス戦突入に全員の心に焦りが生まれる。

「とにかく回復しないと…」

 まずはHPを全快させようとリーファが回復呪文を唱えようと詠唱を始めた瞬間、巨人が右手に持った杖を振り下ろして衝撃波を発生させて、詠唱を中断させる。

「これじゃ立て直しができない…!」

 休む暇を与えずに再び杖を振り下ろしてきた巨人の攻撃を、ルクスが両手の剣で防ごうとするもののわずかに持ちこたえた直後にい勢いよく弾き飛ばされる。

「くうっ…!」

「ルクス!」

「だ、大丈夫…!」

 弾き飛ばされたルクスは、なんとか立ち上がってアイテムからポーションを取り出して一気に飲み干す。

 無事だったことにホッとしたのも束の間、再びの攻撃を今度はストレアが両手剣を盾にして受け止める。

「そう何度もやらせないわよ!」

 ストレアは受け止めた杖を力で押し返して巨人のバランスを崩すと、「リズ!」と叫んでそれぞれ武器を構えながら巨人の膝へと飛ぶ。

「どりゃああっ!」

「このおおおっ!」

 叫びながら膝へ強打を加えると、巨人はその衝撃に耐えきれずに大きく体勢を崩した。

「リーファ、シリカ、今のうちに!」

「「わかった(りました)!」」

 リーファは回復呪文と援護呪文を、シリカは援護呪文とピナのヒールブレスを使用して巨人が起き上がる前に全員の体制を整える。

 巨人が重い体をのっそりとした動作で起き上がった頃には既に全員のHPが安全圏まで回復してステータス上昇のバフがかかっており、反撃を始める。

 先の魔獣とは違い杖を主体にした物理攻撃相手にはパリングがやりづらいということで防御はストレアとリズベットが引き受け、ルクスとフィリアが攻撃、リーファとシリカは基本的に援護に徹しつつ隙をみて攻撃する役割になった。

 時折巨人が繰り出してくる稲妻の全体攻撃に苦しめられながらも、順調にダメージを加えてHPゲージを二本ほどまで削ったところで、全員のアイテムストレージにあったポーションが底をついてしまった。

「さすがに連戦はキツいね」

「それもあるけど、弱点が攻撃しづらいったらありゃしないわ」

 巨人に最もダメージを与えられる部分は胸部なのだが、よりにもよって天使が捕らわれているせいであまり攻撃できずにいる。いっそのこと天使の存在を無視して好感度がダウンすること前提で攻撃する、という手段もあったが全員そうする気はさらさら無かった。

「吹き荒れよ…稲妻!!」

「全体攻撃、来るよ!」

 言葉と共に巨人が両手で構えた杖にスパークが走るのを見て、ストレアは後ろを見ながら言う。

 杖の先から上空へスパークの塊が放たれると、部屋全体を強烈な雷の柱が複数降り注ぐ。広範囲の攻撃をなんとか避けながら凌ぐと、攻撃が終了したと同時に巨人の動きがピタッと止まる。強力な攻撃を放った反動での技後硬直に入ったのだ。

「全員、突撃!!」

 ストレアの声と共に各自が武器を構えて巨人の胸部を、天使に当たらないようにしながら怒涛の連撃を加える。それぞれの武器がソードスキルによる色とりどりのエフェクトを纏いながらHPゲージを削っていき、このまま押し切れば倒せるという残りわずかとなったところで、巨人が動いて右腕を振りかぶった。

「うそ!まだ硬直時間切れてないはずなのに!?」

「おそらくHP減少で硬直時間が短縮される仕様なんだ!」

「我をここまで追い詰めたことだけは褒めてやろう。だが…これで終わりだ羽虫どもよ!!」

 風のようなエフェクトを纏った拳が五人を吹き飛ばしてHPを大きく削る。体勢を立て直す暇もなく巨人の連続攻撃が直撃しようとしたその時

「させないわよ!」

 リズベットが倒れた全員の前に立って間一髪のタイミングで攻撃をガードする。が、強力な攻撃はガードの上からも容赦なくHPを削り、正真正銘のピンチに陥る。

「リズさん!ガードじゃ耐え切れませんよ!」

 早く逃げて。そう続けて言おうとしたシリカに、リズベットは自信満々の表情で「大丈夫よ!」と返した。

 そして次の瞬間、巨人の胸部にいる天使の目が見開いた。

「何をしている!助けに来たならしっかりとやるがいい!」

 天使の言葉と共に全員の体を回復魔法の光が包むと、リズベットが言う。

「SAOの時も目が開いた時に援護してくれたのよね!まったく、素直じゃないんだから!」

 天使の援護によって巨人の攻撃をリズベットが耐え切ると、再び巨人が技の硬直によって動きを止める。

「今よ!」

「「「「「やあああああっ!」」」」」

 息のあった同時攻撃で残っていたHPを削りきると、巨人の体が徐々にポリゴン片へと変わっていく。

「馬鹿…な…たかが羽虫程度の…絆などに…!グ…ズ…ギャァァァム!!」

 断末魔の叫びと共に巨人の姿は完全に消滅し、捕らえられていた天使が解放されると、羽を広げながら全員を見下ろしながら言った。

「よくぞやった、妖精たちよ。…べ、別に私は助けて欲しいだなどと言ってはいないが…まあ、感謝してやる」

「(ツンデレね)」

「(ツンデレですね)」

「(はいはい、ツンデレツンデレ)」

「(テンプレ乙)」

「その絆はしかと見せてもらった。天使に身をやつして見に来た甲斐があったというものだ」

 言葉と共に天使の体から羽が消え始めると、空からヴァルキリーが降りてくる。

「どうかその縁が長く続くよう…お前らの絆に、天使の加護があらんことを!」

 力強くそれでいて綺麗な声が響き渡ると、天使の羽を模した指輪がそれぞれの上からゆっくりと落下して、全員が手の平で受け止める。そして次の瞬間、天使改め女神から強烈な光が発せられて、全員思わず目を閉じる。

 光が収まったところで目を開くとそこは巨人の足跡を追って入った建物の前で、既に女神の姿は無かった。

「…壮大なクエストでしたね」

「いいかんじにALOっぽくなってたしね」

「それにしても難易度高いにもほどがあると思わない?」

「そうだね。まあでも無事にクリアできたんだし」

 各自握っていた指輪を指で挟んで空へ向かって高く上げると、声を揃えて言った。

「「「「「「《リング・オブ・エンジェルズウィスパー》GET!!」」」」」」   SAOガールズによる最初の冒険は、こうして幕を閉じた。

              次回へ続く

 




キャリバー編、人数的にどうしようかなぁと思っていたけど
「シノンに大型テイムモンスター持たせて連れていける最大人数増やせばいいか」
という結論に達した。
でも今度は大型テイムモンスターが決まらない。
めんどくさいから《効果モンスター絶対殺すマン》か《高レベルモンスター絶対殺すマン》あたりを持ってくるか…

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