ソードアート・オンライン一紅き魔剣士と冥界の女神一 作:ソル@社畜やってます
和人 利久
字面がわりと似てるという偶然(狙ってない)
そんでもっていつの間にかUA10000&お気に入り100件越え。
大丈夫?嬉しいんだけど、これすごい駄作だよ?
銭湯でサッパリとした一行は帰り道で和人と利久が購入したアイスをつまみながら帰宅した。
帰宅して早々に夕飯の準備をするとキッチンへ向かった利久と詩乃以外の全員はトランプやUNOに興じることにした。VRMMOばかりやっているメンバーとしては、こういったレトロな遊びは逆に新鮮に感じたらしく大いに盛り上がった。
そして夕食の時間になり、根っからの料理好きに振る舞われた特製のマーボーカレーは、昼食以上に女性陣をうならせた。
「まさかここまで美味いなんて思ってなかったわ…」
「い~な~詩乃は、こんなハイスペックな旦那さんがいて」
「スプーン口にくわえたまま喋るなよ」
「…ところで利久くん?」
「なんだアス姉(あすねえ)?」
お姉ちゃんは嫌だけど他の呼び方ならギリギリ妥協する、という利久の新しい自身の呼び方に内心で盛大に満足しつつ、明日奈は平静を装って言った。
「利久くんの夕飯だけ私たちと違うのはなんで?」
利久の前にあるのはマーボーカレーはマーボーカレーだが、他の全員が平たい器に白米の隣にマーボーカレーの盛ってある、ごく普通のカレーライススタイルなのに対して利久の分は丼に並々とマーボーカレーが入っている上に、中身は中華麺の名付けてマーボーカレーラーメンになっている。
「いや、だって足りないし」
そう言う利久の手元には茶碗に山盛りの白米が堂々と鎮座している。
「本当によく食べるんだね利久くん…」
「利久さんの胃袋はどうなってるんですか…」
「というより炭水化物に炭水化物って太らないんですか?」
「ふぁいひょうふ(ズルズル)はへはふんふんほうふるから(モグモグ)」
「え?なんだって!?」
「(ゴクン)食べた分運動するから大丈夫だ。それに炭水化物おかずに炭水化物は常識だろ」
「いや、その発想はおかしい」
「え、なんで?」←きりたんぽをおかずに白米食べれる系スナイパー女子
「どこがですか?」←たこ焼きをおかずに白米(ry剣道女子
「おかしくはないだろ」←麺類全般をおかず(ry魔王系男子
この一家(将来的な意味も含め)、違った意味でも人知を超えているのかもしれない。そんなこんなで楽しみながら夕食を共にしていると、一斉に各自のスマホが鳴り出した。
「え?」
「みんな同時にか?」
各々がスマホを手に操作すると、緊急速報の類ではなかったことに少しホッと胸をなでおろした。
「ALOのアップデート予告だったんですね」
「闇妖精領に新ダンジョン追加はいいな。俺のホームグラウンドだし」
「名前からして難易度高そうね…《黒竜の巣窟》って」
「巣窟ってくらいだしレアアイテム大量にありそう♪」
「さすが琴音…もうお宝に目をつけてる…」
「アインクラッドは…21~30層の追加か」
「特に難しい層は無かったですよね?」
そうひよりが言いながら視線を上げると、何故かテーブルに両膝をついて口元を組んだ両手で覆っている、所謂ゲンドウ(マダオ)ポーズで和人と利久が向かいあっていた。
「和人、お前はSAOのときに新婚生活で散々住んでいたんだから十分だろ?今回は俺に譲れ」
「断る。実質あそこで暮らしていたのは短い間だったんだ…それに利久のホームは76層だろ?それまで我慢してろよ」
「ハハハ、こやつめ」
(え?なんですか?なんでキリト様と利久さん一触即発の雰囲気になっているんですか!?)
なにがなんだかわからない様子のひよりの肩を、珪子が叩いて小声で話し始めた。
(ひよりさん。今度のアップデートで追加される22層には和人さんと明日奈さんが新婚時代に過ごしていたホームがあるんです)
(え、そうだったんですか?でも、それがなんでこうなっているんですか?)
ひよりのもっともな疑問に今度は里香が答えた。
(利久は前々から22層のホームを狙ってたのよ。最近なんて古代級武器(エンシェントウェポン)集めては売りまくって資金稼いでいたんだから)
(ち、ちなみにおいくらくらい…?)
(私の見立てでは、ざっと700万は稼いでるわよ)
(な、ななひゃくまん!?)
驚いているひよりをよそに、琴音は平然と言った。
(ほんと凄いよね。私だって500万がやっとなのに)
(ご、ごひゃく………)
サラッと、とんでもないことを言ってのける琴音に、思わずひよりは絶句した。
自身もそれなりに稼いでいるほうだと思っていたが、明らかに桁が違っていた。
ちなみに、ひより達が話している間、明日奈と詩乃はというと…
「もう、和人くんってば…」
「やれやれだわ…」
それぞれの夫に盛大に呆れていた。
□□□
満足する夕食を終えて、せっかく桐ヶ谷家にきたからのだから、と就寝するまでの間里香らは二手に別れて和人の部屋と利久部屋で過ごすことにした。
和人の部屋では明日奈、詩乃、珪子とモニターを通じてユイとストレアが。利久の部屋では里香、琴音、直葉、ひよりが入った。
「…おい、入って早々になにをしてる」
「いや、ね?エロ本を隠したりしてないのかと…」
「そんなもの無いって言ってるだろ!」
「わかってるけどさ、なんとなく人の部屋に入ったら家捜ししたくなるでしょ?」
「気持ちはわからなくもないけどさぁ…!」
「まあまあお兄ちゃん落ち着いて…」
「直葉さんってキリ…和人さんがいないときは利久さんのことお兄ちゃんって呼ぶんですか?」
「え?あまり意識してはいないんだけど」
少し考え込むようにしている直葉を見て利久たちは笑いながら言った。
「まあ和人ないしキリトがいるときにお兄ちゃんって呼ばれたらそれはそれで困るんだけどな」
「どっちのこと言ってんだかわからないしね」
「アハハ、確かにそうだね」
各々好き勝手に利久の私物であるぬいぐるみを盛大にもふりながら話し続ける。
あまり知ってはいなかったお互いのことや、SAOでの出来事(専らキリト関連)など、話そうとしても話せなかったこと談義に華を咲かせていると、琴音が今にもイタズラしそうな笑みを浮かべながら利久に聞いた。
「そういえば利久って、なにがあって詩乃のことを好きになったの?」
「なんだよ藪から棒に」
「だってその辺の話詳しく知らないんだもん」
「あー、確かに聞いたことなかったわねー」
「私も」
「私も、無いです」
「ってことだから…you話しちゃいなよ。詩乃を一人で助けに行ったとき?初めて二人きりになったとき?」
「ん~…話せっていってもなぁ…」
う~ん、と唸りながら利久は天井を見上げて、数秒経ってから口を開いた。
「俺にもわからん」
利久の言葉にその場にいた全員が絶句した。
「………はい?」
「え、なに言ってんの?好きになったキッカケくらいあるでしょ?」
「いや、本当にわからない」
「えぇ~…拍子抜けもいいところだよ」
「お兄ちゃん、それはないと思う」
「告白するキッカケがあったのは本当だよ。詩乃の過去のことを聞いて、それでも一緒にいたい、守りたいって思った。でも好きになったのは劇的な何かがあったからじゃない」
~和人の部屋~
「利久と一緒にいると楽しかったし、心と体が温かくなるのを感じて、それでわかったの。ああ、私はこの人のことが好きなんだって」
「それで、利久に助けてもらって一緒に過ごすことになったときに?」
「ええ。まさか利久も私のことが好きだなんて思ってもなかったんだけど…本当に嬉しかった。こんな私のことを好きになってくれてたんだから」
「…ぐす。何度聞いても、いい話ですね」
「詩乃のん…良かったね、利久くんに出会えて」
「それより、なんで今まで俺にそのこと話してくれなかったんだ?」
「にぃにが絶対にからかうから教えるなって言ってました」
「…多分、利久のことだから恥ずかしかったんだろうな」
~再び利久の部屋~
「なるほどね、それは確かにわからないって言うしかないわ」
「それにしても一緒にいるうちに気がついたら好きになっていて、しかも相思相愛で似通った点があったなんて和人と明日奈以上に運命を感じるね」
「素敵な話ですね」
「さて、俺のことは話したんだし…次は和人に関して聞かせてもらおうか?」
とびっきりのゲスい笑みでそう言う利久に里香と直葉は目を逸らした。
「おい、なに視線逸らしてんだ」
「だって、そんなこと言われても…」
「ぶっちゃけ進展もくそもないし…」
「うん、知ってた。ひよりは?」
「私は、好きは好きですけど…なんというか憧れている部分が強いんです。ですからお付き合いしたいとかそういうのではないので…」
「琴音は?さっきの口ぶりだと認めてるっていうか…」
「うん、認めてるよ?和人の傍にいるべきは明日奈だって思ってる。今でも和人のことは好きだけど、明日奈のポジションを略奪するみたいなことまでしようとは思ってないし」
こういう考えを持っている辺りはさすが年長者(クラインとエギルを除く)だな、と関心した利久の気持ちを
「まあ何かあったらすぐさま和人の隣は貰う気満々だけどね!」
琴音はすぐさま打ち破った。
「すげえ、とても年上の発言とは思えないこと堂々と言ったぞ」
「さすがトレジャーハンター…」
「私たちに言えないことを平然と言ってのける」
「でもそこにシビれはしませんし憧れもしません」
「え、里香と直葉は思ってないの?」
「正直、今の友達以上恋人未満の関係くらいが一番いいのかなって…」
「私はその…あまりお母さんとか利久兄に迷惑かけてもなんだし…」
(あっ…(察し))
(大人の事情、ですね)
(ファミチキください)
(こいつ、直接脳内に…!)
なんやかんやありつつ、夜10時になったところで女性陣は剣道場で、和人と利久はそれそれの部屋で就寝することになった。
~翌朝6時~
これだけの人数が揃っていて、なにも起きないわけがなかった。
「「おはようございます…」」
(眠い…)
どこかに向かって小声で挨拶をする和人と琴音の率先してイタズラをするコンビと眠そうに目をこすっている利久。
琴音の手には大きなプラカード、利久の手には何故かフライパンとおたまがある。
「なあ…本当にやるのか?絶対怒られるぞ、主に明日奈から…」
「というより、なんで利久がいるの?」
「協力しないと俺の嫁(詩乃)フォルダの写真を全部削除するって脅されました…」
そう言いながら涙ぐむ利久の隣には、そのデータが入ったスマホを持って笑っている和人の姿がある。
「さすが和人、こういうことはお手のものだね」
「ちなみに中身はこんなかんじだ」
「どれどれ…ふむ…ほう…なるほど………思ったより普通だね」
※どのような中身かはご想像にお任せします
「さて、それじゃあやるぞ」
音を立てないそうにゆっくりと剣道場の扉を開けて中に入ると、琴音以外の女性陣はまだ眠っているようだ。
「さ、利久、思いっきりやってくれ。あ、琴音耳栓つけとけ」
「そんなにすごいんだ」
「はいはい、わかったよ…ったく」
ため息をつきながら一歩前に出てフライパンとおたまを構えながら言った。
「右手におたまを、左手にフライパンを!横たわりし者に正義の鉄鎚を!」
「毎回思うんだけど、それわざわざ言ってるのか?」
「これ言わないといまいち気分乗らないんだよ。唸れ、桐ヶ谷家目覚まし術…秘技!死者の目覚め!」
フライパンにおたまを強く叩きつけ剣道場内にけたたましい音が響き渡ると、寝ていた女性陣がたちまち飛び起きる。
「なに!?なに!?」
「う、うるさいです!」
「み、耳が…」
全員が起床したのを確認すると、利久は手を止める。
そして和人と琴音が一緒に[イタズラ大成功!]と書かれたプラカードを持って笑った。
「「大成功!」」
そして数分後、そこには正座をしている和人と琴音を見下ろす明日奈の姿があった。
「二人とも?なにか言うことは?」
「異議あり!なんで利久はなにもないんだよ!」
「利久くんは和人くんが脅したんでしょ?文句ある?」
「いえ、ございません…」
「ふわぁ…」
「利久、眠いの?」
「無理やり叩き起こされたからな…」
「そっか」
詩乃は利久の肩を掴むと自身に向けて倒して膝の上に頭を乗せた。
「寝てていいわよ。明日奈のお説教まだ時間かかりそうだから」
「ん~…ありがとう…」
(さすがバカップル…!)
(こんな状況でイチャつけるってメンタルすごいですね)
(利久さん意外とノリノリだったような…)
今だから言える裏話
・その1
実は当初オリ主こと利久/リクは闇堕ちしてキリトに倒される予定だった。
でもそれはどうなんだろう?ってことでこんなちゃらんぽらんな話になった。魔王化はその名残。
・その2
最初原作ルートの話を考えた時の設定は、利久は詩乃の義兄で、和人の生き別れの兄弟で、郵便局強盗事件で詩乃をかばって強盗殺して、実の家族じゃなかったことも知ってぎくしゃくした結果詩乃がSAOにいる間に一人上京して、死銃事件を機に再会する、という超ダークストーリーなヒロイン(男だけど)になる予定だった。
当然詩乃とくっつくから実質的に禁断の兄妹愛になる。誰得だよこんなストーリー